« 9/29つばき@渋谷CLUB QUATTRO『Beat Happening! MAX VOL.2』 | トップページ | 「キノの旅 Ⅲ」 時雨沢恵一 »

2009年9月30日 (水)

「私が彼を殺した」 東野圭吾

私が彼を殺した (講談社文庫) 私が彼を殺した (講談社文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


それにしても「東野圭吾」という安心感は凄いと思う。東野さんは
取り分け面白いというわけではないんだけど(爆弾発言)、どれもぶなんに、
面白いのだ。どの作品も「ちっ時間の無駄だったぜ」と思わせるものはなく
それなりに楽しんで読了する。読み始める前の安心感が素晴らしいと思う。

鼻炎持ちである新郎・穂高は、式の前に鼻炎薬を飲む事にしていた。
式の最中に新郎が鼻をすするなど、格好がつかないと笑っていた。
しかし当日、花嫁姿に変身した美和子の前に現われたのは、
悶え苦しみ、死に絶えた穂高の姿だった。絶句し、倒れる美和子。
式は騒然となったが、容疑者はすぐに3人に絞られた。
花嫁である妹と恋人関係にあった兄か、仕事の関係上穂高を
快く思っていなかった駿河か、昔の愛人である雪笹か……。
彼らの手中で動き回る、ピルケース――果たして犯人は誰なのか。

この本前に読んだ事があったようだ。犯人を覚えていた。
東野さんには珍しい、空論推理である。実際の現場はほぼ出てこず、
当事者があぁでもない、こうでもない、と言い合うタイプである。
そしてその様相がまさにアガサ・クリスティ。文中にもあるけれども。
この本の一番凄いところは、最後の数ページ、と言うところに来て、
3人の容疑が一旦白になるところだ。「え、誰が犯人?」と、
息を呑む瞬間が、アガサ・クリスティ張りに用意されている。
回答も実に明快で、仕掛けがわければ「あ!」と瞬時に理解できるもの。
これだけ、考え考え来て、終盤に今までの推理をかき消され、
回答を突きつけられたときの、「やられた感」は、さすがだと思った。
一つの難点は、はじめの方で、すでにピルケース怪しいです的な
描写になっているため、否が応でも文を追ってしまうこと。
そこの部分だけ話がくどくどしいので、よく読んで置いてくださいね、
と言われているようだ。それがもう少し薄く、まさか薬で毒殺
とも思わせずに話を進められたとしたら、かなりの小説だと思うんだけど。
それと愛情表現、というか、なぜ美和子が穂高を好きなのか、
とかそう言う「人間味」的などろどろした部分がなく、残念。
東野さんは大抵ないんだよなぁ……どろどろしてるようで、
実はさっぱりしてるんだよな、といつも思うんだよね。それと、
この本は一応加賀刑事のシリーズだけど、ちょっと加賀さんの出番が
地味だったようにも思う、ちょっと脇役的な感じで残念ではある。
そもそも、あまりシリーズを把握して読んではいないので、
「あ、加賀さんだった」という程度なんだけど。新刊読んでみようかな。
とか言いつつ、東野さんは安心して読める作家の一人です。

★★★★☆*86

|

« 9/29つばき@渋谷CLUB QUATTRO『Beat Happening! MAX VOL.2』 | トップページ | 「キノの旅 Ⅲ」 時雨沢恵一 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/126354/31670026

この記事へのトラックバック一覧です: 「私が彼を殺した」 東野圭吾:

« 9/29つばき@渋谷CLUB QUATTRO『Beat Happening! MAX VOL.2』 | トップページ | 「キノの旅 Ⅲ」 時雨沢恵一 »