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2010年4月

2010年4月27日 (火)

「ななつのこ」 加納朋子

ななつのこ (創元推理文庫) ななつのこ (創元推理文庫)

著者:加納 朋子
販売元:東京創元社
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初、加納さん。かなり昔に誰かにお薦めされたのですが、すっかり
読むのを忘れていました。すみません、誰か。ちゃんと読みました。
面白かったです。雰囲気は北村薫。(最近北村似多くないか?)
もしくは米澤穂信の毒気とミステリ要素を抜いたような感じかな。

「六 白いタンポポ」
私はふみさんの誘いを受け『低学年を対象とする、サマーキャンプ』
にボランティアの指導役として参加することになった。
小学校に入学したての子どもたちに、早く集団生活に慣れてもらうため
の試みである。食事の準備の時間になり、グループの中に女の子が一人
足りないことに気づいた私は、心当たりのあるウサギ小屋へと向かった。
真雪ちゃんは人見知りをするたちなのか、他の子どもたちと混ざろうと
しない。担任の先生によると、花の色塗りをする授業で、
タンポポを白い色に塗ったと言う話であった。情緒が欠落しているの
ではないだろうか。そんな中真雪ちゃんを任された私は、
何とか仲良くなろうと、『ななつのこ』という本の話をするのだが……。

主人公は女子大生だが、雰囲気はかなり優しいほわほわした
感じで進んでゆく。物語の中に出てくる『ななつのこ』という本も、
児童向けの本であるし、主人公を高校生くらいにして、読む層を
下げた方がいいのではないか、と思えた本だった。一応ミステリ、
と言うことになっているが、書かれているのは日常のなぞなぞ程度。
しかも解決してくれるのは、文通相手である。物語の中では、
「主人公が『ななつのこ』を読む」→「『ななつのこ』に関連した
事件の発生、内容を思い出す」→「謎を抱えて『ななつのこ』の作者
に手紙を出す」→「作者から手紙の返事がきて、問題解決」という
パターンを繰り返している。確かに面白いし、なぞなぞが解けたときの
なるほど!と思う感じも絶妙である。けれども、謎が発生し、
本を思い出し、手紙を書いて、謎解決、という回りくどい感じが、
少しの読みづらさを上長しているようにも思えた。
しかし、その複雑さをしのぐ形で、子どもでいて、子どもでない、
大人になりかけの少女の姿が自然に描かれており、とてもいい印象。
「白いタンポポ」では、少女と別れる際に、なぜか涙が流れそうになる、
その様子が、手に取るように分かり、共感を得ることができた。
読み始め「作者=私」なのではないか、という感じがするのが
少しいただけなかったけれど、読み進めると、どうやら違うらしい、
と分かる。これがデビュー作か、と思うと、単純に凄いと思う。
ちょっと詰め込み、な感じが処女作っぽいけれど、表現力と、
キャラクターの個性や表情を描く力は抜群である。他も読んでみよう。
ただ北村薫似、とか、誰かに「似ている」と分類されてしまうのが残念。

★★★★☆*88

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2010年4月26日 (月)

「板尾日記」 板尾創路

板尾日記 板尾日記

著者:板尾 創路
販売元:リトルモア
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友人が半ば強引に貸してくれました。誓ってもいいですが、
自分から選ぶことは絶対にない本だったので、重い腰ながらも
どんなものやらとても好奇心が湧きました。だってお薦めらしいんです
もの。最初に言うと、わたしは人の日記やエッセイを読むのが嫌いです。

(Amazonより)
「人の日記を読んだりするのは最低やと思います。」板尾創路
可笑しくて、優しくて、心ざわめく365日。
板尾創路が1日も欠かす事なく
大学ノートに綴った日記を完全初公開。

はて、板尾創路。実のところ名前を聞いて顔をすぐに思い出せなかった。
もちろん見れば「あぁあの人ね」と分かったし、板尾さんが出ている
映画やテレビを何度となく観たことがあった。けれども、わたしに
とっての板尾さんの存在は、やはり「あぁあの人ね」と、それくらいの
重量でしかなく、だから、まるで知らない人の日記を盗み読んでいる、
そんな妙な気分になったのだった。テレビに出ているのだから、
どんな顔かも、どんな声かも知っている。そうして
どんな仕事をしているのかも知っているつもりであったが、読んで
感じたのは、わたしが思っていた板尾さんではなかった、ということだ。
一日数行。来る日も来る日も打ち合わせと撮影に明け暮れ、
月に一度は名古屋へ足を運ぶ。一般的なサラリーマンに比べたら、
撮影毎にテーマが変化し動いている分、分かりづらい気もするが、
しかしそこにあったのは、同じ物事がルーティンで繰り返されるだけの
単調な毎日だった。短い文章から漂ってくる、そこにひとりの人間が
生きている、という濃密な空気。似たような、同じような、
日を過ごしながら、その日その日、それぞれの事柄に悩んでいる。
確かに何かを作り出してはいるが、けれどその作り出すことさえも、
作業の一部のように思え、人間の営みなどこんなものかと愕然とした、
というのが一番の感想だった。芸能人は、人びとが羨望し
一番輝かしく思う人たちではないだろうか。そんな人たちの生活もまた
他の誰かと変わらない単調な生活のうえで成り立っている。悩みだって
人間くさく、また振り返れば馬鹿らしくもあり、けれどそのときは
いたって真剣で、そうして乗り越える小さなハードルこそが、
成長、もしくは経年の証であるように、改めて確認することができた。
この本で一番好きなところは、後半、ステージの上で地震に見舞われる
ところである。「どうせなら一緒に笑って死のう」というようなことを
板尾さんは言う。繰り返されてきた毎日が、途切れるその瞬間を覚悟し、
なんだかハッとした一行だった。自分の意思ではなく、人生が
終わってしまうかもしれないなどど、人間は常には考えていない。
そうした一瞬に何を考えるのか、それがある意味人間の本意だとも思う。
わたしは日記をつけるのが苦手で、いつも途中で挫折する。
読み返すのもあまり好きではない。けれど、例えば感情を書きとめない
にしろ、日々の生活を留めておくことは、いい事のように思う。
「記憶に残らなさそうな一日だった」と何箇所か出てくるが、
わたしの日常はそんな日であふれている気がして、そんな忘れられた
ひたちを、少しだけ、読み直してみたい気分になった。

★★★★☆*86

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2010年4月24日 (土)

「顔のない敵」 石持浅海

顔のない敵 (光文社文庫) 顔のない敵 (光文社文庫)

著者:石持 浅海
販売元:光文社
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石持さんは本格推理小説を目指していた!、と確認できた本。
作家デビュー後初の作品(これは単品)を含む連続短編集。もっと
昔の本なのかと思ったら、掲載年は『扉は閉ざされたまま』よりも後
だった。少し意外である。しかし、いいか、悪いか、と言われると……。

