「約束」 石田衣良
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約束 (角川文庫 い 60-1) 著者:石田 衣良 |
問題なのは、石田さんを許せるかどうか。許せる、と言うのも変な
話で、どちらかと言えば許容できるか、と言う辺り。要するに好み。
この安易過ぎる何とも言えない薄めの設定の中に、
どのような思いを馳せるかが、最大のポイントである。
「約束」
カンタにとってヨウジはヒーローだった。
何も取り得のないカンタにとって、勉強で、スポーツで、
ヨウジが活躍する姿は一段と輝いて見えて、
自分が幼馴染であることを誇りに思うほどだった。
しかし、事件は突然起きた。下校中の二人の前に、
気の狂った不審者が現れ、襲い掛かってきたのだ。
驚き、立ちすくむ二人だったが、次の瞬間、
ヨウジはカンタを突き飛ばし、自分の身代わりになった。
死んでしまったヨウジ。カンタはショックを受け自分を責め続けるが……。
ここに書かれている話は、とてもいい話である。
私がこのように批判してはならないほどの、とてもいい話である。
最後の話なんかは、とてもぐっと来て泣きそうだった。
だから、何だかとても残念なのである。そういう思いを、
大切に思っているという共感が嬉しいのに、とてももったいなく思う。
私がどうしても好きになれない理由として、話を作るという
スタンスでの意識が微妙に石田さんと違うからではないか、と思った。
それは「ぼくとひかりと園庭で」のときも思ったのだが、
石田さんはその大切な感情を、「簡単に」伝えようとするのである。
簡単な設定で、簡単に伝えることにより、
読者にも簡単に分かってもらおう。そんな風に私は感じる。
けれども、それって何だか違うのではないかと、私は思うのだ。
大切なことは、「簡単に」するのではなく、「分かりやすく」
する必要があると思う。間違っても「簡単=分かりやすい」ではない。
だって「友達が死にました。悲しいです、でも頑張ります」
って言う簡単よりも、「友達とはこんなに仲がよかったんです。
でも死んでしまい、悲しいです。あなたも仲のいい友人を亡くしたら、
こんな気持ちになるかもしれませんよ」という分かりやすさと、
気持ちの浸透が重要なのではないか、と私は思うからだ。
この薄い設定だと、そこのところがあまりに省略されているようで、
「あとは自分で考えてくださいって事かしら」とちょっと残念である。
あんまり突き放しすぎると、折角いいことを書いているのに、
気づいてくれない読者も現れるのではないかと思う。
まぁこの本は逆にストレート過ぎる、という感じも受けなくもない
のだけれど。うーん、石田さん嫌いじゃないんですけど、
最近そんなことを考え始めたら、そればかり気になっちゃってダメです。
それと久しぶりに読んで思ったのですが、石田さんの文章は、
形容詞と比喩が多いですね。今まで気づかなかったのですが。
★★★☆☆*80
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