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2011年11月 6日 (日)

「平成猿蟹合戦図」 吉田修一

平成猿蟹合戦図 平成猿蟹合戦図

著者:吉田修一
販売元:朝日新聞出版
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吉田さんやっと新刊出した!と思ったらなんですかこの本は……と絶句
した本でした。新聞に連載されていたようですが、これを毎日読む気力は
なかなか起きないだろうな、と思ったりしました。うーん吉田さんは
何を書きたかったのだろうか?『長崎乱楽坂』並によく理解できない本。

歌舞伎町で働くバーテンダーが、ニッポンの未来を変えていく!? 
新宿で起きた轢き逃げ事件。平凡な暮らしを踏みにじった者たちへの
復讐が、すべての始まりだった。長崎から上京した子連れのホステス、
事件現場を目撃するバーテン、冴えないホスト、政治家の秘書を志す女、
世界的なチェロ奏者、韓国クラブのママ、無実の罪をかぶる元教員の娘、
秋田県大館に一人住む老婆……一人ひとりの力は弱くても心優しき8人の
主人公たちが、少しの勇気と信じる力で、この国の将来を決める
“戦い”に挑んでゆく! 思いもよらぬ結末と共に爽快な読後感が
やってくる、著者の新たな代表作。
(Amazonより)

始めに言っておこう、この本は「著者の新たな代表作」、ではない。
50ページくらいから既に嫌な予感がしていたのだが、行きつく先の
見えない話は行き着く先が見えないまま終わった。一体何が書きたかった
のか正直に謎だらけの本である。恐喝していながらもいつの間にか
逃げ腰になる気弱な青年とホステスの色恋?が書きたかったのか、
はたまたチェロ演奏者との事件性を強く書きたかったのか。どの要素も
中途半端で、ぐちゃぐちゃした様子。九州出身の登場人物が色濃く
描かれる中、東北地方出身の登場人物が途中からプッシュ、東北話が
進められ、この部分でも一貫性のないまとまりのなさが強調されていたよう
に思う。そもそもの話、童話「猿蟹合戦」がどんな話だったのか、
すっかり忘れていたので(いまも読み返していないのでいまいち思い出せず)
そんななか読んでいたからか、どこがどう猿で、どこがどう蟹なのか、
という根本的な部分でも楽しめていなかった。こんなタイトルにしたのだ
から、合間で原文の解説でも入れたらよかったのでは……と思わなくもない
曖昧な解釈で進められるストーリーは、やっぱり内容も曖昧になってしまって
いて、残念だった。本当に、吉田さんは何が書きたかったのだろうか?
その部分を理解できない自分が大変残念でもある。でもとても面白くなかった。
ところで、文中で主人公たちの「こころのつぶやき」みたいなものがあって、
それがとても微妙でもあった。方言で話される心の呟きが、その人物の
個性を伝えてくれる半面、「ツイッター」のような、あるいはリアルタイムの
対戦ゲームのふきだし、を読んでいるこそばゆさのような雰囲気もあり、
小説、として本当にそうした書き方が適当か、と問われた時に、
現代風にアレンジした少し虚しい心情表現法のようにも思え、どうも好きに
なれなかった。ってずたぼろに書いてしまった、ごめんなさい吉田さん。
次回作品に大いに期待しております。

★★☆☆☆*65

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