「銃声でなく、音楽を」
地雷除去NGOである坂田とサイモンは、活動を続けるため寄付金を
つのっていた。今回は音響メーカーである、マーチン&ノーラン社に
足を運び、最終的な契約の取り決めを行う予定である。
マーチン&ノーラン社についた二人は、社長秘書の女性につれられ、
上階のプレゼンテーションルームへと案内された。エレベーターを降り、
ひっそりとした長い廊下を進む。しかし三人が廊下の中腹へきたとき、
その静寂は破られた。小さな破裂音……銃声が聞こえたのである。
突然の事態に三人は走り出す。プレゼンテーションルームの戸を叩くと、
中には社長がおり、そして足元に男の死体があった。拳銃は死体から
離れたところにあり、撃ったのは社長ではないようだ。なぜ来客時に
銃撃事件が起こることになったのか? 坂田とサイモンは推理を始める。

「え、これが石持さん?」と声をあげたくなった。今まで読んできた
本とだいぶ作風が違うからである。それにしても地雷除去をテーマに
したこの本は、堅く、それでいてミステリに富んだいい作品だった。
書くからにはきちんと調べなくては、と思う方なんでしょう、
かなり緻密な事柄にも知識が及んでいて、まさか作品を書くために
学んだと思えないような深い心情理解と解説で、圧巻だった。
趣味だったらこう熱心になれるでしょうけれども、単に「興味をもった」
くらいで、ここまで突き詰められるのは凄いなと思う。
思い返してみれば、『セリヌンティウスの舟』のときも、
スキューバダイビングについてかなり詳しく語っていたなぁ、と。
(まぁ感想はかなり毒を吐いてますので、面白いかは別の話で)
と、そのような熱心な知識習得の賜物という感じで、登場人物の、
心情が実にわかりやすく、そうしてもっともらしい(いい意味)感じ
に描かれているため、感慨深く読むことができた。地雷により家族や
自身の手足を失った悲しみ。それは心の傷となって、決して消えること
はない。人を失うことは、人を殺してしまうほどの憎悪を生み、
しかし地雷は生産者を特定できないために、その怒りの矛先を
もつことすらできない。この現状をどうにかしなくては……。
そのような突き動かされる意志、悲しみ、そして悲しみから生まれた謎、
これらがとてもいいコンビネーションだった。しかし、一つ残念だった
のは、キャラクターに色がないことだった。個性がないというか。
書いている本人の中では個性があるのだろうが、読んでいるこちらには
それが伝わらず、名前だけが一人歩きし、人物と一致しない。だが、
あんまりキャラクターを押しすぎても、『扉は閉ざされたまま』の
ようになるだろうし、なんというか、「ほどほど」が欲しい感じだった。
この堅い感じ、好きなんだけどなぁ、惜しい。
最後に載っているデビュー作は、石持色で、とてもいい。あとがきも
とても読みやすく、石持さんの真面目そうな人柄が窺えてよかった。

★★★★☆*87

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2010年4月23日 (金)

4/23FoZZtone@赤坂BLITZ『Lodestone Tour Final』

4/23FoZZtone@赤坂BLITZ『Lodestone Tour Final』

■セットリスト

 MorroW
 黒点
 BRUTUS(Et tu, Brute!)
 SCHOOL
 春と鉛
 NIRVANA UNIVERSE
 新曲(渋谷の交差点がなんちゃら)
 歌うたいのバラッド(斉藤和義)with 西村晋弥
 ホールケーキ(FoZZtone)with 西村晋弥
 悲しみの果て(エレファントカシマシ)with 佐々木亮介
 プリズム(a flood of circle)with 佐々木亮介
 ひかり
 チワワ
 ワンダーラスト
 平らな世界
 エレベーター
 in the sky
 JUMPING GIRL
 新曲(エネミー)
 音楽
 NAME

EN1

 雨上がりの夜空に(忌野清志郎) with 岩崎彗
 新曲(ロードストーン)

EN2

 茶の花
 The World Is Mine

『チワワ』久しぶりでしたね。
『春と鉛』もすごい久しぶりだったな。2年くらい聴いてないんじゃ……。
どうもありがとうございます。
ギターが、というか、演奏に「久しぶり感」が滲み出てたけど(笑)、
なんだかそんなのどうでもいいくらい嬉しかったです。

そう言えば、注目の白シャツ、
フラッドの佐々木さんがやけに目立っておりました。
まさに「オハヨウゴザイマス!」な感じで、ハンドマイクをした
佐々木さんはフロアに身を乗り出し、一気にフラッド色に。
一瞬「あれ、佐々木ステージだっけ?」
とFoZZがのっとられるシーンがありました。
佐々木さんが立ち去り「あいつすげぇ緊張してやんの、面白れぇ」と
渡會さんが呟き、勝ち誇った顔をしたのが最高に意地悪そうでしたね。

セッションでは、まさかのフラッド『プリズム』初披露。
もの凄く高速プリズムでしたが、さすが竹尾さま、
あの超絶技巧を高速でもものともせず弾いており、感嘆でした。
見直しました。(あたりまえやろうが、と怒られそうですが、)
おまけに石井さんのベースラインをキャノンが弾くという、
かなりのレアさに悶絶。同じ音でもキャノンが弾くとなぜか軽やか。
いいもの観れました、ありがとうございます。
今度はぜひフラッドで。曽根さん期待してますよ(笑)

さて、FoZZにしては異例のライブ本数だった、Lodestone Tour。
お疲れさまです。
泣きそうに声を震わせながら喋る渡會さんを観ながら、
わたしがこれまで観てきたFoZZtoneのライブを思い返していました。
(最近は何だか過去を振り返ることが多いんだけど……。さておき)

実はFoZZtoneを音源で知ったのは、つばきよりも前。
こちらも友人に焼いてもらったCDに入っていたのが
きっかけだったけれど、他のすべてを押さえて、
とても惹きつけられる音楽だったのを覚えています。
確か『蜃気楼』だったと思うんだけどね。
その時『平らな世界』のCDを慌てて買ったな。

ライブを初めて観た長野は、FoZZがトリで、お客さんが15人(!)
くらいしかいなかった。(長野は終電が恐ろしく早いことで有名)
いや、本当にもう笑えるライブでね。
残った15人が本当に楽しそうに腕を振り上げていたな。
わたしの中でちょっと伝説のライブ。

その頃渡會さんは何を思ったのか髪型が黒髪テクノカットで(!)
そしてあのおばあちゃんのハンカチみたいな柄のシャツで、
ブーツイン。今より随分ぽっちゃりしていた。
『茶の花』では、早口歌詞「円周率3.14~」を追いきれずに、
笑いながら「るららら、るららら」歌っていた。
そんでもって間奏では、竹尾さんがコサックダンス(!)
をしながらギターを披露。今では幻のコサックダンスです。

「なんなんだ?、このバンドは……」

が第一感想だったことは、ご本人たちには秘密にしておきます。

渡會さんのMCはいつも堅苦しいと思っていました。
なんだか街頭演説みたいで。なにか大切な事を言おうとすると、
なにを一番言いたかったのかよく分からなくなってしまうから、
いつもよーくよーく考えて、しゃべっていたのだと思う。
少し、格好つけて。
まぁそこが格好ついていないところが、好きなんだけれどさ。
今日のMCは最高だったよ。
つぶやくようにそっと出てくる言葉たちが、
みんなのもとにするりと溶け込んでいった、そんな気がしました。

