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2009年11月

2009年11月30日 (月)

「ヴィヨンの妻」 太宰治

ヴィヨンの妻 (新潮文庫) ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

著者:太宰 治
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


あぁ死にたい死にたい。そう思いながら、つい太宰の本を読む。
そうしてやはりその本の中の死の魅力に惹かれてしまう。生活の一部に、
死にたいと言う気持ちが染み付いている、分かる人はどれ位いるのか。
そして、今の自分の人気振りを見たら、太宰は何を思うのだろう。

「おさん」
たましいの、抜けたひとのように、足音もなく玄関から出てゆきます。
娘のマサ子が、「おとうさまは?」と尋ねたので、私は「お寺へ。」
といい加減な事を答えました。夫は寺などへは行ってはおりません。
マサ子は「早く帰ってくるかしら」と凛とすました様子で健気に
大人しくしております。私は胸が締め付けられるようでした。
夫が勤めていた新聞社が罹災し、借金を背負ってからと言うもの、
元々無口でしたが優しかった夫は、暗い表情を隠さなくなりました。
どうやら他の場所に女が出来たようでもあり、けれど何も言わないの
です。じっと黙って哀しそうに笑っている。そうするくらいなら、
いっそ、私たちをも楽しませながら不倫を楽しんでくださればいいのに。

上に書いたけど、もし今太宰治が自分の評価振りを見たとしたら、
もう少し長生きしたのではないか、と思う。矛盾だらけの想像だけど。
でも、それと同時に、きっとやはり自殺して死んだだろう、とも思う。
太宰治は38歳で亡くなっている。38って、でも毎日死にたいと思って
いる人間にとっては、長い時間のようにも思う。この本には、
今映画をやっている『ヴィヨンの妻』が収められている。
けど、期待していたほどでもなかったような……。この明治の妻が、
どのような理想像だったかはよく分からないけれど、
今のそれとは少し違うように思え、「家庭を顧みない夫でも、
たまに優しい一面があり、寄り添っていられればいい」と言うような、
太宰の描く妻は、今の女性はきちんと理解することが出来るのだろうか
と、とても疑問に思った。もちろん、太宰治が問題ではない。
と言うのも、映画の宣伝で、「辛いことでも笑って過ごす。
これがヴィヨンの妻。ヴィヨンの妻はなぜこんなにも強いのか」
みたいな文句があり、わたしはそれに首を傾げたのだった。
ヴィヨンの妻を書いたのは、太宰治なのだから、それを望んでいるのは
太宰治である。奥さんも実際にそういう態度を取っていた人
なのかも知れないが、そこにはやはり足りないものがあるように思う。
女の嫉妬というものである。女は男には嫉妬している姿を見せない。
その包み隠された部分が書かれていないように感じるのだった。
もしも「あぁいう人だから仕方がない」と割り切るのだとしても、
その割り切るまでの過程が書かれていない。太宰治は、
あぁもうしょうがないわねと沢山女が世話を焼く、どうしようもない人
だったんだろう。でも嫉妬が微塵もないのはどうしてだろう。
それを「強い女」と言ってしまうあたりに、疑問を感じるんだよな、
とか思いつつ。この本はとてもいい。一番読みやすい短編集かも。

★★★★☆*88

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2009年11月29日 (日)

11/29つばき@名古屋ell.SIZE『東名阪ワンマンツアー“花に雨”』

200911291712000
11/29つばき@名古屋ell.SIZE『東名阪ワンマンツアー“花に雨”』

■セットリスト

 青
 めまい
 スタイル
 銀河列車
 バタフライ
 Coffee
 タブレット
 朝焼け
 猫
 花が揺れる
 over
 花火
 風向き
 ブラウンシュガーヘア
 亡霊ダンス
 最低な気分、雨に打たれて
 春の嵐
 昨日の風
 覚めた生活
 光

END

 妄想列車
 君のヒゲ
 夢

「結構久しぶりの曲をたくさんやった」と言う一色さんは、終始
舞い上がっているというか(この表現はとても適切です、笑)
今日出来ることが嬉しすぎて、よく分からないテンションになっていた。
観ている方が笑ってしまうくらい、一人盛り上がっていた。
そのうきうき感が、うまく会場に伝わったらいいのになぁ、
とか思いながら、わたしも笑ってしまった。
いや、十分盛り上がってたんだけど。まだいけそうだった。

ちなみに今日一番良かった曲は、
誰が何と言おうと、『最低な気分、雨に打たれて』だった。
これをやりたいがために、前半妙なテンションになってしまうくらい
気合が入っていたんだしね。
小川さんも楽しそう。
岡本さん一色さんのハイテンションに苦笑して、あったかく笑っていた。

「さぁさぁさぁついにやってきましたよ、次は、
みんなが待っているか分かりませんが、お待ちかねのあの曲ですよ」

一色さん何なの叩き売りだよ、みたいなコメントを発した後、
「さいっっていな気分、雨に打たれて!」と叫んで演奏開始。
この曲好き。これからも土砂降りでお願いしますね。

※どこのMCだか忘れました……↓

一色さん「今気づいたんだけど、
なんか俺ってMCろくなこと喋らないよなと思って」

(今さら……)

一色さん「普通他のバンドとかは、新型インフルの話とかしてるんでしょ?
ほら、結構みんなかかってるじゃん、そういう話するんでしょ」

(え……、しないと思う……)

一色さん「あ、してない? じゃあしよう。新型インフル」

(あ、しちゃうんだ)

一色さん「すげぇ流行ってるじゃん。みんなかかってないの?
いやいやいや、今かかってここにいたら怒られるけどさ、
かかって治ったとか言う人いないの? へーいないの。
俺の友だちかかってたけどね。
この間ぜんぜん(音楽と)関係ない友だちだけど、
結婚式があって、みんなで行くって話しになってたんだけど、
前日になって一人が「明日行けません、新型インフルです」ってね。
いや、でもみんなで嘘じゃねぇんかって言ってたんだけどね
「あいつ、ご祝儀払いたくなかっただけじゃね?」って言ってさ。
いやいやいや、そんな酷いこと言ってませんよ、まさか」

一色さん「……なんかまたろくな話じゃなくなってきたな……
まぁ、でも俺こう見えて、結構風邪とかそういうの引かないタイプ
だからさ。そう見えないでしょ?」

(え? それは○○は風邪引かないとか……)

一色さん「小川君もそうだよね。結構風邪引かないよね」

小川さん「うーん。そうだね、あぁ風邪は引かないけど、喉が弱いな」

一色さん「そうだ、小川君は喉が弱いね。
いつもワッホンワッホン咳してるもんね」

小川さん「しょうがないじゃん、遺伝なんだから。
みんな家系が器官が弱いんだよ」

一色さん「え? 遺伝なの? お父さんが?
あはは、遺伝なんだ、ははは、これ笑っちゃいけないよね、ははは」

小川さん「お父さんもだけど、おばあちゃんもだね」

一色さん「はははは、はははは(爆笑)」

(いや、笑いすぎだから)

小川さん「……」

一色さん「いや、こうお父さんとおばあちゃんと並んで、
3人でワッホンワホン同じ動きしてるの想像しちゃってさ」

小川さん「……」

一色さん「あれ、岡本さんは?」

岡本さん「え、うーん普通?」

一色さん「普通って(笑)」

の、ようなツッコミどころ満載なMCでした。

他にも、

小川さん「で、この話どこに行き着くの?」

や、

小川さん「2人とも不時着だよ!」

や、

一色さん「『おい、一色、早く曲始めろや!』
って野次飛ばされるバンドに憧れるね」

などの、名言?がありました。
みなさん、是非つまらないMCには『おい、一色、早く曲始めろや!』
と野次を飛ばしてあげてください。

一色さん「毎日なんもいいことねぇなって思っている人いると思うけど
いや、俺も毎日つまんねぇな、って思ってるんだけど、
でもほんの少しだけまだ信じてるんだよね。
なにかいいことあるんじゃないかってさ。
今日は本当にどうもありがとう。また会いましょう。

最後の曲です。最後くらい歌ってもいいよっていう人は、
一緒に歌ってくれてもいいんじゃないかな。
その乾いた笑い受け止めるよ(笑)」

『夢』

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2009年11月28日 (土)

■雑談:また遠足に行ってきます

また少し遠くへ行ってきます。
本を読みたいのだけど、眠くて寝てしまう辛さ……。

■読み終わった本と、読んでいる本
・「ヴィヨンの妻」太宰治
・「九月の恋に出会うまで」松尾由美
・「占星術殺人事件」島田荘司 ←読み終わらなさそう
・「長い家の殺人」歌野晶午
・「人のセックスを笑うな」山崎ナオコーラ
・「今はもうない」森博嗣

このへんです。
果たして皆期限内に読み終わるのか……。
只今図書館の本が18冊手元にあります。
あとそうそう森さんの「今はもうない」を読み忘れていて……
不覚です。

あぁ眠い。
くだらない文章ですみません。
今日は14時間寝ていたもので。

いつも来てくださりありがとうございます。
コメントもありがとうございます!

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2009年11月25日 (水)

「SPEED」 金城一紀

SPEED (The zombies series) SPEED (The zombies series)

著者:金城 一紀
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する


最後は必ず勝つとわかっていても、泣けるストーリーがある。
とか言うと、「勝たない話に意味はない」と一蹴されそうだが、
まぁそんな話。とても楽しいのだけど、マンネリを感じなくもない。
やっぱり勝ってばかりじゃ、それは嘘だと嘆く心が現れるのか。

家庭教師の彩子さんが自殺をした。憧れていた女性なだけに
ショックを受けた佳奈子は、彩子の知人である中川に事件の真相を
尋ねるため喫茶店で待ち合わせをした。実は彩子さんの自殺には
心当たりがあった。彩子さんは不倫をしていたらしい。
小さいけれど、証拠もある。話を切り出そうとしたが、しかし
中川は取り合ってくれず、もう忘れた方がいいと言い始めた。
煮えきらなかったが帰宅しようとしたところ、何者かに襲われ空き地
に連れ込まれてしまう。絶体絶命のところを、偶然居合わせた
不良高校生――朴舜臣たちに助け出された。どうやら襲ったのは
中川の手下の生徒たちらしかった。中川の目的は? 
調べ始めるうち中川の大学内で蔓延する、悪質な金の動きを知る。

ゾンビ3巻目。楽しかったのは嘘ではない。駆け抜ける疾走感と、
窮屈な箱の中から抜け出す開放感を十分に味わうことが出来た。
少し残念だったのは、やはりマンネリ、と回想である。
マンネリは必ず勝つに決まっている、という結末に始まるのだが、
絶対に上手くいくに違いないと言うシンデレラムードが、
その原因のように思える。そのため、今回は話の一番最初に
フェイントとして朴舜臣がやられてしまう?! みたいな記述があり、
ハラハラさせるという仕掛けが施されていた。でも、結局
本の九分目でようやく襲われるので、きっと上手くいくだろう、
と分かってしまいやっぱりシンデレラ路線だった。最後に
必ず勝つのが悪いわけではない。推理小説だって、最後は必ず解決
するんだし、解決しなかったら気持ち悪い。犯人に逃げられた、
と言うオチもあるかも知れないが、最後は安泰の結末がある。
と、考えると、最後に勝つのが悪いのではなく、最後まで負ける気が
しないのがいけないのだと思う。という感想を持った本だった。
もう一つは回想シーン。前2巻の内容をちょこちょこ小出しにしている
こと。前の巻を読んでいないと分からない、という仕組みである。
人間は過去の積み重ねで生きているから、過去を思い出すのは当然で
ある。けれども小説でそれをやられると、何だか違う気もするのだった。
ここまではっきり書かれていなくても、もっとさり気ないニュアンス
で出したとしても、シリーズ好きのファンはきっと覚えているし、
気づいてくれるだろう。それをわざわざ語ってしまうのは、
恥ずかしいような、くさいような、そんな感じがした。
あと、悪いやつの名前が全部某政治家の名前で失笑である。
と、いろいろ文句を書いたけど、面白いことには変わりはない。
わたしも女子高だったので、佳奈子と同じ思いを味わうことができた。
はみ出てはいけないという拘束。そんなもの、いらないのである。
わたしもスピードがほしい。読み終わり素直にそう感じた本だった。

