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2009年9月 4日 (金)

「人生ベストテン」 角田光代

人生ベストテン (講談社文庫) 人生ベストテン (講談社文庫)

著者:角田 光代
販売元:講談社
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角田さんも、気付けば久しぶりだ。角田さんを半年も読まないだなんて。
やっぱり好きだと思う。何読んでも私の中に沁み込んで来るし、
どんなにつまらなくても、次を期待してしまう。吉田さんと一緒だな。
本はとても不思議で、でも本人に会ったら、うまくやれそうにない。笑

「テラスでお茶を」 
長年付き合った彼氏と決別するため、中古のマンションを買うことにした。
不動産屋に連れられ、部屋を見て回るのだが、そこにはことごとく
現在住んでいる住人がいる部屋ばかりだった。ここは南向きだし、
駅が近いし、と力説する彼らの説明を聞いていると、
何だか良く分からないが、とても買いたくない気分になる。
何件も家を回り、不動産屋と行動を共にするにつれ、
その何の繋がりもない佐藤という男が、まるで自分の恋人のように
思えてくるのだった。私は彼氏と別れ、この男との新しい生活を
探しているんじゃないだろうか。そんな自分に気づき、笑ってしまう。

うまくやれそうにない、と言うのは、そういう意味ではなくて、
今まで読んできた本の主人公の集積が角田さんなのだろうか、
とか、考えてしまうからだ。だからいつまでも尊敬してやまないだろう。
で、まぁ、その話は置いておいて、この本は、ふとした瞬間に、
赤の他人がまるで近しい人間に思える、という場面を描いている。
今日初めて会った人間なのに、あまりに深い話をされたがために、
まるで自分が夫か恋人かであったかのように錯覚するのだ。
私もそんな瞬間がある。話が弾んで、楽しくて、盛り上がって、
ずっと友達だったかのように思えて、けれど振り返ってみたら、
昨日であったばかりだったとか。そんなふとした温かさを、
上手く書かれた話たちである。特に「飛行機と水族館」なんかは、
頷いてしまう。飛行機を降りたら他人だけど、
でも、それ以上の友だちだったような、友達になったような、
不思議な感覚を、だ。まぁ、会社まで行ったら、気持ち悪い人、
ですけどね。その感情に素直な人間の滑稽さも、面白い。

★★★☆☆*85

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