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2012年12月

2012年12月16日 (日)

「万能鑑定士Qの事件簿 Ⅲ」 松岡圭祐

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松岡さん恐るべし。これなら十二巻連続で読んでも飽きないかも
知れない。森さんとは大違い(なんて失礼な)。四巻目も続けて
読みたいところですが、「0能者ミナト5」と吉田さんの新刊が
控えているので、しばらく松岡さんはお休みします。

人気ファッションショップで、ある日突然、売り上げが落ちてしまう。
いつも英語は赤点の女子高生が、東大入試レベルのヒアリング問題で
満点を取る。この奇妙な事象をともに陰で操っていたのは、かつて
ミリオンセラーを連発した有名音楽プロデューサー・西園寺響だった。
借金地獄に堕ちた彼は、音を利用した前代未聞の詐欺を繰り返していた。
凛田莉子は鑑定眼と機知の限りを尽くして西園寺に挑む。
書き下ろし「Qシリーズ」第3弾。(amazonより)

ところで、面白いからいつ読んでもいい作家。その存在はとても素晴
らしいです。本好きの何か読みたいけどこれと言って読みたいものはなく、
かと言ってつまらないのは読みたくない。そんな贅沢を叶えてくれる
素敵な存在なのです。今回はⅠとⅡが面白かったので、続けて読みましたが
今後は、他の作家の合間の箸休めに読ませていただきます。内容はと
言うと、またしても現実にありえそうな事件。売れなくなった音楽
プロデューサー西園寺響(私は小室哲也的なイメージで読んでいました)
が借金まみれを苦として、ファンを利用し無差別詐欺事件を起こす物語。
その手口はとても巧妙で、信仰心厚いファンを巧みに利用し、自分は
絶対に罪を着せられないというもの。昔の輝かしい栄光から没落した
人間が見せる、悪あがきの醜態が見事に描かれていました。松岡さんの
いいところは、西園寺響を本当の悪者にしないところ。彼は確かに
ひどいことをしたかもしれない。でも、彼は確かにかつて万人を熱狂
させた。ただ、時代が過ぎた、それだけなのだと。推理劇が見事なのは
勿論だが、一冊読み終わると、昭和が平成になり、新しかったものが
古くなる、時代が終わるという当たり前だが、壮大で大切なことを感じ
させてくれる本でした。いつかの栄光はそれぞれの心の中に。

★★★★☆*89

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2012年12月11日 (火)

「夜明けの街で」 東野圭吾

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サイン本です。本棚を整理していたら発見しました。東野さんの
サイン本なんて結構レアなんじゃないですかね?しかし、サイン
が入っていると、どうも貴重な感じがして読まないんですよね。
いいのか悪いのか微妙なところ、久しぶりの東野さんでした。

渡部の働く会社に、派遣社員の仲西秋葉がやって来たのは、
去年のお盆休み明けだった。僕の目には若く見えたが、彼女は
31歳だった。その後、僕らの距離は急速に縮まり、ついに越えて
はならない境界線を越えてしまう。しかし、秋葉の家庭は複雑な
事情を抱えていた。両親は離婚し、母親は自殺。彼女の横浜の
実家では、15年前、父の愛人が殺されるという事件まで起こって
いた。殺人現場に倒れていた秋葉は真犯人の容疑をかけられ
ながらも、沈黙を貫いてきた。犯罪者かもしれない女性と不倫の
恋に堕ちた渡部の心境は揺れ動く。果たして秋葉は罪を犯した
のか。まもなく、事件は時効を迎えようとしていた・・・。
(amazonより)

