「ゴールド・フィッシュ」 森絵都
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ゴールド・フィッシュ 著者:森 絵都 |
森さんは若いときに読むのが一番いい。そんな事をこの本で思った。
前回酷評した「ラン」についても、私がもう少し若かったら、
もっと楽しめたんだろうと思う。なんていうか、もう、
その時期は過ぎ去ってしまったんだという、虚しさばかり。再読です。
ロックバンドを目指して東京に行った真ちゃんは、
いつの間にか住んでいた部屋を引き払っていた。
電話も繋がらず、バンドも解散したという噂も聞いた。
一体真ちゃんに何があったのだろう?
さゆきは心配になり、真ちゃんを知る人に聞いて回った。
ようやく真ちゃんの居場所を突き止め、
新小岩の叔父さんの家まで行ってみたけれど、
やはりそこには真ちゃんはいなかった。
いつしか他人を通して見ていた夢は、
自分の夢だったのだと気づく瞬間、気づかされる瞬間、
それがとても優しく描かれている本です。
きっとこの本を中学生のときに読めたら、
まっすぐに心に届くことでしょう。私も当時読んだので、
とても温かい本だったという記憶から今回読んでみたのですが、
前回に比べるとそれほど、打たれずに読み終わってしまって、
自分が成長したのか、それとも逃げ出しているのか、
素直に楽しめない現状に何だか虚しくなりました。
人生は奇麗事ではない。もっとどろどろして、汚くて、
けれど森さんの本はそっとそれが隠されているから、
こんなもんじゃないんだ、ってむきになりそうになる。
真ちゃんだって、その夢を諦めるときが、
多分必ずやってくるのだから。それを見ないふりするのか、
もっと頑張れって、叶わない夢に送り出すのか、
そんなんでいいのかって、思ってしまうのでした。
大人になった私は、子どもの頃には戻れなんでしょうね。
バンドを応援する気持ちは分かるし、
でも私はそのときも心の片隅で、その結末を考えてしまう醜い心に、
何だか申し訳ないような、恥ずかしいような気分になるんです。
★★★☆☆*80
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