★★★★☆*87

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2009年11月24日 (火)

「ゆれる」 西川美和

ゆれる (ポプラ文庫) ゆれる (ポプラ文庫)

著者:西川 美和
販売元:ポプラ社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


才能があるっていいよなぁ、と言って指をくわえているのは、
才能をうまく使えない人のいいわけである。とか何とか、
言ってみたりして、結局いい才能持ってるわこの人、と感心するばかり
なのだった。なんだか、不思議な文章を書く人だな、西川さん。

久しぶりに実家に帰った僕は、変わらないその空気の重圧に嫌気が
さしていた。実家はガソリンスタンドを営んでいる。チェーン店
とは違うその個人店は、うらぶれて見る影もなくて、その店を
当たり前のように継ぎ、当たり前のように働いている兄のことを
俺は信じられないと思っていた。店には智恵子の姿もあった。
子どもの頃から一緒に育ち、少し可愛くなった頃、僕は智恵子を抱いた。
けれど流されるまま生き、自ら行動を起こさない智恵子の存在は、
次第にうっとうしさに変わり、家を出ると同時に、何事もなかったかの
ように置いてきた女だ。なんの罪悪感もない。しかし、数年ぶりに
会った俺はまた彼女を抱いてしまったのだった。兄は智恵子を好きらしい。
じっと僕を見据える兄は、僕らの何もかもを知っているのかもしれない。

文章が読みづらく感じた。特に修飾語が長いわけでも、捻くれている
わけでもないのだが、文節の位置が絶妙なバランスを保った文、
というような、そんな感じだった。読みづらいのは最初のうちだけで、
慣れてしまえば、噛むほど味が出るスルメのように、美味しかった。
そう思わせるように文をひねり出しているのだろうか。そんなこと
考えなくても、ただ自然に書いた文章が、こうなんだろうか。
とてもいい文章だと思った。特にいいことを言っているわけでも、
目だっていい表現をしているわけでもないのに、語られる物語に、
他とは違う絵を見た気がする。カメラで切り取られたような、
温かい像である。これを才能と言うのか、分からないがとても魅力的
だった。話は、真面目な兄と、奔放な弟の、絆の話である。
絆、とは言っても、もうぼろぼろで、誰も触ることが出来ない。
父親、兄、弟。母親が死に残された男たちのわずかな繋がりは、
まるで老朽化したつり橋のように揺れているのだ。誰も見ないふりして
過ごしてきたから、智恵子の死によって突きつけられる真実は克明で、
3人を傷つける。誰が悪いのか? いいや、誰も悪くはない。
誰もが抱えている小さな「罪悪感」の積み重なりが、だんだんだんだん
膨らんで、兄の被っていた皮を剥いでしまったのだから。
いや、それも違うのかもしれない。兄の内側の心を、知ろうとしなかった
だけなのかもしれない。残された幼い記録はあんなに美しいのに、
自分はどうしてこのような邪悪なことばかり考えているのか、
主人公の涙がとてもよくわかった。人はなぜ忘れるのでしょうね。
あんなに温かい記憶を。わたしの頭の中に残っている記憶も、
黒くくすんだものばかりである。内側を抉られるような、不快さと
現実を教えてくれる小説だった。この小説は西川さんの手によって、
映画化されていますね。観たかったのに、観てませんでした。
そちらも評判がいいみたいで、才能って凄いな、と思うのです。
あら、堂々巡り。そのうち借りてみようと思います。

★★★★☆*88

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2009年11月23日 (月)

【DVD】大阪ハムレット

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洋画を観た後に続けて邦画を見ると残念な気分になるのはなんでだろ。
もちろん、いい映画はたくさんあるし、コンセプトによっては、
それが売りとさえ言えるのかも知れない。けれどもなんなんだろう、
あの「ダサい」感じ。身内ウケを狙ったしょうもない感じは。

父親の葬儀が済んですぐに久保家には謎のおっちゃんが住み着いた。
まるでそこにいるのが当然という体で母と仲良くしているので、
俺たちはちょっとビビリながらも、そのおっちゃんを受け入れなくては
ならない雰囲気になった。そんな家の様子を嗅ぎつけた高校の連中は、
「ハムレットさんち」と暗喩を込めて俺を呼ぶようになった。
頭にきた俺だったが、馬鹿で不良の俺は「ハムレット」を知らねぇ。
正当にキレるため図書館で本を借り、辞書を片手に意味を読み進めると、
本の中に登場する、夫がいるうちから愛人を作っている卑猥な女を
母に見立てているようだった。なんのこっちゃ、ふざけやがって。
俺はうちの何かを守る為、連中と殴りあうことにした。その温かい
何かの為に、俺は負けるわけにはいけないのだ。

人はなんて呆気なく死ぬんだろうと思う映画だった。要素が寄せ
集まって濃い感じがしたが、しかし現実なんてそんなもんなのかも、
と途中で思ったりした。この映画は主に3人の視点から描かれている。
長男、次男、三男。長男は年上の彼女との関係に気をもみ、
次男は不良の連中と殴りあう。三男は女の子になりたいと思っている。
それぞれの悩みを持ちながら、父親のいなくなった新しい生活を
少しずつ受け入れ始めるのだ。子役の子がとてもいい演技をしている。
大阪、という設定も手伝って、少しやりすぎな感じもしなくもないが、
心情を、言葉で現さなくても伝えられる表現力が良かったように思う。
一番良かったのは、森田直幸の、ハムレットのセリフを叫びながら
海辺の突堤を走るシーンだ。あのシーンは作られた感が漂うが、
なぜかまんまと思惑にはまって、「なぁハムレットさんよぉ」
「いいや、やめへんで」なんていうめちゃめちゃな大阪弁ハムレット
に心を打たれてしまうのだった。森田くんは『色即ぜねれぇしょん』
にも出ていたね。わたしは不良が好きである。自分がそうなれないから、
むしろ尊敬すらするくらい、不良が好きである。この気持ちは、
たぶんあまり人には分かってもらえないだろう。なんだか、
森田くんの不良ぶりを見ていると、いつしかの誰かみたいで、
清々しい気分になるのだった。本物みたいだから、いや、本物なのか?
田舎の不良が彼ほど似合う人は今の所いないと思う。と、脱線した。
映画全体は、上にも書いたとおり、邦画にはなぜか「ダサさ」
「残念さ」などが付きまとっているように思う。なぜか?
それはどうせ日本でしか観られない、観てもらえないんだから、
という思いが根底にあるように思う。もちろんこの映画が、という
わけではないが、外国人向けに作ると妙にしゃちほこばってしまう
ように、そこに何らかの境界線があるように思う。日本らしい映画って
なんだろう? 大きなテーマである。と、色々文句を言っておいて、
唯一つ良かったなと思うことがあるんだけど。日本人でよかった。

★★★★☆*87

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2009年11月22日 (日)

【DVD】華麗なるギャツビー

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これも「ゴッドファーザー」と脚本さん(監督も兼任してます)が
同じでした。気づかずに観終わったのですが、なるほど改めて
思えば、そう感じなくもありませんね。それにしても監督が違うだけで
随分雰囲気が変わるもんですよね。まぁ当たり前かな。

ひょんなことから引越しをしたニック・キャラウェイは、
金持ちばかりが集まる地域に家を借りて住まうことになった。
お隣は大富豪と噂のジェイ・ギャツビーが大豪邸に住んでいる。
ギャツビーの広い庭では、時折金持ちたちの社交パーティが催され、
いつでも華やかな亭である。しかし実際にギャツビーの姿を
見たことのある人物は少なく、謎多き人物としても有名であった。
庭のデッキから華やかな様子を眺めながら、自分とは違う世界だ、
と鼻白んでいたニックであったが、ある日ギャツビーの使いから、
明日のパーティに来るよう招待された。恐る恐る参加したニックは、
更に豪邸の中に通され、ギャツビーと直々に話をし、今度は
一緒に食事に出かけるように誘われた。どうやらギャツビーは、
ニックの親戚であるデイジーに気があるようなのだが……。

何の映画祭だか良く見なかったけれど、当時衣装賞を取った映画である。
と言うわけで、終始煌びやかな映像を見ることが出来る。
金持ちというロマンを追いかけ、それ以外を蹴散らすがごとく振舞う、
富豪たちの様子が克明に描かれている。金持ちは、貧乏人とは結婚を
しない。それは最も恥ずべきことであり、どんなに好きな相手が
他にあったとしても、由緒ある家柄の人物を選ばなくてはならない。
きらきらと笑いながら、貧乏人を蹴落とす様が、冷たく、然るべきこと
として映し出されていた。ふと笑みを止めてしまえば、現実に
引き戻されてしまう。だから、デイジーは「可愛いお馬鹿さんになる」
というのだ。この話は「華麗なる」ギャツビーだが、その華麗なる
様子がとても虚しく映る。もちろんそれが狙いなのだろうけれども。
ギャツビーは夢を持ち続ける男である。昔は貧乏であったが、
今はのし上がり、偉業を達成した。身分の差で上手くいかなかった恋も
きっと今なら上手く行くに違いない。きっと、いや絶対彼女を
手に入れてみせる。という熱い心を持っている。けれども、
当のデイジーは、そんなギャツビーの姿に惹かれながらも、
ぬくぬくとした金持ちの世界から抜け出すことが出来ない。
結局は熱いロマンスよりも、安定した金という腹黒い俗物に、
人間は囚われているのだ、と物語っている。で、タイトルは
「華麗なる」ギャツビーである。その黒い世界に立ち向かった、
格好いい男、といったところであろう。呆気なく殺されてしまう
あたりに皮肉を感じるけどね。世の中は変わらないのだろうか?
との問いかけになっているようで、何とも苦い終幕である。
ところで、時代的にクーラーなどないので、役者が汗だくである。
夏の物語だから、プールに出てみたり、パラソルを立ててみたり、
けれど、気取った金持ちたちは、だらだらと汗を流しながら、
豪華な衣装を身に纏うのだった。時代柄しかたがないと思いつつ、
本当に馬鹿な人たちだ、と思えてくる。この心は嫌味なのだろうか。

★★★★☆*87

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2009年11月21日 (土)

【DVD】ゴッドファーザー

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これが観たかったのです。というわけで、ようやく観れました。
うちの近所にはレンタルショップがないので、名画座に行くしか
ありません。ちょっと不経済よね、と思いつつも、遠くで借りて、
遠くに返しにいく勇気がありません。図書館ですら大変なのにさ。

シチリアからアメリカに移住したドン・コルレオーネは、
マフィアファミリーの長として、ゴッドファーザーと呼ばれている。
友情を重んじ、一度約束をしたら、決して破ることはない。
友人の願いを叶えるためなら、立ちはだかる悪意には拳銃で立ち向かい、
大切にしているものを取り上げ必ず約束を取り付ける。
その徹底した行動から、ドンは周りの人々から恐れられていた。
そんな父親とその取り巻きたちを見て育ったマイケルは、
このような薄汚い世界を嫌っていた。ドンもそれを認め、マイケルを
大学に行かせ堅気の人間として社会に出てもらうつもりでいた。
しかし、そんな時敵対するマフィアファミリーから、ドンは暗殺
されてしまう。一命を取りとめたが危篤の状態である。このままでは
コルレオーネファミリーは全滅させられてしまうだろう。
弱った父を前に、マイケルは自らマフィアの道を歩み始める。

