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2009年12月

2009年12月31日 (木)

「幻惑密室」 西澤保彦

幻惑密室―神麻嗣子の超能力事件簿 (講談社文庫) 幻惑密室―神麻嗣子の超能力事件簿 (講談社文庫)

著者:西澤 保彦
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


今年最後の本は、西澤さんでございました。間違いなく今年のミステリ
ナンバーワンヒットでした。楽しい時間をありがとうございます。
と、言いつつ、この本はそうでもなかったんですけれども。むむむ、
このくどさ、というか余計な描写の按配がなんともな、と。

健康器具開発会社<ゲンキ・クリエイト>を一代で築き上げたワンマン
経営者、稲毛孝の声掛けにより、新年会が予定されていた。
社長宅にお邪魔するということで緊張していた松岡治夫だったが、
実際に稲毛宅に着いてみると、そこにいたのはたった三人の社員だけだった。
美形なだけで能無しと有名な男性社員に、社長のお気に入りと言われている
秘書と受付の女性である。ここで本当に新年会が行われるのだろうか?
治夫はそわそわし始めた。と、言うのも、治夫は稲毛の妻と不倫関係に
あったからであった。これは新年会と見せかけたクビ宣告の場ではなかろうか。
そんな時、稲毛に食事の調達を命じられていた秘書の女性が、
玄関のドアが開かないといい始めた。そこにいた全員で玄関を調べに行ったが、
やはりドアが開かなかった。ドアノブをつかもうとすると、くるりと駒の
ように周ってしまい、ドアを開けられないのである。屋敷に閉じ込められた
人間が途方に暮れるころ、トイレに行って帰らない稲毛社長が殺されている
ことがわかった。この奇妙な密室で行われた犯行とは?!

くどい……。ちょっと残念である。このくどさが半分だったら、
面白かったと思うし、ページ数も半分であったように思う。なんて言うか、
ここまでくるとしつこいな、と思ってしまうのはわたしだけだろうか。
好きなんだけどなぁ、西澤さん。ミステリィ自体はと言うと、超能力を
メインにしたミステリィ。この超能力はキチンと確立されたものなのか?
ちょっとわかりませんが、一時間しか効力がない催眠術を利用した犯罪。
連続で使えるのは四回までで、一回使うごとに、一時間という効果時間が
どんどん減ってゆくというシステムが最初に説明され、この能力を一体
誰が使ったのか、という推理に続いてゆく。そこには、超能力を使った
記録が残るという、カードがあり、使用した時間も分かる。
しかしだいぶ空論推理、な呈である。なんと言っても、超能力というのは
目に見えないので、実証と言うのはその数値を計るカードしかないわけで、
なんとも頼りなげである。しかし、話が進んで行き、超能力効果工程表を
みたとき、なるほど、確かにこんな推理もありかも知れないと思った。
だた思ったとおり推理が進んでちょっと残念であったというのが一つ。
超能力と言う言葉にかまけないで、最後までミステリィして欲しかった。
最後にこの犯人を持ってくるのは、どういった効力があるのか、とか、
真面目に考えてしまった。西澤さん、結構社会派だから。でも女性進出の
社会について考える男性考の記述が多くて、印象狙いかとちょっと微妙。
あと動機というか、偽りの開催予定新年会設定がなんとも西澤さんらしくて、
だいぶ濃かった感もある。うーむやはり殺人に不倫はつきものなのか、
とか思いつつ、西澤さんピンク過ぎない方が丁度よくて好き、とか思った。
ここまで、自分の趣味を曝け出している作家も少ないよな、とか、
笑ってしまったりして、好きなんですけど、あんまり楽しくなかった。

★★☆☆☆*75

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■雑談:実家に帰ります

もうすでに明けてる時分に書いてますが、年始めのご挨拶はまたのちほど。
コメントも半端なまま返せてなくて済みませんが、
とりあえず実家に帰ってからにさせていただきますね。

いやはや、今年も大晦日疲れきりました。
なにせ「a flood of circle→つばき→つばき」なんてことをしたので。
まぁもっとすごい人をたくさんしっていますけれど(笑)

それにしても楽しかった。充実した1日でした。ありがとうございました。

読書の方も、感想が書けていません。
これも後ほど更新したいと思います。

では2009年は大変お世話になりました。
いつも足をお運びいただき、どうもありがとうございます。

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12/31つばき@渋谷LUSH『Beat Happening SPECIAL!~COUNT DOWN TO HAPPENING!』

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12/31つばき@渋谷LUSH『Beat Happening SPECIAL!~COUNT DOWN TO HAPPENING!』

■セットリスト

 妄想列車
 真夜中3時の商店街
 coffee
 スタイル
 花が揺れる

LUSHは一色さんが一人登場。
『妄想列車』のイントロをガシガシ弾き始めました。
すでにテンションはおかしな方向へ(笑)

そうそう、『花が揺れる』よかったな。
なんか色んなものが極まってましたね。感情的ななにがが。

楽しい1日だったな。

そんなわけで、つばき納めでありました。
納め、というかむしろ始まりな気もしますけどね、年越してたんで。

今年も大変お世話になりました。来年もよろしくお願いします。

あ、ちなみに、行かなかったQueは、
亡霊ダンス
めまい
最低な気分、雨に打たれて
覚めた生活
光~hikari~
だったそうです。

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12/31つばき@渋谷屋根裏『渋谷屋根裏Year End Special 2009→2010』

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12/31つばき@渋谷屋根裏『渋谷屋根裏Year End Special 2009→2010』

■セットリスト

 君のヒゲ
 昨日の風
 花火
 春の嵐
 バタフライ
 夢見がち

おぉ!もうすでに一色さんが変なテンション!、な渋谷屋根裏でした。
楽しかったーー。あぁつばきやっぱりいいね。

この前のQueでは岡本さんが一人出てきて、
「亡霊ダンス」をバシバシ叩き始めるスタートだったらしいのですが、
ここでは小川さんが一人で登場。
「君のヒゲ」のイントロをベンベン弾き始めました。

実は昼過ぎに友だちとカラオケに行ったのですが、
ほとんど歌った曲ばかりで、げらげら笑ってしまいました。
楽しい。やっぱり本人の声が一番ですとも。

で、一色さんはすでに怪しい微笑みをしていて、
「勝手に盛り上がってて、失礼」とか、妙なノリで、はしゃいでました。

本当に、楽しかったです。
そうそう、これが聴きたかったのよね、と。

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12/31a flood of circle@新宿LOFT『THE FINAL OF 2009 第一部~シンジュクアクション「日本のロックの夜明け」』

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12/31a flood of circle@新宿LOFT『THE FINAL OF 2009 第一部~シンジュクアクション「日本のロックの夜明け」』

■セットリスト(間違ってるかも)

 博士の異常な愛情
 シーガル
 ロシナンテ
 ブラックバード
 泥水のメロディー
 Buffalo Dance
 噂の火
 Paradox(安高さん)
 Flashlight & Flashback(安高さん)※初
 プシケ(安高さん)

楽しかったー。
『噂の火』ようやく聴けました。石井さんの勇士?が観れました(笑)

『Paradox』からはなんと椿屋の安高さんが参入。
そうそう、これが聴きたかったの、な『Paradox』でした。
『Flashlight & Flashback』も初聴きだったし、
大満足な年末セットリストでした。どうもありがとうございます。

今年で一番楽しかったかも知れないなぁ……とか、なんとか。

あと、そうそう、「泥水の蕎麦」食べました。
普通に美味しかったです。あの写真は衝撃的でしたが……。
トッピングは、大根おろし&なめこ、きざみ海苔、うずらの卵、です。
美味しくないわけがない。

しかし、暗いライブハウスで撮るとちょっと残念な蕎麦になったな。
200912311835000

他にも、Good Dog Happy MenやUNCHAINも蕎麦を出していました。
門田さんの蕎麦は辛そうだったな。
「悪魔風」なんとかっていう名前の蕎麦でしたよ。

蕎麦も食べられたし、ライブも大満足。
a flood of circle納めでありました。
今年はお世話になりました。来年もよろしくお願いしますね。

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2009年12月30日 (水)

12/30FoZZtone@渋谷O-WEST『LIVE DI:GA JUDGEMENT2009 MARUYAMA』

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12/30FoZZtone@渋谷O-WEST『LIVE DI:GA JUDGEMENT2009 MARUYAMA』

■セットリスト
 
SE:pandemik
 
 NAME
 NIRVANA UNIVERSE
 黒点
 JUMPING GIRL
 音楽

楽しかったー。5曲しかやらんかったが。まぁ持ち時間25分はしゃあない。

なんだか、同じ曲ばかり聴いているんですけど、
やっぱり毎回楽しいと思ってしまうのは、病気でしょうか。

とか、なんとか。

THE NOVEMBERSにつづき、本日FoZZ納めでありました。
今年もどうもありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

がっつりついていきます。

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2009年12月29日 (火)

「真鶴」 川上弘美

真鶴 真鶴

著者:川上 弘美
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する


むむむ、いいような、悪いような。わたしのあまり好きではない川上さんの
傾向。川上さんの本は圧倒的にひらがなが多いのだけど、それを何というか
多用すればいいわけじゃないんだよな、と思った本だった。内容はとても
好きである。この女の人にしか書けない柔らかい感じ、大切にしたいね。

歩いていると、ついてくるものがあった。まだ遠いので、男なのか、
女なのか、わからない。どちらでもいい、かまわず歩きつづけた。
ついてくるものがあらわれ始めたのは、夫がいなくなってからだ。
そろそろ十数年になる。三歳だった娘の百は、そろそろ高校生になる。
あかんぼうのころの百は、大切だと思った。生まれたばかりの、
その体はまるでわたしの一部のように思え、近く感じたのだった。
けれど今、百は遠い。だんだん遠くなってゆく。礼、と夫を小さく呼ぶ。
いないものを呼ぶ。夫は死にたいと思ったのだろうか。それとも、
生きたいと思ったから、失踪したのだろうか。わたしは消えてゆく礼と、
遠くなってゆく百を思いながら、真鶴へと足を運ぶ。

真鶴、とは一体どこなのか? 微妙すぎて場所を思案してみたり、
様子を想像する事も出来ない。というのが、まずいいのか、悪いのか。
場所を知っていたり、行ったことがある人なら、大いに世界を広げて
読めるかもしれないが、わたしの中で真鶴は終始さびれた旅館が立ち並ぶ
人気のない場所、のような感じであった。いいのか、悪いのかわからん。
で、問題はそこではなく、最初から最後まで単調につづく、「喪失感」の
あふれ出る文章たちである。そこにはひらがなが多用してあり、
柔らかいや温かいという効果を通り過ぎて、読みづらい、中だるみ、
への助長となっている気がした。特に何が起きるわけではなく、
というか、そもそも「何かがついてくる」という事柄から肯定で当たり前
のように続いていくので、一体なにで驚くべきなのか難しい。
ひらがなで続けられる単調で不思議なリズムの文脈は、とても独特で、
はまったら病み付きなんじゃないか、と思う。わたしははまれないでいる。
途中で飽きてしまうから。よかったな、と思った「センセイの鞄」や
「ざらざら」ではその文脈の緩急があってとても好きだったのだが、
この本は緩急の緩ばかりで、のびっぱなし、というイメージであった。
とまた毒を吐いてしまったけど、一番の魅力は、親密感の表現であった。
母親と、娘の間の微妙な親密感。かつては自分の体の中にいたものであり、
けれど、成長していくにつれそれは別のものになっていくのだ。
遠く、近く、遠く、何か些細な一言で、仕草で近くなり、遠くなる。
大雑把に言えば、「きまづくなる」というような感情であるけど、
それを川上さんはとてもよく表現する。そうの気持ちわかる、って、
思わず膝を打ちたくなる、微妙な、でも的確な人の気持ちを描くのが上手い。
温かく、そして女性にしかかけない文章だと思う。まぁ、ある意味
これを男性が書けたらびっくり、というか思わず手を握り締めたいとこだが。
大切にしたい何かを思い出させてくれる作家さんである。

★★★☆☆*84

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2009年12月28日 (月)

「三月の招待状」 角田光代

三月の招待状 三月の招待状

著者:角田 光代
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


あぁダメだ。前回読んだ本と同じく、どうにも心に残らない感じ。
どうしたことだろう、角田光代の本だというのに、残念すぎる。
ただ一ついえるのは、角田さんに現在進行形の感情が似合わないということ。
まぁわたしが思っているだけなのかもしれないけれど。

充留は大学の友人の夫婦から珍妙な招待状を貰った。それはなんと
「離婚パーティ」である。学生時代から付き合ったり別れたり、
また付き合ったり別れたり、結婚したりし、十五年の間を過ごした2人は、
離婚をするためにパーティをするというのだ。結婚式の時も、
何かの冗談のようにパーティは学生街の居酒屋で行われた。
それが彼らの在り方なのであろう。そうして今度の離婚式もまた、
学生街の居酒屋が指定されていた。どこまでも冗談でいく気なのだ。
こうなったらこっちもバリバリにおめかしをして出席をするべきではないか、
と、充留と麻美は相談するのだった。再び懐かしい仲間とつるむことになり、
また二人の別れを祝う学生気分の抜けきらない仲間たちだったが……。

