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2009年12月21日 (月)

「今はもうない」 森博嗣

今はもうない (講談社ノベルス) 今はもうない (講談社ノベルス)

著者:森 博嗣
販売元:講談社
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ここにきて森さんである。去年と何ら変わらないのではないか、
という残念な気持ちになりつつ、さっぱり読了。面白かったけど、
シリーズを順に読んでいかないとちっとも面白くないだろう本。
というわけで、是非順番に読んでください。この本は8巻目です。

私はふと湖の方に、一人の女の影がある事に気づいた。
彼女は自分の名を西之園と名乗った。次第に天候が悪化し、
私は彼女をつれ先ほどまでいた滝本家の別荘へと戻ることにした。
それにしてもなんと美しい女性だろう。私は、西之園嬢にすっかり
夢中になってしまった。別荘にいた、滝本父子、それからモデルを
している神田嬢、役者をしている朝海美人姉妹、私の婚約者に
彼女を紹介し、その晩は西之園嬢もこの家に泊まることになった。
客間をあてがわれ、眠りに着いた西之園嬢だったが、
深夜すぎ、悲鳴を聞いたと私の元へやってきた。一つ上の階、3階に
ある娯楽室と映写室は鍵がかかったままであった。この二部屋は
内側からしか鍵がかけられないと言う。ドアを破壊し、
中に入ってみると、そこには変わり果てた朝海嬢たちの姿があった。

S&Mシリーズファンとしては、とても満足して読み終わった本だった。
語り手が、笹木という40代男性視点で動く、というちょっと工夫された
ものになっていたので、今までのマンネリを考えずに読めた。
なかなか一人称で書かない森さんだが、なるほどこの線でも
いけるのでは、と思ったりもした。けれどもこれに反比例して、
この笹木という視点が終始西之園嬢万歳!な視点で動くので、
マニア受け、というか森さんが自身が書きたかったのか?と、
疑念を持ってしまったりもして、純なミステリ好きにはお薦めできない
ものになっていた。そもそもこれまでの巻で、萌絵の性格や気性を
知っており、犀川以外の視点から見た萌絵の愛らしさ?を楽しみたい、
みたいな感情がないと、あまりぐっとこないのかもしれない。
なにせ、どんくさい男の視点があまりよろしくないからなんだけど。
今回のミステリもちょっとイマイチである。お決まりの密室殺人宣言で
ものがたりは進んでいくが、結局自殺でしたでまとまる。
どうしても解けなかったなぜ服装が入れ替わっているのか、という
トリックについても納得できるものではなく、自殺だと思わせたく
なかったから、と言いだすのである。ちょっと待ってくれ本末転倒……。
と、少し残念でもあった。もう少し灰汁なく書いたら楽しかったろうに、
森さんも萌絵で楽しみたかったんだな、と納得しまとめておく。
先に読んでしまった「数奇にして模型」の方が面白かったな。
心理的な、解説もあったし。さて、次は最終巻「有限と微小のパン」。
あの上下2段にして1000P覚悟の分厚さに頭が上がりません。
シリーズの全ては「有限と微小のパン」にある、と言わしめたこの本、
本当に楽しみ。年明けにさっそく読もうと思う。

★★★☆☆*87

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