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2009年11月18日 (水)

「仮面山荘殺人事件」 東野圭吾

仮面山荘殺人事件 (講談社文庫) 仮面山荘殺人事件 (講談社文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
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ところで、この小説「仮面」についての記述が3行しかありません。
すげぇよ、東野さん。やっぱりあなたは天才だと思います。笑
と思いつつ、今回も満足読了。なんていうかきちんと読み終わったのに、
まだ何かあるってお試し感が漂う東野さんの力に脱帽です。詳しくは下で。

高之と朋子はある事故がきっかけで出会った。高之が運転する車に、
朋子が追突事故を起こしたのだ。そのせいで朋子は片足を失い、
目指していたバレリーナの道を諦めざるを得なくなってしまった。
一時は自殺未遂を起こした朋子だったが、リハビリを懸命に頑張ようになり、
高之はだんだん彼女に惹かれていった。交際は順調に進み、婚約した。
結婚式は春だ。しかし、その式が訪れる前に、車を運転していた彼女は
崖の上から転落し死亡してしまったのだった。打ちひしがれる家族や高之。
どうにか元気を取り戻そうと、家族や親戚を招いて式を行うはずだった
山荘で慰安旅行する事になっていた。しかし、到着してみると、
そこには銀行強盗が篭城していた。高之たちを監禁すると言う。
休まる暇のない8人だったが、ひょんな事から、朋子が死んだのは
事故ではなく殺人であると議論し始める。果たして犯人は誰なのか……。

ネタバレします。嫌な方は読まないように。
あとがきに折原さんが書いているように、わたしもこの本が嫌いである。
……と、まぁ折原さんの因縁めいた嫌悪ではないが(笑)わたしも、
本の中盤で犯人が判ってしまったからだ。残念すぎる。推理小説で、
一番つまらないのは、最初に犯人が判ってしまい、「もしかして、
そんなわけないよねー」と読み進めて「そんなわけあった」ときである。
今回も、はははは、やっぱりな、と主人公の笑いとともに思った。
そもそも、この話は作りこみすぎである。交通事故は、もしかしたら
殺人事件だったかもしれない! という議題が与えられ、推理が始まった
ところに、なんと銀行強盗が闖入である。ぐちゃぐちゃしてわけわからん。
ふと有栖川さんの『月光ゲーム』を思い出したくらいだ。
それでも必死に整理して読み進め、完璧なる犯行手口のゼロを確認したとき、
これで父親が死んだら父親が犯人。生き返ったら主人公が犯人パターンだ、
と気づいてしまった。あぁ。でも、そう分かって読み進めていても、
とても面白い本であった。ヒントを小出しにするテクニックや、
薬の有無(『私が彼を殺した』でも出てくるが)の、発想の転換などは、
さすが東野さんであると思った。それと、上にも少し書いたけど、
この本の一番憎いところは、この本を簡単に書いていると分かるところだ。
東野さんの文章はそんなに濃くないし、長くもない。どちらかと言えば、
修飾語なども少なく、すかすかしている方と言えるだろう。でも、
伝えるべきところは逃さない。お得意の書き方なのだった。それでいて
気張っておらず、「ちょっとこういうの書いてみたかったんだよね」的な
軽い感じなのに、なんなんだろうこの舌を巻く推理は。やられた感は。
東野さんは賞を受賞してデビューするまでに、20回くらい落とされ続けた、
と何かのエッセイに書いていたが、その度違うストーリーを考えていたんだ
ろうな、と思うと、やはり彼は天才だ、としか言えないだろう。
等々、何でもないことを魅せる力に脱帽である。さて、ところで、この本の
タイトルは『仮面山荘』だが、仮面は一切トリックに関係しない。
おいふざけんなと呆れるか、主人公の嫌な予感をズバリ表現していて最高だ!
と褒めちぎるかは、読んだあなた次第である。笑

★★★★☆*87

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