つまらなーい……。なぜだ、なぜだ、天下の角田光代の名の元に、
こんな作品が……と、跪きたい。しかし、一つだけいいこともある。
これは今しか書けない本であった、ということである。過去の感情を遡る
達人である角田さんにとっては、ある意味冒険的にもとれるこの作品。
内容はあらすじとおり、離婚に際した女の葛藤と悩み、というか
そこにまでいたらない思考のあれこれ、といった方がいいだろうか。
形容しがたい、まだ「これ」と言って行動がとれないときのもやもや、
であり、しかし今の現状だけはどうにかしたいと願いながら、
だけど、壊れてしまう安息を切なく思ってしまい自己嫌悪するような。
……、というなんともいいがたい内容の本なのである。
先日離婚を経験された角田さんの思いと怒りと、その他いろいろが
たっぷり詰まった本であると言える。そう思い返せば、夫の伊藤さんは、
『八月の路上に捨てる』という離婚本で芥川賞をとったではないか。
内容は確かなかなか乾いた感じの主人公が自動販売機のジュースを
補充する仕事をして回る話だった気がするのだが、なるほど、
女の人よりも男の人の方が、「現在の感情」から「未練と呼ばれる何か」に
感情が変わるのが速いのだろうか、とも思えてくる。わたしはこの本と
伊藤さんの本を前に差し出されたら伊藤さんの本をとる。なぜか。
この本はまったくもって登場人物の感情が整理されていないからである。
ので、まったく読後に心に残らない。残念である。最初から最後まで、
女たちは悩んでおり、しかしその悩みは微妙で細かすぎる。
もちろん繊細なのだ、と言われてしまえばそれまでなのだが、
その細かさの度合いは角田さんの中だけのものであって、読んでいる
こちらにとっては、ずっと同じことを言い続け、お互いを罵りあい、
罵る事によって自分を確立しているように見えてくるのは、嬉しくない。
すべての人間の感情を描くのは大変な事だと思う。もとい、
人間のすべての感情と言うべきか。「麻美のことが本当は苦手なのである」
とてもよくわかる、その感情。ふとした瞬間に、いつも一緒にいながらに
して、でも自分に合わないと思うその瞬間。しかし、それはこの場に重要
なのか。学生仲間と言うその馬鹿みたいな連中に救いがあるはずなのに、
あまり描かれていないのが原因なのかも知れない。学生気分の抜けない人。
見ているとイライラする。その気持ちもよくわかる。けれど、心のどこかで、
それを求めているんだと、素直に描いてほしかったのに、離婚の苛立ちの
方が勝って、全体をかき乱してしまった本。わたしはパス、しかし、
これをこころから受け入れられるそんなの時もくるかもしれない。
でも、まぁ、角田光代の本としては、得意味がなく面白くない本だと思う。

★★☆☆☆*75

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12/28THE NOVEMBERS@下北沢CLUB Que『UKP 20th ANNIVERSARY PARTY vol.12』

200912281612000
12/28THE NOVEMBERS@下北沢CLUB Que『UKP 20th ANNIVERSARY PARTY vol.12』

■セットリスト

 para
 こわれる
 新曲
 アマレット
 新曲
 新曲(宇都宮でやったやつ)
 dnim
 バースデイ
 白痴

わーお!白痴終わり。今日はなんだか激しくて最高だった。
番号がだいぶよかったので、前で見たのだけど、
そう言えばノーベンバをこんなに前で観たのは初めてだった。
こんなギター使ってたのか、とかそこから。もう8回くらい観てるんですが…。
いつもゆるゆる後ろで観ているからなぁ。
ケンゴさんの前で、あぁいい音弾くなぁ、と大きく息を吸い込んだ。

MCでなぜか饒舌すぎる小林さん。
しゃべる、しゃべる、しゃべる。にやにやしながらしゃべる。
こんなの小林さんじゃない、とか笑ってしまった。

というのも、dipとの対バンがとても楽しみだったらしい。
小林さんのギター(ジャズマスターでしたっけ? 聞いたのに忘れた;)
と同じメーカーを使うdipのギターさんのことを、
日本で一番尊敬しているジャズマスター(たぶん)使いだと言ってました。

「いや、僕、しゃべりすぎですね。こんなの、僕らしくない」

いいもの観れました。

楽しかった、ありがとう。
今年のTHE NOVEMBERS納めでした。

来年は赤坂BLITZですよーすごい。とても観に行きたい。
では、来年もよろしくお願いします。

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2009年12月27日 (日)

「占星術殺人事件」 島田荘司

占星術殺人事件 (講談社文庫) 占星術殺人事件 (講談社文庫)

著者:島田 荘司
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


長かったー……長かったよー……一ヶ月間ちょこちょこ読んで、
ようやく読み終わりました。面白いんです。でも、なぜか手をとめてしまう。
いいのか悪いのかよく分からん。まぁ要するに、難しい単語がたくさん
出てくるので、理解しようと脳を使うと疲れてしまう、ただそれだけです。

殺された画家・梅沢平吉の遺書には六人の処女を惨殺し、その体の一部を
繋げ合わせ完璧な女を作るという「アゾート計画」が書かれていた。
その六人の女――平吉の娘たちは、その後行方不明となり、
計画書どおり、全国各地にわたり死体がバラバラになった状態で
発見されたのだった。容疑者や参考人物はしらみつぶしに捜査されたが、
犯人は分からずじまいだった。何といっても一番怪しい平吉は、
事件前に死んでしまっている。また各事件で残る様々な謎も、
未だ解決されず残っており、ほぼお手上げ状態であった。たくさんの
推理マニアによって考えられたが、謎は結局解かれていない。
四十年と言う歳月を経て、ひょんなことから事件の解決を依頼された
御手洗は、真実を知るため事件を再び掘り起こし始めるのだが……。

ネタバレします。あらすじ微妙、すみません。
この本の一番の欠点を始めに言っておく。最初の部分に書かれている
「アゾート計画」の部分の文章がとても小難しいことである。
この部分だけを読み、読むのを止めた人間は少なくないと思う。
そこを突破してしまい始まる和やかな御手洗と私の章になると、
驚くほど読みやすくなる。しかもアゾート計画の、その難しい部分は
ほぼ事件と関係ないといっても過言ではない。まぁ、そこもミスリード
ってことで狙っているのだけど、冒頭で手放されてしまうくらいなら、
もう少し読みやすく書かれていてもいいと思う。もったいないしね。
と、始めから欠点を書いてしまったけど、この本デビュー作である。
シンジラレナーイ! である。こんな本を持ってこられたら、
あなたが小説書かなくて、誰が書くの? と言いたくなるほどの才能である。
間違いなく今まで読んだミステリィデビュー作の類ではピカイチ。
右に出るものはいない。一番の魅力は、会話だと思う。なんとこの本、
約85%くらいが会話である。「かぎかっこ」「かぎかっこ」ばっかり。
でもスムーズに読んでしまい、それがすべて「かぎかっこ」であったなんて
気づかずに内容を理解してしまうのである。それと、主人公と助手?である
「私」の日本版ホームズ、ワトスンな感じがとても面白くもある。
まぁ中の設定では御手洗はアンチミステリィでもあるのであるが。
ただ、事件の内容はというと、少々肩透かしな結末だったようにも思う。
なんだかどこかで読んだ事あるような……である。難しく、難しく、
しらみつぶしに、隙なくきたところ、意外にも大胆な犯行であり、
というか大胆な犯行過ぎて納得行かない、という感じもする。
最初の方が解けないように、と難しくしすぎて、頭でっかち。そのせいで、
中だるみである。みんな占星術に捕らわれすぎて、他の事に目が行かない
のだが、占星術を知らない人間がふと解いたら、もっと簡単に考えることが
出来たんじゃないだろうか、と思え。40年眠っていた事件とは思えない。
これは女の犯行は無理だ、と始めの方で女除外説、または共犯、みたいに
進むが、最後は女が犯人で、「すごい女だ」なんて終っている。
ちょっと残念である。と、あぁまた否定してしまったけれども、
とても楽しかったことには変わりはなくて。例えどんなに時間が掛かっても。
願わくばもう少しコンパクトにさっくり面白くしてくれたら、文句ない。
ただそれだけである。まぁすべてのことは、ただそれだけなのだけど。
御手洗シリーズまた読もうと思う。

★★★★☆*87

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■雑談:がまんできないタチでして

今日はなんもしてないなぁ、部屋の掃除して、図書館行って、
その帰りに年末ごもりの食料を買ってきました。
大根とか、肉とか、なんか鍋の材料ばっかりです。
痩せるわけだ。最近、牛乳&チーズ復活中。少しは脂肪がつくか……。

「占星術殺人事件」読み終わりました、長かったー……。
感想は後ほど。

何かとっても今更なんですが、カウントダウンジャパンに
行きたくなって来ました……あぁ、どうしよう。

どうしようと言いつつ、12/28下北沢のTHE NOVEMBERSのチケット、
すでに買っちゃってるのですが、もしかしたら行っちゃうからも。
大きいイベント行ったことないんですよね、こう見えて。
ちょっと行ってみたいんだよな……と去年も思っていたことを
思い出したら、急に行きたくなってきました。
当日券もあるようだし、もしかしたら行ってるかもしれません。

ははは、そうしたら、
あぁそんなに石井ちゃんに会いたかったのかと笑ってくださいまし。

あぁ、酔いもいい感じなので、そろそろ寝ます。

あと3冊?かな、今は川上さんと、角田さんがラストに向けてデットヒート。
あとは、内田百閒を少々。
吉田さんを中盤に迎える前に、100冊突破しそうです。

いつも来てくださりありがとうございます。

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2009年12月26日 (土)

12/26a flood of circle、cinema staff@横浜F.A.D『爆裂FxAxD ~THE REAL THINGS年末スペシャル!!~』

200912261828000
12/26a flood of circle、cinema staff@横浜F.A.D『爆裂FxAxD ~THE REAL THINGS年末スペシャル!!~』

■セットリスト(cinema staff)

 チェンジアップ
 AMK HOLLIC
 Daybreak Syndrome
 妄想回路
 バイタルサイン
 第12感
 Boys Will Be Scrap
 KARAKURI in the skywalkers
 優しくしないで
 君になりたい

■セットリスト(a flood of circle、何か順番違うかも)

 Forest Walker
 博士の異常な愛情
 Paradox
 シーガル
 Thunderbolt
 水の泡
 プシケ
 ロシナンテ
 Buffalo Dance
 泥水のメロディー
 春の嵐

END

 世界は君のもの

いやはや、楽しかった。
また音楽界の訃報を聞いて愕然としてたところを、温めてもらいました。
どうもありがとうございました。

●cinema staff
cinema staffは初めて観たのですが、観る前から若さに大注目。
ははーこれが22歳のバンドですか、と、
しょっぱなからしげしげと観てしまいました。やりますな。
わたしも年をとるもんですよ、とかなんとか。

音楽予備知識ゼロでいったのですが、かなりここちのいい音楽でした。
がつんがつん来るのに、なんだか音が柔らかくて不思議なロック。
たぶん一拍中に出るすべての楽器の和音の調和が、すごくいいんだと思う
のですが(深いところまではわかりません…)、ぎゅわんぎゅわんしてるし
わっとくる轟音なのに、眠ってしまいそう、そんな感じでした。
あ、もちろん眠ってしまうというのはいい意味ですよ。本当に眠るわけでなく。

いい音楽でした。なんだかまだまだ成長しそうで、
楽しみなバンドだなぁ、と思いました。
是非また対バンして欲しいです。

●a flood of circle
今日もあんまりよく覚えてないのですがね。楽しかったので。
佐々木さんがたくさん喋っていましたね。
「春の嵐」で、奥村さんが踊り出す。どうしたんでしょうか仙台から。笑
石井さんも佐々木さんの後ろに立って、左右に顔を出したりしてました。
「春の嵐」には何かあるようです。

※どこかのMC 

佐々木さんが「俺、ギター変えるから」と言ってマイクから離れ、
「あとMC繋いどけよ」的な感じで石井さんにふった時。

石井さん「あ、楽屋でシネマのボーカルの瑞規くんと話してたんだけど、
そしたら俺お兄さんっぽいって言われたよ。なんかお兄さんっぽいねって」

渡辺さん「で?」

石井さん「いや、それだけだけど」

渡辺さん「それだけかよ」

石井さん「だって俺そんな風(MCを任されること)に言われると、
弱いっていうか……」

渡辺さん「じゃあさ、何かないの石井が今年一年で面白かったこととか」

石井さん「そうね、あぁ、この間俺たち青森行ったんですけど。
雪降っててすごい積もってて、着いてから俺たち街ん中歩いてたんだけど、
そしたら店の看板の上からものすごい量の雪がなべちゃんの頭の上に
落ちて来てね、どさーって」

奥村さん「あれねーすっげぇ高さから落ちてきたよな」

渡辺さん「そうそう、すげぇ高さからドーンってね。
でも何かその雪、”新雪”っていうの? だから、柔らかくて、
音の割にはぜんぜん痛くなかったんだけど」

石井さん「その前に、俺と大さんが雪かけて遊んでたりしたんだけど、
もうぜんぜん比じゃないくらい面白かったね、あれは」

※アンコール前の石井さんの妙な行動とたぶんこの時のMC

アンコールの拍手の中、すたすたと出てくる石井さん。
しかし、他のメンバーが誰も来ない。
入り口を振り返り、不安をおぼえた石井さんは、突然走って楽屋に戻った。

会場の観客「えーーーーーーー!!!!」

数秒後、再び登場。こんどは4人一緒。

佐々木さん「まったく一人じゃ何にも出来ないんだから」

石井さん「……」

渡辺さん「本当ね」

佐々木さん「いや、さっき石井を一人にしたら、何やるだろうって、
楽屋で話してたんだけど、何も出来ないんだから」

石井さん「……はい、一人じゃ何も出来ません」

佐々木さん「今日のシネマスタッフとの対バンはすげぇ久しぶりで、
俺たちもとても楽しみにしていました。去年だったか、
名阪と一緒にツアーを回ったことがあったんですが、それ以来で、
しかも東京でこんなにがっつりやることが出来てとても嬉しかったです。
実は楽屋でシネマの○○(聞き取れませんでした)という曲を練習していて、
転換中に演奏するって話をしていたんですが、出来ませんでした。
すみません。練習しておくので、今度の機会にぜひ……」

