« 12/17a flood of circle、FoZZtone@千葉LOOK『千葉LOOK 20th 記念~6×9=53days~』 | トップページ | 12/19a flood of circle、serial TV drama、lostage@仙台HOOK »

2009年12月18日 (金)

「そして誰もいなくなった」 アガサ・クリスティー

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

著者:アガサ クリスティー
販売元:早川書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する


ここにきてアガサクリスティ!「そして誰もいなくなった」だいぶ昔の本
なのに、常に貸し出されていて、なかなかすぐに借りられない。
年が明けてからかなぁ、と思っていたら、届いたので読み始めたら、
思いかけずノンストップ。さすがである。中学校ぶりの再読でした。

ウォーグレイヴ判事、ヴェラ秘書、ロンバート元陸軍大尉、ブレント老婦人、
マカーサー将軍、アームストロング医師、アンソニー青年、ブロア警部、
の八人は、ある日突然手紙を受け取った。差出人U・N・オーエンのその
手紙には、彼らのごく近しい知り合いの名前があったが、今は簡単に
連絡の取れない遠方にいるものたちばかりであった。多少の不振を感じたが、
しかし日常の煩わしさから逃れるため、十人は手紙で招待され指定された
インディアン島へと集まったのであった。インディアン島とは、
最近転売された有名な豪邸が一軒だけ存在するという島であった。
それぞれ全くの面識なく集まった八人は豪邸に着き、使用人の二人と出会う。
船乗りは本島へと帰っていった。その上使用人の話によるとU・N・オーエン
と言われるこの豪邸の持ち主は、遅れてくるらしい。この島にはこの十人
しかいないようだ……。主人を待つため酒を飲み始める各々。ようやく
会話をし心を許し始めた十人だったが、そこで一人の人間が倒れた。
死んでいる?! 残された九人はこの島に伝わる歌を思い出すが……。

清く正しいミステリ小説。これを読むと、今のミステリ小説がいかに
ひねくれまくっているかがわかる。あぁ、なんて純粋なんだ、と言う感じ。
この本は結末のためにある。だから殺され方や、トリックなどには
注意があまり払われていないように感じる。人が一人、またひとりと
消えてゆくそのしかけは、次は誰? という恐ろしさを、本人たちに
抱かせるために練られている。もしくは、読者がそう感じるために
創られているといっていいだろう。ラスト三人になるまで、
犯人は誰にでも可能だ、というあやふやな状態が続く。ある意味、
トリックすらないのだ。この中に犯人がいると分かっているのに、
分からないもどかしさ。そして、自分の侵した罪を再確認し、
強がりと、そのしたにかくれている怯えた心を上手く描いている。
本当は、死んでもいいと思っていたような……いや、違う。
今まで隠してきた自分の罪を、隠していた期間の間だけ重く感じ、
自らの死を考える。もちろんそれは「殺されるかもしれない」という、
「死」であるが、同時に、殺されるほどの罪であった、ということを、
深く考えていたように思う。死んでも仕方がない邪悪な心をもっていた、と。
犯人は、とても意外性がない。というのも、現代の小説は「あついが?!」
という驚きのオンパレードを目指しているからだ。犯人でありそうな人が、
犯人であるのはつまらない。そんな考えから、トリックにトリックを重ね、
まさか、あいつが!という追求になっているように感じるのだ。と、
そんな小説ばかり読んでいて、それからこの本を読むと、ため息を
つきたくなる。人を殺す。それは重要で、重大な事である。だから、
何かの信念がなくてはならない。それは誰もが頷ける穢れのない志であり、
誰もが感じる憎悪でなくては。けれど、殺人に穢れがないものなどない。
だから、この事件の犯人をも、クリスティは殺さねばならなかったのである。
ひとつ残念なのは、この本に出てくる、インディアンの歌である。
十人のインディアンが一人ずついなくなり、そして誰もいなくなる、
という歌である。この殺人は、この歌に模したものになっており、
最初の方で、登場人物もそう認識している。それなのに、次に行われる
はずの、殺人への研究というか、例えば海に消える、というのだったら、
みんなで海に行かないようにする、とかいうことだが、そういう努力がない
のは、どこか死を受け入れているようにも思えなくもない。そう感じるのは、
狙いどおりなのか、そうでないのか、ちょっと気になった。
読んで損はない、最高のミステリである。

★★★★★*95

|

« 12/17a flood of circle、FoZZtone@千葉LOOK『千葉LOOK 20th 記念~6×9=53days~』 | トップページ | 12/19a flood of circle、serial TV drama、lostage@仙台HOOK »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/126354/32677941

この記事へのトラックバック一覧です: 「そして誰もいなくなった」 アガサ・クリスティー:

« 12/17a flood of circle、FoZZtone@千葉LOOK『千葉LOOK 20th 記念~6×9=53days~』 | トップページ | 12/19a flood of circle、serial TV drama、lostage@仙台HOOK »