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2009年9月22日 (火)

「キノの旅 Ⅱ」 時雨沢恵一

キノの旅〈2〉the Beautiful World (電撃文庫) キノの旅〈2〉the Beautiful World (電撃文庫)

著者:時雨沢 恵一
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再読の再読の再読くらい。旅に出ると、つい読みたくなるのは私だけか。
初めて読んだのは確か中学生の時だったけど、今読んでもやはり面白い。
しかし読んでいると、あぁそうかキノは「×××」と言う名前だったのか、
とか、当時悶々としていたことが簡単に分かった。成長したのかな。笑

「優しい国」
森の中に、一本の道があった。
そこを一台のモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)
が走っていた。運転手はシャツの上に黒いベストを着て、
襟を大きく開けている。黒髪の上に鍔つきの帽子をかぶり、
ゴーグルをはめていた。その下の表情は若い。右腿の位置で、
ハンド・パースエイダー(注・パースエイダーが銃器。
この場合は拳銃)がホルスターに収まっている。
「実を言うとね、エルメス」運転手はモトラドに話しかけた。
「今から行く国は、あまり……、いや、かなり旅人の評価がよくない」
不安を抱きながら入国した1人と1台だったが、予想外に、
国の人々は親切丁寧だった。むしろ今まで受けたことのないほどの待遇だ。
キノは自分の約束をやぶり3日以上滞在しようとまで考えたが、
決まりは守るように警告され、国を追い出されてしまい……。

順に読んでいくと、自然と時系列に並んでいるように錯覚してしまう
もので、しかし、このシリーズは初めに忠告されているが、時系列順には
並んでいない。その証拠に、この「優しい国」では、1巻からの
キノの常備銃である、「森の人」を入手する物語となっている。
おまけに、ここで出会う女の子は、キノの昔の名前(と思われる)
女の子で、特別な親しみを感じている様子が描かれており、
極道……もとい師匠(この巻ではまだ登場はしない)を知る人物
が登場するなど、意味深な物語になっている。
しかし、ここは時雨沢さんらしく、情に落ち着いたりせず、
きっぱりと、なくなる。そう「なくなる」淡く感じたはずの懐かしさと、
人間同士生まれる親しみが、呆気なく消えうせる様子は、
読んだ瞬間に身震いをする。最後に見せた優しさを、突きつけられる
悲しさを、どう処理していいのか、迷ってしまうほどである。
だって、もう、いないのだから。そうした胸の空く思いを、
とても上手く描いている。物語は1巻の方が教訓めいていてよい。
こちらはどちらかと言えば「情」的なものが多くて、
このシリーズのよさが分かりにくいかもしれない。
時間の隙間に、流し込みたい小説ですね、まったく。昔も今も。

★★★★☆*86

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