石井さん「はい、びびりぃ」

会場のお客さん「?」

渡辺さん「何、びびり、って」

佐々木さん「いや、言ってもいいけどさ。
ちゃんと(この会場のひんやりした空気)拾ってよね。
というか、お前がここ(ステージ)でびびらないで欲しいよ」

石井さん「……」

佐々木さん「えーと告知になるんですが、シネマと同じ日程で、
28日カウントダウンジャパンに出演します。
ちなみにカウントダウンジャパンに来られるかた、
どれくらいいらっしゃるんでしょうか(会場を見渡し)あ、そうですか、
じゃあその皆さん、ぜひ坂本龍一師匠と、ゴスペラーズをけって、
僕たちのところに遊びに来て下さい。……あぁ、ゴスペラーズみたかったなー」

渡辺さん「俺もゴスペラーズ観たかった」

な、フラッドでした。

あと、そうそう、カウントダウンの31日新宿LOFTでは、
石井さん命名「泥水の蕎麦」が販売されるそうで。
ぜひ皆さん、年越しは、「泥水の蕎麦」で!!
っていうか、このネーミングちょっとどうにかならんのか。笑

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2009年12月24日 (木)

「女はなぜ突然怒り出すのか?」 姫野友美

女はなぜ突然怒り出すのか? (角川oneテーマ21) 女はなぜ突然怒り出すのか? (角川oneテーマ21)

著者:姫野 友美
販売元:角川グループパブリッシング
Amazon.co.jpで詳細を確認する


クリスマスに何が楽しくてこんな本を読んでいるんだろう、と思いつつ読了。
しかもどうにも同意できない残念な本。というか、つまらない本を読むから
毒舌が生まれるわけで、全ての本がつまらなくなかったら、きっとそんな
定義すらなくなるんだろう。とか、なんとか、きっとつまらない世の中だ。

ビジネス書なので、このまま感想に突入します。
まず始めに考えて欲しいのは女にも種類がある、ということです。
例えば中学や高校の時、同じクラスにいた女の子を思い出してください。
派手な格好をしたり、化粧をしたりして男の気をひいている女の子の集団。
漫画が大好きで、黙々と本を読んでいるような地味なメガネっ子集団。
どちらにも所属せず、学力向上を目指す優等生な女の子集団。
大雑把にわけても、大体これくらいのタイプはいたことでしょう。
で、この本に書かれている「女」は、1つ目の男の気を引いている女、
でした。なぜか、というと著者自身がそうだからでしょう。
中身には統計的なデータや、人間の脳内のしくみ、などの説明があり、
女は男よりも情報を伝達する神経が太いので、すぐカッとなったり、
いきなり泣き出したりするのは、いわばパニック状態なのである、
と書かれていました。なるほどー男とはそもそも構造が違うのね!
とそこまでは納得して読んでいたのですが、そこから突然著者の偏見が
入り始めて閉口しました。女の勘は鋭く、「なんとなく、そう思う」
という直感は当たっている。男は浮気をするとすぐばれる。男は鈍感だ。
などと、いきなり著者の考えが挿入され、呆然としました。
わたしの周りにはまったく空気の読めない女の子が何人もいます。
それはあなたの考えであり、「一般的女性」のことではないでしょ、
と言いたくなりました。そう、著者は最初に言ったように、
「男の気をひいている女の子集団」に属すると思われる女性だからです。
わたしとはまったくタイプが違います。だから読んでいて、
「女は○○というものだ」と断言されるたび不愉快な気分になりました。
あと、女は何かにのめり込みやすく、だから恋愛は麻薬のようだ、
と書いてあったけれど、そのあとのページには、男は何かの収集など、
「オタク」と呼ばれるのは男性に多い、と書かれていました。
明らかな矛盾ですね、どちらだってのめりこむものはのめりこむのです。
それを著者の判断でヘンテコな理論を繰り広げるので、ぐちゃぐちゃです。
それと、男を馬鹿にしているんじゃないか? と思えるほどの、
「女はこんなに繊細なのよ、男のあなたにはわからないと思うけど、
まぁ上手くやりましょ」的な高圧的な文章に、これを読む男性に
哀れみを感じました。普通、ビジネス書というのは、その分野を理解した
上で、噛み砕き、分かりやすく面白い例えをするものである。
この本は元の「女性のタイプがあるということ」を踏まえていない他、
分からない人間に、分かってもらおう妥協やサービスという精神が全くない。
それと文章をよく読み直しながら本を書いたほうがいいと思います。
おんなじことを何回も書いているし、要点やまとめが存在しません。
何だか男の人にこの本で「女がわかった」とされるのが残念に思います。
むしろ男性に書いてもらいたいですね、こういう本は、と思いました。

★★☆☆☆*55

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2009年12月23日 (水)

■雑談:毎年恒例の

いやー寒いですね、やはり風邪引きましたこんにちわ。
残念きわまりないです。
ここのとこ辛いものばかり食べていたからだろうか(きっと勘違い)、
喉の粘膜がまんまとやれれました。あぁ。

毎年恒例の面白かったランキング、そのうち作ります。
作れたら……(気弱、笑)

ところで、本があと5冊で100冊です。
今年残す日は8日。さすがわたし、ぎりぎりです。
夏休みの宿題も毎年ぎりぎりだったなぁ。
交通安全のポスターと読書感想文だけるんるん初日に書いて、
そのほかは全部最後の日だったなぁ……。
とかぼんやり懐かしい記憶が走馬灯のように。

■読み終わっていたり、読んでいたりする本
・「占星術殺人事件」島田荘司
・「指先からソーダ」山崎ナオコーラ
・「幻惑密室」西澤保彦
・「三月の招待状」角田光代
・「真鶴」川上弘美
・「冥途・旅順入場式」内田百
・「悪人」吉田修一(再読)

「WILL」本多孝好は期限内に読めず、返しました。残念。
でも本多さん最近のはちょっといいや。わたしがダメな理由も、
途中まで読んでいて分かりました。なるほどー、とまぁ後でまた。

それより何より、「占星術殺人事件」島田荘司をどうにかしたいです。
もう1ヶ月くらいバッグに入っていて重いんですけど……。
2段だし、分厚いし。とりあえず年内で修める方向で。

ちなみに「今年のベストリーダー」は、
----------------------------------------------------
9冊 東野圭吾 
7冊 森博嗣 
6冊 時雨沢恵一 
5冊 山本文緒、角田光代
4冊 西澤保彦
3冊 恩田陸、歌野晶午、桐野夏生、金城一紀、川上弘美、
   村上春樹、太宰治、中島たい子
----------------------------------------------------
ような感じでした。1割東野圭吾……いいのか、悪いのか。
来年は、川上さんと山崎さんをたくさん読みたい。
アガサ・クリスティと村上春樹の再読も検討中。
吉田さんも再読したいなぁ。とか読みたいものはたくさあり、
けれど新しい作家も見つけたい今日この頃。

それと、観たい映画がオンパレードする年末年始。
もちろんリバイバルの方ですけれども。
はりきって観てこようと思います。それにしても休みなしってすごい。

いよいよ年の瀬。早いなぁ。
みなさまお風邪を引かぬよう。
いつも来てくださいどうもありがとうございます。

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2009年12月22日 (火)

「何もかも憂鬱な夜に」 中村文則

何もかも憂鬱な夜に 何もかも憂鬱な夜に

著者:中村 文則
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


昨日図書館に借りに行ったら、予約した覚えのない本が一冊。
この本である。むむむ? わたし予約したっけ? しかもこの作家さん
一冊も読んだことがない。まぁ、せっかくだし読んでおくか、
というわけで、薄かったのでさっくり読了。うーん、ちょっとダメかも。

孤児院で育った僕は、刑務官として働くようになった。
罪を犯した人間が収容される刑務所。そこの管理をしているわけだが、
僕はできるだけ問題ごとに巻き込まれないようにと足早に館内を
歩くのだった。刑務官の失態は世間に大きく取り上げられ、
問題視される。そんな無様な様子を見てか、独房からはいつも
僕を笑う声が響いてくるのだった。僕は山井の独房に立ち寄り、
いつまでも眠りにつかない山井を叱った。山井は、家に侵入し、
妻を暴行し殺害、その後に来た夫をも刺し殺した重犯罪者である。
しかし、山井は今二十歳――事件当時は十七歳であった。
僕は山井を見るたびに、昔自殺して亡くなった孤児院の友人を
思い出す。山井は事件について控訴をしないと言う。死ぬ気なのか?
死にたければ、死ねばいい、だけど本当のことを話し死んだらいい。

うーん微妙。法律というか、このような刑法の問題について、
法学部ではない一般の人間は本当に無知だと思う。この本を書いた、
中村さんも、きっと法学部ではないだろう。何だか、論点がずれてる。
まずそこに引っかかってしまい、楽しむことが出来なかった。
ちなみにこの本のような論戦が繰り広げられる法学部の科目は、
「刑事訴訟法」もしくは「少年法」といわれる分野である。
まだ確立されて間もないため、非常にあやふや、はっきりした
根拠のない偉い人たちの意見の言い合いが続いている科目である。
そのため授業のテストや提出物は、ほぼ論文である。まぁ法学部
なんてほぼ論文なのだが、「用語を覚える」だとか「メリットの研究」
とか、そのようなものは一切ないのである。わたしがちょうどこの
科目を受講している時、とても目立っていた事件がある。
光市母子殺害事件だ。「刑事訴訟法」の筆頭事件といっても過言でない。
この本もこの事件を取り扱っているのだと思われるのだが、
この事件でもっとも重要視された問題は、「少年」という枠組みを
どこまでとするか、というところだった。と言うのも、少年法が
適応されるのは、18歳未満の子どもだからだ。この事件の犯人は、
18歳と3日だったか、4日だったか、とりあえず18歳になりたての男
だった。弁護団は、3日くらいいいじゃないか、と言い始める。
外見の年齢的には確かに18歳だが、中身はもっと幼いのだ、と。
そうこうしているうちに、実は犯行当時、少年は精神こう弱状態だった、
と言い始め、あの「ドラえもん発言」に繋がってゆくのである。
少年の親は、少年が幼い時に自殺している。しかし、
「押入れを開けたのは、ドラえもんに助けてもらいたかったから」
とは飽きれてものも言えないほどだ。そして、対抗する被害者の方も、
やたらとマスコミに顔を売るようになる。「私たち可愛そうでしょ」
と国民に訴えかけ、最後には「どっちが可愛そうでしょうか」対決に
なり、国民の感情を揺さぶった方が勝ち、みたいな論戦になっている
のである。少年側は、罪を軽くしたいから。被害者側は、少年を死刑に
したいから。突き詰めれば、ただそれだけの核心だというのに。
この本は、「本当の事を言って死ね」となっているが、それが出来ない
世の中になっているのだから、奇麗事としか思えない。
少年の本心を聞く(それも重々大切なのだが)よりも、こうなって
しまった世の中の問題性を取り上げた方が今の世に合っていると思う。
初めて読んだ作家さんだったのだか、デビュー本なのかと思ったら、
芥川賞作家だった……。だってバリエーションのない形容詞と比喩、
何度も繰り返されるのにあまり効果のない描写。あぁ、ダメみたい。
中村さんの上辺だけじゃない本を読んでみたら変わるかも、と思う。

★★☆☆☆*65

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2009年12月21日 (月)

「今はもうない」 森博嗣

今はもうない (講談社ノベルス) 今はもうない (講談社ノベルス)

著者:森 博嗣
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


ここにきて森さんである。去年と何ら変わらないのではないか、
という残念な気持ちになりつつ、さっぱり読了。面白かったけど、
シリーズを順に読んでいかないとちっとも面白くないだろう本。
というわけで、是非順番に読んでください。この本は8巻目です。

私はふと湖の方に、一人の女の影がある事に気づいた。
彼女は自分の名を西之園と名乗った。次第に天候が悪化し、
私は彼女をつれ先ほどまでいた滝本家の別荘へと戻ることにした。
それにしてもなんと美しい女性だろう。私は、西之園嬢にすっかり
夢中になってしまった。別荘にいた、滝本父子、それからモデルを
している神田嬢、役者をしている朝海美人姉妹、私の婚約者に
彼女を紹介し、その晩は西之園嬢もこの家に泊まることになった。
客間をあてがわれ、眠りに着いた西之園嬢だったが、
深夜すぎ、悲鳴を聞いたと私の元へやってきた。一つ上の階、3階に
ある娯楽室と映写室は鍵がかかったままであった。この二部屋は
内側からしか鍵がかけられないと言う。ドアを破壊し、
中に入ってみると、そこには変わり果てた朝海嬢たちの姿があった。

