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2009年11月13日 (金)

【映画】ミツバチのささやき

Erice
こちらも『エル・スール』と同じ監督作品でした。
監督が原案、脚本を書いているので、物語の根底にある、父と娘の距離、
みたいなものは、きっと伝えたいことなのでしょう。この話では、主題は
幼い少女の幻想、というか、小さな恐怖を描いているんですけどね。

アナとイサベルは姉妹である。ある日村にやってきた移動映画で、
『フランケンシュタイン』を観た。『フランケンシュタイン』と言えば、
怪物が少女を殺してしまうという衝撃的な作品である。映画を観た
アナは、姉のイザベルにフランケンシュタインが子どもを殺した理由を
尋ねた。それはフランケンシュタインが精霊だからよ、という。
それに映画の中のことは全て嘘っぱちだから、子どもは死んでいないのよ、と。
しかし、衝撃的だったフランケンシュタインのことが頭から離れないアナは、
フランケンシュタインがいそうな、町外れの廃屋を訪れた。
そこでとても大きな足跡を見つけてしまう。フランケンシュタイン……?
恐ろしさと、期待が高まってゆく。そんなある日、悲鳴に驚いてアナが
寝室に駆けつけると、イザベルはぐったりと倒れていた。誰かを呼びに
行こうと部屋を出て、また戻ってくるとイザベルはもういなかった。
まさかフランケンシュタインに……? アナの疑問はますます深まってゆく。

純粋に何かを信じるということを、恐ろしさと、そしてわくわくする心、
を織り交ぜて描かれて、とても綺麗な作品だった。何が綺麗がって、
とても映像の色彩が美しいのだ。まさに映像美、である。
エル・スールと同じく、喋らないその間に、美しく、しかし不安げな
その映像から、主人公の気持ちをたくさん読み取る事が出来る映画だった。
内容は幼いアナが子どもが殺される衝撃的な映画、フランケンシュタイン
を観た事によって、なぜ人を殺すのかという現実の疑問と、
いいや、殺していない、きっと彼は妖精である、という子どもの、
想像により、その自分の想像の世界にどんどんのめりこんでいく、という
話である。廃屋に現われた人間は実はフランケンシュタインではないか、
と思ってしまう。姉の悪戯を本気にして、姉はフランケンシュタインに
殺される演技をしているんだと、思ってしまう。どんどんどんどん、
暗い闇に紛れて、いつしか想像がアナの中で本当になってしまうのだった。
イザベルの布団がなくなっているところで、一瞬ひやり、とした。
口の利けなくなったアナは戻ってこれるのかな、とても心配なところで
終っている。それにしてもとてもいい映画である。観ていたときは
気づかなかったのだが、みつばちのブンブン言っている音は、フィルムを
回転させる音に似ていて、アナはフランケンシュタインを回想していた
ようである。そうだったのか、と思うととても納得である。
それと、内戦時代のスペインと言う事で、人を殺すということと、
死から来る恐怖を、フランケンシュタインで表しているようだった。
そしてこの映画でも見え隠れする、父親の愛情と、それを理解できない娘、
のすれ違いがとても痛く正面から描かれていた。いい映画だった。
良く考えないと、わからない、とか言う人いそうだけど、何も考えずに、
アナの妄想の世界に浸ってみるのも悪くないと思う。

★★★★☆*88

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