実家で観てきました。折角実家に帰ったのに、家に誰もいないって
どういうことでしょうね。一人でDVD観てただけなんですよ。3本も。
おかしくないですか……とか、無駄な不満はさておき。
やはり名画と呼ばれるだけのことはあった。観終わって大満足。
一番印象深かったのは、理不尽な出来事をありのまま描く、
という点であった。ゴッドファーザーと呼ばれる、マフィアの長は、
闇の世界で輝く存在である。しかし、その命は他の誰の命とも
変わらず、呆気なく小さいものである。そして、同じように弱り、
同じように死んでゆく運命である。その飾らない、言うならば、
全く格好よくない死が、この映画をいっそう輝かせていると思った。
また、ゴッドファーザーがただ一つ願っていた、息子を堅気として
社会的地位に就かせるという夢は叶うことはない。あんなにマフィアを
嫌っていた息子は、父親とその仲間を救うために、自ら濁った道を
選んでしまうのだから。例え自分の命が消えようとも、父親の
築いたコルレオーネという名を潰すことは出来ない。マイケルの
その奮い立つ思いと、拳銃をぶっ放し初めて人を殺す瞬間の緊張が、
まるで今を見ているように、感じることが出来た。そして、
今までのドンの部下たちが、「あぁゴッドファーザー」と傅きながら、
マイケルに忠誠を誓うシーンの後味は、最高に苦い。これこそ
曲げられぬ運命なのだと、思い知らされる瞬間であった。
この映画には誇張がなく、そして登場するのは無残な死ばかりである。
けれど、その内側には、譲れない何かが、そして愛情がある。
すぐにもう一度観たいとさえ思える、すごい映画だった。
あのシチリアの音楽が、頭から離れない。

★★★★★*95

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2009年11月20日 (金)

「セリヌンティウスの舟」 石持浅海

セリヌンティウスの舟 (カッパノベルス) セリヌンティウスの舟 (カッパノベルス)

著者:石持 浅海
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


時間が経つのって怖ろしいね、石持さん1年以上ぶり。嘘?!って感じ。
そう言えば今年は読んでなかったしなぁ、悪いことしました、とか
言ってみたりして。石持さんは好きなミステリィ作家の一人です。
いいときと悪いとき相当差があるんだけどね……そこんとこ森さん以上です。

初めて会うようなダイバー同士だったが、奇跡的な生還を遂げた六人は、
運命の絆を覚えていた。親友や家族とは違う、特別な絆。普段は
頻繁に会ったりするわけではないが、それでも会えば心の打ち解けた
会話をし、やはりあの絆は確かなものだと確認できた。六人でダイビングに
出て、三好の家で酒を飲むことは恒例の行事である。その日も泳ぎ終わり、
三好の家に着いた六人は、いつものように泥酔していた。僕は水を飲もうと
立ち上がると、五人の姿を確認した。みなそれぞれ酷い格好で眠っている。
まるで大学のサークルのような悪い酒の飲み方である。時計は午前五時半。
起きるにはまだ早いだろう。水を飲み、トイレへ行き、もう一度寝ようと
したとき、僕はテーブルに突っ伏して寝ていた美月の様子が
おかしいことに気づいた。美月の腕の下には、長々と書かれた遺書があった。

一言言うと、長くてくどい。西澤さんを軽く超えました。笑
笑い事ではないんだが、長くてくどい印象になってしまう原因がある。
一つは、ヒントが微妙すぎる。微妙というのは、奇妙とかそういう意味
ではなく、「なるほど!」と思えない細微なもの、という意味。
普通の人では気にも掛けない細微な突っかかりをちくちくと突付いている、
そんな印象の小説だった。そもそも、警察では気づかなかった、
6人だけの真実を探そう! みたいな内容なので、コンセプト通りではあるの
だが、何ともまめまめしい印象なのだった。「その人の性格による」と
言ってしまえば、一瞬で片付くことを、「いいや、美月はそんなことしない」
と言い張って、出口のない推理を進めてゆくのである。まぁ、出口のない、
というか、出口はあるのだが、その出口がある様子を「セリヌンティウス」
と言う名前を文字って、いてこれももしわたしがその場にいたら、
「あぁ、う、うん」という微妙な返事をしてしまいそうな感じだった。
たっぷり説明されているが、ちょっとこじつけられている気もするし。
そこで元を辿り、自殺に意味を持たせるというところで、あぁやはり
間違った物語だ、と思った。きっと石持さんは友達が自殺をしたことが
ないんだろう。まぁ、大抵の人はないと思うけど、友達が自殺をする、
というのは、そんなに軽いもんじゃない。死んだ友達を思いすぎるあまり、
「わたしが何かしてあげれば彼、彼女はしななかったのではないか」
と夢想してしまい、しばしば悪夢を見るものなのだ。登場人物たちは、
まったくそう言った悩みを抱えていない。運命共同体とまで言っているのに。
本当はどうでもよかったのか? と思えてくる。極めつけは、
美月の死を持って他の五人がこれからも仲良く行くようにだって?
行くわけないんだよ、「なんでみんな助けられなかったんだろう」って
苛まれるんだからさ。と、そんなところからわたしにとってちょっと
いまいちな小説だった。友情って大切よね、とか柄になく言ってみる。

★★☆☆☆*70

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■雑談:実家に帰ります&a flood of circleの宣伝

連休中実家に帰ります。

ので、更新が止まりそうな予感。連休明けには復活するかなぁ……。
それにしても図書館の本を4冊も持っていくのって馬鹿だと思う。
でも読みたいから、重さは好奇心には負ける。

観たかったDVDも借りといてもらう事になっているし、
映画も観に行くし、で、書くことはたくさんありそうな予感。

それにしても最近本当に読書が楽しくて仕方がない。
ミステリィだらけなのか気になるところだけど(笑)
いろいろ読みたい今日この頃。

いつも来てくださりどうもありがとうございます。

あ、a flood of circleの音楽を、どうぞよろしくお願いします。
http://afloodofcircle.com/
Youtubeで聴くだけでもいいので是非。
わたしにできることは、これくらいしかありません。
一人でも多くの人に、彼らの音楽を聴いて欲しいです。

PARADOX PARADE PARADOX PARADE

アーティスト:a flood of circle
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2009/11/18
Amazon.co.jpで詳細を確認する

このGhostのPVについてはノーコメントで。
製作はかの有名ないしわたりさんです……。
『Ghost』

『泥水のメロディ』

重いのでそのうち外します……すみません。
佐々木さんの声は本当いいです。
生で聴いたらもっとすごいんだから!!
みなさんぜひチケットが安い今のうちにライブハウスへ。

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2009年11月19日 (木)

■雑談:『PARADOX PARADE』 a flood of circle(新譜)

200911181904000
本当は弾き語りの帰りに買いたかったけど、時間的に無理だったので。
某タワレコでは、かなりビップ展開だった。
入り口入ってすぐにあって、おぉって感じ。

「すごい新譜が」、と渡辺さんが言っていたけど、
なるほどとりあえずすごい新譜だった。もう、ギターやばい……。
わたしはいつも基本的にベース音とボーカルを拾う癖があるのだけど、
聴いた瞬間にこいつはすごいギターだと息を飲んだ。

聴き馴染みのある竹尾ギターは、やはり竹尾ギターだった。
FoZZっぽい(笑)面白いものだなぁ、とかしみじみ思った。
例え同じ楽器を使ったとしても、個性が出るんだろうな、
と思うと、その人の人間味の奥深くを味わってみたくなったり、
見た目からは分からない心情を読み取ってみたくなるよな、
とか感じた。(で、ライブの本数が増える……残念だ)

一番の問題は、これをライブでどうするのか、というところで。
全部奥村さんが弾くのかしらん。竹尾さんはゲストでこれても、
他は無理なんじゃないだろうか……とか、いろんな意味で。

個人的に『噂の火』の石井ベースがたまらない。
最後に収められた、透明な歌。まだまだ行けるよ大丈夫。

PARADOX PARADE PARADOX PARADE

アーティスト:a flood of circle
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2009/11/18
Amazon.co.jpで詳細を確認する

このCDの中には、今のフラッドの気持ちがぎっしりと詰まっている。
歌詞がいつもより長く、多く、今までに比べると少し詰め込みすぎな
くらいだろう。そうして溢れそうなほどの思いが、
メロディに漂って、3人に「なぁ君は」と問われているように感じる。
勿論わたしがではない。わたしも聴き、想う一人であるけれど、
本当に一番伝わって欲しい人に届いて欲しい曲たちである。
この中には葛藤があり、嫌悪があり、悲しみがあり、
痛さがあり、愛おしさがあり、許しがあり、それから明日がある。

「そこにいたら、どんなにいいかって」今あの日の言葉が響く。
そして強くなる。

これからもa flood of circleを楽しみに待ちたいと思う。

ぜひみなさんも彼らの音楽を。よろしくどうぞ。

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2009年11月18日 (水)

「仮面山荘殺人事件」 東野圭吾

仮面山荘殺人事件 (講談社文庫) 仮面山荘殺人事件 (講談社文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


ところで、この小説「仮面」についての記述が3行しかありません。
すげぇよ、東野さん。やっぱりあなたは天才だと思います。笑
と思いつつ、今回も満足読了。なんていうかきちんと読み終わったのに、
まだ何かあるってお試し感が漂う東野さんの力に脱帽です。詳しくは下で。

高之と朋子はある事故がきっかけで出会った。高之が運転する車に、
朋子が追突事故を起こしたのだ。そのせいで朋子は片足を失い、
目指していたバレリーナの道を諦めざるを得なくなってしまった。
一時は自殺未遂を起こした朋子だったが、リハビリを懸命に頑張ようになり、
高之はだんだん彼女に惹かれていった。交際は順調に進み、婚約した。
結婚式は春だ。しかし、その式が訪れる前に、車を運転していた彼女は
崖の上から転落し死亡してしまったのだった。打ちひしがれる家族や高之。
どうにか元気を取り戻そうと、家族や親戚を招いて式を行うはずだった
山荘で慰安旅行する事になっていた。しかし、到着してみると、
そこには銀行強盗が篭城していた。高之たちを監禁すると言う。
休まる暇のない8人だったが、ひょんな事から、朋子が死んだのは
事故ではなく殺人であると議論し始める。果たして犯人は誰なのか……。