ファンに支えてくれてありがとうと、言って涙を浮かべる渡會さんを見て、
そんなことを思ったり、思い出したりしました。
本当はもっともっとあるんだけど。
と、言うことは、それだけのフォズの記憶や印象があるわけで、
そのおかげで、わたしたちは楽しい思いをしてきたわけで、
だからさ、こちらこそありがとうと、言いたい。

ありがとうございます。

これからも支えますから、支えてください。
フォズは、がっかりするくらい、希望ばっかり、だからさ。
でしょ?
そこんとこ、期待していますよ。

これからもよろしくお願いします。

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2010年4月22日 (木)

「gift」 古川日出男

gift gift

著者:古川 日出男
販売元:集英社
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古川さんは『ベルカ、吠えないのか?』が直木賞候補になった時に
少し読んで放置しました……。わたしは極力読了派なので、なかなか
波長が合わなくても読み進めるのですが、図書館の期限が迫り
返しました(言い訳)。候補になったの5年前か……早いです。

「アルパカ計画」
ここでちょっとアルパカの話しをしよう。
簡単に言えば、アルパカは南米大陸のラクダである。
かわいいか? けっこうかわいい。ヒツジ好きにはたまらない
生き物だろう。その上、毛質は最高級で、しかも長毛種では、
四十センチにも達して織物には美しい光沢が具わる。だが、生産量は
一頭につき三キロ程度と、ほんのわずかだ。生産の効率をいかに
あげるか? 輸入コストを下げる必要もある。そこで登場するのが、
《アルパカの方舟》である。アルパカは太平洋航路に乗った。
出港から七日間、天候は穏やかで、その   と書いたところで、
玄関の呼び鈴が鳴った。「どちらさんですか?」「あたしよ」
その声には確信が満ちていて、ぼくはすっかりアルパカを忘れ去る。
太平洋に旅立ったアルパカたちよ、おまえらはいま、どこにるんだ?

例えばこの短編集を絵画として妄想し表現してみると、
印象派のキリスト絵、ではないだろうか。大変居心地の悪くなる
本だった。『ベルカ、吠えないのか?』を放置してしまった理由も、
どこかで垣間見たような気もする。古川さんは「神」の存在を
信じているのか(洒落的な要素なのかもしれないが)、いたるところに
「あぁ神よ」的な発言があり、はたまた「妖精」などと言う非現実物も
実存していると押し込めてくる物語が多かった。突飛な転換により
作り出されるラストシーン(ショートショートに近いので、
もはや「オチ」とすら言える)が持ち味で、一瞬「尻切れトンボ」の
ように「虚」を突かれたのちに、「実はこういう心境の変化だったの」、
という感情変化のねじれが、この本の面白みのようだった。
だが、わたしは突然突き放される話があまり好きではないのと、
細部を描きながらも、抽象的な印象を出そうと物語をぶった切っている
ような気がしてしまい、あまり好きになれなかった。
もう少しねじれを浅くすれば万人受けするだろうものを、
ついてこれるものなら、ついてこいよ、とフルねじれを描いているのも
才能を感じると言うよりも、突き放している印象を受けるのだった。
しかし、「ありえない現実がもしも現実になったら」という部分に、
楽しみを見出せる人は、とても楽しい本なのだと思う。
濃い味、サイケな感じが、はまったら、面白いだろう。
わたしは「ありえない現実がもしも現実になったら」が、そもそも
ダメなので、ダメなのだけれど。他も読んでみるかなぁ、うーん。

★★☆☆☆*75

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2010年4月21日 (水)

「レタス・フライ」 森博嗣

レタス・フライ Lettuce Fry (講談社文庫) レタス・フライ Lettuce Fry (講談社文庫)

著者:森 博嗣
販売元:講談社
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巷でボロクソに言われている森博嗣の短編集。ははぁ、こりゃボロクソ
言いたくなりますわ。萌絵に頼るなよ、と嘆きたくなる短編集。
もっと違ったいい味もっているはずなのに、萌絵が大好きすぎて、
他のキャラクターを創造できていない残念さ。しかも難しいし。笑

「皇帝の夢」
丘に向かって幅の広い真っ直ぐな階段が続いている。権力を集めた
皇帝の墓だ。私はその階段を一段ずつ上っていった。
ガイドを申し出てくれた現地の若い女性も一緒である。
私は数日前に見たある夢の話を女性にした。ふわふわと宙に浮いて
いるようで、音はホワイトノイズに満たされている。今まで体験
したことのない感覚だった。夢の最後には、眩しい光を感じ、
目覚める瞬間に耳元である言葉を囁かれたのだった。中国語であった
その言葉は、昔の皇帝の名前であった。
「それは、神さまが知らせようとしたのですね」女性は言う。
階段はまだ続いている。限界に近い。もう一段くらいなら、と片足を
あげる。そうか、これは夢かもしれない。誰かが見ている夢なのだと思う。

この短編集の中で「皇帝の夢」が一番好きだった。炎天下、歩き続け、
意識が朦朧としながらも階段を昇り続ける。その感覚は、夢でも
同じものを味わったことがあるように思え、階段を上っている自分は、
誰かの夢の中の、人物なのではないか、と考える。この人の神秘に
触れるような、絶妙な物語、最高である。とても短いショートショート
なのに「はっ」とするような輝きがある。すごいな、と絶賛しながらも
なんなんだろう、この煮え切らない感じ。「刀之津診療所の怪」とか、
なんなんだよ……幻滅にもほどがあるよ。と嘆いてしまった。
「刀之津診療所の怪」は、なぜか一遍だけ、S&Mシリーズである。
萌絵が登場し、その場を掻っ攫う。面白いのだが、なんとこの話しの
トリックは説明されない。シリーズ読んでれば分かるでしょ、なオチ
である。わかんねーよ、と9.8割くらいの読者が思うことでしょう。
わたしもだ。不親切極まりない。そうして気づいたことだが、
この「刀之津診療所の怪」がこの本において異質に見える理由の一つが、
主人公の「色」である。「刀之津診療所の怪」はいわずもがな、萌絵色。
森さん本当に萌絵大好きだな……と思えるほど楽しそうに描く。
しかし、それ以外の小説においては、主人公にまったくといっていいほど
「色」がないのである。誰でも入れ替わり可能な無機質な「私」。
それはどこか『スカイ・クロラ』のコンセプトに沿っているような気も
するのだが、どこか個性を描くのを放棄しているようにも思う。
無機質な『スカイ・クロラ』は最高に好きだったが、萌絵以外の、
「キャラクタ」を頑張ってほしいような気分にもなる。
とりあえず、引退しないで下さい、と(笑)でもあと7巻でしたっけ?
最後まで楽しみにしています。この本は、シリーズ制覇後をお勧め。

★★☆☆☆*70

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2010年4月20日 (火)

「ZOO 2」 乙一

ZOO〈2〉 (集英社文庫) ZOO〈2〉 (集英社文庫)

著者:乙一
販売元:集英社
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続きまして、乙一。久しぶりに読むと、本当にいい感情を持てる。
好きな作家だ、と言ってその作家ばかり読み続けると、わたしの場合、
絶対に飽きてしまう上に、マンネリを敏感に感じ取ってしまうため
(まぁその部分が個性とも言うが)時おり手に取るのが言いなと思う。

