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2009年8月 5日 (水)

「七回死んだ男」 西澤保彦

七回死んだ男 (講談社文庫) 七回死んだ男 (講談社文庫)

著者:西澤 保彦
販売元:講談社
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いやーこれ、最高に面白かった。森さん、石持さんに続くかなりの
ミステリィヒットでした。七回死ぬ原理を最初の方で知ることに
なりますが、そんな馬鹿みたいな話と知りながら、なるほど
こんな風に出来たら、実際の事件もいいだろうにねぇ、と関心。

正月に親戚一同が会したのは、他でもない相続争いである。
僕の祖父である渕上零治郎は、今年の正月書く遺言状に、
親戚の誰に経営会社と膨大な財産を継がせるかを書き、
それを正式な書類にすると言い出した。それを聞いた母と
はるな叔母さんは、何が何でも我が子どもをと競い始めたのである。
僕の兄弟は男三人、はるな叔母さんのところには姉妹二人。
それぞれの思惑を巡らしながら着いた新年の席では、火に油を注ぐような
激しい騒動になった。果たしで祖父が選ぶのは誰なのか……
みな目をぎょろつかせ、敵対心を露にしている。
ようやく宴会が済み、次の日になると、ある騒動が起きた。
なんと母屋の屋根裏で祖父が何者かに殺されていたのだった。

最高に面白いトレースミステリィ。確かにこういう発想は前から
あったかもしれないが、この本はこれ以上ない!ってくらい
上手く利用し作られている。七回死ぬ男。タイトルにびっくりだが、
なんてことはない、主人公が特異体質のため、
一日を9回やり直すことが出来るだけのことなのだ。
安易なパラレルに白けるところだが、この本は楽しい。
1回目に死んでしまった祖父をどうやって殺さずにおくか、
という実験を7日分、すなわち7回行うのだ。人に話しかける
タイミングや、会話を変えてしまうことで、微妙に変わってくる未来。
1回目犯人かと思われた人物を隔離していたはずなのに、
2回目、何故か祖父は死ぬ。おいおいおい、どういうことだ?
とミステリィの始まりである。特に6回目?全員を集めておけば
大丈夫だろう的な安易な考えで、宴会場に終結した親戚一同の
惨劇には笑った。あははは、そうなると思ったよ、と。
そんなお決まりから、予想だにしない出来事まで、7回分、
同じ人間が殺されるまでの物語が読めるのだ。
どこかで味わったことがあると思ったら、推理のシュミレーション
ゲームのそれである。何回か推理をやり直せる、という面白さ。
ねぇいいとこついてるよね、絶対面白いに決まってるじゃないか。
そして、何より語り口「僕」が面白い。地の文もかなり面白おかしく
書かれているが、かなりボケセンスがよくて笑えた。
最後の冷やりとするオチも拍手もの。最近ここまで褒めた本ないね。
西澤さんまた読もう~。

★★★★★*93

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