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2011年4月 1日 (金)

「これが私の優しさです」 谷川俊太郎

これが私の優しさです 谷川俊太郎詩集 (集英社文庫) これが私の優しさです 谷川俊太郎詩集 (集英社文庫)

著者:谷川 俊太郎
販売元:集英社
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もっといろいろ読んでから、この本に手を出すんだったなぁ、と思った。
この本は谷川さんの60歳位までに出した大量の詩集から選りすぐられた、
詩たちの集合である。詩集というよりも、なんだか詩たちの集合、という
方が相応しいほど、収まりきらない何かが蠢いている。それは、あれなのか。

ことばが輝き、躍り、翔ぶ!
鋭敏な感覚と清新な詩風で築いた独自の抒情世界。
最もポピュラーな現代詩人・谷川俊太郎の代表作を収録した傑作詩集。
(解説・栗原 敦/鑑賞・さくらももこ)
(Amazonより)

最後に書かれていた栗原敦の解説や略年表を読んで、「あ、」と思った。
そうか、だからわたしの心に響くのだ。いや、谷川俊太郎と言えば、
日本で一番と言っていいほど名の知れた方である。ということは、
そういうことなのか。みんな寂しいのだ、と思った。どうでもよい話だが、
わたしは世の中に「寂しさの周波数」というようなものがあると思っている。
似たような寂しさ、濃度、感情の濾過具合によって、彼らは自然と
寄席集まる仕組みになっているような気がするのだ。それはどこでも
同じ。みんながこの詩集を褒め称え共感するということは、谷川さんが
するすると澄んだ空気のように、しかしとてつもない寂しさを滲ませて
いるその部分に、きっとみないろいろな形をもって感じているのだろう。
この詩集の中には、いくつか読んだことのあるものが含まれていたが、
一番わたしが敏感に感じ取ったのは、表題作の『これが私の優しさです』
だった。この詩には、「あなたが死にかけているときに あなたのについて
考えないでいいですか」とある。わたしはこの部分を読んで、泣きそうになった。
わたしも、まさにそう思っていたからだった。この『これが私の優しさです』
という詩は、おそらく父親に宛てられたものだと思う。詳しく調べていないし
調べるつもりもないので知らないが、たぶんそうだと思う。なぜなら、
わたしと同じ寂しさの周波数を感じたから。寄せ集められた作品たちは
どちらかと言えば、1冊ずつ読んだ方がいきいきとしている気がする。
でもその1冊に凝縮された何かは、ここではまた違った何かに化けていて、
だから、いろいろな本を読んだあとに、映画のエンドロールのように、
読むのがいいだろう。まぁ、まだまだ作品はたくさんあるので、
とりあえずは60歳までのエンドロールだ。どんなに裕福でも寂しさの苦しみ
には耐えられない。テレビで大家族特集を見るたびに、どこか不愉快で
羨ましげな気分になる。育まれた気持ちは取り返しようもなく、60歳に
なってもまだ、こうして滲ませ続ける。因果、結果オーライなのか。
生きるために何かを作る人間になりたい。

★★★★☆*87

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