ネタバレします。嫌な方は読まないように。
あとがきに折原さんが書いているように、わたしもこの本が嫌いである。
……と、まぁ折原さんの因縁めいた嫌悪ではないが(笑)わたしも、
本の中盤で犯人が判ってしまったからだ。残念すぎる。推理小説で、
一番つまらないのは、最初に犯人が判ってしまい、「もしかして、
そんなわけないよねー」と読み進めて「そんなわけあった」ときである。
今回も、はははは、やっぱりな、と主人公の笑いとともに思った。
そもそも、この話は作りこみすぎである。交通事故は、もしかしたら
殺人事件だったかもしれない! という議題が与えられ、推理が始まった
ところに、なんと銀行強盗が闖入である。ぐちゃぐちゃしてわけわからん。
ふと有栖川さんの『月光ゲーム』を思い出したくらいだ。
それでも必死に整理して読み進め、完璧なる犯行手口のゼロを確認したとき、
これで父親が死んだら父親が犯人。生き返ったら主人公が犯人パターンだ、
と気づいてしまった。あぁ。でも、そう分かって読み進めていても、
とても面白い本であった。ヒントを小出しにするテクニックや、
薬の有無(『私が彼を殺した』でも出てくるが)の、発想の転換などは、
さすが東野さんであると思った。それと、上にも少し書いたけど、
この本の一番憎いところは、この本を簡単に書いていると分かるところだ。
東野さんの文章はそんなに濃くないし、長くもない。どちらかと言えば、
修飾語なども少なく、すかすかしている方と言えるだろう。でも、
伝えるべきところは逃さない。お得意の書き方なのだった。それでいて
気張っておらず、「ちょっとこういうの書いてみたかったんだよね」的な
軽い感じなのに、なんなんだろうこの舌を巻く推理は。やられた感は。
東野さんは賞を受賞してデビューするまでに、20回くらい落とされ続けた、
と何かのエッセイに書いていたが、その度違うストーリーを考えていたんだ
ろうな、と思うと、やはり彼は天才だ、としか言えないだろう。
等々、何でもないことを魅せる力に脱帽である。さて、ところで、この本の
タイトルは『仮面山荘』だが、仮面は一切トリックに関係しない。
おいふざけんなと呆れるか、主人公の嫌な予感をズバリ表現していて最高だ!
と褒めちぎるかは、読んだあなた次第である。笑

★★★★☆*87

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2009年11月17日 (火)

「チェーン・ポイズン」 本多孝好

チェーン・ポイズン チェーン・ポイズン

著者:本多 孝好
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


本多さん久しぶりでした。1年半ぶりくらいかな。なんだか、
あぁ、こういう作風だった、と思うようでもあり、あれ?
こんなの書く作家だっけ? と疑問に思ったりもした。
うーん……テーマは好きなんですけど、ストーリーが何とも。

もう人生に疲れた。十七年もいるのに、雑用ばかり押し付けられる
会社も辞めた。最初のうちは羽を伸ばせたと、何もない一日を嬉しく
思ったが、それも数日で終わった。私には何もない。
もう死にたい。いつしかそう考えるようになっていた。
することがなく疲れ果てた私は公園のベンチに佇んで死にたいと呟いた。
「本気ですか?」背後から突然声を掛けられ振り返ると、
そこにはスーツを来た一人の男性が立っていた。
「本気で死ぬなら、一年待ちませんか? 
その代わり、一年頑張ったご褒美を私が差し上げます」
男は不思議な事を言う。私は立ち去った男の言葉を思いながら、
それを信じあと一年だけ生きて、楽に死のうと思った。

テーマに申し分はない。自殺願望者の前に現れる、謎の男。
思いつめた、彼、彼女たちの前で、死ぬのをあと一年だけ待って
みないか、という。そうしたら、楽に死ねる方法をあげようと。
予想はつくが、死にたいと思っていた人間が、人と触れ合うことで
その願望が薄まり、もう少し生きてもいいのではないかと思えてくる。
一年ではなく、それより先の自分を想像できるようになる。
そう言った上昇する感情が良かったように思う。けれども、
もう一つの視点である雑誌記者の推理がとても微妙だった。
物語は死ぬ本人視点で最初に進むため、読者は真実を知っている。
しかし、雑誌記者はそれを知らないはずなのに、
妙に早く「一年間だけ死ぬのを待ったようだ、それはおかしい」
などと言い始める。普通これだけのヒントでは気づかないのではないか
と、思ったりした。書いている人(作者)は一人なので、
仕方がないと言えば仕方がないが、ヒントの出し方の順番が違ったり
すれば、もう少し楽しめたように思う。例えば、保険金とか。
多分自殺じゃないかと疑われる時などは、保険金を最初に確認される
のではないだろうか? 誰かに保険金を掛けられて死んだのでは
ないだろうか、とかそういう道もあるからだ。この物語でも、
保険金を掛けており、おまけに施設に寄付されるようになっている。
ということは、そう言った履歴が保険会社に残っているわけで、
それを見れば消息がすぐ分かるはずなのだ。というようなところから、
間延び感が出ていて、残念に思った。と、最近ミステリばっかり
読んでいるので推理の仕方にうるさいわたし。すみません。
なんだか昔の方が好きだった気がするんだけど……これが書き下ろし
だからだろうか……ただ今『WILL』予約中。でもきっと読めるの来年だな。
最近の本多さんのテーマは「正義」みたいですね。法律もっと詳しく
書いて欲しいです。法学部卒として堅い小説楽しみたい今日この頃。

★★★☆☆*86

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2009年11月16日 (月)

「催眠」 松岡圭祐

催眠―Hypnosis (小学館文庫) 催眠―Hypnosis (小学館文庫)

著者:松岡 圭祐
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する


若干くどくどしい文章ではあるけど、後を引く読み易い作家だった。
たしかだいぶ前に千里眼シリーズ読んだことあったはずなんだけど、
その時は好きになれなかった記憶がある。最近読みやすいと思える
作家の範囲が広がってきたようで、嬉しい限りである。

ある日ニセ催眠術師・実相寺則之の店に入江由香という一人の女が
やってきた。大人しそうな雰囲気とは裏腹に、突然甲高い声で叫びだし、
自分は宇宙人である、と言い始めた。おまけに予知能力があるらしい。
実相寺の繰り出すジャンケンに全て勝ち、コインを隠した手を、
何十回も言い当てた。これはこの女は商品になるかもしれない……。
自分の店をたたみ、由香の店を開店させた。由香の店は忽ち繁盛し、
原宿の一番人気の店となった。実相寺は顔を出さない約束で、
由香をテレビ出演させるようになる。そんな時テレビを見ていた、
カウンセリング心理センターに勤める嵯峨は、彼女が多重人格障害
ではないか、と疑問を持ち、由香を救おうと店を訪れた。
大人しい由香から現れる、宇宙人や、勝気な女性の人格。
彼女の心の中では一体何が起きているのか。

文章がくどいのは、すべてを説明しているからである。
催眠術は、マジシャンが行うようなショー的なものではなく、
実際は病理を和らげるための治療方法である、ということを、
約全体の七割ぐらい裂いて熱弁している。本当に何も知らない人
に1から10まで教えようとするかのように、丁寧に丁寧に書かれていた。
とてもくどい。しかし裏を返せばとても親切設定である。
まったく催眠やカウンセリングを知らなくても、
この本を読めばなるほどね、と思うことが出来る。
と、言った文章のため、途中何回か他の本に浮気したが、
(まぁ私は常に浮気本が多数ある人間ですが……)読みとめると、
続きを読みたくなって、またすぐ手にとってしまう不思議な魅力が
あった。扱っている内容が「カウンセリング」ということで、
人の心理について優しく書かれているのも良かったのかもしれない。
最後の方で、由香の年齢を遡り、記憶を探っているあたりでは、
とても涙を誘われた。宇宙人のような人格が現れて、見世物にされて
いた、という実感はいまいち持てないのだが、こんなどこでも
起こりうる愛情の欠落で、精神が歪んでしまうんだ、という
描き方がとてもよかったように思う。その由香の苦悩について、
まったく感じとることが出来なかった、善意の両親。それが一番
タチが悪く、しかし実際にそんなケースが多いのではないか、
と思え、考えさせられた本だった。この本の表紙とかすごい怖い感じで、
一瞬、ホラーとかサスペンスか? と勘違いしそうだが、
まったくそんなものは出てこない。人も死なないし、ミステリィでも
ない気がする。医療とエンタメを上手く融合させたよい本である。

★★★★☆*87

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2009年11月15日 (日)

11/15つばき、未完成VS新世界、ヒツジツキ、UNDER THE COUNTER、STAn、UNISON SQUARE GARDEN@shimokitaroundup2

200911151211000
11/15つばき、未完成VS新世界、ヒツジツキ、UNDER THE COUNTER、STAn、UNISON SQUARE GARDEN@shimokitaroundup2

■セットリスト(つばき/CLUB Que)

 覚めた生活
 春の嵐
 めまい
 花火
 花が揺れる
 バタフライ
 君のヒゲ
 悲しみの中からはじめよう

お祭り、な感じのセットリストでした。

昼だったからか、久しぶりに右側で前の方で観たからか、
一色さんを見上げたまま、なんだか呆然としてしまいました。
こんなに棒立ちしてぼんやり観たのは、初めてだったかもしれない。
あんまりぼんやりしすぎて、『GOBUTAMA』やったような気がしました。
いや、完全なる錯覚だったんですけど、終わってから振り返ってみたら、
やった気がしたんです。否定されたので実際やってないですけどね。
あぁ、幻聴かしら。もう年かしら。

一色さんの前にいながら、小川さんの方が良く観えました。
岡本さんは一色さんがマイクから少し離れると良く観えました。
みんな楽しそうに笑っていました。
フロアは規制掛かってたから、すし詰めでした。
そんな中Queは久しぶりだったし、本当に楽しそうでした。
一色さんが誰かを探していました。

一色さんが
「おいおい、盛り上がってるかい?年越しで盛り上がっていこうぜ!!」
とハイテンションで言って、
「……いや、さすがにまだ早すぎでしょ年越しは」
と小川さんが冷静なツッコミを入れました。

キャラは重要です。

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2009年11月14日 (土)

11/14a flood of clrcle、LUNKHEAD、hare-brained unity、BAND A@shimokitaroundup2

200911141924000

11/14a flood of clrcle、LUNKHEAD、hare-brained unity、BAND A@shimokitaroundup2

■セットリスト(a flood of clrcle/CLUB Que)

 Buffalo Dance
 Thunderbolt
 泥水のメロディー
 Ghost
 博士の異常な愛情
 SWIMMING SONG
 プシケ
 ロシナンテ
 春の嵐

END

 象のブルース

FoZZtoneとどちらにしようか迷い、迷い、迷い、考えるのを放棄し、
当日になって自然に足が向いたのはフラッドでした。
で、ところで今日フォズ「Black sheep dog」やったらしいじゃないですか。
おいおいおいおいおいおい、わたし何回アンケートに書いたよ?
ショックすぎます。まさか12月もやってくれますよね(*^▽^*)うふふ
と、いつになく顔文字まで使って悔しさをうったえておきましょう。

しかし、今日は石井さんが観たかったのです。
「Black sheep dogやったよ」と言われてもあんまり落胆しなかったのは、
フラッドのライブが大満足だったからでした。結構やったなぁ、10曲も!贅沢。
春の嵐の途中で、石井さんのベースの弦が切れました。
で、必死に弾いている姿がとても微笑ましかったです。
そして今日の石井さんのMCは驚異的にスムーズでした。
奥村さんのギターに慣れてきました。前の音はキンキンしてたからなぁ。
佐々木さんがハンドマイクして妙な動きしていました。いいもの観れました。
渡辺さんが「あっちー」と言って2曲目で脱ぎました。最短記録か?
楽しいライブでした。やっぱりベースの音いい音です。

アンコールで登場し、切れた弦を名残惜しそうに触る石井さんを見た
佐々木さん「ベースの弦ってあんまり切れないんでしょ?」

石井さん「何それ、嫌味?」

渡辺さん「でも2回目だよね、切れんの」

石井さん「……」

渡辺さん「おい、無視かよ」

奥村さん「日常がバレるからやめろよ」

渡辺さん「おい、無視かって言ってんだよ」

石井さん「そうだよ、ステージ上に日常を持ち込まないで下さい」

奥村さん「日常こうだからね」

佐々木さん「(笑)」

石井さん「いつもこれの逆だかんね」

渡辺さんを睨む石井さん
なぜか観客から「ひゅうひゅう~」と桃色な感じ

渡辺さん「っていうかひゅうひゅうの意味わかんねぇし」

佐々木さん「今日皆さんガチャガチャ引きました?フラッドはですね……」

石井さん「(顔に手を丸くあてて)こんなバッヂです」
(※フラッドのバッヂは石井さんの顔写真です)

