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2013年1月 7日 (月)

「残り全部バケーション」 伊坂幸太郎

20130107_1
この本は震災後に書かれたんでしょうか?「PK」の時のあとがきで、
「PK」は震災前に書いたもので、今は書けない。今後書く気になれるか
不安になるくらいの衝撃を受けたため、作家活動どうしよう的な
事が書かれていた気がする。とりあえず再開おめでとうございます。

夫の浮気が原因で離婚する夫婦と、その一人娘。ひょんなことから、
「家族解散前の思い出」として〈岡田〉と名乗る男とドライブする
ことに──(第一章「残り全部バケーション」)他、五章構成の連作集。
(amazonより)

震災があった後初めて本屋に行ったときに、まず思い浮かんだ事は、
伊坂さんは無事だろうか、ということでした。伊坂さんと言えば仙台。
出身は千葉なのに仙台を愛し、仙台を舞台にしか本を書かない、
という何とも奇特な作家として印象的でもあったからです。だから
「PK」が出たときは、震災的な内容を含んだ内容だろうか、と期待した
けれど、あとがきには、「これは震災前に書いたもの」とはっきり
明記されていました。今はこんな話は書けない、と。そうした壮絶な
空白期間を経てのこの本ですが、正直復帰おめでとうと言いつつ、
「伊坂幸太郎」を初めて読もうと思ってこれを手に取ったら、二冊目は
読まない人が多いだろうなと思ったのも一つの感想ではありました。
なんとなく「グラスホッパー」や「マリアビートル」的なイメージを
受けるのですが、グラスホッパーのカマキリ的なキレもなければ、
蜂のような鋭さもない。ゆるゆるな感じは、「ポテチ」のようでもある
けども、ゆるい感じに思いっきり浸れている訳でもない。
「この本を読んでいる間だけは、嫌なことを考えないでいられるような本
を届けたい」というような言葉がどこかに書かれていたが、そこまで
惹きつけられませんでした。この本は、「物事は、一人ひとり役割が
あり、役割以外の事は行わなくていいのだ」ということが強調されてい
ます。また、辛いことがあっても「これが一番のどん底であり
(死んだとでも思って)残りの人生は全部バケーションとでも思い、
のんびり過ごそうぜ」と。死んだと思って、無謀なことに挑戦してみる
事を選ぼうと。しかし、いまひとつそれらの内容が合致したストーリー
になっておらず、「岡田」の存在がふわふわと、何が言いたいのか
分からないものになっていました。悪いことをする人の悪意を、誰にも
悟られないようにもみ消す善人を描きたかったのか。よく分からん。
とりあえず、この本を「伊坂幸太郎」として一番最初に読むのはやめた
方がいいのは確かです。何が言いたかったんだろう、本当に。
それが分からなかった自分にも残念。「残り全部バケーション」という
割りに、「バケーション感」をもっと出してほしかった。もっと晴れやかな
ガッツポーズでまた、「陽気なギャング」書いちゃってくださいよ伊坂さん。
次回も期待しています。ふっきれるその日を復興と共に期待しています。

★★☆☆☆*73

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