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2012年9月 4日 (火)

「零能者ミナト 1」 葉山透

20120911_3

珍しくライトノベルにはまった。こんなに連続で読みふけったのは、
いつ以来だろう。わたしはファンタジーが苦手である。特に物語の
背景描写が少ない本は、いまいちその世界観に入ることができなくて
面白さの全容をつかめていないもやもや感が漂うからである。

科学が隆盛を極める現代。だが、その片隅にひっそりと息づく異形の
ものたちがいた。存在を知る一部の者たちは、それを「怪異」と呼んだ。
当然、怪異を相手にする生業もある。修験者、法力僧、呼ばれ方は
様々だが、その中でひと際変わった青年がいた。九条湊―どこか
斜に構えたクセのある青年だが、彼が同業者から疎まれているのは
そこではない。霊力、法力、神通力、彼はそんな力を一切持っていない。
それにもかかわらず怪異を倒すという。その手腕は驚くべきものだった。
(amazonより)

上野駅構内のブックエクスプレスの本の陳列は、神がかり的に良いのを
知っていたので、平積みされていた作者の名前も良くわからないこの本
を読んでみた。なるほどとても面白い。坊主と巫女、それだけだったら
何も面白さを感じなかっただろうが、引き込まれた一番の要因は、
主人公がまったくファンタジックな考えを持ち合わせていない人間設定。
エロスティック且つグロテスク、且つオカルト。おおおまさにオタクの
王道ではありませんか、と感じつつも、どこか新しさを覚えてしまう
のは主人公の粗暴さと知識からかもしれない。何よりもヒロインの馬鹿に
されようがすごい。これはヒロインと呼べるのか。むしろ主人公が
ヒロイン的な魅力さえも奪っているのではないか。等々。最初に読み
始めたときに、ライトノベルにしては破格の挿絵の少なさで、その上
ブックカバーをかけて読んでいたので、主人公の人物像が、表紙の絵と
一致しなかった。よれよれの黒Tシャツにジーパン…という紹介の割り
には、イラストはてもスタイリッシュである。しかし、読み進めていく
うちに、読み手であるわたしも、書き手である葉山さんも、どこか
イラストのミナトの風貌に近づきつつある描写にとても共鳴し、元々
葉山さんの描きたかったと思われる粗暴なミナトと、イケメンなミナト
があいまって、絶妙な魅力を生み出していた。ライトノベルの良さは、
原作者とイラストレーターの共著として本が発売されることである。
キノの旅、なんかは犬塚さんの絵が映えた大きな一例だと思うが、
この本もまたそういった意味で「アタリ」な組み合わせだったのでは
ないかと感じた。ところで、四巻まで一気に読みつくし、葉山さんの
ほかの本を探したのだが、すこし前にヒットしたと思われる
「ナインエス」がどこの書店でも見当たらず、途方にくれた。その
店舗数たるや、十一店舗歩いて回った。ネットで購入した方がよかった
かもしれないと、思った矢先、秋葉原の書泉で発見した。いやはや、
絶版って悲しいものだわ。とつくづく思いました。映像化するには、
ちょっとマニアックで、グロすぎるのかしら、と思いつつ、普及して
ほしいなと思うライトノベルでした。現在ナインエス読み途中です。

★★★★☆*89

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