佐々木さん「なんでこんなの作っちゃったんだか……」

石井さん「みんなポイだよ」

渡辺さん「何それ、捨てられるってこと?」

石井さん「そうだよ、みんな捨てられて明日下北の道路が大変な事になってるよ」

渡辺さん「しかも道路かよ」

石井さん「あのバッヂがばーって道路に。あ、みなさん1人2個まで拾っていいんで。
ここにいる方が明日2個ずつ拾ってくれれば、下北の街がクリーンになります」

佐々木さん「今日は石井のしゃべりがすごいいいです。いつもは……」

渡辺さん「すみませんドラムの返し全部切って下さい。キックください
スネア上げて下さいぜんぜん聞こえないで(突然業務連絡)」

石井さん「今更……」

佐々木さん「この期に及んですみません(笑)」

渡辺さん「この期に及んですみません」

渡辺さんを振り返り、
石井さん「おいおいおい、このお客さんの空気どうしてくれるんだよ、え?」

渡辺さんにやりと笑って象のブルース

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2009年11月13日 (金)

【映画】ミツバチのささやき

Erice
こちらも『エル・スール』と同じ監督作品でした。
監督が原案、脚本を書いているので、物語の根底にある、父と娘の距離、
みたいなものは、きっと伝えたいことなのでしょう。この話では、主題は
幼い少女の幻想、というか、小さな恐怖を描いているんですけどね。

アナとイサベルは姉妹である。ある日村にやってきた移動映画で、
『フランケンシュタイン』を観た。『フランケンシュタイン』と言えば、
怪物が少女を殺してしまうという衝撃的な作品である。映画を観た
アナは、姉のイザベルにフランケンシュタインが子どもを殺した理由を
尋ねた。それはフランケンシュタインが精霊だからよ、という。
それに映画の中のことは全て嘘っぱちだから、子どもは死んでいないのよ、と。
しかし、衝撃的だったフランケンシュタインのことが頭から離れないアナは、
フランケンシュタインがいそうな、町外れの廃屋を訪れた。
そこでとても大きな足跡を見つけてしまう。フランケンシュタイン……?
恐ろしさと、期待が高まってゆく。そんなある日、悲鳴に驚いてアナが
寝室に駆けつけると、イザベルはぐったりと倒れていた。誰かを呼びに
行こうと部屋を出て、また戻ってくるとイザベルはもういなかった。
まさかフランケンシュタインに……? アナの疑問はますます深まってゆく。

純粋に何かを信じるということを、恐ろしさと、そしてわくわくする心、
を織り交ぜて描かれて、とても綺麗な作品だった。何が綺麗がって、
とても映像の色彩が美しいのだ。まさに映像美、である。
エル・スールと同じく、喋らないその間に、美しく、しかし不安げな
その映像から、主人公の気持ちをたくさん読み取る事が出来る映画だった。
内容は幼いアナが子どもが殺される衝撃的な映画、フランケンシュタイン
を観た事によって、なぜ人を殺すのかという現実の疑問と、
いいや、殺していない、きっと彼は妖精である、という子どもの、
想像により、その自分の想像の世界にどんどんのめりこんでいく、という
話である。廃屋に現われた人間は実はフランケンシュタインではないか、
と思ってしまう。姉の悪戯を本気にして、姉はフランケンシュタインに
殺される演技をしているんだと、思ってしまう。どんどんどんどん、
暗い闇に紛れて、いつしか想像がアナの中で本当になってしまうのだった。
イザベルの布団がなくなっているところで、一瞬ひやり、とした。
口の利けなくなったアナは戻ってこれるのかな、とても心配なところで
終っている。それにしてもとてもいい映画である。観ていたときは
気づかなかったのだが、みつばちのブンブン言っている音は、フィルムを
回転させる音に似ていて、アナはフランケンシュタインを回想していた
ようである。そうだったのか、と思うととても納得である。
それと、内戦時代のスペインと言う事で、人を殺すということと、
死から来る恐怖を、フランケンシュタインで表しているようだった。
そしてこの映画でも見え隠れする、父親の愛情と、それを理解できない娘、
のすれ違いがとても痛く正面から描かれていた。いい映画だった。
良く考えないと、わからない、とか言う人いそうだけど、何も考えずに、
アナの妄想の世界に浸ってみるのも悪くないと思う。

★★★★☆*88

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2009年11月12日 (木)

【映画】エル・スール

063
久しぶりに立ち観しました。辛かった……。座って観るって重要な事ですね。
何気なく観た映画でしたが、スペインの映画でした。もしや初めてかな、
スペイン映画。フランス映画はよく観るのですけども。あの間延び、
な感じが好きです。『ブロークン・フラワーズ』もう一回観たいなぁ。

特殊な道具を使い、水路を掘り当てる仕事にしている父を、
幼いわたしはとても尊敬していました。他の人が出来ないその不思議な力を
見るたび、父への思いを再確認し、また、そんなことが出来るのは、
父なのだから当たり前の事だとも、思っていました。父は周りから
変わり者と思われているようでしたが、わたしは気にしたことはなく、
むしろ誇らしく思ってさえいたのです。そんなある日、わたしは父の
出生について母から話を聞きました。父はエル・スールという、
南の暖かい場所で育ったそうでした。しかし、祖父との対立の末、
この街に移り住んだというのです。わたしの中に微かな父への蟠りが
生まれました。さらに別の日、わたしは父の書斎から、手紙を見つけました。
宛名には知らない女の名前が書かれており、間違いなく父の筆跡でした。
わたしの中の絶対的な父と言う存在が、だんだんと揺らぎ始めました。

フランス映画を間延び、と称するなら、スペイン映画は緩急、だろうか。
事情や、状況、行動などを説明するのは言葉であって、感情は無言の中で
伝える、そんな雰囲気を持った作品だった。雪がもさもさ降る地域に住む
主人公は、雪の降らない暖かい街エル・スールを上手くイメージすることが
出来ない。それは丸で父が心の中で何を考えているのか分からない、
その様子ととても似ているようであると。とても出来た作品であると思う。
語りとなっているのは、大人になった「わたし」である。
幼いころの自分を回想し、父と自分の関係を振り返ってゆく。
尊敬してやまなかった父だが、父への疑問が増えていくにつれ、
まるっきり信用するという無垢な気持ちをもてなくなってゆく主人公。
父がひた隠していた、妻以外の女の愛している、という事実を、
思わず口にしてしまうのだった。手紙を見たことや、父の行動から、
共犯者のように錯覚していたわたしは、父の本心を得たと思ったのだろう。
きっと「わたしも知っているの、仲間なのよ」と告げたつもりだったのだ。
けれどそれはきっと違うのだ。父は娘にだけは知られたくなかったのである。
妻を愛していない、と言うことはその血を受け継ぐ「わたし」もまた、
愛していないのではないかと、思わせないためにも。
でも主人公は幼すぎたせいで、自分がどうすべきだったのかも、
父が何を思っていたのかも分からず、そしてそれを理解できない自分に
傷つくのだ。あんなに愛していたのに、自分は何も分かっていなかったのだと。
この映画は、無言の中で伝える親しみや親近感がとてもいい。
総合的なスペイン映画がそう言う傾向にあるのかわからないが、
温かい印象が強い。それだけにテーマとなっている、娘の父親の不理解、
父親の自殺、という重い内容が、より映えて観えたように思う。
印象に残った部分は、いつもは絶対に協会に踏み入れない父が、
「わたし」の祝い事の日に限って足を運んでくれるシーンである。
「わたしのために来てくれた」と呟く表情が心に残っている。
けれど、父親が猟銃を打ち鳴らしていた思いの下に、
何が隠れていたのかも忘れてはいけないと思うけれど。
それと、「ほら、この音楽、一緒に踊ったじゃないか」と父が言うシーン。
父は娘の小さな姿を思い出し、懐かしそうに目を細めている。
けれど、主人公はそれを突き放してしまう。残酷に、そして気づかずに。
あの瞬間の絶望した父親の一瞬の表情が、頭から離れない。
会話は少ない。しかし伝わる何かを持ったいい役者そろいだったのだろう。
エル・スールはどんなところなのだろうか。暖かい陽気な街だろうか。
父はいない、けれど、父を知るたびに出る。とても心に沁みた。

★★★★☆*88

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2009年11月11日 (水)

■雑談:途中経過をお知らせいたします

今年の文化的活動日数です。

---------------------------
・本:77冊
・映画:9本
・ライブ:91本
---------------------------

ライブ91本って……わたしもいよいよライブジャンキーですね。
自分でも呆れてしまいます。お金がないわけです。
いや、来年は映画の年にしようと思うので、控えようと思います。
とか言って、正月明けにつばきのレコ発ツアーが……。
しかも何だよあの日程……とぶつぶつ文句を言いつつ、
ちゃっかり1月に休み申請を出したいと会社に醸し出すわたし。
うーん……でも無理なものは素直に諦めるようにしようと。
いや、今までも諦めてきたんですが。
と、言うわけで、今年は軽く100本突破予定です。ははは、笑えない。

ちなみに土日は「下北ラウンドアップ」にいます。

そのようなライブ状況のため、押しに押された時間により、
本を読む時間が大変削られました。決してライブが悪いわけではない
(というかむしろ自分が好んで行っていたので文句はありません)
ですが、ふと振り返ってみると、反省したい気持ちでいっぱいです。
特に1冊も読んでない月とか(まぁ精神的にオチていた、あるいは
読んだけど書いてない)がままあるのですが、それも含めて反省。
去年も130冊くらいだったし、結局200冊読めていたのは3年以上前で
しかない。あの頃の方が時間なかったのに……と思うと、
自分が怠けてしまっているようで、そしていい作品と回り逢える
機会が減っているように思えて、悔しく思うのです。
というわけで、来年は改めて200冊宣言です。今年はとりあえず、100冊。
あと23冊も読めるかな……ちょっと不安ですが、やってみよう。

ちなみに今読んでいる本は、このへんです。
・「チェーン・ポイズン」本多孝好
・「ヴィヨンの妻」太宰治
・「催眠」松岡圭祐
・「トキオ」東野圭吾
・「ラットマン」道尾秀介

伊坂さんの「あるキング」読みたくなってきたんだけど、
買うのもなぁ……と思いつつ、図書館はすごい予約だし……。
もうちょっと我慢かなぁ。

映画は……はい、問題外です。9本ってあんた!って感じ。
これも本と同じ理由からです。前はバイト帰りの夜とかレイトショー
とか、名画座とかよく行ったのですが、ライブって夜にあるから、
無理なんですよね……とかいろいろ言い訳して、結局は自分のせいです。
特に今年は洋画をあまり観なかったので反省です。
来年は飽きるほど映画の年にしたい、とか考えていたりします。

そんな反省ばかりの途中経過でした。
いつも来てくださりどうもありがとうございます。
ライブの本数にびっくりしても、是非懲りずにいらしてください(涙)

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2009年11月10日 (火)

「キネマの神様」 原田マハ

キネマの神様 キネマの神様

著者:原田 マハ
販売元:文藝春秋
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原田さん初めて読んだけど、読みやすい作家さんだった。長嶋有とか、
そんな感じの文章だった。さばさば書いているけど、どこか愛情のある
感じが、絶妙で心地がいい感じ。そう言えば「カフーを待ちわびて」
を観ようと思っていて観ていないんだけど、原作は原田さんだった。

