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2009年12月28日 (月)

「三月の招待状」 角田光代

三月の招待状 三月の招待状

著者:角田 光代
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あぁダメだ。前回読んだ本と同じく、どうにも心に残らない感じ。
どうしたことだろう、角田光代の本だというのに、残念すぎる。
ただ一ついえるのは、角田さんに現在進行形の感情が似合わないということ。
まぁわたしが思っているだけなのかもしれないけれど。

充留は大学の友人の夫婦から珍妙な招待状を貰った。それはなんと
「離婚パーティ」である。学生時代から付き合ったり別れたり、
また付き合ったり別れたり、結婚したりし、十五年の間を過ごした2人は、
離婚をするためにパーティをするというのだ。結婚式の時も、
何かの冗談のようにパーティは学生街の居酒屋で行われた。
それが彼らの在り方なのであろう。そうして今度の離婚式もまた、
学生街の居酒屋が指定されていた。どこまでも冗談でいく気なのだ。
こうなったらこっちもバリバリにおめかしをして出席をするべきではないか、
と、充留と麻美は相談するのだった。再び懐かしい仲間とつるむことになり、
また二人の別れを祝う学生気分の抜けきらない仲間たちだったが……。

つまらなーい……。なぜだ、なぜだ、天下の角田光代の名の元に、
こんな作品が……と、跪きたい。しかし、一つだけいいこともある。
これは今しか書けない本であった、ということである。過去の感情を遡る
達人である角田さんにとっては、ある意味冒険的にもとれるこの作品。
内容はあらすじとおり、離婚に際した女の葛藤と悩み、というか
そこにまでいたらない思考のあれこれ、といった方がいいだろうか。
形容しがたい、まだ「これ」と言って行動がとれないときのもやもや、
であり、しかし今の現状だけはどうにかしたいと願いながら、
だけど、壊れてしまう安息を切なく思ってしまい自己嫌悪するような。
……、というなんともいいがたい内容の本なのである。
先日離婚を経験された角田さんの思いと怒りと、その他いろいろが
たっぷり詰まった本であると言える。そう思い返せば、夫の伊藤さんは、
『八月の路上に捨てる』という離婚本で芥川賞をとったではないか。
内容は確かなかなか乾いた感じの主人公が自動販売機のジュースを
補充する仕事をして回る話だった気がするのだが、なるほど、
女の人よりも男の人の方が、「現在の感情」から「未練と呼ばれる何か」に
感情が変わるのが速いのだろうか、とも思えてくる。わたしはこの本と
伊藤さんの本を前に差し出されたら伊藤さんの本をとる。なぜか。
この本はまったくもって登場人物の感情が整理されていないからである。
ので、まったく読後に心に残らない。残念である。最初から最後まで、
女たちは悩んでおり、しかしその悩みは微妙で細かすぎる。
もちろん繊細なのだ、と言われてしまえばそれまでなのだが、
その細かさの度合いは角田さんの中だけのものであって、読んでいる
こちらにとっては、ずっと同じことを言い続け、お互いを罵りあい、
罵る事によって自分を確立しているように見えてくるのは、嬉しくない。
すべての人間の感情を描くのは大変な事だと思う。もとい、
人間のすべての感情と言うべきか。「麻美のことが本当は苦手なのである」
とてもよくわかる、その感情。ふとした瞬間に、いつも一緒にいながらに
して、でも自分に合わないと思うその瞬間。しかし、それはこの場に重要
なのか。学生仲間と言うその馬鹿みたいな連中に救いがあるはずなのに、
あまり描かれていないのが原因なのかも知れない。学生気分の抜けない人。
見ているとイライラする。その気持ちもよくわかる。けれど、心のどこかで、
それを求めているんだと、素直に描いてほしかったのに、離婚の苛立ちの
方が勝って、全体をかき乱してしまった本。わたしはパス、しかし、
これをこころから受け入れられるそんなの時もくるかもしれない。
でも、まぁ、角田光代の本としては、得意味がなく面白くない本だと思う。

★★☆☆☆*75

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