「Closet」
ミキは夫の弟であるリュウジに、部屋に来るようにと言われた。
部屋は散らかっており、片隅に大きなクローゼットが置かれている。
リュウジはミキが予想していた通り、ミキが犯した事故の
話しを持ち出した。ミキはその昔友人と車を運転していたところ、
飛び出してきた中学生の自転車をひっかけて、転ばせてしまった。
そして、あとになりその中学生が亡くなったことがわかったのだった。
弱みを握ったリュウジは、ミキに取り込もうとする。
しかしミキが一度部屋を出、再び戻ってくると、リュウジは
ソファの上で殺されていたのだった。ミキは自分が犯人だと疑われる
ことを恐れて、リュウジの死体をクローゼットの中に隠すのだが……。

乙一はカテゴリ分け不能、と言われているが、限りなくミステリ寄り、
であることは確かである。それ以前に、「狂気」カテゴリ、や、
「猟奇的」カテゴリがあるなら、まず最初にそちらに該当するだろう
けれども。さておき、内容はというと、この「Closet」が『ZOO』
の中では一番ミステリっぽい雰囲気である。最後の犯人がびっくり!系。
特にこの『ZOO』では猟奇的な味を全面に押し出しているけれど、
どちらかというと乙一の本領は、このびっくり!である。
「Closet」はそのびっくり!の中でも、かなり完成度の高い秀作だと思う。
ネタバレをしてしまうと、語り手が犯人形式。デビュー作である
『夏と花火と~』の「死体が主人公形式」を彷彿とさせる、
とんだ設定。頭の堅いミステリ畑の方々には非難轟々そうだが、
間違いなく新しい領域に踏み込んでいる、という感覚を得られる。
しかし、ミステリとなると、このスカスカした感じ(ライトノベル
だから、仕方ないのだが)あともうちょっと、と感じてしまうあたりが、
惜しい感じもするし、書き込みすぎるとライトノベルではなくなるし、
という中間地点にいるため、ミステリ好きとしては絶賛までに至らない。
だが新領域開拓には、伊坂幸太郎と並んで、成功した作家だと思う。
収められている他の作品は、『ZOO 1』と同じく、笑顔で狂気、満載。
「血液を探せ!」とか、本当に笑ってしまう。けれども、ふと我に
返り、笑ったその内容を冷静に見てみると、とても残酷なのである。
血を流し今にも死にそうな人を前に、指をさして大笑いする、この感覚。
笑いと残酷さ、それから悲しみと狂気のミスマッチの威力には、
いつも脱帽である。とりあえず「ライトノベルなんでしょ?」とか
ぶつぶつ言っていないで、一度は読んでみる価値のある本である。

★★★★☆*87

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2010年4月19日 (月)

「ピンク・バス」 角田光代

ピンク・バス (角川文庫) ピンク・バス (角川文庫)

著者:角田 光代
販売元:角川書店
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久しぶりに角田さん読みました。最近図書館に行く気力がなくて、
家に積読(未読)していた購入済みの本たちを掘り返し中。古本で
大量に購入した中にこの本はあったのですが、最初の数ページで
嫌な予感がし、放置されていました。なぜか。初期本だからです。

「昨夜はたくさん夢を見た」
二十年間生きているうちに十人の人が死んだ。水泳大会や、
競技大会よりも、私は葬式が得意行事かもしれなかった。
人が死んでも、そうか、そういうものなのか、と納得すらしている。
ある日「死の体験ツアー」なるものに参加したらしいイタガキは、
少し様子がおかしかった。ふらふらしていたかと思うと、
突然インドへ行くと言い出し用意を始める。出発は一週間後と言い、
本当にインドへと旅立ってしまった。周りの友人から、
イタガキがいなくなって寂しいでしょう? というようなことを
聞かれたけれど、私は自分がどう思っているのかよくわからない。
イタガキとは、もう会えないかもしれない。そう考え、
ふと、イタガキに笑顔で手を振った自分が、亡くなった人を送る自分に
重なり、まるで死人を笑顔で見送っているような気分になるのだった。

あとがきで石川さんが角田さんの「疲労感」なるものを力説しているが、
まったくなるほど、角田さんは大変疲労感があると思う。疲労感と
いうのは(石川さんの言葉になるが)単なる「疲労」というわけでは
なく、ある物事を説明する際に使用する文章の単語が、大変なげやり
である様子、のことである。角田さんは現在の作品でもそうだが、
大変擬音が多く、やはり投げやりな描き方をする。着飾ったような
修飾語は使わず、終始ジーパンとTシャツで会話を続けているような、
気だるい感じなのだ。それが文章中に滲み出ている。主人公は
まるで溌剌としていながらも、その文章を通して語られる感情は、
どこかフィルターがかったような感じで、生き生き、とは違う、人間の
感情の生々しさのようなもの、を感じるのだ。ごく当たり前の語彙で
語られるそれは川上さんの「空気感」のような「角田味」があり、
読む人を惹きつける。しかし、この本は、上にも書いたように、
初期の本である。表題作の「ピンク・バス」はまだ荒削りすぎて、
何を書きたいか明確でなく、それでもってぐだぐだと続く
(そこが角田味でもある)ので、中だるみもいいところだった。
ぐだぐだすぎて読むのがしんどかった、というのが正直な感想だが、
けれど読み終わって、今感想を書く段になると、言いたかった事が、
何やらよく分かるのである。不思議なものだ。なんというか、
一つのことを達成するための一割と、残りの九割のぐだぐだ、そんな
雰囲気にあふれているのだが、読後はなぜかその一割のことが、
はっきりと頭に残っている。してやられた感が残る感じだった。
「昨夜はたくさん夢を見た」は逆に単刀直入。言いたいことは、たぶん
「まるで死人を笑顔で見送っているような気分になる」という部分で、
わかりきっていることだけど、なるほど、と再確認させられ、いい。
雰囲気が、どこか津村記久子の小説のようでもある。
でも、ぐだぐだで挫折する人が多そうなので、素直にお薦めできない。

★★☆☆☆*75

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2010年4月18日 (日)

「ZOO 1」 乙一

ZOO〈1〉 (集英社文庫) ZOO〈1〉 (集英社文庫)

著者:乙一
販売元:集英社
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なんかだ今さら感満載なんですが、この本の感想を書いていません
でした。なんてことでしょう。『ZOO 1』と『ZOO 2』は、その昔
わたしが初めて読んだ乙一作品です。その衝撃と言ったらありません。
買った本屋(某くまざわ書店)の陳列状況すら覚えているくらいです。

「カザリとヨーコ」
ママがわたしを殺すとしたらどのような方法で殺すだろうか。
たとえばいつものように頭を殴ったり、首をしめるのだろうか。
いや、それよりも自殺に見せかけるためマンションから突き落とす
のかもしれない。きっとそうに違いない。わたしとカザリは
一卵性双生児だったが、幼いころから、ママはカザリだけを可愛がった。
わたしはいつもカザリの食べ残しのごはんをもらい生き延びてきたし、
眠る場所はキッチンのゴミ箱の隣に置かれた、座布団の上だった。
ある日事件が起きた。カザリがママの大事なノートパソコンを
壊してしまったのだ。それを目撃したわたしは、カザリを口説き、
怒られる前に服装を交換て入れ替わろうと提案するのだが……。

