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2011年4月25日 (月)

「どちらかが彼女を殺した」 東野圭吾

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫) どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
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おーさすが東野圭吾である。あーやっぱり東野圭吾である。東野圭吾を
読むたびに思うのだが、このもやもやした気持ちをどう伝えられよう、
と悩むばかりである。まるで教科書のような。まるで読者がどう思うか
すべてを知り尽くしているかのような。あるいは上り詰めた頂点であるような。

和泉康正は数日前の妹との電話の内容が気になり、彼女の様子を見るため
上京することにした。妹・園子のマンションに着いてみると、呼び鈴を
鳴らしても何も反応がなかった。不審に思った康正は、合鍵を使い中へ
入った。園子はベッドに横たわり、――そして死んでいた。布団を捲ると
パジャマの中に電気コードのような物が繋がっているのが見えた。さすがに
服をめくる気力はなかったが感電死したのは明らかのようだった。横には
タイマーらしき物がセットしてある。康正は警察官という職業柄
冷静さを取り戻すと、この部屋の不審な点を探し始めた。部屋を見渡すと
何かがおかしいのである……。しかし、このままでは園子は「自殺」として
処理されてしまうのが目に見えていた。そして康正はある計画を考え始めた。
他の人間の手は借りず、自分で犯人を探し当てること。園子の部屋の冷蔵庫
には、園子の友人と、「J」という人物の電話番号が書かれていた。康正は
さっそく犯人を割り出そうと状況の推理を始めるのだが……。

文庫で読んだのだけども、単行本で読むことを大いにお勧めします。以下、
ネタバレ含みますので、本書をお読みになった上で読まれた方がよいかと。
「袋とじ」と呼ばれる推理の手引きなるものには、右利きか左利きか、
というところが大いにクローズアップされているが、正直、本編最後の
数行部分にある「どちらでもよかった」的な主人公の描写で「ごもっとも」
と思ってしまっていたので、本当に「どちらでもいい」と思った。そもそも
中盤から、共犯ではないか、説が出てくる時点で、なんとなくもっと愛憎劇
が必要ではないか、とか思ってしまうのだった。だって、容疑者は最初から
最後まで2人しかいないので、「彼」「彼女」「2人で」の3パターンしか
答えがないのは当たり前なのである。しかも「彼」「彼女」は、園子から、
同等の憎しみを受けている。同じ理由で。寝取った女が殺したか、
浮気した男が殺したか、どちらもありがちで、なんとも動機の重さに
かけるような気がしてならないのだった。それはなんだか、「東野ミステリ」
という、なんだかよく分からない物語に、人が踊らされているように見える
からかもしれない。主人公・康正についても「妹を殺された恨み」よりも、
「犯人が誰かを突き止める」の方にかなり傾いており、人間味的なものが、
まるでないのだった。例えば何度も妹の部屋に行けば、思い出の一つくらい
思い出しそうなものだが、彼は何も思い出さない。黙々と事件のチェックを
するばかりである。勿論犯人を突き止め、復讐するという念はとても
よくわかるし、ありがちだし、読みやすいし、受けやすい内容だが、そう
したスタンダードから来る(むしろわざとスタンダードにしたというべき)
「推理」としては、何となく煮え切らないのだった。煮え切らないまま、
どちらでも犯行可能な状態、どちらかが頷けば犯人確定、というような、
なんとも微妙な進行は、面白さよりも、「で、どっちなの?」という、
結果だけを知りたがって、周りを見落としているような感覚に陥る上
これまた主人公・康正のような感情になり、疲れ果て「どちらでもよかった」
と思うのだった。そう言う意味ではとても主人公の気持ちを理解できる
小説ではないか!と思わなくもないのだが。いかんせん、狙いはそこではない。
タイトルが『どちらかが彼女を殺した』なのだから。最後読み終えてみると
「どちらかが彼女を殺したみたいだが、まぁどちらでもいい」
気分になる小説とでも言っておこう。これ単行本読まないと犯人特定でき
ないんじゃ?とか思いつつ、犯人は彼女です。それとそう、加賀シリーズです。

★★★★☆*86

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