S&Mシリーズファンとしては、とても満足して読み終わった本だった。
語り手が、笹木という40代男性視点で動く、というちょっと工夫された
ものになっていたので、今までのマンネリを考えずに読めた。
なかなか一人称で書かない森さんだが、なるほどこの線でも
いけるのでは、と思ったりもした。けれどもこれに反比例して、
この笹木という視点が終始西之園嬢万歳!な視点で動くので、
マニア受け、というか森さんが自身が書きたかったのか?と、
疑念を持ってしまったりもして、純なミステリ好きにはお薦めできない
ものになっていた。そもそもこれまでの巻で、萌絵の性格や気性を
知っており、犀川以外の視点から見た萌絵の愛らしさ?を楽しみたい、
みたいな感情がないと、あまりぐっとこないのかもしれない。
なにせ、どんくさい男の視点があまりよろしくないからなんだけど。
今回のミステリもちょっとイマイチである。お決まりの密室殺人宣言で
ものがたりは進んでいくが、結局自殺でしたでまとまる。
どうしても解けなかったなぜ服装が入れ替わっているのか、という
トリックについても納得できるものではなく、自殺だと思わせたく
なかったから、と言いだすのである。ちょっと待ってくれ本末転倒……。
と、少し残念でもあった。もう少し灰汁なく書いたら楽しかったろうに、
森さんも萌絵で楽しみたかったんだな、と納得しまとめておく。
先に読んでしまった「数奇にして模型」の方が面白かったな。
心理的な、解説もあったし。さて、次は最終巻「有限と微小のパン」。
あの上下2段にして1000P覚悟の分厚さに頭が上がりません。
シリーズの全ては「有限と微小のパン」にある、と言わしめたこの本、
本当に楽しみ。年明けにさっそく読もうと思う。

★★★☆☆*87

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12/21ウラニーノ、nano sound museum@西川口Hearts

200912220105000
12/21ウラニーノ、nano sound museum@西川口Hearts
(※また看板撮り忘れた、涙)

■セットリスト(ウラニーノ)

 龍
 ツアーメン
 終着駅
 Wonderful world
 坂道

END

 少年とぼく 

ん? 1曲少ない? いや、そうでもないか。
いつももう1曲やってもいいのにと思うのだけども。

久しぶりに「坂道」聴きました。
「龍」もかなり久しぶり。龍の小倉さんのドラムは最高です。
今日は3人でした。コサイさんいないと寂しいけど、スリーマンもよいね。
「ツアーメン」のときに、ハンドル握る手をやまぎさんがやらなかったので、
あぁ、そうだスリーマンだった、と思いました。
(コサイさん分のギターをやまぎさんが弾いているので、手が空いてない)

地元なのに、なんなのだろうこの空気。
生暖かいというか、なんというか。笑
しかし前よりお客さんが増えました。うれしい。
今日の「坂道」はとてもよくて、フロアの静かな空気に吸い込まれそうだった。
最後のフレーズを、やまぎさんはマイクから離れて歌いはじめた。

ウラニーノはへんてこな歌詞の曲が多くて、
初めて聴いた人は「んん?」と思うと思う。
それを歌にするのか、と笑ってしまいような、
正面から認めていいのか、ちょっとためらうような、感じというか。
でも、この澄んだ空気を吸い込んだ時の、心の奥のほうがゆれる感じを
わたしは忘れられない、そのおかしな部分とのミスマッチに、
惹かれるものがあるのだと思う。

わたし、なんで好きなんだろう、ってよく思うのだけど、
よくわからなくて、やっぱり好きなんだよな、と思いなおして理由は特にない。
知らぬ間に、ひきよせられている。の、かもしれない。

そう言えば、
ドリンクカウンターには小倉家の干し柿が無料で置かれていました。
この間はお米を売ってみたり、小倉家大活躍。
干し柿かなり美味しかったです、ごちそうさまでした。

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2009年12月20日 (日)

「自殺って言えなかった。」 あしなが育英会編

自殺って言えなかった。 自殺って言えなかった。

販売元:サンマーク出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する


小説ではありません。親が自殺してしまった、子どもや妻、もしくは夫が
語る「自殺について」の本です。自殺をするのは弱い人間だからだ。
そういう人はたくさんいる。残された家族は、好奇の視線に耐えなければ
ならず、また、そんな言葉から亡くなった人を認めることが出来ないという。
その気持ち分かります? いや、簡単に分かると言ってはいけない。
失ったものにしか分からない心を、悲しんでいる人を認めるのが大切なのだと。

小説ではないので、ここから感想というか、わたしの思いです。
わたしは今までずっとひとつのことを悔やんで生きてきました。
それは「自殺」した人を「病死」だと偽ったことです。
自殺するには、きちんと理由があります。その理由を世間体という
もののために、かき消し、ないものにしたのです。
今でもずっと、それだけが心残りです。
わたしは、中学生の時に友だちを自殺で亡くしました。
Tは幼稚園から中学校まで、同じ学校に進学した同じ歳の男の子でした。
わたしたちの中学校には、ひどいいじめが蔓延していました。
日々友だち通しの悪口が繰り広げられ、それに賛成すれば仲間、
しなければハブ、といった具合で、明日になったら、
親友が親友ではなくなる、裏切りに怯える毎日でした。
ハブになった子は見せしめに通学用の自転車を破壊されました。
置かれている教科書や私物はことごとく破られ、捨てられていました。
顔も見たことがない登校拒否児童がたくさんいました。
先生が精神病になったり、妊娠中の女の先生が男子生徒に蹴られたり、
窓ガラスが割られたり、試験問題が盗まれたりするのは、
日常茶飯事の事でした。それらのことがすべて「普通」だったのです。
ある日、些細な出来事でTがいじめのターゲットになりました。
隣のクラスからいじめの首謀者がやってきて、毎日Tを脅したてました。
「おい、金は持ってきたか」だの「殴らせろ」だの、そんなことを言われ
ながら、いつも教室から連れ出されていきました。しだいにTの学生鞄は
汚くなり、物がなくなったと言うようになりました。でも、わたしは
Tに対し親身になって話をしませんでした。いじめられているTと、
親しくしたり、守るような事をしたら、今度は自分がそのターゲットに
なってしまうのを知っていたからです。そしてそれはわたしだけではなく、
クラスの全員がそうでした。自分がそうなるかもしれない……
その恐怖に、わたしたちは見て見ぬふりを決め込みました。それはもう
一緒になってTをいじめていると言っても間違いではなかったのです。
誰もとめようとする気持ちを、もつことが出来ませんでした。
そんな矢先、Tは家の軒先で自殺をしました。
わたしは現実を受けとめることが出来ず、涙を流すことも出来ませんでした。
地元新聞のおくやみ欄にはTの名前があり、死因は「病死」
と書かれていました。わたしは愕然としました。わたしは葬式で
「迷惑掛けてごめんなさいね」と泣き崩れるTの母親の姿を思い出しました。
わたしは罪の意識に苛まれるようになりました。
本当はわたしたちがいじめを止めなかったから、Tは死んだのに……。
そして、そのいじめの風習と現状を認識してもらえないということ。
先生が精神病になったり、妊娠中の女の先生が男子生徒に蹴られたり、
窓ガラスが割られたり、試験問題が盗まれたりするのは、
日常茶飯事のこと……。それが「普通」……。
この「普通」を、ほとんどの人が分からないでしょう。
わたしは高校に入り驚きの毎日でした。
風紀のいいその高校は、授業中私語がないのです。
中学校では、授業中頭の上を野球ボールが飛び交っていました。
教室は話し声で満たされ、誰も教師の話など聞いていない。
あぁ、これが「普通」なんだ、と分かるまでに1年の時間が掛かりました。

なんだか、言いたいことがかけませんでしたが、わたしは今でもTのことを
よく思い出します。今生きて近くにいる友達よりも、顔立ちをはっきりと
思い出すことが出来、その声を思い出すことが出来ます。不思議です。
今もふとした拍子に、Tを思い泣くことがあります。
わたしが何かしていたら、死ななかったんじゃないか、とか。
わたしのほうが先に死んでいたら、死ななかったんじゃないか、とか。
もう何十回も、何百回も、何千回も考えた、ことをときおり強く思うのです。
この本はそう考えてしまう人への、(いや肉親なんだから、もっと強い
思いなのかもしれませんが)温かい勇気の言葉だと思いました。
少々「あしなが育英会のお陰」発言が多くて、残念に思いましたが、
そこから発展し、どうにかして「自殺」を湿っぽく暗いものではなく、
認識し、そして気持ちにせっしてもらいものにしたい、という思いを
熱く感じた本でした。あしなが、だけではなく、あるいは
そんなものを要するではなく、「自殺」という事実を認めてくれる社会が
来てほしいと、深く考えることができました。
ここ数年で、わたしもようやく笑えるようになりました。
Tのためにも、とそこまで大げさではありませんが、Tのぶんも
生きてみたいと思えるこころを、持つことが出来るようになりました。
がんばれるこころがほしい。

★★★★☆*87

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2009年12月19日 (土)

12/19a flood of circle、serial TV drama、lostage@仙台HOOK

200912191653000
12/19a flood of circle、serial TV drama、lostage@仙台HOOK

■セットリスト(a flood of circle、順番間違ってそう)

 泥水のメロディー
 博士の異常な愛情
 Ghost
 プシケ
 Thunderbolt
 水の泡
 シーガル
 Buffalo Dance
 春の嵐

向かってるとちゅう黒磯あたりではらはら雪が降り始め、
福島あたりでもさもさ雪になり、いやーな予感がしていました。
しがし、着いてみると仙台は晴れていて一安心。最高に寒かったけど、
なーんだ大丈夫じゃん、と観光に切り替わりました。

牛タン&お洒落カフェを満喫し、ライブハウスに行くと、開場1時間押し。
しかもシリアルがついさっき着いたばかりで、
フラッドとロストエイジはまだ着いていないらしい。
高速道が雪でストップとか、なんとか。
もしやゲストなしかし?な、そわそわ感が会場に満ちていました。

●シリアル
開始5分前、フラッドとロストエイジがようやく到着。
そして、シリアルツアーなのにまさかのシリアルスタート。
やはり高速道が通行止めだったから、とちゅうで機材車を捨て、
電車でメンバーが機材を運んだそうでした。
思い出すのは、大阪城野外音楽堂。
あのときも道の関係でシリアルは遅刻し、順番が変わっていた。
今回はその経験を生かしたがんばりだな、と友だちが言っていました。
新井さんは電車の中で弦を張り替えねばならなかったらしく、
「迷惑かけてすみません!!」と謝っていました。

リハーサルほぼなし、ということで、トラブル続出。
極めつけにアンコールで新井さんのギター音が出なくなりお手上げのポーズ。
ギターをスタンドに置くと、妙な格好で踊っていました。
いいもの観れました。
いろいろ、あったけど、いろいろあったぶん楽しいライブでした。

「順番が1番目になってしまったことで、シリアルを観れなかった人たち
申し訳なかったです。また必ず仙台に来ますから、ぜひ遊びに来て下さい。
よろしくお願いします」とフトシさんが言っていました。

会場は大盛り上がり。タオルがたくさん回ってました。
「赤いパーカー」よく聴くけど、やっぱり好きだな。
青森も楽しんでくださいね。お気をつけて。

●フラッド
シリアルが終わり、完全リハなしでステージへ。
たった今運んできた機材を物凄いスピードでセッティングしていました。
焦りと、10時間ドライブの疲れもあるようで、心なしかみんな硬い表情。

言ってしまうと演奏は、今まで聴いた中で指折りのワースト演奏でした。
奥村さんのギターの音量バランスが崩れていたり、
渡辺さんのリズムが一拍多かったり、
佐々木さんの音程が外れていたり歌詞がとんでいたり、
石井さんのチューニングがずれたり……。
なんかもう、笑ってしまうくらいでした。

でも最初は緊張した様子だった4人は、MCを挟み「Thunderbolt」から
表情が切り替わり、にっこにこした演奏へ。「Buffalo Dance」なんかは、
客席フロアめちゃめちゃの盛り上がり。すごい、力だ。
いつの間にか、熱気に満ちたステージに変わっていて、
安心というか、すごいやというか、リハって大事なんだというか、
笑顔ってやっぱりいいというか、いろいろぼんやり考えていました。

ちなみに、MCは石井さんの新作タオル紹介でした。

「あ、今鼻水かんだタオルだけど……新しい鼻水をかむためのタオルです」

いつも以上にうけない。
うけなさすぎる空気にフロアに漏れる忍び笑いと笑い声。
石井さんは偉大です。

日常にトラブルはつきもので、でもそれに遭ったとき、
そのとき最高につらくても笑って過ごすのって大切ですね。
ダメだダメだって、思って表情を硬くしたり、
その不運にやつ当たりしたり、そうこころの奥で感じたとしても、
やっぱりそんなことはしないって、強い意志を感じた今日のフラッドでした。
要するに、とても楽しかったのです。

「シーガル」!
なかなか久しぶりに聴きました。

めちゃめちゃな演奏で、けれど会場は大盛り上がり、
わーめちゃめちゃだーと4人も振り切れて笑いまくりのにっこにこ。
柵が遠いのに頑張って足をかける佐々木さん。フロアにつっこむ。
石井さんが妙なテンションで客席を煽りまくり、やはりフロアにつっこむ。
奥村さんが暴走してやたら動き回る。
「春の嵐」で、佐々木さん「どぉーか、」の歌詞のところで、
なぜか右端でギターを放り出した奥村さんが平謝りポーズ。
おかしすぎて、げらげら笑ってしまいました。

あぁ面白かった。ありがとう。
今日もいいもの観れました。
毎度仙台は好きです。いや「も」ですがね。
強くなってゆく彼らを見るのが好きです。
雪道お気をつけて、青森でも笑ってきてください。