狂っている。それが、一番初めこの本を手にした時に走った衝撃だった。
この本は短編集だが、一話目にくるのはこの「カザリとヨーコ」だ。
本を開き、一行目に目に入る文章が、
「ママがわたしを殺すとしたらどのような方法で殺すだろうか。」
キャッチーにも程があると思う、狂った吸引力。物語は進み、
母親にいじめ抜かれている主人公は、さらに救いようがない
残忍さで痛めつけられ始める。読んでいるこちらは顔をしかめ、
気分が悪くなるほどだ。しかし、主人公は至ってポジティブ。
馬鹿なんじゃないか、と思えるほど打たれ強く、何をしても笑うんじゃ
ないか、と思える恐ろしさ。楽しげに進んでゆく描写の合間に、
狂気と狂喜が入り乱れているような、それでいて読者に冷静な残虐さを
迫ってくる恐ろしさを感じた。おまけにその次はバラバラ死体が流れる
監禁部屋に閉じ込められる「SEVEN ROOMS」。もう残酷さを超えている。
しかし、乙一の恐ろしさは、この部分ではない。この本の中には
「陽だまりの詩」や「SO-far」という話が入っているのだが、
これらは驚くほど優しい物語である。人造人間が人間の心を得てしまい、
悲しみを嘆く、という儚さ。あるいは、両親が見えなくなってしまう、
少年の優しい感情が描かれている。穏やかで優しげな時間の流れる
この物語は、とても心に響く。だが、そこでふとあの残酷さを思い出す
のだ。そう、あの極められた残酷さは、ここから来ているのである。
だって、人の優しい部分や、悲しい部分、傷ついたら痛い部分を、
すべて知っている、だから、まるで人をナイフで一突きし殺すよりも、
指先から徐々に切断して殺す方が残忍だと見せつけるような、
歪んだ思考を作ることが出来るのである。乙一はなぜこのような
残忍な話を描くのか? それは人が日常で、考えないよう考えないよう
過ごしている思考だから。ヒトラーはどうして人を殺したのか?
そのような衝撃的な事実も、この本を読むと少し理解できる気がする。
ライトノベルで味わえるこの上ない極上の残忍さだと思う。
それが「楽しいか」、というのは、また別の話だけど。

★★★★☆*88

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2010年4月17日 (土)

「シンデレラ・ティース」 坂木司

シンデレラ・ティース (光文社文庫) シンデレラ・ティース (光文社文庫)

著者:坂木 司
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


坂木さんお初。いや、前に『ワーキング・ホリデー』を読んだ記憶が
あるような気がするんですが(とても曖昧)、よく覚えていないので、
読んでいないことにします。今回は女子大生が主人公。本当に男性作家
ですか、と疑う文筆。北村薫を初めて読んだときの衝撃に似ています。

夏休み、楽しいアルバイトをしようと計画していたのに、
ママの作戦にまんまとはまった私は、大嫌いな歯医者の受付で
仕事をすることになってしまった。きゅいーんっていうあの音、
それからガガガガっていうあの音。それを聞いただけで、
固まってしまうくらい大嫌い。けれど、ここの歯医者には伯父さんも
いるし、黙って逃げ出すわけには行かなかった。最初は怯えながらの
接客だったものの、つづけるうちもっと大事なことに気づいた。
歯医者にくるお客さんの本当の気持ちである。来るなり不機嫌な
様子で受付から一番遠い席に座る男性。不機嫌なのにはどうやら
理由があるようなのだが……。

この女の子特有の、甘ったるい口調。これを女性作家が書いていたら、
きっとわたしは読むのを止めていただろう。けれども坂木さんは男性、
である。この本を薦めてくれた方曰く、この本が初めての女性主人公、
なのだそうだが、もう何ていうか、感嘆、としかいいようがない、
「女の子」がそこにいたのだった。裏を返せば、「裏のない女の子像」
(男性の理想というかキャラクター的というか)と、言えなくもないが
それにしても圧巻。女の子の気持ちをどうしてわかるんですか、
な領域で、ストーリーよりもその部分に感心して読んでしまった。
(むしろわたしよりも女の子の気持ちをわかっているような……)
内容はというと、一風変わったサロン型歯医者の受付女性の葛藤
である。歯医者、という怖い場所を、サロンという形式をとること
によって、もっと気軽に利用してもらおうというもの。そのためには、
普通の歯医者の「医者」的な部分を極力取り除き、もっと密接な
人間関係を築く。その工夫や、試行錯誤、もしくは人間の温かさ、
などが描かれている。これはミステリなのか? いや、ミステリでは
ないような気がするのだが、ちょっとしたなぞなぞ程度のミステリが
用意されている。あの男性はなぜ怒っていたのか、という問いに、
ストーリー上のヒントで、解決を導き出す。正直その部分は、
少々強引、というか、物語的、な感じもしなくもなかったのだが、
しかし、全体のこのふんわりとした女性感、他に類を見ない。
その部分を味わうために読むだけでも価値のある本だと思う。
雰囲気は、北村薫、濃い味。心理描写が美しい。

★★★★☆*87

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2010年4月14日 (水)

4/14a flood of circle、THE BACK HORN@渋谷QUATTRO『THE BACK HORN KYO-MEI大会』

201004141841000
4/14a flood of circle、THE BACK HORN@渋谷QUATTRO『THE BACK HORN KYO-MEI大会』

■セットリスト(a flood of circle)

 Forest Walker
 博士の異常な愛情
 噂の火
 シーガル
 Thunderbolt
 泥水のメロディー
 月に吠える
 プシケ
 春の嵐

最近セットリストが覚えられない。
いや、最近に始まったことじゃないかもしれないのだが……。
あぁ、でもほら、聴きすぎっていうのも可能性大ですよ。
とか、言い訳してみる。

ライブは、と言うと。
そもそもこのKYO-MEI大会をQUATTROキャパシティでやる時点で
無理があるんじゃないか、と……。
裏を返せばある意味かなり美味しいライブですが、
案の定チケットはバックホーンの先行で捌けていたようで、
フラッドが発表になった時点で、入手は絶望的でした。

中に入ってみても、かなりのアウェイ感、
でもそこはフラッド、緊張は、しかし勢いと興奮へ換えて青臭く。
はっきりいって演奏は相当めちゃめちゃでしたが、
メンバーがすごく楽しそうで、とても魅力的、なライブでした。
特に佐々木さんがかなりハイテンションでしたね。
MCで下克上発言(!)すら(笑)

バックホーンと見比べたら、格の差が歴然でしたが、
いつしかフラッドもこんなバンドになってくれるだろうか、
とか、ステージを見上げながら思いました。
また強くなったなぁ。これからが楽しみですよ。ホントに。

『噂の火』の前奏で手拍子が起きてました。
そうか、手拍子がつくようなアレなんだ! と衝撃。
せっかくなので、そんなときは石井さんもっと荒れ狂ってください(笑)

