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2009年12月20日 (日)

「自殺って言えなかった。」 あしなが育英会編

自殺って言えなかった。 自殺って言えなかった。

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小説ではありません。親が自殺してしまった、子どもや妻、もしくは夫が
語る「自殺について」の本です。自殺をするのは弱い人間だからだ。
そういう人はたくさんいる。残された家族は、好奇の視線に耐えなければ
ならず、また、そんな言葉から亡くなった人を認めることが出来ないという。
その気持ち分かります? いや、簡単に分かると言ってはいけない。
失ったものにしか分からない心を、悲しんでいる人を認めるのが大切なのだと。

小説ではないので、ここから感想というか、わたしの思いです。
わたしは今までずっとひとつのことを悔やんで生きてきました。
それは「自殺」した人を「病死」だと偽ったことです。
自殺するには、きちんと理由があります。その理由を世間体という
もののために、かき消し、ないものにしたのです。
今でもずっと、それだけが心残りです。
わたしは、中学生の時に友だちを自殺で亡くしました。
Tは幼稚園から中学校まで、同じ学校に進学した同じ歳の男の子でした。
わたしたちの中学校には、ひどいいじめが蔓延していました。
日々友だち通しの悪口が繰り広げられ、それに賛成すれば仲間、
しなければハブ、といった具合で、明日になったら、
親友が親友ではなくなる、裏切りに怯える毎日でした。
ハブになった子は見せしめに通学用の自転車を破壊されました。
置かれている教科書や私物はことごとく破られ、捨てられていました。
顔も見たことがない登校拒否児童がたくさんいました。
先生が精神病になったり、妊娠中の女の先生が男子生徒に蹴られたり、
窓ガラスが割られたり、試験問題が盗まれたりするのは、
日常茶飯事の事でした。それらのことがすべて「普通」だったのです。
ある日、些細な出来事でTがいじめのターゲットになりました。
隣のクラスからいじめの首謀者がやってきて、毎日Tを脅したてました。
「おい、金は持ってきたか」だの「殴らせろ」だの、そんなことを言われ
ながら、いつも教室から連れ出されていきました。しだいにTの学生鞄は
汚くなり、物がなくなったと言うようになりました。でも、わたしは
Tに対し親身になって話をしませんでした。いじめられているTと、
親しくしたり、守るような事をしたら、今度は自分がそのターゲットに
なってしまうのを知っていたからです。そしてそれはわたしだけではなく、
クラスの全員がそうでした。自分がそうなるかもしれない……
その恐怖に、わたしたちは見て見ぬふりを決め込みました。それはもう
一緒になってTをいじめていると言っても間違いではなかったのです。
誰もとめようとする気持ちを、もつことが出来ませんでした。
そんな矢先、Tは家の軒先で自殺をしました。
わたしは現実を受けとめることが出来ず、涙を流すことも出来ませんでした。
地元新聞のおくやみ欄にはTの名前があり、死因は「病死」
と書かれていました。わたしは愕然としました。わたしは葬式で
「迷惑掛けてごめんなさいね」と泣き崩れるTの母親の姿を思い出しました。
わたしは罪の意識に苛まれるようになりました。
本当はわたしたちがいじめを止めなかったから、Tは死んだのに……。
そして、そのいじめの風習と現状を認識してもらえないということ。
先生が精神病になったり、妊娠中の女の先生が男子生徒に蹴られたり、
窓ガラスが割られたり、試験問題が盗まれたりするのは、
日常茶飯事のこと……。それが「普通」……。
この「普通」を、ほとんどの人が分からないでしょう。
わたしは高校に入り驚きの毎日でした。
風紀のいいその高校は、授業中私語がないのです。
中学校では、授業中頭の上を野球ボールが飛び交っていました。
教室は話し声で満たされ、誰も教師の話など聞いていない。
あぁ、これが「普通」なんだ、と分かるまでに1年の時間が掛かりました。

なんだか、言いたいことがかけませんでしたが、わたしは今でもTのことを
よく思い出します。今生きて近くにいる友達よりも、顔立ちをはっきりと
思い出すことが出来、その声を思い出すことが出来ます。不思議です。
今もふとした拍子に、Tを思い泣くことがあります。
わたしが何かしていたら、死ななかったんじゃないか、とか。
わたしのほうが先に死んでいたら、死ななかったんじゃないか、とか。
もう何十回も、何百回も、何千回も考えた、ことをときおり強く思うのです。
この本はそう考えてしまう人への、(いや肉親なんだから、もっと強い
思いなのかもしれませんが)温かい勇気の言葉だと思いました。
少々「あしなが育英会のお陰」発言が多くて、残念に思いましたが、
そこから発展し、どうにかして「自殺」を湿っぽく暗いものではなく、
認識し、そして気持ちにせっしてもらいものにしたい、という思いを
熱く感じた本でした。あしなが、だけではなく、あるいは
そんなものを要するではなく、「自殺」という事実を認めてくれる社会が
来てほしいと、深く考えることができました。
ここ数年で、わたしもようやく笑えるようになりました。
Tのためにも、とそこまで大げさではありませんが、Tのぶんも
生きてみたいと思えるこころを、持つことが出来るようになりました。
がんばれるこころがほしい。

★★★★☆*87

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