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2011年2月22日 (火)

【漫画】「ソラニン」 浅野いにお

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『素晴らしい世界』に続きこちらも会社のお兄さんに借りました。
ぜんぜん関係ないけれど、今日D.W.ニコルズというバンドのCDを
ぼんやり聴いていたら、そのアルバムの中にも『素晴らしい世界』という
曲がありました。どうか、この街が今日も平和でありますように。

大学の軽音サークルで知り合った芽衣子と種田は、社会人になり、
同棲生活を送っていた。音楽で食べてゆくという夢を諦め切れない
種田は、フリーターを続ける傍ら学生時代の友人たちとバンドを
組み、しかしいまいち現実を踏み切れずにいた。音楽が好きだから
こそ、挑戦し敗北したときに、その職業では暮らしてゆけないと、
突きつけられることが怖い。そんなとき、芽衣子は平坦な
OL生活に嫌気が差し、会社を辞めてしまった。職のない芽衣子と、
夢を実現できない重圧に悩んだ種田は家を飛び出してしまう。
数日の音信不通の後、戻ってくることを約束した種田だったが、
帰り道で事故に合ってしまい、残された芽衣子は……。

珍しく映画を先に観ているため、ストーリーをバッチリ覚えたまま読んだ。
この感想を書く前に、映画の方の感想を読み直したのだが、感想は同じ、
やはりターゲット層の云々が気になったのと、これを今まで読んでいなかった
ことからもわかるように、「わたし、ちょっと軽音サークルとか入っちゃ
おうかな~」とかいう思想をまったく持ち得ない青春時代を送った人間
なので、どうもこの「ちょっと軽音サークルとか入っちゃおう」の部分で
躓く、という残念な結果だった。カッコイイ?の部分かな。尊敬!と思う
部分かな?「夢はあの世に行って夏目漱石先生の授業を受けること」
とか、密かに思っているわたしのように、ミック・ジャガーかっこいい!
とか(まだ生きてるけど)、奴らの音楽はヤバイぜ、的な「心の震え」の、
部分が表現されておらず、なんとなくなーなーで、でも音楽やりたいし、
だけど踏み切れなくて、な感じが、どうも「?」なのだった。種田の音楽やり
たい、という気持ちの強さの度合いが、だからぜんぜん伝わってこないのだ。
この気持ちのもやもやを、音楽に!、俺には音楽しかねぇ!的な、熱い想いが。
でも、この漫画のラストはとても平坦である。芽衣子が種田の曲を1度
演奏し、終わる。バンドは続けるんだか、続けないんだかわからない。
おそらくやらないだろう。一瞬だけ夢見た「バンド」というステージは
やはり「夢」であって、現実には「サラリーマン」と「OL」が待っている。
それが本当の世界だからだ。輝けるのはほんの一握りであり、その他の大勢は、
それを観る人間になる。これは漫画である。だから、もっと輝かしく描けば
いいのに。せめて種田が一瞬でも輝く時を見せてからでも、死ぬのは遅く
なかった。でもそうは描かない。これが現実なのだ、と言うのが「浅野いにお」
その人なのだった。輝かしくない人間の方が圧倒的に多い世の中で、
人はみな輝かしさを求めている。でもふいに見せられる「浅野いにお」の
ような世界は残酷にも人を魅せ、惑わせる。なぜなら、その輝けない
人間こそ、自分であると姿を重ねるからだ。落ちている時に読む本ではない。

★★★★☆*86

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