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2011年6月 6日 (月)

「疲れすぎて眠れぬ夜のために」 内田樹

疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫) 疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫)

著者:内田 樹
販売元:角川書店
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タイトル通り、疲れすぎて眠れなかった夜に読んだ本でした。わたしが
内田さんを初めて読んだ本でもあります。で、今回再々読くらいして、
感想を書いているわけなんですけれども、なんというか、最初の衝撃は
なんとも大きくてだから読み返すうちに自分の弱点がわかった気がしました。

疲れるのは健全である徴。病気になるのは生きている証。
サクセスモデルへの幻想を棄てて、「1ランク下の自分」を目指しませんか?
ささやかなことで「幸せ」になれるのは一つの能力です。
まずは身体の内側から発信される信号を聴き取ること。
真の利己主義を目指すこと。礼儀作法と型で身を守ること。
家族の愛情至上主義をやめること―。今最も信頼できる哲学者が、
日本人の身体文化の原点に立ち帰って提案する、最強の幸福論。
(Amazonより)

この本を読んで欲しいのは、ばりばりに会社で働いて、上流社会に
立ち向かおうとしている疲れたOLです。疲れていないとダメです。
いや、この時代、社会を女性が勝ちあがっていこうとしている時点で、
疲れていると思うので、世の一般OLのみなさんは大変納得し、頷きながら
読み進めることが出来るでしょう。「そんなに頑張るなよ」と、内田先生は
そっと肩を叩いてくれます。その仕事、辞めても死にはしないよって。
そんなことはごもっとも分かってはいるのですが、上へ上へと駆け上って
いる途中に、思考回路がどこかおかしくなるようですね。オーバーヒート
して疲れすぎて眠れない夜がやってきます。その点、男の人は大丈夫だと
いいます。なぜなら、憧れと現実を履き違えないから、だそうで。
女性は、履き違えるのだそうです。この本を初めて読んだときは、
なんとも「天啓」を受けたような、救われた気分になりました。
「あぁそうか頑張らなくていいんだ」と、改めて再認識したというか。
合わせて最近夏目漱石ばかり読んでいるので、夏目漱石の時代には(明治)
女はただの道具でしかありません。男から男に譲渡されるものです。
そのことをただ黙然と考えていると、ここにいるわたしという「女」が、
ひどくちっぽけで足掻き損をしている惨めな女に見えてくるのです。
自分で見えてくる、ということは、周りの(主に男性)人間からは、
もっと思われているはずで、だから、「まぁいいかこのへんで手を緩めても」
といういい意味での諦めを感じるのでした。で、再々読の感想としては、
途中から武道論が多くて、こんな本だっけなぁ?と思ったのが一番でした。
内田先生は誰かの引用が多いです。自分の意見もしっかり言うのですが、
その意見の裏には誰々の意見がこうしてあるからで、と解説されており、
予防線を張っている巧みな論法だと思います。何せもっともらしく聞こえる
からです。中盤で高校を中退してしまう話が出てきますが(実話)、
そんな先生が大学の教授になり(退職されましたが)「中退しちゃったのは
「キャラ」だったんですよ。あはは」なんていう怖ろしい笑えない茶目っ気が、
突飛な論法の説得力になっているに違いありません。わたしもそろそろ、
「キャラ」を葬りたいものです、と思いました。高校デビューかしら。
しかし、一番最初に読んだときが一番良かったな。

★★★★☆*86

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