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2011年6月 5日 (日)

「ストーリー・セラー」 有川浩

ストーリー・セラー ストーリー・セラー

著者:有川 浩
販売元:新潮社
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何だかもうしばらく有川浩はいいかしら、と思うくらい甘い感じで、
何だかもうちょっとどうにかならんのかしら、と思うくらい肩透かしで、
何だかもうあなたこそストーリー・セラーですよ、と思うほど、ストーリー
しか売っていない残念な気分の方が勝った。ストーリー・セラーね……。

ひょんなことから自分の部下の忘れていったUSBメモリを開いてみると、
そこには大量の小説が保管されていた。会社の資料を無断で持ち出したのでは、
と心配していた主人公は、安堵したと同時に、小説の中身が気になり
始めた、主人公は無類の小説好きなのだ。しかし書く事はできず、
読むことしか出来ない。そんな彼にとって、彼女の小説は自分だけが
見つけ出した原石のようだった。最初こそ拒まれたものの、次第に
仲良くなった彼女に、主人公は作家になる事を勧めた。
小説家になってみたら? 
しかしその選択が彼女の生死を分かつことになろうとは思いもしなかった。

何冊か有川浩を読んでみて思ったのだが、小説家、じゃなくて、脚本家に
なられたらいかがでしょうか、と。話はどれも可もなく不可もなく。
「うん、うん、それで?」と読み進められるのだが、どうも一辺倒、
というか、装飾が足りないと言うか、描写よりストーリー、感情より
ストーリーというところを強く感じてしまって、うーんだった。
脚本家ならば、そこに演出家、もしくは監督がつく。そのストーリーに
肉付けしてくれる人がつくのである。有川さんの小説は、どこにも欠点
がない分、それ以上に美点が限りなく少ないのだ。美点になりうる部分でも、
坦々とストーリーが進んでしまうので、どうも感動しない、というのが、
ここ最近の感想なのだった。それにしても、これだけの「ストーリー」を
思いつくのは素晴らしいことではある。どの作家も「ストーリー」が
思いつかずに悩んでいると言うのに。そこはひょいひょいと軽々しく
書いてしまう。ありそうで、なさそうな。ベタでいて、少し捻りがある。
どこも悪いところはなく、だからこそ、惹かれる部分もない、という悪循環。
あなたの伝えたいことはなんなの? と思うのだ。ストーリーありき。
ストーリーがいくら面白くても、「伝えたい思い」のない小説は、
やはり脚本のようだ、としか思えないのだ。うーん。ストーリー・セラーね。
物語を売る人。まさにそんな感じの有川浩。

★★★☆☆*83

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