●ロストエイジ
初ロストエイジ。こちらも完全リハなし。
何気なく聴き始めたけど、やばい!!このベースかなり好き。
というか、こんなめちゃめちゃな状況下、
ゆるぎない演奏には本当に拍手。
物凄い安心感。頭が上がらない感じでした。ありがとうございます。

なかなか珍しいベースボーカル。
曲調もベースが先行してるものが多く、もろ好みでした。
MCはとても謙虚で真面目な感じ。
ボーカルさんギターさんはご兄弟なんですね!
息のあった感じ、なるほど、と思いました。

もうひとりのギター中野さんの脱退が決まっているそうで、
4人での演奏を聴くことができて嬉しく思います。

また聴きたい。というか、絶対聴きにいく。
素晴らしい演奏で、こころをまるっと包んでくれて、ほっこりしました。
感謝します。

仙台、いいな、と思うことが多い仙台好きですね。
6月のTHE NOVEMBERSの演奏も忘れられないしね。
次も楽しみです。

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2009年12月18日 (金)

「そして誰もいなくなった」 アガサ・クリスティー

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

著者:アガサ クリスティー
販売元:早川書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する


ここにきてアガサクリスティ!「そして誰もいなくなった」だいぶ昔の本
なのに、常に貸し出されていて、なかなかすぐに借りられない。
年が明けてからかなぁ、と思っていたら、届いたので読み始めたら、
思いかけずノンストップ。さすがである。中学校ぶりの再読でした。

ウォーグレイヴ判事、ヴェラ秘書、ロンバート元陸軍大尉、ブレント老婦人、
マカーサー将軍、アームストロング医師、アンソニー青年、ブロア警部、
の八人は、ある日突然手紙を受け取った。差出人U・N・オーエンのその
手紙には、彼らのごく近しい知り合いの名前があったが、今は簡単に
連絡の取れない遠方にいるものたちばかりであった。多少の不振を感じたが、
しかし日常の煩わしさから逃れるため、十人は手紙で招待され指定された
インディアン島へと集まったのであった。インディアン島とは、
最近転売された有名な豪邸が一軒だけ存在するという島であった。
それぞれ全くの面識なく集まった八人は豪邸に着き、使用人の二人と出会う。
船乗りは本島へと帰っていった。その上使用人の話によるとU・N・オーエン
と言われるこの豪邸の持ち主は、遅れてくるらしい。この島にはこの十人
しかいないようだ……。主人を待つため酒を飲み始める各々。ようやく
会話をし心を許し始めた十人だったが、そこで一人の人間が倒れた。
死んでいる?! 残された九人はこの島に伝わる歌を思い出すが……。

清く正しいミステリ小説。これを読むと、今のミステリ小説がいかに
ひねくれまくっているかがわかる。あぁ、なんて純粋なんだ、と言う感じ。
この本は結末のためにある。だから殺され方や、トリックなどには
注意があまり払われていないように感じる。人が一人、またひとりと
消えてゆくそのしかけは、次は誰? という恐ろしさを、本人たちに
抱かせるために練られている。もしくは、読者がそう感じるために
創られているといっていいだろう。ラスト三人になるまで、
犯人は誰にでも可能だ、というあやふやな状態が続く。ある意味、
トリックすらないのだ。この中に犯人がいると分かっているのに、
分からないもどかしさ。そして、自分の侵した罪を再確認し、
強がりと、そのしたにかくれている怯えた心を上手く描いている。
本当は、死んでもいいと思っていたような……いや、違う。
今まで隠してきた自分の罪を、隠していた期間の間だけ重く感じ、
自らの死を考える。もちろんそれは「殺されるかもしれない」という、
「死」であるが、同時に、殺されるほどの罪であった、ということを、
深く考えていたように思う。死んでも仕方がない邪悪な心をもっていた、と。
犯人は、とても意外性がない。というのも、現代の小説は「あついが?!」
という驚きのオンパレードを目指しているからだ。犯人でありそうな人が、
犯人であるのはつまらない。そんな考えから、トリックにトリックを重ね、
まさか、あいつが!という追求になっているように感じるのだ。と、
そんな小説ばかり読んでいて、それからこの本を読むと、ため息を
つきたくなる。人を殺す。それは重要で、重大な事である。だから、
何かの信念がなくてはならない。それは誰もが頷ける穢れのない志であり、
誰もが感じる憎悪でなくては。けれど、殺人に穢れがないものなどない。
だから、この事件の犯人をも、クリスティは殺さねばならなかったのである。
ひとつ残念なのは、この本に出てくる、インディアンの歌である。
十人のインディアンが一人ずついなくなり、そして誰もいなくなる、
という歌である。この殺人は、この歌に模したものになっており、
最初の方で、登場人物もそう認識している。それなのに、次に行われる
はずの、殺人への研究というか、例えば海に消える、というのだったら、
みんなで海に行かないようにする、とかいうことだが、そういう努力がない
のは、どこか死を受け入れているようにも思えなくもない。そう感じるのは、
狙いどおりなのか、そうでないのか、ちょっと気になった。
読んで損はない、最高のミステリである。

★★★★★*95

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2009年12月17日 (木)

12/17a flood of circle、FoZZtone@千葉LOOK『千葉LOOK 20th 記念~6×9=53days~』

200912180151000
12/17a flood of circle、FoZZtone@千葉LOOK『千葉LOOK 20th 記念~6×9=53days~』
看板撮りわすれました(涙)ひさびさ。

■セットリスト(a flood of circle、順番間違ってそう)

 Forest Walker
 博士の異常な愛情
 Paradox
 Thunderbolt
 SWIMMNG SONG
 プシケ
 Buffalo Dance
 泥水のメロディー
 春の嵐

Ghostやったけ?よくおぼえてない……。

■セットリスト(FoZZtone、順番は合ってると思うが、なにか足りなそう)

 音楽
 黒点
 JUMPING GIRL
 NAME
 NIRVANA UNIVERSE
 Rainbow man
 school
 シンガロン

END

 BRUTUS (Et tu, Brute!)

YUEY。
初めて観たけど、好きな音楽でした。
なんとなくSTAn系かと思う曲調です。
SOLD OUTがはじめてだったらしく、
ボーカルさんが緊張のあまり不審な動きをしていました。
「ぼ、ぼ、ぼくたちSOLDOUTが初めてで、なんていうか、もう……」
と声を震わせ、嬉しさを話すようすは、なんだか涙をさそいました。
いつかはどのバンドも通る道ですからね。
満杯のライブハウスの静けさに、わたしも今日は少し怖さを感じました。
感情がうつったのかも。また観たいなぁ。

フラッド。
楽しかったなぁ、すっごいぎゅうぎゅうだったけど……(へとへと)
右にいたので、石井さんしか見えませんでした。
すきまから観えた石井さんが面白かったです。(面白かったは失礼か・笑)
今日はLOOK記念Tシャツを佐々木さん以外が着ていて、
カラフルなフラッド。わたしはかなり違和感(笑)きっと他のみんなも。
個人的に佐々木さんの白シャツもインストアから気になっているが……。
いや、似合う、という意味で、です。もちろん。

今日は「SWIMMNG SONG」がやけによく感じた。
石井さんがネックをなでるように弾くのがとても好きです。
と、テンションが高いので、好みのポイントを言ってみてたりする。

「PARADOX」も好き。
もう少し落ち着いて聴きたい。

楽しかったなぁ。もういちど言ってみます。
元気になりました、ありがとう。
あ、楽しすぎてMC忘れてしまいました。残念。

石井さんがTシャツの柄を客席に見せるために、
優雅な(のかわからない微妙な顔で)ポーズをしていて、うけてました。
あと、佐々木さんが「え、ちょっとバッヂの説明してよ!」と、
石井さんをしかった部分が面白かったかな。

フォズ。
いえい、久しぶりだーとばかりに観ていました。
しかし、みなさま休みボケですか……。
すごく楽しかったんで、なんもいうことないですが。

竹尾さんがやたらアンプやドラム台の上に乗って、
楽しそうにギター弾いてました。
LOOKはステージが低めなので、ファンサービスかな。

こっしーがよく観えました。
大人しそうに見えて、結構がっちり叩くので、ときおりハッとする。
系統はウラニーノの小倉さん系かと。
小倉さんの方がもっとがしがしだけど。そこが好きなんだけど。

キャノンが見えなかったので、ほとんど下を向いていたけど、
あぁやっぱりこの音楽好き、と思いました。
一ヶ月ぶりの感情はけっこういい。
今日は「NAME」がよかったなぁ。
渡會さん、早く喉治してくださいねぇ。

しかし、「Black sheep dog」……。

ツアーまたたくさんいきますね。
期待してます。

こっちも楽しすぎてMC忘れました。まぁそれだけ楽しかったってことです。

両方、CDJ出ますよーみなさん行ってあげてください!
わたしは行きませんけれども。
a flood of circleとFoZZtoneをよろしくどうぞ。

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2009年12月15日 (火)

■雑談:ようやく冬がきたか

寒いですね~週末雪ですか……。
遠出するんですけど、交通機関がまひしないことを祈ります。

突然ですが、
冬になると美術館に行きたくなるんだよなぁ……とかなんとか。
わたしの中で美術館は開催期間を逃す率No.1です。
だって、気づいたら終わってるんだもの……。
しかも映画と違ってもう一回やるってことがほぼないので、
(まぁ県が変わればあり得ますが)めぐり合えない可能性大。

去年はミレイ展が観れてよかったなあ。
ジョン・エヴァレット・ミレイはすごくすきな画家です。
これは2回観に行きましたね。両日すごく混んでて観るのが大変でした。
http://rui31ct.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-6843.html

モネとか、レオナルド・ダ・ヴェンチもよかった思い出がありますね。
人物画ではありませんが、エッシャーも魅力的でした。
そのときはまぁ伊坂幸太郎にはまっていた、というのもあり、
「ラッシュライフ」の楽しみも増したように思います。

わたしはどちらかというと、絵画が好きなので、
先日新国立美術館でやっていたルーヴル美術館展なんかは、
むむむ、という感じでした。楽しいのですけど、
八割以上が発掘された調度品やなんかだったので、
ちょっともの足りない感じがしてしまい、残念。
でもちょうど新型インフルエンザが流行り始めた頃だったので、
館内がガラガラでもの凄く観やすかったんですけども。
皮肉なものです。

来年の1/20からは、同じく新国立美術館でルノワール展があります。
こちらも楽しみです。ルノワールこんどこそ、観るぞ(笑)
http://renoir2010.com

あと、ノーマン・ロックウェルの美術展が観たいのですが、
近代画家ということもあり、なかなかやらないのですよね……。
そういえばロックウェルの没日が、わたしの誕生日だと最近知りました。
年度は違いますが……なんだか嬉しいものです。
http://www.mozartant.com/top.html

あと、ダリ回顧展も観たかったんだよな……あんなに宣伝されてたのに
あのころは時間がなくて観にいけませんでした。
そう考えると、いまは時間がありあまってるよなぁ、
とか思い、とてももったいないことをしている気分になったりします。

と、話がそれましたが。
「年が明けたらルノワール」を合言葉に、良いお年を。
毎度ながらまとまりない雑談であります。

いつも来てくださりありがとうございます。

■今読んでいたり、読み終わっていたりする本
・「占星術殺人事件」島田荘司
・「指先からソーダ」山崎ナオコーラ
・「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティ
・「WILL」本多孝好
・「自殺って言えなかった。」あしなが育英会編集
・「今はもうない」森博嗣
・「幻惑密室」西澤保彦

そろそろ吉田さんの「悪人」を読み始めなくては。

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2009年12月14日 (月)

「ざらざら」 川上弘美

ざらざら ざらざら

著者:川上 弘美
販売元:マガジンハウス
Amazon.co.jpで詳細を確認する


川上さん好きだなぁ……としみじみ思った。しょんぼりしているときに
読むと、こころがほっこりする感じ。ひらがなって温かいんだなぁ、
と再認識できる本だった。「私」や「僕」と話す自分の中にも、
「わたし」や「ぼく」という柔らかい部分が存在しているように思う。

「ざらざら」
クリスマスって、なんか、もういいよって感じだけどさ、
正月はいいよ。これからは、正月だよな。
そんなふうにおだをあげながら、わたしと恒美とバンちゃんの三人で、
お酒を飲んでいた。一月の、世間の人たちは仕事始め、
というころだった。恒美は高校時代からの友だちで、バンちゃんは
バイト先で知り合った男の子だ。みんな同じ二十七歳、お酒がすきで、
すこしもうヤバイ感じだった。ヤバイっていうのはつまり、人生の
執行猶予がそろそろなくなってきてる、っていう感じ。賞罰の、
賞も、罰もなく、長い間、のへーっとやってきたけど、
そろそろアレだし、っていうような。酒を飲みまくり、正月にも飽き、
わたしの部屋で三人はそれぞれ目を閉じる。正月が嫌いな恒美は、
わたしと友だちになれてよかったといい、眠りに落ちていった。明日は
バイトかぁ。バンちゃんと一回ぐらいセックスしたいなぁ、とわたしは思う。

