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2011年4月14日 (木)

■雑談:顧みる

帰り道をぷらぷら歩いていたら、
わたしのすぐ脇を勢いよく車椅子のおじさんが追い抜いていった

おじさんの車椅子さばきといったら、
そんじょそこらの車椅子乗りの運転ではなかった
まるで車椅子マラソンに出るような手さばきで
ぐわんぐわん車輪を回して、自転車並の速度である

おじさんはすぐ傍の立派なマンションのエントランスに向かって左折した

しかしエントランスのところには、高さ8cm前後の段差があった
お洒落な花壇、お洒落なエントランスに自動ドア
大きな駐輪所があり、そこにはスロープがあるのに、
けれど、エントランスには段差があるのだった

車椅子で8cmを越えるのはどうみても難しそうだった

おじさんは左折しながら、自転車並の速度で段差に向かうと、
車輪が乗り上がった瞬間上体を一瞬前のめりにし、
これまた華麗な腕さばきで難なく段差を越えると、
すいすいとエレベーターホールへと進んでいった

実に見事でわたしは唖然とそれを見ていることしかできなかった

ふと、地震の時、おじさんはどうしていたのだろうと思った
あの人が町に溢れるような東京の町で、おじさんは

人はみな自分のことを考えるのが精一杯だから、
きっと他人のことなんて、思ってもみないのだろう

もし思っているのだとしたら、駐輪所と同じスロープのブロックを
いや、ただの木の板だっていいだろう、
おじさんのために、誰かが手を差し伸べたはずではないか

そう思うのは、わたしの間違った行き過ぎた情なのか
少しでもおじさんの役に立つのだろうか

顧みる


いつもきてくださり、どうもありがとうございます

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