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2009年8月27日 (木)

「変身」 東野圭吾

変身 (講談社文庫) 変身 (講談社文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
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ミステリィなのか、なんなのか、ちょっと境界線不明の本。
2重人格本だったらなかなかミステリィ感は出てかもしれないが、
この状態だとその表現はムリだろう。しかしながら、東野さんの、
人間らしさを頑張って書こうとしているのが伝わる本だった。

目が覚めるとそこは病院だった。全ての病室から隔離されており、
僕は前代未聞の大きな手術を受けたのだ、と知らされた。
そう言えば僅かに残った記憶には、自分の頭が拳銃で撃ちぬかれる
シーンがはっきりと残っている。本当に奇跡的な成功例なのだ、
と担当医・堂元はいった。受けた手術というのは、脳を移植するという、
世界初の手術だった。世間は皆僕に注目している。早く回復をして、
元の生活に戻る必要があった。しかし、僕は体に異変を感じ始めた。
見た目では分からないのだが、内側から湧き上がるような不吉な思いがした。
それに、以前は好きでも何でもなかった缶コーヒーが今無性に飲みたいのだ。

頭の中が段々他人の意思に支配されてゆく様子、がなかなか上手く
描かれている。被害者である主人公は、加害者である犯人の脳を
移植され、段々凶暴な人間へと変わってゆく。それはまるで
「変身」するがごとくで、優しかった僕が消えてゆく過程でもあった。
最後の方までドナーが隠されているのだが、読んでいれば嫌でも分かる。
なので、ミステリィ要素というよりは、その変わっていってしまう
様子を楽しむべき本だと思う。そう言った精神が蝕まれていって
しまうというものを文章にするのはやはり大変だと思う。
いままで一番良かったのは荻原さんの『明日の記憶』だけれど、これも
そんなことに重いきを置いた小説であった。むしろミステリィ要素
を完全に排除してしまったら、もう少し良かったのかもしれないな、とか。
しかし弱々しいイメージだった僕が、猟奇的な俺、になる描き方は、
さすが東野さんって感じだ。まぁあまり好きではなかったのだが…。
同じ脳手術ものの『宿命』よりはこちらの方が断然よし。

★★★☆☆*87

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