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2011年3月20日 (日)

「桐島、部活やめるってよ」 朝井リョウ

桐島、部活やめるってよ 桐島、部活やめるってよ

著者:朝井 リョウ
販売元:集英社
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夏目漱石と横山秀夫と谷川俊太郎の合間に読んだのが悪かったのか?
もちろんそれもあるんだろうと思うのだけど、なにぶん「読みにくい」
のである。なんなんだ、この文章の「読みにくさ」。なんだんだろう、
この飾るだけの「読みにくさ」。読んでくれる人を顧みろ。デビュー作。

「小泉風助」
桐島がやめるらしい。桐島は頼れる男子バレー部のキャプテンだ。
顧問の先生も何だか言葉を濁して、なぜ桐島がやめるのか何も語らなかった。
桐島がやめる……。あの桐島がいなくなる、ということは、
桐島が独占していた決定だったリベロのレギュラー枠が、俺に回ってくる
ということだった。チームのみんなは何気なく「風助よかったな」と
言ってくる。嫌味のないその言葉が、俺の中を巡り、そして俺は
やはり嫌なヤツなのではないかと思うのだった。俺は桐島が戻ってこなくて
いいと思っている。桐島のいなくなったコートは、けれどなんだか
落ち着かなくて、飛んできた相手のボールを上手く受ける事が出来なかった。
桐島はよく俺の意見を聞きに来たのを思い出す。「風助今のどうやった?」
ベンチに座っていた俺は、桐島の背中ばかり見ていただけだったと思い知る。

連続短編集。部活動の、レギュラーとそれ以外、や、クラス内の
「上」「下」などの微妙な立ち居地について描かれている。雰囲気が
まったくもって豊島ミホみたい。あー……また、「みたい」が出てきたぞ、
とそれだけでなんだか途中で気分が萎えてしまった。時おり出てくる、
チャットモンチーや岩井俊二といった日本人の名前が、なんとなく、
安っぽいものに見えてしまう構成になっていて、どうもぐっとこなかった。
ちなみに、わたしはチャットモンチーも岩井俊二も、映画も大好きで、
出てくる映画やクラシックやバンドの引用物はすべて知っていた。
だから、だいぶ登場人物の気持ちを把握できたと思うのだけれども、
あまりにも引用(しかもややマイナー系の)が多すぎて、チャットモンチー
や岩井俊二をまったく知らない人が読んだら、まったく面白くないだろうな
と思った。だって、説明がまったくないのだもの。クラシックでさえも、
ハンガリー舞曲第五番、と聞いて、その曲がおよそ10年位前に
「さけるチーズ」という商品のテレビのCMであったのを覚えている人が
一体何人いるだろうか? わたしは偶然にも高校のオーケストラでこれを
弾いたから知っていたけど、大半の人は「?」な上に、ブラスバンドで
ハンガリー舞曲やれるのか?とか思ったりした。あの曲はヴァイオリン、
ビオラがパートのほとんどを占めるオケ曲である。ブラバン版もあるのか?
登場人物の心情を語ったとしては、若々しい感情が(作者が若いし)
描かれていて、「今時の高校生ってこうなんだー」みたいなのが
描かれていたような気がするが、きっと六十歳とか七十歳の方々が
読んだらさっぱりわからない感情たちの羅列であったように思う。
説明文が圧倒的に少なすぎる上に、引用がマイナー狙いすぎるからだ。
ちゃんと六十歳の人が読むかもしれないと思って書いた?と聞いてみたい。
せっかくの初々しさも十代、二十代の人だけが読むだけの内輪ウケ小説と
成り下がってしまい魅力が半減していると思う。桐島が部活をやめてしまう
理由が、もう少し自分の力で(引用を多用せず)濃厚に描かれていたら、
レギュラーとそれ以外、や、クラス内の「上」「下」などの微妙な立ち居地
といった「今どき」な感情をリアルに感じることが出来たように思う。
それにしても若いなー次、期待してるよ!

★★★☆☆*81

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コメント

読んでくれてありがとう。
そうかー文章がダメだと二作目もダメかな・・
二作目も結構意欲作なんだけどね。

私はマイナーな音楽や映画が好きなので、共感し過ぎた(笑)でも確かに、一般の人が読んだら分からないよね。

ともあれ若い才能の今後が楽しみ。

投稿: すきま風 | 2011年3月29日 (火) 11:01

>すーちゃん

いえいえ、こちらこそお薦めいただいたのにズタボロ書いてごめん。。
文章さぁ、あのバレー部のところとかすごく臨場感あってよかったのに、
ひとりのときの描写とか、彼女との描写とか、
さっきの情熱はどこへ?、ってくらい薄く感じて、ぐっとこなかった。
2作目チア部のやつだよね?さっそく読み終わって予約しておいたよ。
バレー部のシーンがよかったから、その部分が生きてると感じるといいな。

そうそう、一般の人分からないと思う。
わたしもマイナー派なので、知りまくりだったけど(笑)
うーん、難しいところだね。

今後が楽しみ、同意!

投稿: るい | 2011年3月29日 (火) 19:23

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バレー部の「頼れるキャプテン」桐島が突然部活をやめた。 それがきっかけで、田舎の県立高校に通う5人の生活に、小さな、しかし確実な波紋が広がっていく。 野球部、バレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部。 部活をキーワードに、至るところでリンクする5人の物語。 桐島はどうして部活をやめたのか? 17歳の彼らは何を抱えているのか? 物語をなぞるうち、いつしか「あの頃」の自分が踏み出した「一歩」に思い当たる……。 世代を超えて胸に迫る青春小説..... [続きを読む]

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