ネタバレしてます、ご注意。
東野さんの恋愛メインシリーズには、個人的に嘆息を覚える作品が
多数あります。その真骨頂が「ウインクで乾杯」ですが、この本は
リアルタイムで読んだためか、古めかしさを感じることなく読了しました。
とくにわたしは女性なので、男性の浮気に至までの心理描写が、
なかなか真に迫っているように感じがして、不倫ではありますが、
恋愛小説という面で、面白さを感じることができました。しかしながら、
たくさん推理小説を出している作家さんにありがちな、物語の
「パターン化」現象は何とも言い難いもので、物語後半の推理劇では、
やっぱり「推理劇なんですね……」という残念な気分になるのでした。
前半の恋愛部分が好感触だった部分、最後のミステリとの結合が
余計に推理劇突入を浮き彫りにしていました。むしろ、それを狙った
んだろうか?と思わなくもないくらい、くっきりと。「それにしても物凄い
自殺方法だ」みたいな主人公の心理文章が出てくるのですが、
「いやいや、そのありえない設定の物語書いているのあなたじゃあ
りませんか」とつっこみました(笑)。でも、東野さんの恋愛+ミステリ
の中では、わたしの中でかなり上位を占める本でした。

★★★★☆*88

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2012年12月 1日 (土)

■雑談:「神様はじめました」 鈴木ジュリエッタ

最近、少女漫画を阿呆のように読み漁っております。

ところで、電子書籍は断然「否定派」だったのですが、
個人的な少女漫画ブームで頻繁に利用するようになりました。
なかなかアリだと思います。

何と言っても、コミックスの保管場所を節約できる。
小説を二時間で一冊読み終わらせる人間なので、
漫画は二時間で十冊近く読み終わります。

……置く場所、ない。
そんな人には、とてもオススメです。

漫画家さんには、まったく申し訳ない限りですけれども。
しかし実際のところ、出版業に携わっている人間から見ても、
電子書籍の方が収益が出ることは間違いありませんから、
どっちもどっち、な気もしなくもないです。

とくに漫画は電子の方が読んでもらえる確率が高い気がします。
(買いに行くのが恥ずかしい、などの理由も含め……)

とは言いつつ、紙派ですが!

***

せっかくなので、面白かったオススメの少女漫画をご紹介します。
このブログで少女漫画が話題になるのはかなり珍しいので、
いつも遊びに来てくださっている方は、
真剣な紹介にびっくりかもしれません?(笑)。

そもそも、この少女漫画ブームの火付け役となったのが、
円城寺マキさんの「はぴまり~Happy Marriage!?~」でした。
(フラワーコミックス/小学館/全10巻/ほか小説2冊)

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かなり王道なラブコメで、主人公の千和(ちわ)が、好きでもない金持ち
社長、北斗(ほくと)と成約結婚する、というところから始まります。
だいぶ久しぶりに少女漫画を読んだこともあって、「あーありがちー」
とか思い斜に構えて読み始めたのですが、途中ではたと気づきました。
もちろんな事ではありますが、その「ありがち」度合いは、あまり
少女漫画を読まないわたしよりも、長年少女漫画を描いていらっしゃる
円城寺さんの方が熟知しているはず……。どこかの柱に、そのありがちな
恋愛事情をいかに興味深く描くか熟考している、ということが書いてあり、
今更ながら「当たり前を伝える職業」(ここでは少女漫画家)の大切さ
を痛感したのでした。最後のヒヤッとするシーンのあと、やがて北斗が
現われる時、結婚の意味を嫌でも思い知らされます。ある意味とても残酷
な漫画であり、ハッピーな結婚ではないように見えますが、千和と北斗の
仲が成約から恋愛に変わり、結婚するという行為の真意を、王道を持って
知らしめる、素敵な漫画でした。残酷なシーンを嘆く人は、小説も読んで、
北斗の変わりようを見てみるといいと思います。
社長もいいですが、社長でない北斗もとても格好いいです。

物語は完結しているので、安心して読み始めて大丈夫です。

***

次は、吉野マリさんの「桃色ヘヴン」。
(KCデザートコミックス/講談社/全12巻/ほか番外1冊)

