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2011年4月 5日 (火)

「モルグ街の殺人・黄金虫」 エドガー・アラン ポー

モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集〈2〉ミステリ編 (新潮文庫) モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集〈2〉ミステリ編 (新潮文庫)

著者:エドガー・アラン ポー
販売元:新潮社
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中学生の時にはそんなこと毛頭考えませんでしたが、この本は、
世界で初めて密室殺人事件を扱った小説らしいです。世界初。世界初。
いい響きだ。ミステリ好きな上にその昔古典ミステリはだいたい読んだ
とか言っている自分は、遍歴なんて考えない相変わらず残念な研究心。

「モルグ街の殺人」
モルグ街で奇怪なる殺人事件が起こった。サン・ロック区に住む
レスパネエ夫人とその娘カミイユ・レスパネエ嬢が殺されたと言うのだ。
それも普通の殺され方ではない。娘のカミイユは頭皮から毛を毟られた
あげく、暖炉の中に逆向きに押し込められ、レスパネエ夫人は撲殺
された上に、庭園で首と身体を切り刻まれていたのだ。事件の目撃者は
なかったが、駆けつけた十数名のは口を揃え、レスパネエ夫人宅で
二つの声が罵りあうのを聞いたと言った。一人はフランス人で、
もう一人はわからない。ドイツ人じゃないろうか。一人はフランス人に
違いない、だがもう一人は、イギリス人のようだった。
証言は一致しているようで、ある一点で違っている。その点と窓枠の
釘に目をつけたデュパンは、この奇怪な殺人事件を解いてゆくが……

ネタバレしますので、未読の方は是非本書を読んでから。なにしろ
世界初の密室殺人事件ですからネタバレなどで結論を急いではダメです。
みなさんご存知「密室殺人事件」。今やミステリの醍醐味、もしくは
いざとなったらこれ、いや、もうこれでしか読者を楽しませられない
のではないか、とまで東野圭吾を悩ませたりし、『名探偵の掟』など
を書かせてしまう根源・元ネタの本である。内容はだいぶグロテスクで
たんたんとしている。人間ひとりではなしえられないと考えられる
怪力と俊敏さを備えたこの犯罪は、まさしく人間ではない犯人・猩々
(オラウータン)だった、と纏められており、最近の凝りに凝った、
これでもか!という「密室殺人事件」を読み漁っている身としては、
肩透かし、「え、人間じゃないのかよ」という落胆すら感じる。
しかし鍵が掛かっているように見せかけて(偶然そうなったわけだが)
実はそうではなかった、という捜査の凡ミスから、単なる凶悪な動物の
暴走が、奇怪殺人事件として浮かび上がったという、現実の
「あり得そうな殺人」が「密室での殺人」になってしまった
「誤解の面白さ」はやはり世界初ならではであった。今の密室殺人は、
どうも「密室」にするために、殺人を行っていることが多い。
密室になってしまったという面白さよりも、なぜ密室になったのか、
の方に魅力を感じて(誰が?)、しまったからだろう(たぶん作者が)。
「トリック」分類的には、「密室殺人」もトリックの手段に違いないのだが、
しかし「トリック」の括りに収められてしまった時点で、
ここにある「密室殺人」とは、そもそもの性質を分けられている
気もするし。ともかく人間は「なぜ?」という問い、疑問が好きである。
「なぜ、殺すことが出来たのか」「なぜ、密室にできたのか」
「なぜ、殺したのか」なぜ……。この本が出て100年はゆうに経って
いるが、いつしかあらたなる「なぜ」が生まれ面白さが幅を広げる
時がくるだろうか。ミステリの分かれ道。そもそもミステリの存在が謎。

★★★★☆*86

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