※どこかのMC

佐々木さん「今日はバックホーン先輩のツアーに参加させて頂き
どうもありがとうございます。MY WAY MY LOVEさんも昔から大好きで、
今回一緒にやらせていただけてとても嬉しいです。
今日は先輩たちの胸をしっかりお借りして、演奏したいと思います。
僕たちとてもビビりながら来たんですが……先輩たち怖いんでね(笑)
○○さん(バックホーンのどなたか?)が酔っ払っていない姿を
初めて見るっていうね、そういう会でもあります。
(中略、忘れました)
僕たちは11月にアルバムを出したのですが、その時に
バックホーンの栄純さんにもお手伝いいただいて、お世話になりました。
その中から一曲、『月に吠える』という曲を」

『月に吠える』
(中略)

佐々木さん「今日は大先輩たちとライブができて本当に嬉しいです。
でもそれだけで帰るのはなんなので、
これを言ったら怒られそうですが……
下克上の足がかりになるライブになったらいいなと思います(笑)」

佐々木さん「じゃ石井、今日の調子なんかは?
もちろんいいでんしょ、調子」

石井さん「え、それ聞いちゃう? 
俺、こんなに鼻ずるずるだけど? 
いや、調子は鼻ずるずるで絶好調ですよ。絶好調です。
(中略、忘れました)
っていうか俺もうこういう芸人みたいなのやめようと思うんだけど」

佐々木さん「え、お前、芸人だと思ってたの?(笑)
そんなに面白いとか……」

渡辺さん「芸人とかそういうレベルまで達してねーだろ」

石井さん「本当はここで物販の宣伝を俺がするんですが、
今日はしなくていいって言われたんで。
変わりに、ラジオを紹介しろってね。
深夜なんですけどフラッドのラジオが始まったんです。
ナックファイブっていう局なんですが、やってるんでね
よかったら聞いてください。聞いてくださいね、ホントに」

渡辺さん「そこにものまねコーナーがあるんだよな」

石井さん「え、それここで言っちゃう?」

渡辺さん「はい、じゃあいってみようか」

石井さん「ここで(ものまねする人物の)名前
言ってやったら絶対「えー」ってなるよ」

渡辺さん「そうだろうね。じゃあ中尾彬で」

石井さん「えー…
中尾彬?……これは俺のハコ……18番ってやつですよ」

佐々木さん「(笑)」

なぜか曽根さんにアイコンタクトをとる石井さん

曽根さん「(笑)」

ジャガジャガジャガジャガ~、
とマジックショー風にスネアドラムを鳴らす渡辺さん
石井さんにスポットライト
まんざらでない表情で手を上げドラムを止める石井さん

石井さん「【そうなんですが、】」
(言葉違ったかも……衝撃的過ぎて忘れました)

観客「えーーーーーーー!!!」
観客「似てねぇよ」
(※似せる気あんのか?のレベルです)

渡辺さん「まぁそうなりますよね」

石井さん「ごめん、途中で掛布さん入っちゃったよ」

渡辺さん「掛布さん? 掛布さんどころじゃないよ」

佐々木さん「石井、中尾彬に謝った方がいいよ」

石井さん「これからはこんな感じでね」

渡辺さん「次のライブでは別のバージョンがありますので、
ぜひ観に来てください」

佐々木さん「(笑)」

な、フラッドでした。
中尾明に謝った方がいいよ、ホントに……。
っていうか、これからこんな感じなの?(笑)
いいの、そんなフラッドイメージで?(笑)

それにしてもTHE BACK HORNとMY WAY MY LOVEを観に来た、
フラッドを初めて観る人たちに残るフラッドの印象を考えると、
笑えるくらい最高なMCでした。

2バンドともあんなにカチカチなMCだったのに、
してやったり感、まさにある意味下克上かと思いますよ。
佐々木さん、さっそく大成功です。

いやはや、面白かったです。
ありがとう。

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2010年4月11日 (日)

4/10つばき+曽根巧@新宿LOFT『正夢になった夜 ~番外編~』

201004102324000
4/10つばき+曽根巧@新宿LOFT『正夢になった夜 ~番外編~』

■セットリスト(つばき、なんか順番違うかも)

真夜中3時の商店街
GOBUTAMA
飽和状態
赤い扉
君のヒゲ

正直なところ、もっと珍しい曲やってよ、な感じでしたが(笑)
それは終わってみてからの話です。
つばき+曽根さんの演奏が始まったのは、夜中3時過ぎ。眠すぎる。
でも、そうかそうか、真夜中やりたかったから3時にしたのね?、
と気づいたのも、終わってみてからの話です。

4人が出てきて、なぜか3人はしましまペアルック。珍しい。
自分のバンドT着るなんて恥ずかしいって思う周期なんだ、
って言ってたじゃない。それでもお揃いで着てしまうくらい、
今日は楽しみで仕方がなかったんだろう。
一色さんが真ん中に立った時点ですでに違和感。
マイクスタンドがまっすぐだし!
そして右にはどうしようもなく楽しそうににまにま笑う曽根さんが。
そういや曽根さんがいるとなぜか小川さんはいつも楽しそうだったな。
懐かしい。
何か深いことを感じるよりも先に、記憶の中から懐かしさがあふれ出た。

何が始まるのかと思ったら、ギターを掻き鳴らし、
「愛が足りない、愛が足りない!」

思わず笑ってしまう。
真夜中はわたしがつばきで一番好きな曲である。
みんながよくリクエストする「冬の話」でもなく、
定番の「昨日の風」でもなく、「君がいなければ」でもなく、
誰も一番に選ばないだろうこの曲が、わたしは大好きである。
理由は教えない。

わたしは曽根さんがいるときに真夜中を聴いたことがなかった。
始まった聴きなれたその音楽は、
笑ってしまうくらい音に厚みがあって、
あぁこれが人ひとりぶんの温かさか、と思った。
曽根さんがいるといつも楽しそうで、
あのとき時おり3人でやる笑わないぼろぼろの演奏と比べると、
嫌でもその存在感を感じたな、と思い出した。

いろんなことが頭を過ぎりすぎて、
キラキラと光るステージは、幻みたいに見えた。
真夜中の3時で猛烈に眠かったし(笑)

一色さんと曽根さんがひそひそ目配せ。
演奏中4人は本当に楽しそうで、
にたにたにたにた笑って、気持ちが悪いくらいだった。
きっとそこから懐かしい顔がたくさん見えたんでしょ?
曽根さんを始め、あの頃やその頃の懐かしい人たちが。
よかったね。

『真夜中3時の商店街』の「愛してる」を言う部分で演奏が止まったとき、
小川さんではなく曽根さんが言うことになり……

一色さん「それじゃあ巧くん、どうぞ」

お客さん「たくみくーんー」

お客さん「小川さーん」

曽根さん「おい、巧くんゆうてるやろうが!」

一色さん「なおちゃんは?」

岡本さん「愛してるー!!」

小川さん「愛してる!」

一色さん「はい、曽根さん」

曽根さんは「愛してるー!」

一色さん「おーーーぅ、みんな愛してるぜー今日は本当にありがとう!」

(中略)

一色さん「いやぁー久しぶりに一緒にやると楽しいね、曽根さん(笑)」

曽根さん「ほんまやなぁ(笑)」

一色さん「ほんじゃ、もう一曲いっちゃいますか」

ハイテンション!

