« 「未来のおもいで」 梶尾真治 | トップページ | 「蛇行する川のほとり 1」 恩田陸 »

2009年8月 8日 (土)

「彼女が死んだ夜」 西澤保彦

彼女が死んだ夜 (角川文庫) 彼女が死んだ夜 (角川文庫)

著者:西澤 保彦
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する


私が借りてる図書館に西澤さんの本がほとんどなくて、
この図書館何考えてるんだろうと思う。こんな上質なミステリを
推さないなんて!と憤慨である。この本も面白かった。
納得してしまう奇妙さを描くのが上手い。密室じゃないけど。笑

大学生でありながら門限が午後6時、という奇特な両親を持つ浜口美緒は、
その箱入り娘具合から、ハコちゃんというあだ名をつけられている。
そんなハコちゃんが明日から念願のアメリカ旅行を決行する事になり、
僕たちは前途を祝して飲み会を開く事になった。いつもは飲み会すら
参加できないハコちゃんだが、今日は運良く両親は法事でいない。
いつものサークル仲間で飲みつぶし、それぞれ分かれた面々だったが、
数時間後、メンバーはハコちゃんの家に呼び出されることになった。
理由も分からず着いてみると、そこには見知らぬ女の死体が横たわっていた。
事を荒立てると自らのアメリカ旅行がパーになってしまうといい、
死体をどうにかするよう僕らに救いを求めてくるのだが……。

この本も面白かった。一つ残念だったのは、あだ名多し。覚えられない。
まぁ、学生ものってこの本に限らずそう言う傾向あるけど、
なかなか注意して読んでいないと忘れてしまいそうだった。
西澤さんのミステリィ長所は、ありえそうな奇怪行動だと思う。
奇妙な事件が起きるのだが、元を辿り、理由が分かると、「なるほど」と
思えるものだ。今回はストッキングの中に大量の髪の毛が詰められて、
死体の傍に置かれている、というもの。原因が分からず、
その光景を見た人間が思うことは一つ、気持ち悪いだ。
奇妙すぎる、する理由がまったくない奇怪行動である。
けれども謎が溶けてゆき、なんとその髪は被害者が自分で切ったものであり、
三角関係のもう一人の女を怯えさせるための行動、と読んでゆくと、
なるほどとても有効な怖がらせ方ではないか、と思えてくる。
まぁそれでも気持ち悪いのは気持ち悪いけど、その気持ち悪いと思う
ことによって、女が離れてゆくなら、してやったりなのだから。
それと、ヒントの置石の上手さ。分かりそうで、分からない謎。
実はこうでした、と披露された瞬間「なるほど!」と膝を打ってしまう
快感と、こいつが犯人だったのか、という鳥肌がとても心地よい。
この本は犯人が二転し、かなりびっくりな展開。まさか、と思いつつ、
ヒントを組み合わせると、犯人はこの人でしかありえないと納得できる。
もう一つの良い点は、キャラクター性。まさかハコちゃん死んでると
思わず、知った瞬間鳥肌。悪役だと思って「嫌な女」なレッテルだった
登場人物が、一転被害者だった時の衝撃の大きさが、とても堪えた。
やられた、って感じ。とても上手いミステリィを書く人だと、
2冊目だけど素直に思った。まぁ他の本は知らんけど。もっと読んでみよう。

★★★★☆*86

|

« 「未来のおもいで」 梶尾真治 | トップページ | 「蛇行する川のほとり 1」 恩田陸 »

コメント

お久しぶりです。覚えてもらえてるでしょうか?涼菜です。ブログの更新が再開されててとてもうれしかったです。また、絡んでください☆これからもよろしくおねがいします。

投稿: 涼菜 | 2009年8月10日 (月) 19:35

>涼菜さん

こんにちわ~コメントが遅くなってしまい申し訳ないです;;

うぅ(ノ△<。)。。
そう言っていただけて、本当に嬉しいです!!
どうもありがとうございます!!
これから時間が出来次第、また遊びに伺いますね。

中島さん、そろそろくる、も読みました。
次は漢方小説でも読もうかな!

投稿: るい | 2009年9月25日 (金) 17:59

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/126354/30897701

この記事へのトラックバック一覧です: 「彼女が死んだ夜」 西澤保彦:

« 「未来のおもいで」 梶尾真治 | トップページ | 「蛇行する川のほとり 1」 恩田陸 »