十七年勤め上げた会社を、辞めた。大掛かりなシネマコンプレックス
建設プロジェクトの纏め役として働いていたが、いつしか業者との
癒着の噂が立ち、一気に冷たい目を向けられるようになったからだ。
無職になり実家に戻ったが、映画とギャンブルに依存し借金まみれの
父親に頼ることも出来ず、途方に暮れた。早く職を探さねばならない。
四十歳女性、未婚、前歴課長。そんな女をなかなか雇ってはくれない。
そんな時、ひょんなことから父がインタネットブログに書き込みした
ことがきっかけで、私はとある有名映画雑誌のライターにならないか、
と誘いを受けることになった。一抹の不安を抱きなら入社したが、
そこに待っていたのは、映画を本当に愛している人たちの仕事だった。
有名雑誌とはいえ、右肩下がり利益を挽回することは出来るのか。

映画が観たくなる小説。海外映画を好む人なら、楽しさ倍増だろう。
わたしも出てきたタイトルの半分くらいは知っていて、嬉しかった。
引き合いに出された映画が自分の好きな映画であると、そうそう、
そうだよね、わたしもそう思った! と賛同したい気分になった。
余談だけど、わたしのうちは良く映画を観る家族だった。映画という
ものがまだ何なのか分からないうちから、よく両親に連れて行かれた。
わたしや弟が反抗期になり、苛立ち気味に喋るわたしや、
朝から一言も口を利かない弟がいても、「映画を観る日」は
必ずやってくる。どんなに機嫌が悪くても、わたしも弟も、
「映画を観る日」を断ることはなかった。やっぱり好きだったのだろう。
わたしが初めて映画館で観た、アニメ以外の映画は「家なき子」である。
年齢から考えるとかなり渋い選択である。ちなみにドラマを全て
観ていたので、オープニング開始数分で号泣してしまった記憶がある。
次が「スター・ウォーズ」だ。その後は――と言う具合に、
つい自分が観てきた映画を思い出し、誰かに話したくなるような、
そんな本であった。この本の中にはとにかく映画への愛で溢れている。
DVDやインターネット配信などの影響で、不況に悩む映画業界。
次々と名画劇場が潰れてゆくのをどうにかして食い止めたい。
わたしたちはこんなに映画が好きなんだから、と熱い思いを感じた。
後半に出てくるゴウVSローズ・バットの対決は、本当に良かった。
映画に対する見方の差異が、上手く表現されていて、この文章を、
同じ人間(作者)が書いたと思うだけでも、唸るようだった。
言い合いの中で、しかし2人に共通していることが1つだけある。
それは映画を愛していると言うことだ。彼らは架空のライバルであり、
現実の友だった。最後の映画館でゴウの隣には、一緒に笑い、泣き、
感動するリチャードの姿が見えたように思った。泣いたなぁ。
ここまで褒めちぎって難だけど、1つの難点は、主人公の仕事ぶり
がよく分からない。折角文章がいいと言われて起用されたのに、
持て囃されるのは父ばかり。最後は老人対決になっていて、
(いや、面白かったけど)主人公それでいいのか?という気もする。
そういや最後に出てくる人生最高の映画はきっとあれですね。
わたしも観たいのです。2年位前に豊洲でリバイバルやってたんだけど、
観にいけなくて悔しい思いをしました。こうなったらDVDで観るか……。
いや、でも映画館で観たいのよ、とそういう話。
最近名画館に行きたい。前よく行ってたけど、また行こうかな。

★★★★☆*92

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2009年11月 9日 (月)

「キノの旅 Ⅵ」 時雨沢恵一

キノの旅〈6〉 (電撃文庫) キノの旅〈6〉 (電撃文庫)

著者:時雨沢 恵一
販売元:メディアワークス
Amazon.co.jpで詳細を確認する


あれれ?この巻つまらいぞ。明らかに筆の流れが違うのだが、
煮詰まってしまったのか?ゴーストライターでも雇ったか?(笑)
スマートで軽快な文が売りだったのに、だいぶ弛んだ感じが出ている。
何でだろ?エルメスとキノの性格が変わって見えるけど、何でだろ?

「祝福のつもり」
私の名前は陸。犬だ。
白くて長い、ふさふさの毛を持っている。いつも楽しくて笑っている
ような顔をしているが、別にいつも楽しくて笑っている訳ではない。
生まれつきだ。シズ様が、私のご主人様だ。
バギーを修理に預けると、シズ様と一緒に国を見て回ることにした。
中心部の豪華な町並みから外れ、道を進んでいくと、
次第に景色が悪くなり、汚い家々が増え始めた。この国には「身分」
というものがあり、それは絶対なのだそうだ。シズさまがホテルで
佇んでいると、一人の少女がドアを叩いた。「私を買ってください!」
とシズ様に懇願している。貧しい町には仕事がなく、少女は困って
いるようだ。断り続けるシズ様だが、少女は毎日、毎日やって来て――。

短編集が1巻毎に8話前後+巻頭が入っているので、単純に考えても
60話考えたことになる。そりゃネタも尽きるわな……な領域である。
しかし、今までそんなマンネリは感じさせずに続いていたのだが、
今回は普通の文章になってしまったように思った。なんていうか、
今まではぴりりとしまった文で、しかも性格がさっぱりした2人だった
のに、文が緩んで、会話も単調になってしまったように感じた。
しかも会話なんかおかしくないか……?エルメスが妙に妥協しやすい。
特に「花火の国」あたりで。そう言えばこの6巻が出たくらいに
「アリソン」の方の執筆も始まったんじゃなかったか……
関係あるのだろうか、とか考えてしまった。それともう1つ、
ネタ切れという意味もあるいは含むけど、物語の設定が、
とても庶民的な日本よりな感じになってきたからだろう。
最初はとても欧風なイメージで進んでいたように思う(わたしだけか?)
のに、「安全の国」も「花火の国」も思いっきり日本の皮肉である。
うーん「コロシアム」とかの生き生きとした頃を考えてしまうと、
やっぱり物足りなさを感じてしまう。というわけで、あまり
楽しめなかった第6巻だった。当時どうやらここで読み止めたようである。
やっぱり当時のわたしもつまらないと思ったのだろうか?とか思ったり。
散々文句書いたけど、面白いには変わりはない。ただ、ネタ切れ感が
漂っているよなぁ、なそんな感じで。続けて読まないほうがいい、
というのもあるかもしれないな、気をつけよう。

★★★☆☆*78

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2009年11月 8日 (日)

「数奇にして模型」 森博嗣

数奇にして模型 (講談社ノベルス) 数奇にして模型 (講談社ノベルス)

著者:森 博嗣
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


約500ページ、しかも上下段の本を、うきうきしながら図書館で借り、
にやにやしながら読み進め、むふむふしながら読み終わる。
わたしはいつからそんな人間になったのだろう。いや、なれたのだろう。
その原因は間違いなく森博嗣その人である。感謝したい。

N大学に程近い、M大学工学部の一室で殺人事件が起きた。
その大学の生徒である女性が扼殺され、机に寝かされていたのである。
二箇所ある教室の扉は鍵が掛かっており、いわゆる密室であった。
翌朝、とある事情からプラモデルの同好会に参加することになった
萌絵は、M大学近くの公会堂を訪れていた。そこのフロア内で、
コスプレの衣装を着る約束になっている。嫌々着替えをし終えた頃、
館内が騒がしくなった。どうやらスタッフが準備を始めたのだが、
1つ鍵の開かない部屋があるらしい。管理室から鍵を借り開けてみると、
そこには二人の人間が倒れていた。一人はメンバーの男性・寺林、
もう一人は首から上のない女性死体だった。騒然となる室内。
気を失っていた寺林は病院に運び出されたが、大きな謎が残った。
この部屋もまた密室であった。おまけに鍵は寺林が持っていた。
そして寺林はM大学工学部の学生でもある――絡み合う二つの事件。
奇妙な密室の間に、果たして何があったのか……。

とても楽しかった。この本を読んで何だか犀川のイメージが変わった
気がする。何と言うか見た目的なイメージなんだけども。最初の頃は
堅苦しい白衣のイメージがあったけど、今はそうだな、その白衣の
下に着ている、シャツにジーパンをイメージできるようになった。
とてもいい傾向だと思う。これと言って何もないが、萌絵との関係も
かなり深まっている模様である。で、内容は、というと、今回も
例のあれは存在しているように思う。そう「誰でも殺せそう」である。
動機がないというのが森さんの欠点だとわたしは思っている。
しかし今回はとても動機について視点を置かれた内容だった。
とは言っても、なぜ殺したか、ではなく、なぜ首を切断したか、
の部分であるけどね。犀川がとても長い理屈を喋っている。重要である。
今回の巻は森さんが好きなプラモデル同好会が舞台となっているため、
フィギュアと模型の魅力について、熱く語られている。本当、熱い。
モデラーは、完成した品には興味がないというのが1点。
プラモデルはそれを作る過程が最大の魅力なのであって、
作品となったその品は、品物の残りかすのようなものなのだと。
極論である。しかし、マニアとしてそれを楽しむ人間の半数は、
きっとそんなことを考えているんじゃないかと納得できた。
そう言えば、うちの父もそうである……とか、ふと思い出したりして。
だから壊れたものを元に戻すとか、そう言った行動の、
あるいは殺すと言う行為よりも魅力的な、死体の模型の制作、
という理屈が、今回はふむふむなるほど、と読むことが出来た。
しかし、誰でも殺せそうなことには変わりはないのだけどね。だって、
殺すことは重要じゃない(!)発言が出てくるので、まぁ諦めましょう。
その上疑問を持ちながらも、納得したり、こじつけたりすることは
理解していない証拠であり、また複雑な意図や思考を通り一遍の
考え方(一人の人間が、とか)で処理しようとするのは間違ってる、
とか書かれていた。ははは、そこまで言われたら、何も言えない。
さすが森博嗣である。と、言うわけで、複雑なものを理解できない
わたしは、笑って次の巻を読もうと思う。いよいよ最終巻!
あの分厚さ、わくわくする!笑 そんなこと言えるような人間にして
くれた森さんに感謝。他のシリーズは挫折しそうだけど、気長にいこう。

★★★★☆*87

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2009年11月 7日 (土)

【映画】風が強く吹いている

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観てきました。まさかドラマ駄作の「一瞬の風になれ」みたいに
なっていたら嫌だなぁ……と思ったのですが、それは大丈夫でした。
ハイジは、正直小出君のイメージではなかったのですが、
小出君いいな、と思いました。ちなみにイメージは妻夫木君でした。

(小説のあらすじより)
主人公・走は、高校の時に考え方の違いから監督と衝突し、
大騒動の末、陸上を辞める事を決意した。特待の話も蹴り、
期待していた両親からも逃げるように家を出て、無名の大学に入学をする。
ひょんなことから転がり込んだ竹青荘で、走は賑やかな9人に出会った。
走を合わせて10人……。今までの辛かった記憶を消し去り、
陸上を忘れようとする最中、荘の長である灰二が驚きの提案をした。
箱根駅伝に挑戦する。ろくに走った経験も無いこのメンバーで?
揺れ動くそれぞれの思いを胸に、今「走る」、熱いドラマが始まる。