あらすじ、というか、ほとんど本文冒頭なんだけれども。この独特の
空気がたまらなくいい。ほわほわしているというか、つかみ所がない
というか、うわっつらというか、深く考えない、というか。
ぬくぬくと柔らかい毛布でくるまれたような感覚の下には、
けれどひどくしっかりとした現実が見え隠れしている。
現実から逃げているわけではなく、ただなしようもなく漂っている
弱さというか、その逆の留まっている根の強さと言うか、
アンバランスな印象を受ける。どちらも兼ね備えている感情。
どちらがなくても成り立たないし、どちらが多くても居心地が悪いし、
どちらも愛しいものだ。その融合というか、
ミスマッチ具合が、あぁ心地よいという感情を作ってくれ、
悩みすぎるこころを解してくれるような気がした。
ここに収められている話には、ほとんど「終わる」ということが
存在していないように思う。これからどうしようという不安であったり、
よし、これからは、と歩き出してみたり、何もないけど、アレだけは
ちょっとやってみたいんだよね、というささやかな「これから」の
上に成り立っているように感じた。「わたし」や「ぼく」といった、
ひらがなで語られる言葉たちは、驚くほどするりと読み手の中に
入ってきて、そっと諭してくれる。あぁ、日本語ってこんなに
優しかったんだ、と思った。ひらがなを学んだ子どもたちは、
大人になり漢字を使うようになる。画数が多く、堅苦しく、
立派な漢字を使いこなすのが大人であるけれども、こころの中に住む、
「私」ではなく「わたし」の思いを時には聞いてみるのもいいな、
と思えた。短編にも満たないSSばかりだが、どれも一遍で充実した
思いを得ることが出来る。これは女性だけの感情だろうか?
分からないけれど、この本を読んだ男性が、何かを感じてくれたら嬉しい。

★★★★★*92

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2009年12月13日 (日)

「受難」 姫野カオルコ

受難 (文春文庫) 受難 (文春文庫)

著者:姫野 カオルコ
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する


人の立ち入らない境地に踏み込む勇気があれば、何でも出来る気がする。
むしろ超えてしまったがために、たがが外れるのか、
そもそもなぜこんなに重要なことに誰も手を触れないのか、と、
疑問にさえ思えてくる。これを読み、頷く女はたくさんいるに違いない。

修道院で育ったフランチェス子は、貞操を守り慎ましく生きている。
豪華なものを持ったこともなければ、福引で当たったプラダのバッグを
被災地へと寄付したくらいだ。そんなフランチェス子の腕に、ある日
突然人面瘡ができてしまった。一見痣のようだが、人の顔をしている。
その上なんとフランチェス子に話しかけてくるのである。
キキキキ、と下品で卑猥な笑いを繰り返す人面瘡は、
翌日フランチェス子の秘部へと移動していたのだった。
「俺がいても、お前のここは使われることはない。このダメ女め」
人面瘡はフランチェス子は貞操を守っているのではなく、
守れてしまうような男にとって魅力のない女なのだと貶し続けた。
自分が女として無能なことを認め始めたフランチェス子は、
人面瘡を「古賀さん」と名づけともに生活してゆくことにしたのだが……。

なんか、もう言うことはない、と言う感じである。
女友だちに、ただ「いいから読め」と言って渡してみたい。
卑猥という、そういうものを通り越して、ああ愛とはそういうものね、
という悟りを感じさせる内容であった。まぁほぼギャグなんだけど。
女として微塵も魅力がないフランチェス子は、古賀さんに取り付かれ、
自分のダメ女加減を知る。触るだけで男を萎えさせるだけではなく、
道具を破壊してしまうほどの特異体質なのであった。
本当は豊満な体を持ち、顔も悪くないはずなのに、
彼女の何が魅力を打ち消しているのか? 裏を返せば、「もてない女」
はなぜいるのか、という疑問のつきつめた本でもあった。
男は、女を見れば興奮するはずなのに、なぜかそう思えない女がいる。
あるいは顔や態度を隠してさえいれば、大丈夫なのになぜなのか。
女の「女たる態度」を放棄した女は、もはや女ではなく価値がない。
女であるためには、男が好くとされている女の行動パターンを模し、
すべてのパーセンテージの真ん中を行けば完璧である。
男は寄ってくるだろうし、女でいることが出来る。しかし実際は、
多種多様のもてる女ともてない女がいるわけで、結局のところ、
誰かを好きになる、という感情の変化により、「女」というものが、
生まれるのではないか、と纏まっているように思える。
最後、フランチェス子は古賀さんと上手くいくわけで。
通り越えてしまえば、誰も立ち入らない境地で佇むことは、
案外気持ちがいいことなのではないか、と感じる。
何たって、楽しい本なので、卑屈さなど必要ないのだと。
まぁ、エロス注意、ということで。電車では読まないほうがよいかと。
それにしてもキリスト教と筋肉少女帯のミスマッチ具合が最高です。

★★★★☆*86

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2009年12月12日 (土)

「おやすみ、こわい夢を見ないように」 角田光代

おやすみ、こわい夢を見ないように (新潮文庫) おやすみ、こわい夢を見ないように (新潮文庫)

著者:角田 光代
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


あぁ何かしなきゃなぁと思う。わたしはいつまでこのぬるま湯に
浸っているんだろうか。何かを、何かを、何かを、といって、
ただ何かを待っているだけのような気がする。そうだなぁ、明日からは。
暢気なわたしが言う。そうね明日から。わたしは頷き日は過ぎてゆく。

「空をまわる観覧車」
あなたを呪ってやる、というりり子の一言で、重春の浮気は幕を閉じた。
それからというもの、ちょっとした嫌な出来事があるたびに、
重春はりり子の仕業ではないか、と怯えるようになった。ファミレスで
貝殻が混入していた時も。コーヒーのミルクが古かった時も。
重春は買い物リストを握りスーパーをうろつきながらも、
りり子の影に怯え、後ろを振り返った。りり子との浮気がばれてから
妻の亜佐美は家事をしなくなった。重春に仕事を辞めさせ
家事を担当させるようになったのだ。重春はなにを言うでもなく、
作業に掛かる。浮気というその出来事によって、何事も重春が
押し黙るといった方程式が出来上がっているような気がした。
りり子の声と、亜佐美の言葉に重春は窮屈な思いを必死に受け流す。

つまらない。久しぶりに、つまらない。2回言っちゃうほどつまらない。
角田さんの本が面白い時の吸引力、と言ったら物凄いものがある。
ページを捲る手が止まらないのだ。ラストに向けて物語が終わって
しまうことが残念にすら思え、ため息混じりに最後を読み終える。
読んでよかった、この本に会えてよかった、と思うのである。
でも、この本はつまらなかった。角田さんは、現在進行形の気持ち
よりも、過ぎてしまったことの余韻を書くのが上手い作家だと思う。
通り過ぎてしまった恋愛や恋、離婚してしまった夫婦、
仲が悪くなった友だち、会わない誰かの思い出、などなど。
幾分負のパラメータが多い気もするが、逸れに負けない説得力がある。
あぁわたしもそう思う。と、まったく違う経験なのに、
気持ちを馳せることが出来る。というのは中に描かれている感情が
本物だからだろう。現在進行形の気持ちというのは、
そもそも書くのが難しいものだと思う。特に怒りや憎悪、と言った
一瞬で燃え上がるような強い感情についてである。それはなぜか。
時間が経つと、人間はその気持ちを忘れてしまうからだ。
その時は確かに怒っていても、時間が経てば「まぁいいか」と思えたり、
順を追って考えてみたら、なぜ怒っていたのか分からない怒りへと
変わってしまう。例えば「殺したい!」と思った一瞬の感情を、
時間が経った今正確に思い描き、ましてや描写するのは、至難のわざ
であると思うのだ。そして、角田さんはそれがとても不得意のようだ。
以前『三面記事小説』を読んだ時も思ったのだが、怒りへの
感情の起伏が、とても曖昧で微妙だった。怒りや憎悪を感じる
もやもやとした葛藤はあるのだが、それが吊りあがり、高ぶってゆく
という描写が皆無である。この本もそう。浮気がばれた混沌とした
様子や、異常な行動をする娘と世間との葛藤など、ぐるぐると、
考え悶絶しているが、そこで止まってしまっていて、全然殺したそうに
思えないのだ。惜しいんだよな……。ので相当後味の悪い小説に
なってしまっている。まぁミステリ的な感情は無理な角田さん
なので、多くは望めませんが……。東野さんの『白夜行』とか、
最高に苛立って読んだ気がするんだけど。ミステリを書くのって、
そこら辺が重要よね、とか思う。殺意に同意できないと、つまらない。
「まぁいっか」な殺人など読みたくないのである。と、話が逸れたけど、
角田さんには違う方面で期待しています。もしくは化けた殺意を。

★★☆☆☆*65

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2009年12月11日 (金)

■雑談:腐った卵と、おとといわたしが医者に言われた一言と解く、その心は……

・黄身が悪い
・君が悪い

です。こんにちわ、いつも来てくださりどうもありがとうございます。
くだらない言葉遊びにお付き合い頂き感謝いたします。

どうでもいいワタクシごとですが、
最近体調が絶不調で、どうにもいかんともしがたい感じです。
病院で「君が飲みすぎるのが悪い」、と言われました。
いや、それ以前の不調も大いに関係しているのですがね。
そこに飲みまくったのがいけなかったのでしょう。反省です。

明日は従姉の結婚式なのですが、
美味しい料理を美味しく食べられるか、心配でなりません。
そこかよ……って感じですが、そこなんですよ問題は。
美味しいワインが飲めるというのに……!
……あぁダメだダメだ、禁酒中なんだから……。

年末のライブに向けて、胃と肝臓と肺を元気にしたいところです。

***

本はあと12冊で100冊です。

2冊読み終わっているので、あと10冊ですね。
本当、何にしよう。って毎年思うのですが、いつも通り読んでいる
うちにいつの間にか年を越して、かわり映えなく翌年になるんですよね。
ちなみに去年の最後は森さんでした。そして今年の始まりは東野さん。
うっわ、今年もかわり映えゼロ感が実に良く現れてますね。笑

今年は吉田さんでも再読して〆ようかな。
「悪人」の文庫も買ったことだし、読んだの2年前だし、
もうそろそろ読んでもいいと思う。というか、読みたい。
そうしようかな、と言いつつ、違うの読んでるかもしれませんが……。

■今読み終わっていたり、読んでいたりする本
・「受難」姫野カオルコ
・「おやすみ、こわい夢を見ないように」角田光代
・「占星術殺人事件」島田荘司
・「指先からソーダ」山崎ナオコーラ
・「今はもうない」森博嗣
・「ざらざら」川上弘美
・「幻惑密室」西澤保彦

「受難」やばいね、これは女でしか書けないすばらしい本である。
とか言ってみたりして、まぁ要するに女の性欲。姫野さんですから。
それと案の定「占星術殺人事件」が結構長引いている。
延長に、延長を重ねてしまった。某図書館さんすみません。
面白くて没頭してしまうので、他の本ばかり読んで、なかなか進まず。
変な話ですが、わたしはそういう読み方をするのです。
きっと根が偏屈なんでしょう。

何読もうかなーそれにちゃんと読み終わるのかも少し心配になってきた。
早めに目標を達成してゆるゆる年末を過ごしたいところです。

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2009年12月10日 (木)

12/10つばき@新宿NAKED LOFT『東名阪ワンマンツアー“花に雨”』

200912101831000
12/10つばき@新宿NAKED LOFT『東名阪ワンマンツアー“花に雨”』

■セットリスト

 花火
 白い街の灯
 雨音
 曖昧な夜
 青い月
 サヨナラ
 花が揺れる
 運命と花
 赤い扉
 a stupid song
 最低な気分、雨に打たれて
 夢見がち
 土曜の午後
 東京の空
 昨日の風
 羽の在処

END

 猫
 君がいなければ

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2009年12月 9日 (水)

12/9つばき@新宿LOFT『東名阪ワンマンツアー“花に雨”』

200912091817000
12/9つばき@新宿LOFT『東名阪ワンマンツアー“花に雨”』

■セットリスト(順番間違っている可能性大)

 青
 めまい
 スタイル
 銀河列車
 流星泥棒
 亡霊ダンス
 Coffee
 タブレット
 朝焼け
 カーテン
 花が揺れる
 over
 冬の話
 風向き
 ブラウンシュガーヘア
 最低な気分、雨に打たれて
 春の嵐
 昨日の風
 覚めた生活
 光

END

 夢見がち
 真夜中3時の商店街
 夢

楽しすぎたので良く覚えていません。
ひどくカーテンがよかったのと、
真夜中の前に一色さんが「まさかまさかの、」と言ってから、
「愛が足りない~」と歌い始めたのだけ、とても鮮明に焼きついています。
ありがとう。すべてを貰えた気分になりました。

聴こえてるかー?

