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2010年12月 4日 (土)

「永遠のとなり」 白石一文

永遠のとなり (文春文庫) 永遠のとなり (文春文庫)

著者:白石 一文
販売元:文藝春秋
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どうでもいい話ですが、久しぶりにこれでもかとびしょびしょに濡らして
しまった本でした。豪雨で。定価で買ったのにな……。さておき、本に
申し訳ないことをしました。かわりに、ずっとうちにいてもらうこと
にしましょう。それが本にとって一番の行為だと毎度思いますがどうでしょう。

部下の相談にきちんとのってやればよかった。自殺してしまった部下に
対し後悔の念を抱き続けているうち、いつの間にか鬱病になっていた。
不倫がばれ妻とも離婚した。今は独身の時のように一人アパートに暮らし、
息子の文弥に学費の仕送りをしている。そんな事情で無職になってしまった
ところに幼なじみのあっちゃんと再会した。あっちゃんは、
身寄りがいなかったり、家族から見放されてしまった老人を訪問している。
ヘルパーでもなんでもなかったが、そのような老人を放ってはおけないという
のだ。彼のあとをつき、訪問を続けるうち今度は一人でも訪れてみよう
という気になるのだが……。

白石さん2冊?目。詰め込みすぎ。『僕のなかの壊れていない部分』も、
ずいぶんぐちゃぐちゃしていたけど、上手い具合にまとまって、
最後にはずっしりとした読後感が残っていた。しかしこの本はぐちゃっと
したままの感情が残ってしまい、で、何が言いたかったんだっけ、
という感じである。部下の自殺、鬱病、不倫、不倫の片棒担ぎ、息子のこと
老人の死にゆく姿、癌、お金がない、やっぱり幼なじみと一緒がいい。
言いたいのはどれですか、と。タイトルである「永遠のとなり」とは、
やっぱり幼なじみと一緒がいい、という意味のタイトルだが、内容は、
どちらかと言うと、不倫劇に巻き込まれた治りかけの鬱病患者、というところ。
作中でだんだんよくなってゆく、という描写はなく、最初と最後を比べても
これと言って鬱病についての変化がない。(重点はそこでないのか?)
ある意味、いろんなことがごちゃごちゃしてしまっているから、鬱病に
なるわけで、そのぐちゃぐちゃ感がいいのかもしれないが、
どうも結末に向かうにつれて解決に向かうのがあっちゃんの不倫、
だけなので、首を傾げるばかりだった。それでもやっぱり一緒がいい、
と思えるほどに友情の厚さも書かれていなかった気がするし……。
もうちょっと過去の思い出話とか盛り込まれていたらよかったのに。
白石さん読みやすいけど、これでもかとテーマを入れてくるのが難点。
もっとシンプルに書いたら、「お!」と思うと思うのだけど。
と、逆に言えば、その詰め込みすぎな雰囲気が味でもあるから、
混沌の中、見事にするする琴線に誘導する、という作品も期待したい。
とりあえずこれはわたしの中でいまいち。次の本に期待。

★★★☆☆*82

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コメント

お久しぶりです。
昨日、お見かけしたのですが、声をかけられず…orz
すみませんでした。
一色君、早く良くなってほしいですね。。祈るばかりです。

最近綿矢りさの勝手にふるえてろを読みました。
この人の作品、るいさんは好みじゃないかな?
まぁ腑に落ちない点もあるんですが、私は割と好きです。
原田さんの実話に基づいた最新作も気になります。

ちょっと経ってしまったけど、映画の感想なんかもきいてみたいなーと思います^^ぜひ。

投稿: しおん | 2010年12月11日 (土) 21:27

しおんさん

こんにちわ、毎度コメントが遅くなってすみません。。
わたしも一回お見かけしました!声掛けようと思っていたのですが、
別件でごたごたしていて、いつの間にか帰路に……orz
すみません、、次回は是非とも。
東京にお越しの際は是非お声掛け下さい~ライブなくてもご飯でも食べましょう!

いやはや一色さんの件はびっくりしましたね。
悲しむとかどうしようとかいう前のびっくりが大きすぎておろおろしました。
きっと一色さんはケロリとした顔で戻ってきますよ。
そう祈っておきましょう。

綿矢さん文体とか好きなんですけど、
なんか「こじつけなラスト」のイメージが強くて……(偏見)
たぶんしおんさんの「腑に落ちない点」と同じポイントかも?
久々の新刊ですし『勝手にふるえてろ』読んでみようかなぁ。
予約しておきます。

映画観たのに書いてないですね……。
ちょっと去年のは「もういいか~」とか思っていたんですが(笑)
時間があったら遡っておきます。
今年は洩らさず感想を書こうと。本も映画も。

何かありましたらぜひお薦め下さい~。

投稿: るい | 2011年1月 4日 (火) 21:00

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