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2011年4月17日 (日)

「阪急電車」 有川浩

阪急電車 (幻冬舎文庫) 阪急電車 (幻冬舎文庫)

著者:有川 浩
販売元:幻冬舎
発売日:2010/08/05
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あ、あらすじ書くの面倒くさくなってきたなこいつ、と気づいたあなた。
ご明察ありがとうございます。そもそも200Pを超えるストーリーを
数行に要約するのは、至難の業である。(だからいつも失敗している)
かといって下記のようなAmazonの説明もどうなんかしら、とも思うのだが。

恋の始まり、別れの兆し、そして途中下車……関西のローカル線を舞台に
繰り広げられる、片道わずか15分の胸キュン物語。大ベストセ ラー
『図書館戦争』シリーズの著者による傑作の連作集。
(Amazonより)

有川さんだから甘々なストーリーだろうと予想していたが、予想以上だった。
甘く見ていましたすみません。なんだかこう「胸キュン」を通り越して
むず痒くなって、しょっぱい何かを食べたくなった。個人的には。
ストーリーは阪急電車今津線をモチーフにした人間ドラマ。電車に
乗り合わせた人びとの小さなやり取りが、失恋の慰めだったり、
諍いの仲裁であったり、恋だったり、恋だったり、恋だったり、恋だったり、
に発展してゆく。世の中恋じゃねぇか、ちくしょう。という気分になり、
いくぶんやさぐれた感情を得るのは、わたしが満たされていない証拠だろう。
実に残念である。だから、それらを満たされた方々が読むに当たっては、
ほのぼのとしたご当地アットホームドラマが生き、日々の過ごし方、
なんかを考えたりするんじゃないか、と思ったりした。例えば、通勤電車で、
いつも乗り合わせる人の人生を考えてみたり、とか。電車はある意味で、
すし詰めになる残念な乗り物と思っているが、解説の児玉清同様、
運命共同体でもあるな、とか思ったりして、そう考えると毎日顔を合わせる
人びとの話を少し聞いてみたいような気分にもなるものだ。それにしても、
「刺身の切り身を売るような小説」と解説で述べられているが、まさしく
その通りの小説に出来上がっていると思う。それはいい意味でも、悪い意味
でもだ。刺身は生ものだから、「今」それも「今、若者である」人にしか、
受けない、という残念さである。この本はモチーフも面白くキャッチー
なのだから、もう少しつっこんで書いたら、「今」だけではなく「冷凍保存」
できるような小説になったのではないか、と思わなくもない。この状態では
100年後に生まれた人間が読んだから、理解不能な部分や説明不足がたくさん
あるに違いない。後世に残らなくても、今がよければ、というような、
「刺身の切り身を売るような小説」と言いきった有川さんに少し失望
(いや、失望まではいかないか……でも残念ではある)した気分だ。
面白い本である。現代人、特に若者にはお薦めである。しかし「今が旬」だ。
同時に「今しか旬がない」とも言える。

★★★★☆*86

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