聴こえてるよ、胸の奥までしみわたるように。

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2009年12月 7日 (月)

「十字屋敷のピエロ」 東野圭吾

十字屋敷のピエロ (講談社文庫) 十字屋敷のピエロ (講談社文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


本の感想とはまったく関係ないけど、最近体調が怖ろしく悪い。
きっとそんなに長くないんだろうな、とか思ってしまう。残念だ。
で、今日もまた東野さん。この安心感を味わえる事さえ幸せに思う。
これを二十代で書いたのか、と思うと、高橋さんと一緒、憎らしく思う。

北から南に伸びる廊下と、東から西へ伸びる廊下が交差した、
不思議な造りをした屋敷を、水穂は十字屋敷と呼んでいる。
そこでは、先日亡くなった頼子の四十九日のため、親戚一同が集まる事に
なっており、水穂は一年半ぶりに海外から帰ってきたのであった。
屋敷には、竹宮産業の社長をはじめ、取締役など重役、孫娘、秘書、
家政婦、遠縁の美容師、同居人の男などが椅子を並べている。
久しぶりに集まったメンバーだったが、話ははずまない。
何といっても頼子は自殺だったのだ。その上頼子の夫である宗彦は、
妻が死んだのをいいことに、秘書を愛人としているらしい。
暗黙の了解として、家族はみな知っている事であった。
そんなとき、人形師と名乗る男が屋敷を訪ねてきた。なんでも、
宗彦が買ったというピエロの人形を買い取りたいという。頼子の自殺の際も
置いてあったその人形は悲劇を呼ぶ人形と言われているらしいのだが……。

面白いか、と聞かれると、「普通」である。今回の本は、人間の視点とは
別に、棚に置かれたピエロの視点、という描写が加わっている。
とても斬新と言うか、画期的と言うか。なにせ殺人の様子を、ピエロが
語ってくれるのだから、通常の殺人事件よりもヒントが多いことになる。
人間が得るヒントと、ピエロのヒント、合わせていくと、パズルのように
段々穴が埋まってゆく……はずなのだが、ここで終っては楽しくない、
とばかりに、ピエロの目には嘘が混ざっている。会話から聞き取る人物名
は不確かであるし、ピエロが思い込みをしている、と設定されている。
このことによって、事件がとてもややこしくなって、少し残念だった。
この嘘がなかったらもう少し面白かったんじゃなかろうか、と思わなくも
ない。まぁしかしミステリはトリックを最後まで分からせない、という点が
重要なので、例えば少しややこしくても濁しておく方が大事なのかもしれない。
それと、この本が「普通」な原因として、「よくある屋敷トリックの典型」
というものに含まれてしまうのではないか、と思う。奥様、旦那様、秘書、
娘、娘の好きな好青年、恋敵の青年、家政婦。登場人物を見ただけでも
あぁよくあるあのパターンですか、って感じである。内容も脱税や、
企業乗っ取り、隠し子、など、耳にたこな感じである。そこに、ピエロの
視点という新しいものが入っているわけだけど、ちょっとくどい感じに
なっていて、あまりよくいっているようにみえない。
それにしても、これは東野さんが20代で書いたものである。面白い。
これ20代に書けました?と聞いたら、どんな大物作家でも首を横に振るだろう。
そう見ると、とても悔しい本である。あふれる才能をここでも感じられる。

★★★☆☆*80

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2009年12月 6日 (日)

■雑談:吉田修一と、shimokitaroundup2の後夜祭

Fnt_20091207

(画像:アエラHPより → http://www.aera-net.jp/

じゃじゃーん。吉田修一です。

凄い、作家でアエラの表紙なんて、ここ1年はいませんでした。
過去を遡っても、思い出せないほど、作家は表紙にならないのです。
それが、なんと、吉田さん!気がついたのが木曜日だったので、
探すのが大変でした。紀伊国屋にはどこにもなし。
大型書店はすぐに売り切れてしまうんですね……。ぐるぐる探し、
ようやく新宿Book1で残り1冊だったのをゲットしました。

まぁ中をパラパラ読んでみたら、案の定特集は一切なしでしたが(涙)
表紙の写真だけ、と言う感じ。でもすごいな、このインパクトは。
吉田さんのこの顔の造作も、一度見たらよく頭に残る感じですよね。
かなり、好印象の機会だったのでは、と。

というわけで、迷わず記念に購入しました。

あと、ちらっと見た太宰治が表紙の雑誌でも、
今年の面白い本百選と言う本で、
『横道世之介』が部門別第一位になっていました。
特集も組まれていたし、ただいま注目度No.1作家と言っても
過言じゃないと思います。映画化続々。
あぁ、やっと世間が吉田さんのよさを分かってくれた。
二年分待ったこの思い、嬉しいことこの上ないです。
それが、吉と出るか、凶と出るかは、また別の話で。
とりあえず、やってみないとわからないのです。
吉田さん、期待しています!!

***

さて、吉田さんをゲットしてうきうきした気分のまま、
新宿タワレコにてshimokitaroundup2の「後夜祭」なるイベントに
参加してきました。無料です。
去年も行ったのですが、ぐだぐだ感極まりない感じでした。
ので、今年もゆるーい感じで行きましたが、
期待を裏切ることなく、ぐだぐだ感極まりない感じでした。
すごい人ごみでしたね、何人いたんだろう……200くらい?もっと?
なにせ無料なんでみんな立ち止まっていくんですよね。フロアだし。

それにしてもマスザワさんは偉大ですね。
あぁ、本当にいい人だわ、とか思いました。ま、スピッツを除き。
マスさんがいなければ、この会の面白さは半分以下だったでしょう。
いつものことですが。

ちなみに、内容は、と言うと
ぐだぐだなクイズ大会や、
ぐだぐだなテーマなしトークが行われ、
終始ぐだぐだのげらげらでした。

↑実によく会場を表現していると思います。

話の終わりに、何人かアコギライブしましたが、
一色さん(つばき)は、新曲(多分まだタイトルなし)を、
佐々木さん(a flood of circle)は、「月に吠える」を、
弾いてくれました。ありがとう。
例え一曲でも、癒えるものです。

さて、この会の終わりには、毎年恒例抽選会があるのです。
CDを1枚買うと数字の書かれた紙を貰えて、
ステージのメンバーが引いた番号が当たり、という仕組み。

去年は某LUNKHEADの某さんの品が当たっていただきました。
あのときは、だいぶびっくりしました。

で、今年は当たるはずないよな、と思っていたのですが、
つばきの大阪に行けずチケット代が戻ってきたので、
まぁCDでも買っておこう、と参加してみました。
CDはつばきか、と思いきや、某LUNKHEADの「ATOM」にしました。
いや、つばき全部持ってるんで怒らないで下さい。

適当に抽選券を貰って、全員貰える記念バッチを引いたら、
某石井ちゃんバッチでした。持ってるよ……。
それにしてもなんなんだこの引きは……。
当日あんなにガチャガチャやっても出なくて(20回はやったな……)
友だちにようやく譲ってもらったというのに。

そして、本編の抽選ですが。

なんとまぁ当たりました。某品物が。
ラウンドアップの当選率100%です。驚異的だ。
こんなところで人生の運を使い切るのでは、と少し怯えつつ。

友だちも当たっていて、つばきのバッチがダブったから、
といって、譲ってもらいました。ありがとう。
しかし、あんなに当日頑張ってガチャガチャ……(以下省略)

と、どんより思っていたら、マスさんが、
「いやー当日あんなに頑張って、ガチャガチャやってる子が
いたのに、今日こんなに簡単に貰えたら、悔しいだろうね」
と、楽しそうに言い始め、やっぱりこの人はいい人ではない、
と思いました。

いえ、冗談です。

あとそうそう、ジャンケン大会で優勝した佐々木さんは、
来月号のQuipマガジンの特集4Pの権利を獲得しました!
というわけで、佐々木亮介特集をみなさまお楽しみに。
(a flood of circle特集になるのかな……??)
それにしてもジャンケンかよ……な、アレですが、
佐々木さんの引きの強さにも、拍手ですね。
周りは先輩ばかり、しかし、追い抜く日もそう遅くないかも。
とか、書くと怒られそうなので、この辺にしておきます。

さて、楽しい1日だった。しかし疲れたな。疲労がたっぷり。
土曜日あんなに寝たのに。体力をつけたい今日この頃。

そう言えば、今年の東京マラソンは外れました。

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2009年12月 5日 (土)

「人のセックスを笑うな」 山崎ナオコーラ

人のセックスを笑うな (河出文庫) 人のセックスを笑うな (河出文庫)

著者:山崎 ナオコーラ
販売元:河出書房新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


この本もデビュー作。何だか最近誰かのデビュー作ばかり読んでいる
気がする。歌野さんしかり、西川さんしかり。あぁ何か足りないと
思っても、そこにきらりと光る何かがある。それを見つける仕事って
とても楽しそうだと思う。けれども、自分もそうならなくてはいけない。

猪熊サユリは、オレの大学の美術講師である。名前はサユリだが、
生徒はみな彼女の事をユリちゃんと呼ぶ。ユリはみんなの絵を
褒める。決して文句を言うことなく、指導らしい言葉すら言わない。
そしてにこにこ笑っている。それがユリなのであった。
ある日、ユリはオレを自分の作品のモデルにと誘った。
誰も訪れないアトリエに誘われ、それが肉体関係の始まりだった。
ユリはそろそろ四十を迎え、その上旦那もいる。
しかし、そうと分かっていてもオレはユリから離れられなかった。
恋に落ちた二人を、周りの言葉などでは止める事は出来ない。
そして、気持ちが離れてゆくことを、二人は止めることが出来ない。

これは映画を先に見てしまった本だった。映画は正直そこまでいい
印象を持たなかったのですが、(ワンカットが長く間延びしていて
この小説を読んだら、あぁあれはアリだったのかもしれない、と思った。
この本の中には、せかせかする大学生活の、しかしゆったりした
温かい部分が描かれている。わたしはとても好きであった。
温かい部分は、そう愛である。男と女であればセックスというのかも
知れないが、忙しい毎日の、大切にしたい時間が、優しく描かれていた。
例えば、それが不倫であったとしても。例えば、それが年の差の恋愛
であったとしても。何かの障害に目を瞑って繰り広げられる世界で
あったとしても、そこで紡がれる二人の時間は愛しく、誰にも邪魔
をさせはしまい。その温かい時間が、やはり呆気なく終わってゆく
としても、その温かい時間を悔やんだり、憎んだりはしない。
出会えてよかったのだから。あの幸せな時間を感じることが出来たの
だから。久しぶりに、いい、と思う恋愛小説だった。川上さんの
「センセイの鞄」もよかったが、これもなかなか、わたしの心を
揺さぶった。山崎さんの文章は、行間がたっぷりあり、すかすか
している。けれど、温かいその表現が、空いた文章の隙間を縫って、
とても心地の良いリズムを感じた。期待せず舐めた飴が、思いのほか
美味しい、そんな文章。映画は間延びだった、と書いたけれど、
過ぎてゆく何でもない日常は、そんなものなのかもしれない、
と思えた。あまり面白くなかったように感じる。でも、みるめとユリが、
ふらふらと自転車を二人乗りするなんでもないシーンを、とてもよく
覚えているのだった。なんでもない日、なんでもない温かい時間を、
大切にしたい。そう思える本だった。まぁ、先は長そうだけど。

★★★★☆*88

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2009年12月 4日 (金)

「長い家の殺人」 歌野晶午

長い家の殺人 (講談社文庫) 長い家の殺人 (講談社文庫)

著者:歌野 晶午
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


これがデビュー作か……うむ、デビュー作って感じ。なんて言うか、
詰め込み感漂う感じ。折角いい題材でも、いれすぎるだけで、あっぷあっぷ
してしまう。人物描写も最近のものに比べ杜撰なので、名前を忘れがち。
しかし、そうかデビュー作か、と思って読むと感慨深いものがある。

大学卒業を間近に控えた五人組ロックバンド、メイプル・リーフは、
卒業を記念したラストライブへ向けて練習に励んでいた。みな就職活動など
に時間をとられ集まることもできなかったので、メンバーとカメラマンの
六人は、思い切ってペンションを借り、集中的に練習を行う事にした。
お互いの弱点を刺激し合い、より完成度の高いステージを目指す。
就寝時間には、お決まりの飲み会へと発展したが、ギタリスト戸越だけは、
眠気を訴えて自室に戻って行った。自室と言っても、相部屋である。
麻雀を誘おうとメンバーが部屋へ行ってみると、そこに戸越の姿はなかった。
変わり者と知られる戸越の事だ、一人散歩にでも出かけたに違いない。
みな注視することなく一晩があけた。朝食の時間になったが、
しかし戸越の姿はなかった。おまけに荷物もない。部屋の中や街中を
探し回り、疲れ果てた頃、ペンションに戻ってきた五人は、戸越の死体を
見つけた。空き巣の犯行なのか? それともこの五人の中に犯人が?

