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2010年12月 3日 (金)

「有限と微小のパン」 森博嗣

有限と微小のパン (講談社ノベルス) 有限と微小のパン (講談社ノベルス)

著者:森 博嗣
販売元:講談社
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a flood of circleのツアーを観にうっかり遠出したのですが、そのホテルで
ずっと読んでいた本でした。S&Mシリーズ最終巻であると同時に、
人を殴りたくなるこの分厚さ(冗談です)。なんだかもったいなくて
ずっと読めずにいましたが、満を持して読みました。もう森味の虜。

日本最大級のソフトメーカー「ナノクラフト」のテーマパークに
やってきた萌絵と友人たち。この旅行はゼミ合宿も兼ねており、
後日犀川のゼミ生たちが合流する予定であった。それと萌絵には、
もう一つの予定があった。実はこの「ナノクラフト」の社長・塙は、
萌絵の昔の婚約者であり、面会を求められていたのだ。現在、婚約は
解消されているとは言え、両親の義理もあり、顔を合わせることにした。
パーク内の協会で塙との面会を果たした萌絵だったが、
その日の夜、殺人事件に巻き込まれる。塙と会ったその協会で
「ナノクラフト」社員の男性が殺されたのだ。一度萌絵が確認した死体が、
何者かに持ち出され消失するなど、男性の死には不可解な点が多い。
さっそく萌絵は推理を始めるが、ふと次に狙われるのは自分だと気づき……。

長すぎる。第一声がこれかよ、という感じだが、本当に長いのである。
講談社ノベルズの新書版で読んだのだが、それですら上下二段、600P……
ほほほ、やってくれるね、森さんって感じだ。内容はどっぷりとS&Mシリーズ。
いつの間にやら萌絵は、「先生大好き」みたいな空気になっており、
ついに、ようやく、この時が、とにこにこ読了したが、二人の仲は
これといって発展せず(森さんに言わせれば、人間発展しないということは
ありえない、とか冷静に言い返されそうだが)なんでやねーん、な終わりで、
笑うしかなかった。と、犀川と萌絵についてもそうだったが、事件の結末も、
なんでやねーん、な感じで、「あぁ心のそこからこの本を絶賛しているのは
熱狂的な森信者に違いない」と思った。はい、わたし、森信者です。
事件は不可解、を通り越し、ありえない、という領域に突入。死体が
あったのに忽然と消え、片腕だけが現場に残されている。この事件だけでも
興味津々になり、どんなトリックが説明されるんだろう、わくわく、
となったが、さらに事件は立て続けにおき、密室殺人、デジタルトリック、
などなどこれでもか、と様々な殺人技法が目白押しだった。
で、肝心のトリックは……。そうですよね、そうですよね、森さんですもん。
よくわかります、ないんですよね、トリックは……。まぁ、この辺は、
是非読んでからご堪能下さい。このトリックと殺人感情の皆無が、
森信者の、森崇拝要因だと思いますので、えぇ。と冗談はさておき。
最終巻を意識してか、雰囲気は第一巻『すべてがFになる』にとてもよく
似せられていた。天才科学者・真賀田四季の登場。その圧倒的な存在に、
萌絵と犀川が動揺し、しかしまた強くなっていく様子が描かれている。
精神を学びに学んでも、人間の脳内感情をコントロールすることはできず、
だけど、何か衝撃的な物事に直面した際、ショックで感情を歪めながらも、
人間は感情を再生し、生きてゆく。あるいは再生などではなく、もう一人の
自分、といった感情が存在しており、それらが入れ替わる事で、それぞれの
特性を生かし、ショックから回避するのではと。と、思考してみても、
所詮目には見えないもので、科学的な整列を好みながらも、そういった
感情には機械はお手上げなのだ、と締めくくられている。
神様、よくわかりませんでした。わたしも、これ終わっていいのか、
よくわかりませんでした笑。世界はよくわからないこと、だらけです。
終わっていいのかわからないと書きましたが、最終巻に相応しい本だと
思います。とても楽しい時間でした。森さん、ありがとうございます。

★★★★☆*87

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