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2011年1月20日 (木)

「赤×ピンク」 桜庭一樹

赤×ピンク (角川文庫) 赤×ピンク (角川文庫)

著者:桜庭 一樹
販売元:角川書店
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を??うむむ……うーん。微妙。確かに不思議な魅力があるし、自分の魅せ方
を知っている人だなぁ、と思うのだが、いかんせん軽すぎて意味のありそう
なことも無意味に見えるという微妙さ。いや、ライトノベルはもともと
そうなのか。そんなことより桜庭さん3年ぶりだった。驚愕。ごめん桜庭さん。

わたし・まゆは八角形の檻の中で泥まみれになりながら佇んでいた。フリフリ
の衣装を着て、手には格闘技用のグローブをはめている。正面には同じく
衣装を着た女の子がいて、わたしは彼女と戦っているのだった。
「ガールズブラッド」は廃校になった校舎を利用して運営されている、
女の子たちを仮装させ、戦わせる店だった。わたしはいつも檻の中にいる
とき、イメージを作る。例えば泥まみれになったわたしは、必死にもがき、
しかし弱ってゆくようなか弱い「まゆ」のイメージを、だ。わたしはわたしが
好きではない。でもお客さんはそんなダメな「まゆ」がいいのだ、と
言ってくれるのだが……。

そういや桜庭さん格闘技好きだったなぁ、確か。「桜庭」って、格闘家の
桜庭さんからとった、とかどこかのエッセイで読んだような……。とか、
ゆらゆら考えながら読んでいた。この本のイメージを挙げるなら、
ギャルゲーである。衣装(もはやコスプレ)を着た女の子が腕に鎖を繋がれ、
檻の中で戦う物語。はぁ……鎖を繋がれ、檻の中で戦う……濃すぎて一般人
には呆然、な内容である。まぁ、それはライトノベルだから、ってことで
おいておくことにして、ここで語られている「格闘」について考えてみるが、
このコスプレをして戦う女の子たちはいろいろな悩みを抱えていて、
でもみんななぜか知らないけど格闘に惹かれて惹かれてしかたないの!
という設定になっているのだけど、格闘に惹かれる魅力ポイントも書かれて
いない。キャラクターがみんな格闘好き前提なのである。なぜ好きなのかも
書かれていない。わたしは格闘技がどちらかと言えば嫌いである。特に
プロレスとか、K-1とか、ボクシングとかよくわからない。だから、そもそも
格闘技自体に疑問のようなものを持っているので、好意的ではないというか……。
そう言う人を引き込むような要素はなかったように思う。あ、だから
格闘技っていいんだ!っていう取っ掛かりみたいなのを教えてくれる本
だったら、ぐぐっときたかもしれないのに、と残念だった。こんなに
格闘技の本なのに。読んでいくうち、コスプレをし戦う女の子たちは、
普通の女の子(男の子もいるが)なんだ、というのがわかってきて、
最初は異様に映った、衣装、鎖、檻、格闘、ライトノベルの軽さ、
というなんともちぐはぐなテーマがいい感じに見えてくる。まさに桜庭さん
自分のいいところの見せ場わかってますね、って。ごてごてした
仮装から、「ぬっ」と人間味がすり出てくるあの感じ。それを感じた時、
そうか、あのお台場のビックサイトとかでコスプレをしている子たちって
こんななのかしら、と気持ちの一部が分かったような気分になった。
ある意味、本物になりきれない、「偽」みたいな感情もあるのかもしれない、とか。

★★★☆☆*85

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 東京は六本木の廃校になった小学校で夜な夜な開催されるキャットファイト。格闘技で心の隙間を埋めている女たちを描いた「赤×ピンク」(桜庭一樹:角川書店)。この作品は、GOSIC ... [続きを読む]

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