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2009年12月 7日 (月)

「十字屋敷のピエロ」 東野圭吾

十字屋敷のピエロ (講談社文庫) 十字屋敷のピエロ (講談社文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
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本の感想とはまったく関係ないけど、最近体調が怖ろしく悪い。
きっとそんなに長くないんだろうな、とか思ってしまう。残念だ。
で、今日もまた東野さん。この安心感を味わえる事さえ幸せに思う。
これを二十代で書いたのか、と思うと、高橋さんと一緒、憎らしく思う。

北から南に伸びる廊下と、東から西へ伸びる廊下が交差した、
不思議な造りをした屋敷を、水穂は十字屋敷と呼んでいる。
そこでは、先日亡くなった頼子の四十九日のため、親戚一同が集まる事に
なっており、水穂は一年半ぶりに海外から帰ってきたのであった。
屋敷には、竹宮産業の社長をはじめ、取締役など重役、孫娘、秘書、
家政婦、遠縁の美容師、同居人の男などが椅子を並べている。
久しぶりに集まったメンバーだったが、話ははずまない。
何といっても頼子は自殺だったのだ。その上頼子の夫である宗彦は、
妻が死んだのをいいことに、秘書を愛人としているらしい。
暗黙の了解として、家族はみな知っている事であった。
そんなとき、人形師と名乗る男が屋敷を訪ねてきた。なんでも、
宗彦が買ったというピエロの人形を買い取りたいという。頼子の自殺の際も
置いてあったその人形は悲劇を呼ぶ人形と言われているらしいのだが……。

面白いか、と聞かれると、「普通」である。今回の本は、人間の視点とは
別に、棚に置かれたピエロの視点、という描写が加わっている。
とても斬新と言うか、画期的と言うか。なにせ殺人の様子を、ピエロが
語ってくれるのだから、通常の殺人事件よりもヒントが多いことになる。
人間が得るヒントと、ピエロのヒント、合わせていくと、パズルのように
段々穴が埋まってゆく……はずなのだが、ここで終っては楽しくない、
とばかりに、ピエロの目には嘘が混ざっている。会話から聞き取る人物名
は不確かであるし、ピエロが思い込みをしている、と設定されている。
このことによって、事件がとてもややこしくなって、少し残念だった。
この嘘がなかったらもう少し面白かったんじゃなかろうか、と思わなくも
ない。まぁしかしミステリはトリックを最後まで分からせない、という点が
重要なので、例えば少しややこしくても濁しておく方が大事なのかもしれない。
それと、この本が「普通」な原因として、「よくある屋敷トリックの典型」
というものに含まれてしまうのではないか、と思う。奥様、旦那様、秘書、
娘、娘の好きな好青年、恋敵の青年、家政婦。登場人物を見ただけでも
あぁよくあるあのパターンですか、って感じである。内容も脱税や、
企業乗っ取り、隠し子、など、耳にたこな感じである。そこに、ピエロの
視点という新しいものが入っているわけだけど、ちょっとくどい感じに
なっていて、あまりよくいっているようにみえない。
それにしても、これは東野さんが20代で書いたものである。面白い。
これ20代に書けました?と聞いたら、どんな大物作家でも首を横に振るだろう。
そう見ると、とても悔しい本である。あふれる才能をここでも感じられる。

★★★☆☆*80

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