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2009年10月 7日 (水)

「オリエント急行の殺人」 アガサ・クリスティー

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

著者:アガサ クリスティー
販売元:早川書房
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わー久しぶり。読んだ、という記憶は読み始めて数ページで思い出しました。
しかし、どんな話だったのかは、ほぼ忘れていました。あぁ、記憶なんて、
こんなものよねぇ、とか今回もまた思ってしまいましたね。まったく、
読んだら、ずっと覚えていればいいのに。それにしても良い本です。

急用のため引き返すことになったムシュー・ポアロは、
オリエント急行に乗車した。乗客は他に十三名。中は寝台になっており、
目的地に辿り着く三日間は否応なく赤の他人が一緒に過ごす事になる。
様々な人種の人間が乗り合わせる名物列車は、満室であった。
ポアロはその列車の中で人相の悪いラチェットという男に相談を
持ちかけられた。自分はある人物に命を狙われている。ぜひ護衛して
ほしいと言うのである。その強引な会話に呆れたポアロは、無論話を断った。
出発前から心配されていた事ではあったが、走行中次第に雪が強くなった。
終いには夜中ごろ、列車は雪崖に突っ込み、立ち往生する羽目になった。
静まり返った車室。そんな時ムシュー・ポアロは隣のラチェットの部屋で、
物音を聞いたのだった。空耳だろうか……しかし、朝になり車掌が戸を
開けたとき、ラチェットは死んでいたのである。

これを読んだのは中学生の時。もはやどんな順番で、どの巻を読んだのか不明。
ちっとも思い出せないので、仕方なく絶対読んだ事のある本から
読み返す事にした。まずはこの本。確かに読んだ事がある。
しかし、物語はおろか、犯人までも途中までさっぱり忘れていた。
重症である。ところで、この後ネタバレするので、お気をつけを。
この本のよいところは、様々な人種が乗り合わせている、という
特殊な状況と、はたまた雪で立ち往生、という密室性が、効果的に
ミステリィを楽しくしているところだろう。様々な人種、という点では、
日本は島国なのであまりなじみがないが、国境を跨いだ旅行のうち、
乗り合わせるそれぞれの国の人々、というはとても自然であるし、
また、国境を跨ぐだけで変わる国民性、というものも面白い。
もちろん、そこは話を面白くする仕掛けなのであって、例えば
何人であっても、人を殺すのであろうが、「陽気なイタリア人は、
刃物を使って殺しそうだ」などと、無謀な推理が、とてもいい。
一概に否定できないのも、一因かも知れない。国別に犯罪種類の
統計をしたら、もしかしたら、凶器に大きな違いが出るのかもしれないのだ。
それに人が入り乱れる様子を、アメリカのようだ、と表現するのも、
とても上手いものだと思う。最後庇い合う人間が生み出した謎を、
解きほぐしてゆくポアロの推理が感嘆である。
いないはずの赤い着物の女性、とか、ちょっとぞっとする要素も絡め、
ある過ぎる証拠品の謎。素晴らしいプロットだと思う。
そんなこと当たり前すぎて、褒めるのも恥ずかしく思うほどである。
なんだかこの本だけ読むとポアロは偏っているように思えるのだが。
順にまた読もうと思う。一度読んで損はない本。

★★★★★*91

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