小説でもよく分からなかった主人公の立ち位置は、映画でさらに
よく分からないものになっていた。主人公はハイジか? と思い
兼ねない原因は、主人公の思いを描くシーンが少ないからである。
(小説しかり)どの登場人物も、それぞれの辛さや思いをもって
走りに打ち込む、というのは分かるのだが、語られるのは主人公の思い
が一番重要である。その他の登場人物は過去回想シーンはいらない、
本人、もしくは違う人物は語ればいいのである。それについては、
小説よりも映画のほうが良かったな、とは思った。とてもよかった点は、
「駅伝」という雰囲気が、とてもよく伝わってきたことである。
私は陸上部だったこともあり、駅伝が大好きで毎年観ている。
特にどこの大学が、と言うのはないが、去年優勝したチームが、
今年も頑張っているのをみると、つい応援していたりする。
駅伝はそういうスポーツである。小説や映画では語りつくせないほど、
駅伝にはいろいろなドラマがある。怪我をして、最終区で棄権する
ランナーや、襷が伝わらないもどかしさ。あなたには分かるだろうか。
1年間走って走って走って走って。頭は常に箱根のことを考えている。
今日が本番である。この間走ったときは好タイムだった。
けれど、運命はそう上手くいかないのである。その悔しさの真骨頂が、
駅伝ではないだろうか、と思う。子どもでもなく、大人でもない、
青い思いを持つ彼らが、今1つだけやり遂げたいこと。
そういったことが、でもこの映画では少し伝わらなかったように思う。
予選会の呆気なさと、それから本選への展開がとても残念。
そう言えば「風が強く吹いています」という言葉は、もう少し前だった
ような気がするんだけど、どうだろう?走ってる最中じゃなかった?
それにしても走るシーンは凄かったな。小出君も林君も、他の子も、
本当に練習したんだな、っていう走りをしていた。そこは拍手喝さい。
これで、駅伝の視聴率が上がるといいんだけどなぁ、とか。

★★★☆☆*86

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2009年11月 6日 (金)

「キノの旅 Ⅴ」 時雨沢恵一

キノの旅〈5〉the Beautiful World (電撃文庫) キノの旅〈5〉the Beautiful World (電撃文庫)

著者:時雨沢 恵一
販売元:メディアワークス
Amazon.co.jpで詳細を確認する


ようやく気づいたのだが、時雨沢さんの描写には擬音が存在しない。
例えば、「モトラドがブロロロと音を出して過ぎ去った」とか、
文章に甘えがないのである。まぁそれを甘えと言うか否かは別だが、
ありそうでない、その余分こそがその世界を生み出す仕掛けではと。

「病気の国」
城壁の中には、外と同じ景色があった。茶色の岩山が続く、
草の一本もない荒れた大地だった。
「寒々しいね、キノ。空気も、景色も」走りながら、モトラドが言った。
「まあね。何もないね」キノと呼ばれた運転手が答えた。
「ここは、こういう国なのかな?」
「それがね、エルメス。この国はとても発展していて、建造物の中で
ほぼ一生暮らすことができる、きれいで清潔な国だって聞いているんだ」
「それ、絶対にガセ」エルメスと呼ばれたモトラドがすっぱりと返す。
気が遠くなるほど進み続けると、ようやく近代的なドームが現れた。
入国したキノは、ホテルのオーナに、病気の娘に旅の話を
してほしいと頼まれ、承諾した。病気の少女は一人の勇敢な男の子と
文通をしており、手紙を届けてほしいと頼まれるのだが……。

もしもライトノベルだから、という理由で読むのを躊躇っている方が
いたら、ぜひ騙されたと思って読んでみてほしい。買うのが恥ずかし
かったら、図書館で借りてくれば大丈夫。そもそもライトノベル、
というものに恥ずかしさを覚えるかどうかは疑問だが、少なくても
わたしは少しの躊躇いがあるのではないかと思う。そういうオタク系
ではないのかとか、そもそも文学的ではないだろうとか。しかし、
この本は違うと言っていいと思う。読みやすさ、と言う点と、
伝わりやすさ、と言う点から、異次元を作るためファンタジー的な
枠組みにされているが、この本は違った意味で価値がある本だと思う。
わたしはこれほど洗練された文章を他で味わったことがないと思う。
時雨沢さんの文章は、とても整然としている。擬音や形容詞を、
あまり用いず、的確に状況を書いている。「―た」「―だった」と
続く文章が、これほど心地いい本は他にない。それに描かれているのは
とても社会的な内容となっている。誰もが一度は感じた理不尽な思いや
笑顔の裏側に隠された残酷な事実が、とてもライトに書かれている。
一度読んだらその分かりやすさと、低空の感情が病み付きになるだろう。
と、前置きが長いが、今回も最高なのは「あとがき」である。
って言うかもう「あとがき」ですらないのだが……読んでみれば分かる。
もちろん本編も面白い。この本は「病気の国」を覚えていた。
届かない手紙の先には、死んだ事を隠し続ける国家がある。
まさに「病気の国」である。最後の「長い話をしよう」という一文が、
何とも苦く、それでいて「次」を感じさせる終わりである。
さて、次は読んだことあるのだったかな? たぶん6巻くらいまでしか、
読んでなかった気がするんだよね。時雨沢さんもたくさん本出してるな。

★★★★☆*86

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■雑談:吉田修一の『悪人』主演は妻夫木聡&深津絵里

映画『悪人』公式サイト
http://www.akunin.jp/

待ってました、待ってましたよ。吉報です。
映画『悪人』の詳細が出ました。
なんと脚本に吉田さんの名前があります。
おまけに音楽は久石譲!
これはひょっとすると、ひょっとするんじゃないでしょうか。
物凄い力の入れようですね。
公開が来年の秋、とか、1年も前に公表するところに、
すごい自信を感じますね。とにかく楽しみです。

金髪の妻夫木くん……似合っているような、そうでないような。笑
深津絵里と来ましたかー。『東京湾景』の仲間由紀恵といい、
そういうタイプか、と思いますね。いい感じじゃないでしょうか。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091105-00000010-flix-movi

本日は文庫『悪人』発売日です。
発売日にあわせて発表だったんですね。
わたしも今日買いに行きます。

いつも来てくださりどうもありがとうございます。

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2009年11月 5日 (木)

「フライ,ダディ,フライ」 金城一紀

フライ,ダディ,フライ (角川文庫) フライ,ダディ,フライ (角川文庫)

著者:金城 一紀
販売元:角川グループパブリッシング
Amazon.co.jpで詳細を確認する


金城さんの文章は冷たい。余分な情けがなく、事実をズバリと記す。
目を逸らしたくなる事柄を避けずに真っ直ぐ、あるいは被害妄想気味
に描きなら、けれどなぜが涙を流してしまう。悲しいからか?
いや、いつの間にか胸に熱い思いが込み上げてくるからである。

娘が暴行を受けて入院した。病院に駆けつけてみると、
顔面を殴られ怪我した娘が力なくベッドに横たわっていた。
殴ったのは隣の学校の男子生徒である。殴られた理由を求めたが、
男子生徒の学校の教師たちに金を掴まされ、事を大きくしないようにと、
釘を刺された。憔悴しきった私であったが、ある日テレビを見ていたら、
暴力を働いた男子生徒がインタビューに出ており息を飲んだ。
なんとボクシングの期待の星なのだと言う。怒り心頭した私は、
家の包丁を持ち出すと男子生徒の学校へ乗り込んでいった。しかし、
上手くはいかなかった。呆気なくつかまり、おまけに侵入した学校は
隣の学校であった。男子生徒たちに事情を説明した私は、朴瞬臣という
韓国人から、倒すため体力づくりを指導してもらう事になった。

正義は必ず勝つに決まっている。金城さんの小説もまたそれである。
会話の中にも出てくるが、勝たなければ意味がない、と言った
強いポリシーの持ち主である。ので、話は簡単に読めてしまう。
どうせ勝つんでしょ、みたいな。それと、「レボリューションNo.3」
の続編と言いつつ、主人公は高校生の娘を持つオッサンである。
今までの軽快な口調から一遍、社会に縛られた堅苦しい語りになり、
ちょっと残念な気持ちで読み始めた。あの高校生の、陽気な「僕」を
感じ、共感を得たかった。しかし、読み始めると、舌を巻いた。
いつの間にかオッサンの気持ちが手に取るように分かるのである。
わたしは娘を持ったことなどないが、何かのために歯を食いしばる
その心が、とてもよく伝わってくるのである。それに今までの
登場人物たちの活躍もいい味を出している。特に朴瞬臣の、
知られざる過去なども少し出てきたりして、前回のファンも、
大いに楽しめるようになっていた。金城さんは人が頑張り、
そして何かが叶う、という達成感を描くのがとても上手い。
それと同じく、何かが叶わなかった悔しさと、その立ち直り方の
描き方が上手い。なぜオッサンが木登りをしただけで、
または山下が病室を訪れただけで、私たちは涙を堪えなければ
ならないのだろうか。上にも少し書いたが、金城さんの文章は冷たい。
容赦がない。刻々と語られる言葉には、しかし温かい血が流れている。
読んでみればわかるから、そして絶対面白いから、読んでみてほしい。

★★★★☆*87

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2009年11月 4日 (水)

「くまちゃん」 角田光代

くまちゃん くまちゃん

著者:角田 光代
販売元:新潮社
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さすが角田光代。貫禄の滲み出る作品である。何かもう、
面白くないはずないのである。あとは自分に合っているか、
自分の影を、その登場人物に重ねられるか、だけが問題である。
これはyomuyomuに載ってたやつなんですね。読んだことないのですが…

「こうもり」
ロックバンドのボーカルである槙仁は、ステージ上とは裏腹に、
とても無口な男だった。自分の発した言葉で、物事が進んでいく
ということが苦手なのである。槙仁の傍にはいつも苦労する
ことなく女が寄ってきた。特に槙仁が意思を言葉で表さなくても、
大体が上手くいく。だが、一緒に暮らし始め、時間が経つと、
そんなつまらない男だと思わなかった、と槙仁は必ず女に振られて
しまうのだった。しかし、今回好きになった女・希麻子は違った。
これまでのように女の方から寄ってくるのではなく、初めて
槙仁が好きだと感じた女だった。ほとんどとりえのない、
自分を好いてもいない女だったが、なぜか心を惹かれてしまう。
結局上手くいかった2人の関係を、槙仁は考える。

yomuyomuがすでに12号も出ていて驚愕した。
そうか……もうそんなに経つのかって。つい最近創刊されたよな、
とか思っていたのに。歳もとるわけだな。読んでみるべきか、
いやいや、単行本を読むほうが好きだ、うんぬん、考えているうち、
1号も読まずに今に至る。今からでも読むべきだろうか……。
と雑談はさておき、この本の内容は、恋愛に関する連続短編集。
全ての主人公がふられる小説である。そしてふった人間が、
次では主人公となり続いていく。とても密集している関係ではあるが、
とてもバラエティに富んだものとなっていると思う。ミュージシャン
から始まり、売れない役者、イラストレータに会社員、離婚した女。
様々である。どれも自分には関係のない職業であり、ちょっと
実現されるとは思わない恋愛が描かれていたが、そこに生きる感情は
本物であった。この短編と言う短い文章の中で、主人公の気持ちを、
手に取るように理解することが出来る。読んでいて滲み出るのは、
貫禄ある角田光代のエネルギーである。この本の中に、
「凄いと思ったら、その凄いと思った気持ちが引き揚げてくれる」
と言うような言葉があるのだが、その言葉を丸々返したいほど、
私はすげぇと思ったのだった。この「こうもり」についても、
すれ違う男と女についての例えが、とても素晴らしかった。
気が合わないのに、好きだと思ってしまったのは、自分も、
相手もまた旅の途中であったからかもしれない、と。
答えを述べられても自然に頷くことが出来るのは、それだけ
感情の誘導が巧で、その感情を読者が上手く描けているからだろう。
あと、恋愛の始まり方も、とても自然だ。驚くほど簡単に、
あぁそうかこうやって付き合えばいいんだ、と感心してしまうほどに、
その場面を描いている。角田さんが描くのは、日常ではない。
日常の詰まらなさなどから、抜け出そうとして、抜け出せなかったり、
違う何かを見つけたりする物語が多い。そう「物語」なのだ。
角田光代の妄想に私たちは魅せられている。当たり前のことだが、
もう一度だけ言っておくと、彼女は「小説家」である。

