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2012年10月19日 (金)

「月と雷」 角田光代

20121025_2 

角田さん何冊目かしら、40冊超えたかしら……今回も詰まらない
気がすると思いつつついついハードカバーで購入してしまう角田さん
の魔力をひしひしと感じた本でした。つい買ってしまうのです。つい。
そしてこの本もあまり面白くなかったのですけれども。

不意の出会いはありうべき未来を変えてしまうのか。
ふつうの家庭、すこやかなる恋人、まっとうな母親像…
「かくあるべし」からはみ出した30代の選択は。最新長篇小説。
(Amazonより)

この本がどうも群像じみていて納得できない気分になるのが、
母の存在がとても極端すぎるからだと思う。もし母がもう少し
まともで普通の人間で描かれていたとしたら、もう少しまともな
本になっていような気がするのだが、この母の存在によって、
「こんな人いないと思う……」と否定的な気分になるのだった。
宿無しでもいきていけるような、もしくは誰かに寄生していないと
生きていけないような人物を角田さんはうまく描く。とくに絶妙
なのが、宿無しで生きている人間が、ふと自分自身を振り返り、
「わたしのこんな生き方はいいのだろうか」と思いたつ瞬間の
身のすくむ感じが、なんとも角田さんらしく上手いのだった。
こんな生き方でいいのか、と思う人は、「こんな生き方」をして
しまった人であって、したことがない人は書けないのである。
極端な道の一番端までいったときに気づく、身のすくむ思いは、
だから、ここまで極端に書かなくても、相手に伝える手段がある
はずである。角田さんなら、それを知っているはずなのだが。
この本はなんとも極端すぎる、それに尽きるのだった。最後子供が
生まれるところには、とても希望的な気持ちを抱けるのでいい。
最近角田さんは出産話が多いような気がするが、それだけ幸せなの
だろうか。子供が生まれる転機。離婚話の苛立ちより素敵である。

★★☆☆☆*77

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コメント

おはようございます。
本当に、角田さんって、インタビューやエッセーなどからするとすごく普通の感じがして(普通の売れっ子作家みたいな?)、それでいて、こういうものを読んでしまうと、いったいこの人って何なんだろう・・・と思えてしまう、不思議な方ですね。

投稿: 時折 | 2012年12月 3日 (月) 07:21

>時折さん
こんにちわ、コメントありがとうございます。
分かります…!
あんなに普通な人に見えるのに、文章にはとても空虚?な心が描かれていて、
いい意味で満たされていないのかなと思い読んでます。
あの悲しみはなんだったんだろう、と追求して書き留めておく。
いつ読んでも「あともう一冊」と手を伸ばしたくなる作家です。

投稿: るい | 2012年12月14日 (金) 10:42

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