おめでとう、そして、これからもよろしく。
また曽根さん誘ってライブやってください。
今度はぜひ3人では難しい曲を(笑)

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2010年4月10日 (土)

4/10つばき、メレンゲ@新宿LOFT『正夢になった夜 vol.4』

201004101657000
4/10つばき、メレンゲ@新宿LOFT『正夢になった夜 vol.4』

■セットリスト(つばき、なんか順番違うかも)

 風向き
 春の嵐
 脱ぎ捨てて
 ループ
 冬の話
 カーテン
 花が揺れる
 太陽
 銀河列車
 最低な気分、雨に打たれて
 亡霊ダンス
 昨日の風

END
 
 光~hikari~

今日は本当にいい笑顔で笑っていたなぁ、幸せそうで。
心のどこかに何かしら悩みはあるだろうけど、
あの瞬間だけは、心から笑っていたんじゃないだろうか。
そう初めて思えたつばきのライブだった。

ふと思い出す光景がたくさんある。
当たり前だよな、こんなにたくさん観ているんだもの。
だけど、楽しかった記憶と同じ、いや、それ以上に、
「楽しい」ではない感想をもったライブがたくさんあった。

例えば、お客さんがとても少ない京都MUSEとか、福岡DRUM Be-1とか。
哀しみがいっぱいに満ちていて、目も合わせられなかった大分T.O.P.Sとか。
わたしはいつもフロアからステージを見上げて、
ただただその姿を目に焼きつけることしかできなかった。

ここにいない方がいいんじゃないだろうか、とそのたびに思って、
でも行くのをやめることが出来なかった。

だけど行き続けていたことを後悔したことはない。
今日このライブを観て、それが間違いではなかったことをあらためて感じた。
だって、あんなに幸せそうに歌っているんだもの。
あんな顔見たことないよ? そう思うくらい、あふれる笑顔で、
ふきだすのを堪えているような柔和な笑顔で、にこにこ笑っていた。
わたしはその笑顔を見るために、ここまで追い続けてきた気がするよ。

わたしたちは「ファン」だから、よかったね、ってそれしかいえない。
でも一つだけ、胸をはれることがある。
それは誰よりも、例えばどんなに仲のいいバンドの友だちよりも、
わたしたちは、つばきを観てきたということだ。
ほら、あんなにがんばったじゃん、って。
泣きそうになりながら、必死に歌ってたじゃん、って。
わたしたちはだから、そのライブたちをもらさずに、保証してあげるよ。

そう、偉そうなことを言ってみる。
10周年だから、許してください。

来年も楽しみにしています。
期待してますから、また、お腹が痛くなるくらい笑わせてください。

※MCは思い出したら書きます(笑)

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2010年4月 9日 (金)

4/9a flood of circle、THE NOVEMBERS@水戸LIGHT HOUSE

201004092324000
4/9a flood of circle、THE NOVEMBERS@水戸LIGHT HOUSE

■セットリスト(a flood of circle)

 Forest Walker
 博士の異常な愛情
 エレクトリックストーン
 春の嵐
 月に吠える
 Buffalo Dance
 泥水のメロディー
 プシケ

曽根さんのギターがだいぶ馴染んできました。
途中でお得意のギター回しを披露していたようです。
わたしは見逃しました……。
そのうち背中弾きも見せてくれるでしょう(友人談)

ライトハウスは天井が高いので、音が響いて気持ちがよい。
佐々木さんの伸びのある声が会場を包むように広がって、よかったです。
月に吠えるでは、バックスクリーンに巨大な月の絵が。
いい感じでした。

何だかほっとして、MC忘れてしまいました(笑)
石井さんが「ホントに~」「ホントに~」って何回も言ってました。
キレキャラの次は、なよなよ系か……?
MCの面白みについてぜひ曽根さんと語ってくださいませ。

いいライブでした。
楽しかったよ。
ありがとうございます。

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2010年4月 8日 (木)

4/8a flood of circle、STAn、mudy on the 昨晩@横浜CLUB LIZARD

201004081930000
4/8a flood of circle、STAn、mudy on the 昨晩@横浜CLUB LIZARD

■セットリスト(a flood of circle)

 Forest Walker
 博士の異常な愛情
 エレクトリックストーン
 春の嵐
 月に吠える
 Buffalo Dance
 泥水のメロディー
 プシケ

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2010年4月 4日 (日)

4/4a flood of circleUNISON SQUARE GARDEN@大分T.O.P.S

201004041817000
4/4a flood of circleUNISON SQUARE GARDEN@大分T.O.P.S

■セットリスト

 博士の異常な愛情
 PARADOX
 エレクトリックストーン
 アンドロメダ
 月に吠える
 Buffalo Dance
 泥水のメロディー
 プシケ
 春の嵐

観に来ていた知ってる子の大体が「今日は楽しかったね!」
と言っていました。もちろんわたしも楽しかったのですが。
何を見落としたんだろう。

※どこかのMC
佐々木さん「前回大分に来たときは、実は大遅刻をしまして、
その時は周りの方にたくさん迷惑をかけたんです。、
今回は遅れませんでしたので、よろしくお願いします。
遅刻をするって言うのは悪いことですね……
じゃあ石井、今まででした一番悪い事教えてよ」

石井さん「えーー悪い事?そんなの……
えーー悪い事……教えられないよ、そしたら俺、捕まっちゃうもん」

佐々木さん「捕まっちゃうの? お前そんなに悪い事したんだ(笑)?
じゃあ悪い事三番目でもいいからさ、今までした三番目に悪い事」

石井さん「三番目ねぇ……あぁ、信号無視!」

佐々木さん「あぁ、それ悪いねぇ」

石井さん「だからね、1番目と2番目は、やばいよ。俺、マジ捕まっちゃうから」

佐々木さん「そんな悪いア、フラッドオブサークルですが、
今日は竹内電気のツアーに呼んでいただきました、ありがとうございます。
(中略・忘れました)
さっき物販を見ていてビックリしたんですが、周りの物販が色鮮やかで(笑)
俺たちは地味なんですが……真っ黒で……あ、真っ黒ですが怖くないですよ
そんな俺たちもですね、今回新しいTシャツを作って来ました。
春限定ってことでね」

石井さん「そうなんですよ、ピンクのTシャツなんですが、
ピンクに紫色の文字で、他にあんまりない限定なTシャツで、
限定なんですが、……あ、俺今『限定』って2回言ったね。
これがどれだけ限定かっていうのをねアピールしようと思って。
限定で90枚で、いい感じに売れているみたいです。
だから見かけたら、是非買ってください。
これすごく春っぽくてですね……」

渡辺さん「うふふふ」

石井さん「っていうか、そこで『うふふふ』とかいう声いらないから」

渡辺さん「だって石井が……」

石井さん「で、これ、俺もよく着るんですけどね」

渡辺さん「石井が着てんの見たことねぇよ」

石井さん「えー嘘ぉ」

曽根さん「お前、ぜんぜんだめやな」

佐々木さん「突然……。
あ、サポートギターの曽根さんです。少し前から手伝って
いただいているんですが、どんどん石井にきつくなってくていうね(笑)
いやあ、嬉しいですね。それにしても、初めてMCでしゃべった一言目が、
『お前、ぜんぜんだめやな』(笑)さすがです」