★★★★☆*88

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■雑談:吉田修一の『悪人』文庫化&映画化

悪人(上) (朝日文庫 よ 16-1) 悪人(上) (朝日文庫 よ 16-1)

著者:吉田 修一
販売元:朝日新聞出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

悪人(下) (朝日文庫 よ 16-2) 悪人(下) (朝日文庫 よ 16-2)

著者:吉田 修一
販売元:朝日新聞出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する


11/6に吉田さんの『悪人』が文庫化します。
上下巻です。そんなに長かったっけ、って感じですが。笑
発売されたら、もう一回読もうと思います。
単行本何回か読んでますが、感想は一回しか書いてないし、
だいぶ時間が経ったのでまた読みたくなりました。

それと!
なんと映画化が決定していたようです。
主演は妻夫木聡との噂。吉田さん続々映画化ですね。
どーんと売れて欲しいものです、まずは名前が。そして中身が。
本はどうしても閉塞的なので、ぜひ宮部さんなどの、
ビックネームになって欲しいです。今駆け上がってるとこですね。
期待です。楽しみすぎる。あぁ、早く読みたくなってきた。

いつも見に来てくださりどうもありがとうございます。

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2009年11月 3日 (火)

11/3ウラニーノ@下北沢CLUB Que『ウラニーノメジャーデビュー記念ワンマンライブ~遅れてきたルーキー~』

200911031738000
11/3ウラニーノ@下北沢CLUB Que『ウラニーノメジャーデビュー記念ワンマンライブ~遅れてきたルーキー~』

■セットリスト

 てつがく
 サンデーロッカーズ
 6月のタイムマシーン
 妹がモデル
 歩道橋
 朝焼けバラッド
 段ボールに囲まれて
 ランドリーとワールド
 夕焼け、ぼくらを焼き尽くせ(サポートキーボード入)
 ツアーメン
 前進するビート
 Wonderful World
 終着駅

END

 海(山岸さん弾き語り)
 少年とぼく

END2

 続・やぶ医者とわたし

山岸さん曰く日テレの「プロジェクトX」みたいな番組、で、
ウラニーノが特集されるとの事で、テレビカメラが3台?
ほど入っていました。頑張ってるなーニーノ。
このまま突き進んでふらすとれいしょんを吹っ切ってください。

『てつがく』『妹がモデル』『歩道橋』『朝焼けバラッド』
あたりはレアですね。ワンマンでしか聴けない曲です。
『6月のタイムマシーン』もだいぶやらなくなったなぁ…。

あと、久しぶりに『続・やぶ医者とわたし』も聴けました。
すべてをぶち壊すこの1曲は最高です。
ワンマンのラストに然るべき曲だと常々思います。笑
この脱力感がたまりません。
「彼はやぶ医者、だけどやめられない」のです。

それにしても人多かったな。テレビでますます増えるのか?
この音楽がどこまで突き抜けるのか、期待しましょう。
最近聴いていないので、『龍』が聴きたい……と、思いつつ。
いや、小倉さんの龍ドラムが1番好きなのでね。
それも今後期待しておきましょう。

楽しかったです、ありがとう。

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2009年11月 2日 (月)

■雑談:『対照』佐内正史の写真@岡本太郎美術館

200911011520000
気になっていたので観てきました。
「迷ってるくらいなら、観ておけ」、これ鉄則です。
観ないで後悔したもの多々ありますからね。今回も観てよかったです。
昨日は岡本太郎美術館創立10周年記念ってことで、入館料20%OFFで720円。
これで常設展・岡本太郎展も観れます。お徳ですね。
しかも帰り際無料くじ引きをしてお菓子を貰えました。
ラッキー過ぎて怖いな、とか思いながら、るんるん帰ってきました。
割引などは、明日11/3(祝)までのようです。
http://www.sanaimasafumi.jp/
http://www.sanaimasafumi.jp/shop_taisyo.html

佐内さんといえば……、
そうです、吉田修一と合同本を出した、あの佐内さんですよ。
いえ、だから観に行ったわけではなくて、佐内さんの写真が好きなのです。

今回の写真展は珍しく、テーブル置き写真展でした。ワンフロアに
巨大なテーブル(台の上にベニヤを乗せた簡素な感じ)が四つ。
そもそも写真展はあまり行ったことがないので、
この展示方法がどういった要素を狙っているのかは不明。
それにしてもこんなに乱雑に置いた展示方法も久しぶりに見ました。
だって、そのままぽーん、ひらひら~と置いてあるのです。
規則性皆無。大きいのから小さいのまで、ぐっちゃり。
縦も横も隣の写真と合ってません。
まるで触ってくださいと言わんばかりで、案の定、
みんな触ったり、持ち上げたり、捲ったりしていました。
でも、それでもいい、というか、それもいい、と言った感じで、
そういった行動を狙っている展示なのかな、と思ったりもしました。
(単に時間がなかった可能性も有ですが、笑)

で、感想は、というと。

一番目を惹いたのは……エヴァンゲリオン……(笑)
おーーーい!
って感じである。この写真展の写真おそらく700~枚くらい
あったのではないかと思われるのだが、なんと、約四分の一は、
パチンコ、エヴァンゲリオンのフィーヴァー画面だった。
ちょっと、たんま、佐内さん写真展ですよ? 
巨大な机には、素朴な校舎、素朴な町並み、素朴な交差点、
素朴な商店街、素朴な公園、などの写真がずらりと並んでいる。
今回は(というかいつも多めだが)とても風景画像が多くて、
しかし、どれもそこにしかない魅力を放っている。
やっぱりいい写真撮るなぁ、とかほのぼの思っているその瞬間に、
突然そいつは現れるのであった。
突如としてエヴァンゲリオン。
この奇妙さは、観続けると恐怖にすら思えてくる。
素朴な校舎、素朴な町並み、素朴な交差点、確率変動突入しました!
素朴な商店街、素朴な公園、逃げちゃダメだ、素朴な校舎、素朴な町並み、
シンジ君私はあなたを信じるわ、素朴な交差点、素朴な商店街、
素朴な公園、素朴な校舎、確率変動突入!、素朴な町並み、素朴な交差点、
召集よ、先に行くわ、素朴な商店街、素朴な公園、と、父さん、
素朴な校舎、素朴な町並み、素朴な交差点、使途よ!、素朴な商店街……

という具合である。おわかりいただけただろうか。
おまけにいい写真より、レイちゃんやシンジの方が
サイズが4倍以上あるんだ!!!もうなんていうか、カオスである。
例えばこの写真展にテーマがあったら、木っ端微塵なほどの破壊力だね。
しかし、入り口で見た、佐内さんのテーマをふと思い出した。
「自由!」
まさに……何も言えないではないか。
脱力の思いで閲覧を再開。しかし途中でおかしくなってきた。
写真は今だ尚、素朴な交差点、確率変動突入しました!を繰り返している。
笑いが堪えきれない。そうか、佐内さんパチンコが好きなんだね、
と場違いに思った。折角の展示会でこんなことをしたら、
ふらっと観にきた人は、飽きてすぐに帰ってしまうだろう。
実際にカップルが多く、「何これパチンコじゃん」「興味なーい」
とか言ってる人がたくさんいて、すぐに違うところへ行ってしまった。
もったいない。本当に、もったいない。
けど、佐内さんはその中で、何かを感じてくれる人を探しているんだろう。
そう思った。繰り返している。素朴な写真と、機械的なパチンコ画面。
画面の中ではアニメのキャラクターが危機迫る様子であったり、
笑っていたりする。そうか、そうなのだ、と思う。
いつか吉田さんが『パレード』で描きたかった風景であるように、
平和で、和やかに日常に割り込む、突然のレイプ画像のように、
それはでも事実として、存在しているのだから。
それに気づいた瞬間。このパチンコ画像がとても身近に思えた。
すぐそばにある脅威として、幸福として、確率変動として。

佐内さんは自然の「今」を撮るのがとても上手い写真家だと思う。
佐内さんの写真を観ると、その写真観たことある、と思う。
わたしでも撮れそう、って思う。
けれど、どう頑張ってもわたしには撮れないだろう。
ふと見上げた時目に入る風景、ふと歩いている時に目に入る風景、
その自然な視線を正確にカメラで捉えることは、やはり技術であり、
センスあってのことだと思う。
佐内さんの写真はどこにでもある写真だ。
そう思うのは、どこかで観たことがある風景だから。
でもそれは、「誰でも撮れる写真」では、決してない。

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2009年11月 1日 (日)

【映画】ウルトラミラクルラブストーリー

091102_2
観よう観よう、と思って見逃していたので、観れて本当によかった。
この映画は松山ケンイチがいないと成り立たない。
この年齢で、この役が出来る男がいるだろうか? いないのである。
ちょっと前だと山田孝之だったが、素朴な役はたぶん柄が違う。

水木陽人は人とはちょっと違う脳を持っている。
何度も教えられたはずの畑の世話や農薬の配分の仕方を忘れてしまうし、
次の日の予定をしっかり立てて眠らないと、やるべき事を変えてしまう。
町の変わり者として見られている。しかし陽気である陽人は、
子どもたちには人気があり、町の人から温かく見守られているのだった。
そんな時、陽人は新しくやってきた保育士に初めて恋をした。
そのストレートな性格から、直球なプロポーズを申し込むだが、
呆気なく断られてしまう。それでも何度も何度もアプローチを続けた。
ある日、土の中に埋まる遊びをしている際、農薬を頭から
かぶってしまった陽人は、嘔吐を繰り返すうち、
気分が爽快になる事を知り、農薬をたびたび浴びるようになった。
次第に陽気さを失ってゆく陽人だが……。

ネタバレ注意。恋を実らせるために自分を傷つけると言うこと。
それは痛々しい行為であり、そして基本的に相手によく思われる行為
では、ない。けれども、陽人は変わり者であるから、その「常識」は
通じず、マチコを手に入れたい一心で、農薬を浴び続ける。
ある意味ウルトラな直球であり、ある意味ミラクルな伝え方である。
その裏には、マチコが好きだった、都会人の男のようになるため、
農薬を浴びることで今のような田舎者の自分ではなくなろうと、
その陽気さを捨てるという行為を暗喩してある。というような、
何とも際どく暗い内容が含まれているのだが、それは松山ケンイチの、
完璧な演技でいろいろなものを補われていたと思う。明るくなりすぎず
暗くなりすぎず。頓珍漢で。この役は本当に大変だったろうと思う。
普通の男の子ではダメなのだ。少し狂った、素っ頓狂な人間でないと。
実はこの映画「ジャーマン+雨」と連続で観たのだが、
その成長に舌を巻いた。デビュー作の後、二作目に松山ケンイチと、
麻生久美子の抜擢である。期待されている証拠だよな、と思いつつ。
ジャーマン~の中にもあったのだが、横浜さんの言いたいことは
大体わかった気もする。何もない人間の、頑張りと葛藤かな。
ところで、これは最後のワンシーンがとても衝撃的な映画なのだが、
あれ、いらないよね、と思う。というかR15くらいにした方がいいと思う。
あれをハンカチ落としゲームのように使うのもどうかと思うし、
あのシーンもどうかと思う。確かにその熊が進化するのか?
みたいな意味があったんだろうが、何となくあぁ日本映画だね、
とか思ってしまった。なんていうかこう、最後のワンシーンで引っ張る
というか、何と言うか。ので、折角の映画が相当微妙だった。
松山ケンイチすごいなーこれから出る映画七本もあるよ……。
倒れないでほしいね。一番気になるのは『ノルウェイの森』だけど。

★★★☆☆*86

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