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2009年11月 8日 (日)

「数奇にして模型」 森博嗣

数奇にして模型 (講談社ノベルス) 数奇にして模型 (講談社ノベルス)

著者:森 博嗣
販売元:講談社
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約500ページ、しかも上下段の本を、うきうきしながら図書館で借り、
にやにやしながら読み進め、むふむふしながら読み終わる。
わたしはいつからそんな人間になったのだろう。いや、なれたのだろう。
その原因は間違いなく森博嗣その人である。感謝したい。

N大学に程近い、M大学工学部の一室で殺人事件が起きた。
その大学の生徒である女性が扼殺され、机に寝かされていたのである。
二箇所ある教室の扉は鍵が掛かっており、いわゆる密室であった。
翌朝、とある事情からプラモデルの同好会に参加することになった
萌絵は、M大学近くの公会堂を訪れていた。そこのフロア内で、
コスプレの衣装を着る約束になっている。嫌々着替えをし終えた頃、
館内が騒がしくなった。どうやらスタッフが準備を始めたのだが、
1つ鍵の開かない部屋があるらしい。管理室から鍵を借り開けてみると、
そこには二人の人間が倒れていた。一人はメンバーの男性・寺林、
もう一人は首から上のない女性死体だった。騒然となる室内。
気を失っていた寺林は病院に運び出されたが、大きな謎が残った。
この部屋もまた密室であった。おまけに鍵は寺林が持っていた。
そして寺林はM大学工学部の学生でもある――絡み合う二つの事件。
奇妙な密室の間に、果たして何があったのか……。

とても楽しかった。この本を読んで何だか犀川のイメージが変わった
気がする。何と言うか見た目的なイメージなんだけども。最初の頃は
堅苦しい白衣のイメージがあったけど、今はそうだな、その白衣の
下に着ている、シャツにジーパンをイメージできるようになった。
とてもいい傾向だと思う。これと言って何もないが、萌絵との関係も
かなり深まっている模様である。で、内容は、というと、今回も
例のあれは存在しているように思う。そう「誰でも殺せそう」である。
動機がないというのが森さんの欠点だとわたしは思っている。
しかし今回はとても動機について視点を置かれた内容だった。
とは言っても、なぜ殺したか、ではなく、なぜ首を切断したか、
の部分であるけどね。犀川がとても長い理屈を喋っている。重要である。
今回の巻は森さんが好きなプラモデル同好会が舞台となっているため、
フィギュアと模型の魅力について、熱く語られている。本当、熱い。
モデラーは、完成した品には興味がないというのが1点。
プラモデルはそれを作る過程が最大の魅力なのであって、
作品となったその品は、品物の残りかすのようなものなのだと。
極論である。しかし、マニアとしてそれを楽しむ人間の半数は、
きっとそんなことを考えているんじゃないかと納得できた。
そう言えば、うちの父もそうである……とか、ふと思い出したりして。
だから壊れたものを元に戻すとか、そう言った行動の、
あるいは殺すと言う行為よりも魅力的な、死体の模型の制作、
という理屈が、今回はふむふむなるほど、と読むことが出来た。
しかし、誰でも殺せそうなことには変わりはないのだけどね。だって、
殺すことは重要じゃない(!)発言が出てくるので、まぁ諦めましょう。
その上疑問を持ちながらも、納得したり、こじつけたりすることは
理解していない証拠であり、また複雑な意図や思考を通り一遍の
考え方(一人の人間が、とか)で処理しようとするのは間違ってる、
とか書かれていた。ははは、そこまで言われたら、何も言えない。
さすが森博嗣である。と、言うわけで、複雑なものを理解できない
わたしは、笑って次の巻を読もうと思う。いよいよ最終巻!
あの分厚さ、わくわくする!笑 そんなこと言えるような人間にして
くれた森さんに感謝。他のシリーズは挫折しそうだけど、気長にいこう。

★★★★☆*87

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