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2009年10月19日 (月)

「キノの旅 Ⅳ」 時雨沢恵一

キノの旅―The beautiful world (4) (電撃文庫 (0440)) キノの旅―The beautiful world (4) (電撃文庫 (0440))

著者:時雨沢 恵一
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早くも四巻目。すぐ読み終わっちゃうからな、さすがライトノベル。
この巻の内容は、割かし良く覚えていました。特に殴り合いの夫婦喧嘩。
何が記憶に残るかなんて分からないものですね、まったくまったく。
で、何度も言うようですが、この本で一番楽しいのはあとがきです。

「認めている国」
潅木がまばらに伸びるその草原を、一台のモトラド(注・二輪車。
空を飛ばないものだけを指す)が走っていた。後輪脇とその上に、
旅荷物を満載したモトラドだった。遠慮のない爆音を響かせながら、
真っ直ぐ延びた一本の道を行く。運転手は茶色のコートを着て、
余った長い裾を両腿に巻きつけてとめていた。頭には、耳を覆う
たれのついた帽子をのせている。運転手は太陽の光を確認して、
コートの襟元を開けた。「この気候なら、もうコートや手袋は
いらないな。売るか、何かと交換するか、捨てるしかない。
結構気に入ってたんだけど」キノは残念そうな声で言った。
「まあしょうがないね。いらないものをすっぱり捨てられるのも、
人間の才能だよ」エルメスが慰めた。国に入ると、丁度投票が
あるという。誰にも必要とされない「いらない人」を決める投票である。

この四巻のあとがきは、ぜひ最後に読んで欲しい。いやもう、
時雨沢さんの完璧なまでのあとがきに拍手喝さいで、何も言えない。笑
内容は、というと、今までの3巻までの話とはちょっと角度が違い、
より読者にとって親密な内容の「国」になっている。むしろ、
「国」ではなく「地域」と言えそうな、ある意味にかよった、
ものなのだがまったく出涸らしなんかではない、きちんとした
パターンと、組み込まれた要素がある。親近感を覚える原因は、
その「国」がとても自分の「国の人」に似ているからだ。
まったく違う国に住んでいたとしても、人びとが自分とまったく
同じ思考回路をしていたとしたら(実際あり得ないのだが)、
やはりそれは親近感を覚えるんだろう、というそういう理屈。
そのパロディ要素が上手いこと組み合わさっていて、
より身近で起こっているような、より自分に関係しているような、
そんな気持ちで読むことが出来る。「認めている国」なんかも、
明日からでも、日本で行えそうである。(実際あり得ないのだが)
その「出来そうだ」と思わせることが出来る、というのが、
時雨沢さんの凄いところだろう。あと、あのあとがきね。
あれを読んだら、あぁ、この人まだまだ大丈夫、って思えるのだ。
だって、尽きなそうだもの才能が、なんて。
これはどうでもいい話だが、必要とされない人が消されてゆくなら、
人は皆必要とされるように頑張るのだろうか? いや、
頑張らないだろうな。以上、今回もためになりました、ありがとう。
13巻が出たらしいね。いつ追いつくだろう。

★★★★☆*86

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