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この漫画は、高校生の主人公桃子は訳アリの官能小説家で、そのことを皆に
隠しているが、あるとき超人気アイドル蘭丸(らんまる)に正体がばれて
しまい奴隷になるというところから始まります。なんつー設定やねん……。
誰もがツッコミたくなる異色のスタート(笑)。しかも、あらすじを
読むとなんかベタな流れっぽい。しかしながら、ありがちな流れにならず
魅力的な話の運びになったのは、主人公桃子が、高校生→大学生→社会人
と物語がまんべんなく、滞りなく流れ、成長していくからだと感じます。
始まりの高校生活のがやがや感の面白さだけでなく、その後の姿も初めから
見越して描き始めていることがしっかり分かります。ふとこの漫画を読んで
いるときに思ったのですが、わたしはもう高校生ではありません。(確かに
高校生だったときは存在しましたが)でも、この漫画を描いている吉野さん
も絶対に高校生ではありません。おそらくわたしと同じか、それよりさらに
年上でしょう。漫画家はいつまでも、永遠に17歳の少女を描きながら、
40年も50年も年を重ねていくのだ、と思いついたとき、今まで小説
ばかり読んできたことを少し悔やみました。漫画は子供だけの物ではない。
もちろん、子供に夢を与えるという部分も素敵な職業だと思っています。
主人公が作家ということもあり、またいわゆるアイドルと結ばれる話である
ということもあり、地味な女の子が誰かに「夢を与える」漫画でした。
蘭丸もいい男!

12巻で完結していますので、安心して読めます。
13巻がそろそろ出るようですが、続編と番外編だそうで楽しみです。

***

次は、鈴木ジュリエッタさんの「神様はじめました」。
(花とゆめコミックス/白泉社/~14巻未完/深夜アニメ放映中)

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こちらも、とんでも設定恋愛漫画。母親を亡くしている超貧乏女子高生、
奈々生(ななみ)が借金苦の父親に捨てられ家なき子になったところ、
神社の神様に救われ、あげく自分が神様になり、神社にいついている妖怪
と恋愛関係になるという話。うわー絶対ありえない設定……こりゃない
だろうな1話目。ところで、わたしは中学生頃までは(かなりの)漫画オタク
だったので、もちろん「花ゆめ」も毎月買っていたのですが、この作者の
鈴木ジュリエッタさんは当時いませんでした。いままで出ている漫画を
見ても(失礼ながら)おそらく日の目を浴びていない作家さんだったようで
長編連載も初めての様子。わたしは「神様はじめました」で初めて知り、
しかも1巻から14巻までいっき読みしたのですが、話のつぎはぎ感
(連載を続けるか、打ち切るかの物語の区切り)が半端じゃなくたくさん
あり(それでなくても「花ゆめ」の連載区切りは酷い……今はさておき)
何度も何度も打ち合わせして、14巻まで辿り着いたんだろうと感じました。
しかも、アニメ化しており(いま放映中ですが正直アニメは微妙です……)
鈴木さんにとってはようやく少女漫画家として花開いた劇的な作品だろう
と思います。そのつぼみから花開くまでを一気に感じることが出来、
清々しい気分になりました。漫画の内容の恋愛ストーリーは、破天荒な
設定が多いですが、妖怪、巴衛(ともえ)の服従関係がありながら、
恋に落ちる心と、まがりなりとも「神様」を推す神聖な感じが、
それと真逆のキャラクターのうるささとあいまって、惹き込まれます。
和服男子、丁寧語、萌ですね。

いま多くの書店で欠品しているようで、入手が困難な漫画です。
まったく売れなかった漫画に、大量の増刷がかかる。まさに神がかり。
ちなみに、14巻まで読むととてもじれったい部分で止まるので、
数巻前の物語の区切りで読み止めるとよいです。

***

図らずも全部違う出版社でした!
各社の看板作家。
次回は、「ちはやふる」でも紹介しましょうかね。

いつも来てくださり、どうもありがとうございます。

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