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2009年11月17日 (火)

「チェーン・ポイズン」 本多孝好

チェーン・ポイズン チェーン・ポイズン

著者:本多 孝好
販売元:講談社
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本多さん久しぶりでした。1年半ぶりくらいかな。なんだか、
あぁ、こういう作風だった、と思うようでもあり、あれ?
こんなの書く作家だっけ? と疑問に思ったりもした。
うーん……テーマは好きなんですけど、ストーリーが何とも。

もう人生に疲れた。十七年もいるのに、雑用ばかり押し付けられる
会社も辞めた。最初のうちは羽を伸ばせたと、何もない一日を嬉しく
思ったが、それも数日で終わった。私には何もない。
もう死にたい。いつしかそう考えるようになっていた。
することがなく疲れ果てた私は公園のベンチに佇んで死にたいと呟いた。
「本気ですか?」背後から突然声を掛けられ振り返ると、
そこにはスーツを来た一人の男性が立っていた。
「本気で死ぬなら、一年待ちませんか? 
その代わり、一年頑張ったご褒美を私が差し上げます」
男は不思議な事を言う。私は立ち去った男の言葉を思いながら、
それを信じあと一年だけ生きて、楽に死のうと思った。

テーマに申し分はない。自殺願望者の前に現れる、謎の男。
思いつめた、彼、彼女たちの前で、死ぬのをあと一年だけ待って
みないか、という。そうしたら、楽に死ねる方法をあげようと。
予想はつくが、死にたいと思っていた人間が、人と触れ合うことで
その願望が薄まり、もう少し生きてもいいのではないかと思えてくる。
一年ではなく、それより先の自分を想像できるようになる。
そう言った上昇する感情が良かったように思う。けれども、
もう一つの視点である雑誌記者の推理がとても微妙だった。
物語は死ぬ本人視点で最初に進むため、読者は真実を知っている。
しかし、雑誌記者はそれを知らないはずなのに、
妙に早く「一年間だけ死ぬのを待ったようだ、それはおかしい」
などと言い始める。普通これだけのヒントでは気づかないのではないか
と、思ったりした。書いている人(作者)は一人なので、
仕方がないと言えば仕方がないが、ヒントの出し方の順番が違ったり
すれば、もう少し楽しめたように思う。例えば、保険金とか。
多分自殺じゃないかと疑われる時などは、保険金を最初に確認される
のではないだろうか? 誰かに保険金を掛けられて死んだのでは
ないだろうか、とかそういう道もあるからだ。この物語でも、
保険金を掛けており、おまけに施設に寄付されるようになっている。
ということは、そう言った履歴が保険会社に残っているわけで、
それを見れば消息がすぐ分かるはずなのだ。というようなところから、
間延び感が出ていて、残念に思った。と、最近ミステリばっかり
読んでいるので推理の仕方にうるさいわたし。すみません。
なんだか昔の方が好きだった気がするんだけど……これが書き下ろし
だからだろうか……ただ今『WILL』予約中。でもきっと読めるの来年だな。
最近の本多さんのテーマは「正義」みたいですね。法律もっと詳しく
書いて欲しいです。法学部卒として堅い小説楽しみたい今日この頃。

★★★☆☆*86

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