残念なのは、トリックが前半で分かる点。なので、後半ライブハウスでの
殺人事件になり、かなりのくどさを感じた。ついたてがある時点で、
これはもう丸分かりである。気づかないで読めたら、楽しいのかも
知れないが、わたしは分かってしまった……。巻末の島田さんの解説で、
歌野さんがトリックが見抜かれてしまい、泣いた、という文を読んで、
同じく申し訳ない気分になったのだった。きっと島田さんも、
前半でトリックが分かってしまったんだろう。だから、部屋番号を
読みにくい記号にしたりした工夫が生まれたのかもしれない。それに、
ライブハウスでの殺人事件と、最初に書かれた戸越の曲が、
あまりに離れている、という工夫で、その弱点を克服した、つもりなの
かもしれない。想像だけど。けれども、その工夫によって、その
動機というのが、とても微妙な路線になってくると思う。
その、あまりに離れすぎているから。肩透かし、というか。
愛憎劇が、マリファナですか?!な、ちょっと残念さ。そう思えば、
この頃から、歌野さんには「なーんちゃって」の精神が根付いていたのかも
しれない。そう、前に二作読んだんですけど、両方とも、実に、
「なーんちゃって」という言葉が相応しい本だったので。
あと、キャラクターが書き分けられていないので、主人公が徹なのか?
と気づくまでにだいぶ時間が掛かる。話は逸れたけど、これを読んでみて
よかったことは、歌野さんの初期は「本格」と呼ばれる推理小説だった、
ということが分かった事である。うーん東野さんもそうだが、いろいろ
ミステリは変遷を遂げるのね、と思えてくる。かっちかちのミステリも
好きだが、「世界の終わり~」も結構好きである。比較すると、
人間に心理描写がとても豊かになっているからだ。というわけで、
歌野さんの原点を知る事が出来る本。有栖川さんの「月光ゲーム」と、
どっこい。いや、よく「月光ゲーム」を引き合いにだすんだけど、
よく出す、ってことは、よく覚えているって事で。それだけ、衝撃的、
かつ他にない作品なのだよね。と言うわけで、さすがデビュー作。
されど、デビュー作、な一冊である。読んでみれば分かる。

★★★☆☆*83

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2009年12月 3日 (木)

■雑談:お腹が空くのは生きてる証拠です

どうも12月になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
今年はぜんぜん寒くないですね。
まだ炬燵も出してないし、薄いジャケットしか来てませんけど、
これから寒くなるんでしょうかね。手袋買わなくては。

そう言えば、
普段注視していないカウンターがいつの間にか、13万打してました!
嬉しさよりも、驚愕……。桁を何度か数えてしまいました。
去年いくつだっけ……と考えたけど思い出せませんでした。
最近(ようやく)感想の数が400冊を超えたし、
最近ちょっとライブの感想書いてみようかな、
という感じで記事数も増えていたので、そのお陰かな?
いつも来てくださるみなさん、どうもありがとうございます。

ちなみに今年読んだ本の冊数は、ただいま85冊。
上手くいけば、100冊超えそうです。
去年は130冊くらいだったので、減りましたね……。
来年はやっぱり150~200冊を目標にしたいと思います。

■ちなみに、お暇な時読んでみてはいかがでしょうか、な本たち
(今年読んだ本の中からお薦め抜粋です)
・377 09.07.28 ★★★★☆*90 「幻夜」 東野圭吾(長いので上級者向)
・384 09.08.04 ★★★★☆*93 「絶対泣かない」 山本文緒(上質短編集)
・385 09.08.05 ★★★★★*93 「七回死んだ男」 西澤保彦(傑作ミステリ)
・408 09.09.13 ★★★★★*95 「センセイの鞄」 川上弘美(愛に年齢関係なし)
・425 09.10.18 ★★★★★*94 「レボリューション No.3」 金城一紀(爽快青春)
・429 09.11.04 ★★★★☆*88 「くまちゃん」 角田光代(恋愛とはなにか?)
・432 09.11.08 ★★★★☆*87 「数奇にして模型」 森博嗣(シリーズ7巻目)
・434 09.11.10 ★★★★☆*92 「キネマの神様」 原田マハ(映画好き必読)

ライブの本数は軽く100本突破予定です。残念極まりない。
来年は減らそうと思います。というか、減らさねばなりません。
と言いつつ年明け四国に行こうとか考えているあたりで、
もう無理だな、とか思うのですが。
a flood of circleもFoZZtoneもつばきもツアーが楽しみです。
今はそうですね、FoZZの「Black sheep dog」聴きたいです。
すみません、この間いなくて……申し訳ないことしました。
来年のツアー、ガッツリ行くので、許してもらおう。
とかなんとか、言ってる時点で減らす計画やはりダメだろうと思います。
そして、昨日観たけど、石井さん観たい(笑)

■傑作MC、いや勿論ライブもいいんだけどさ、だったライブたち
09.09.26 FoZZtone、a flood of circle@金沢vanvan4
(昔のMCはアレでしたが……笑、スムーズになったね渡會さん)
09.11.14 a flood of clrcle@shimokitaroundup2
(最近MCも頑張る石井ちゃん)
09.11.29 つばき@名古屋ell.SIZE
(あなた何年ステージに立ってるんですか!なテンションの一色さん)
09.12.02 a flood of circle@新代田LIVE HOUSE FEVER
(もうこの絶妙さは誰にもまねできないよね、石井さん偉大です)

では、みなさま、良いお年を!(まだ早い)
そうか、もうクリスマス。(これもまだ早い)

わたしは今年も本と音楽に埋もれて年を越します。
来年もそうだったらいいな。あ、ライブの本数は減らす方向で。

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2009年12月 2日 (水)

12/2a flood of circle@新代田LIVE HOUSE FEVER『PARADOX NIGHT』

200912021741000
12/2a flood of circle@新代田LIVE HOUSE FEVER『PARADOX NIGHT』

■セットリスト

 Forest Walker
 博士の異常な愛情
 Paradox
 シーガル
 Thunderbolt
 ロシナンテ
 水の泡
 Ghost
 泥水のメロディー
 Buffalo Dance
 プシケ
 月に吠える(アコースティック.ver)

END

 世界は君のもの

絶賛3日酔いで行ってきました。
わたしの肺と肝臓はもうダメだと思います。
いえ、喫煙者ではありませんけどね。
酒もそんなに飲んでないんですけど。

それにしても楽しかった。まず、ボラさん。
ボラは初めてだったけど、かなりよかった。
佐々木さんが、「ボラで疲れただろうけど」って言った時に、
「あ、確かに疲れてる」とか素直に思って可笑しかった。
のせ方がさすが上手い。グラサンとか、いろいろ凝ってたしね。
個性的で、力の入れようがすごい音楽。
フロアは前の方ほとんどフラッドファンだったので、
手が上がってるのが後ろの方ばかり、だった。
フラッド先行だったからね……ごめんね、と思いつつ。
でも「場を温める」揺るぎないテクニックは拍手もの。
小さいハコで前で見れてラッキーだった。ありがとう。

フラッドは相変わらず、石井さんばかり見ていた。
まぁ、石井さんからあの絶妙な笑いを貰いに行くのが、
(主の?)目的だったので(それでいいのか・笑)、大満足だった。
のりが良すぎて、押されて大変だったけど、いろいろ、
あぁあの曲指弾きだったんだ、とかなかなか冷静に見ていた。
やはりいい音である。うっかりしていると目を瞑ってしまいそうだ。
「噂の火」聴きたかったのにやらなかったな、と終わってから気づいた。
楽しかったので、途中じゃ気づかなかったってことで。
石井ベース先行の曲早く聴きたい。

今日は渡辺さんもよく見えたな。3曲目で脱いだ。
だいぶ前の「Buffalo Dance」なんかは、途中で走ったりして、
心配したくらいだったけど、貫禄あるドラムに変身していた。
すごいな、どれだけ練習したんだろうね。とかしみじみ思った。
勿論佐々木さんもよく見えた。バラード曲、「水の泡」と、
「月に吠える」あたりは、じっと顔を眺めてしまった。
あの声の伸びのある感じ、不思議だよね、ぜんぜん伸びなそうなのに、
骨格なのか、やっぱりいい声だよなぁ、とかぼんやり考えていた。

そうそう、「Paradox」は中でも好きな曲である。
目を瞑って聴いていると、回転台に乗った4人がくるくる回りながら、
弾いているように聴こえる。気のせいかしらん。
低音ばっかり拾ってるからかな。でもイメージが頭に浮かぶいい曲。

総合して、みんな楽しそうで、熱気ある、いいライブだった。

時折、間違ったような……、CDと違ったような……、
と思ったけど、そんなものは気にならない、いいライブだった。
1回目だからね。いや、1回目なんて言い訳になるかもしれないけど、
あの会場にいた人に、もう1回みたい?って聞いたら、
みんな笑顔で頷くんじゃないだろうか、そう思えるいいライブだった。

同じライブなんてないから、今日のライブを忘れずにいたい。
大きな目に見える第一歩。でも本当はもう3人はずっと先へ
進んでいるんだろう。帰り道、友だちと笑いながら、そう思った。

※どっかのMC……多分アンコール前

佐々木さん「じゃあ石井ちゃん、アレやっちゃってよ」

石井さん「え、何、亮介。え、アレ?」

佐々木さん「そう、アレだよ」

石井さん「あぁアレか。アレでいいの? アレ、やっちゃう?」

タオルをわーざとらしく拾い上げる石井さん
それをじっと眺める佐々木さん

佐々木さん「あ、それ新しいタオルだねー(とてもわざとらしい)」

石井さん「あ、わかるぅ?(とてもわざとらしい) いやらしい話、
このタオルそこの物販で売ってます。どう? どう、これ?
カッコいいよね。今回から大人なアフラッドオブサークル、ってことで」

(フロア微妙な空気)
佐々木さん、渡辺さん、奥村さんが石井さんを注目
(上手くやれよ的な目線)

石井さん「あぁ俺、お腹痛いんだ。
もう楽屋からこの空気でさ、マジお腹痛い。どうにかしてよ。
ステージの上くらい優しくしてよ」

佐々木さん「楽屋をステージに持ち込むなよ」

石井さん「持ち込んでんのはそっちでしょ」

佐々木さん「楽屋の方が優しいだろ」

無言で見つめ合う佐々木さんと石井さん
(フロアからひゅうひゅうと声)

石井さん「そうかもね」

佐々木さん「……」

石井さん「もう、亮介照れちゃうんだからっ」

石井さん「そういえば、今俺鼻水出てて、
鼻水でべちょべちょのタオルなんだよね、これ」

(フロア微妙な空気)

石井さん「あと、このバッジね。タオルと同じ柄だけど。
それと、俺の描いた、おばけちゃんバッチがついてくるよ。
いや、これね、俺人生で2番目くらいに上手く描けたと思う可愛さだよ。
すごい、可愛いよ。あ、見せてあげない。見ないで買ってほしいよ。
ね、あれ、マジ可愛いよね? そうだよね?」

佐々木さん、マイクを離れ奥村さんの方へ近寄っていき、
ステージ隅から、石井さんを2人でじっとみている。
(そうでもないらしい)

石井さん「ちょっとなべちゃんどうにかしてよー」

渡辺さん「あぁ、まぁ俺のよりはマシだよ。
俺も描いたんだけどね……、木に足が生えた気持ち悪いヤツ。
デザイナーさんに褒められちゃって焦った。
いや何か打合せで1人1個描けみたいな空気になって、
しょうがなくテキトーに描いたんだけど、そしたら何か
デザイナーさんに「それ、いいよとか」気に入られちゃって」

石井さん「あぁ、描いてたね。あれびっくりしたよね」

渡辺さん「いや、ホントびっくりしたね。
俺描きながら、自分で「これ、ねーな」と思ってたからね」

な、a flood of circleでした。
今日もよく笑いました。
ちなみに、おばけちゃんなかなか可愛いです、バッチのは。
さすが人生2回目、2度は描けない。
渡辺さんの木に足生えたやつはありませんでした。
ちょっと見てみたい。

佐々木さん「メンバーが抜けたり、いろいろあったけど、
俺たちは、これからは3人で胸を張ってa flood of circleを
やっていこうと思う。……っていうか、もうやってる!(中略)
だからこれからもa flood of circleをどうぞよろしくお願いします」

期待してます。よろしくどうぞ。

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2009年12月 1日 (火)

「九月の恋に出会うまで」 松尾由美

九月の恋と出会うまで 九月の恋と出会うまで

著者:松尾 由美
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


多分初松尾さん。前他の本を少し読んで投げた記憶がある。苦手である。
何も松尾さんに問題があるわけでもなく、他の人が読んだら、
きっと面白いと思うだろうけど、市川拓司と同じ理由で苦手である。
感動するパラレル奇跡な物語。そんなこと起こらない、と心が思う。

部屋で趣味のカメラの現像を行ったところ、隣の住人に文句を言われて
しまった。異臭がするというのだ。カメラの現像を行っていると
説明すると、写真屋さんに出せないなんて、いかがわしい写真でも
撮ってるんじゃないのか、と言いがかりをつけられた。腹が立った
わたしは早々に引越しを決め、不動産屋に駆け込んだ。
引越しの理由を伝えると、新たな引越し先でも同じ理由で断られて
しまった。諦めかけたその時、少し変わった条件の物件を紹介された。
他のところで三箇所以上断られた人のみ入居できると言う、
芸術をする人限定の物件。人目で気に入ったわたしは、そこに住む
ことにした。そこに住んでいるのはわたしを含め四人。隣には
平野という男性が住んでいるらしい。ようやく引越しが落ち着いた頃、
不思議なことが起こり始めた。なんと一年前のシラノという人物の声が、
わたしにコンタクトを取って来たのだった。シラノは平野さんを
尾行して、それを写真に収めろと言うのだが……。

あらすじがよく分からない原因が、この本のキーとなる、
「とある事件」が発生するまでに本の約半分が費やされているから。
物語の始まり、始まり、そんな感じの始まり方。
なぜその物件に引っ越すことになったのか、が本の半分……。
うむ、なんかもっとコンパクトにしてもいいのではなかろうか。
そのせいで、最初はほのぼのムードの前半に比べて、
突然小難しくなる後半とのギャップにわたしはついていけなかった。
しかもパラレル……熊のぬいぐるみがしゃべるし……
ちょっと乙女チックすぎたようにも思う。それと、一年前のシラノ
と名乗る男の登場だが、ラストには、実は現実の人間で、
主人公を救おうとしていた(という奇跡にみせかけた努力)
というならわかるんだけど(倉さんが言ってるように、ロマンだ)
この話は結局未来からの電波交信だった。あーパラレルなんだー…
と気づいて残念に思った。いや、でも普通の人が読んだら、
面白いと思うんだけど、わたしはどうにもそれが無理だ。
とても現実主義者なので、中途半端なパラレルがとても嫌いなのだった。
と言うわけで、いつにも増して個人的な、感想なんでお気をつけて。
上橋さんとかまで、しっかりしたファンタジーまでいってしまえば、
楽しめるんだけどなぁ、とかぶつぶつ。未来と交信、できたらいいな、
とそれだけはちょっと思うけどね。出来ないんだよね、実際。
あぁ、わたしは想像力と夢のない残念な人間です。

★★☆☆☆*65

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