曽根さん「だって確認の作業してる時も、ここでこうなって、こうなって、
ここでわっと盛り上がって、とか「ここですごく盛り上がる」みたいな事
自分でゆうてたくせに、ぜんぜん、やん。なんなん? 
どこが盛り上がってんねん」

佐々木さん「(笑)こうやって曽根さんは石井をいじってくれて」

曽根さん「お前、いうてたやん」

佐々木さんと曽根さん引き気味で石井さんを観察。

石井さん「えええーちょっと……亮介、助けてよ……」

渡辺さん「いや、これが、石井の完成形なんすよ」

佐々木さん「(笑)あぁ、面白い……。でもこのまま続けてくと、
マネージャーの顔がどんどん険しくなってく、っていうね」

渡辺さん「そうそう、帰りの車の中ですればいい話だな」

石井さん「知ってる、それ俺がどんどん涙目になっていくやつでしょ?」

渡辺さん「そうそう」

石井さん「あーー……俺、今日も涙で枕濡らすのかぁ……」

佐々木さん「石井は枕を濡らすそうですが、
俺たちは、構いませんので。じゃ、次の曲いきます」

な、フラッドでした。
そうかーこれが完成形かー(笑)

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2010年4月 3日 (土)

4/3a flood of circle、UNISON SQUARE GARDEN@鹿児島SRホール

201004031749000
4/3a flood of circle、UNISON SQUARE GARDEN@鹿児島SRホール

■セットリスト

 博士の異常な愛情
 PARADOX
 エレクトリックストーン
 アンドロメダ
 月に吠える
 Buffalo Dance
 泥水のメロディー
 プシケ
 春の嵐

なんか順番違う気もするが、まぁいいか。
ものすごく久しぶりにエレクトリックストーン聴きました。
点火!

それと、曽根さんが入ってから聴く初ライブでした。
実は、曽根さんは元つばきのサポートギターだったので、
よく知っている人物だったりします。

目の前にフラッドがいるのに、なぜか曽根さんが!と、
ちょっと違和感と、新鮮さ(笑)
さすが、忠実なギターで癖のない感じがします。
もう少し慣れたら、いい感じになると思います。
まだ正式2本目ですしね。これから楽しみです。

鹿児島はすごく好きな街で、それだけでテンション上がってました。
ライブも楽しかった。MCも笑いを堪えるので精一杯。

一番は月に吠えるがよかったな。
Aメロで止まりました。わーお。ありがとうございます。
やはり、好きです。

※どこかのMC
佐々木さん「そう言えば、アレ見ましたよ桜島の噴火。
すごいですね本当に見ていたらボンッって噴火して、もくもくとね。
小さい爆発がたくさん起こってました」

石井さん「亮介ダメだよ。地元の人にそんな話してもウケないんだって。
桜島が噴火するなんて普通なんだから、
ほら、東京で東京タワーの話なんてしないじゃん?」

佐々木さん「あぁ……なるほどね」

石井さん「今回物販に新しい桜色のTシャツを持ってきました。
(中略・忘れました)限定90枚なんですけど、この間の博多から売ってて、
もう残りが5枚とか……ワンサイズずつしかないんでね
みんな帰りに買って帰ってください」

渡辺さん「石井、それ嘘だろ」

石井さん「そう、嘘。今すごく心苦しい」

渡辺さん「5枚って、みんなが買えないじゃん」

石井さん「そうだね……」

渡辺さん「だめじゃん」

会場がしーんとしている。

石井さん「あぁ鹿児島はダメだな、もっと反応がよくないと」

渡辺さん「おい、人のせいにすんなよ。
なんか会場がダメみたいになってるし」

石井さん「(物販の紹介とか任されても)
俺……胃が痛くなっちゃうから」

石井さん「あぁなんか全然ダメだ。今俺顔真っ赤だと思うわ」

佐々木さん「あぁ……心なしか」

石井さん「真っ赤って言うか、桜色っていうか?」

佐々木さん「……石井、今日は今までのMCの中で一番ダメだな」

石井さん「そうそう、本当はもっとね」

渡辺さん「おい、本当はもっと面白いみたいなこと言うんじゃねーよ」

な、フラッドでした。
人のせいにしてはいけません。

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2010年4月 1日 (木)

「深泥丘奇談」 綾辻行人

深泥丘奇談 (幽BOOKS) 深泥丘奇談 (幽BOOKS)

著者:綾辻行人
販売元:メディアファクトリー
Amazon.co.jpで詳細を確認する


というわけで、綾辻さんを読んでみた。ははあ、このような、ですか。
何だかミステリというような、違うような……と思って読んでいたら、
やはり、ミステリー雑誌ではなかった。『幽』……はっ!!これは
もしや乙一の微妙なミステリの載っていた雑誌……の、ような気がする。

「悪霊憑き」
私の住む街の東地区を流れる一級河川、黒鷺川の支流の一つに、
深陰川と呼ばれる川がある。地元の者でもなければ名も知らないような、
ささやかな川である。その川である日ある事件が起こったのだが、
あろうことか、その第一発見者が私であった。それは、
川沿いの道を十分ほど登った場所であった。気持ちよく晴れた空の下、
私はある女性の死体を見つけた。成り行き上、女性の身元を
確認することになった私は、その顔を見て言葉を失った。
私はその女性の事を知っていた。その上、彼女の顔にほどこされた、
「メイク」に驚愕を覚えていた。そもそも彼女との出会いとは……。

ミステリなのか? と疑問を持ちつつ読了し、あとがきを読んで納得
した。この本は『幽』という、「幽霊」や「怪談」と言った類の小説
を連載している雑誌である。以前乙一もここに連載していて、
とても微妙な「怪談」を繰り広げていた。今回の綾辻さんは、
たしかに「ミステリ」よりは「怪談」より。予備知識なく読んでも、
物語からどこか霊的な恐ろしさ、みたいなものを感じることができる。
しかし……。この本は短編集なのだが、一応連作になっていて、
掲載順に時間が経過している。主人公は体調不良と何らかの霊現象に
悩まされるようになり、妙な音を聞いたりし始める。病院にかかって
みるが、その病院も「いわく憑き」のようで、どうにも怪しげな
雰囲気なのであった。各話において、奇妙な出来事が発生し、
「あれはなんだったのだ……?」的な、短いオチで終了するが、
それが何度も続くとマンネリを感じなくもない。それに連作に
なっているにもかかわらず結局主人公の「症状」は解明されないし、
もやもやとした「いわく憑き」の部分も、そのまま放置された状態で
終了されている。え? これで終わりなん? と、最後のページを
捲った瞬間に思った。ので、続編が出るのかもしれない。
けれども、このオチの浅い繰り返しが、2巻も出るのはちょっと……
と思うので、できるなら1冊で、ぎゅっと凝縮してくれた方がよかった
のではないか、と思う。しかしながら、綾辻さんは面白い。
大御所とか、ミステリ的堅さ、とか考えるのを呆れてしまうくらい、
これは頭からギャグとして描かれた本である。もちろん、真剣に。

★★★☆☆*83

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