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2009年8月 3日 (月)

「誰か」 宮部みゆき

誰か Somebody (カッパノベルス) 誰か Somebody (カッパノベルス)

著者:宮部 みゆき
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宮部さんにしては詰まらなかったなぁ。うーん。実はこれの2巻目である、
『名もなき毒』を先に読んでしまったのだが、そちらの方が面白かった。
今回の本は、「で、何したかったんだっけ?」という微妙な終わりなので、
どんなにキャラクターがよくても映えない残念な感じだった。

今多コンツェルン会長―わたしの義父のお抱え運転士だった梶田が、
隣町で自転車で引かれ亡くなった。65歳……長女の結婚式を控え、
これから晴れやか、とまでは行かずとも、穏やかな老後を考えていた
矢先である。残された二人の娘は、いくつかの疑問を抱いていた。
父は何故隣町へ行ったのか。父が片をつけなくてはいけない、
と言っていたのは何なのか。そして見つからない犯人のゆくえは?
広報室長のわたしの元には、義父からのじきじきの依頼が来ていた。
二人をよろしく―かくして私は事件の全容を調べるため、調べ始めた。

詰まらない原因は、7割がよくわからない過去について、
うじうじ悩んでいるだけだから。もちろんうじうじ悩むのは必要だけれど、
両親が人を殺しの隠蔽をしたかも知れないと分かるのは、後ろから50Pくらいだ、
というのは、結論、それはあまり重要だととられていないからだろう。
とすると、何がこの話の中で重要なのか? それがよくわからないのである。
ひき逃げ事故は結局中学生が犯人であるし、掘り返した過去は
なかったことにするし、仲の悪かった姉妹は、彼氏を奪い合い最悪の結末。
えっと、で、何したかったんだっけ? の領域である。
宮部さんにしては大変珍しいのだが、あんまり面白くなかった。
ただ一人の印象の良い運転士の暗い過去を根掘り葉掘り曝け出し、
残された娘すらも修羅場を向かえ、不仲になる。なんなんだろう。
主人公をはじめ、奥さんや義父、娘、その他の登場人物はとてもいい。
何となく高級な生活と、素朴な生活が分けられて書かれているから、
庶民から観た、ちょっとしたセレブへの憧れ、みたいな願望と、
実際セレブになった庶民の肩身の狭さ、みたいなのがとても上手く書かれている。
ので、内容が微妙なのが大変悔やまれる作品だと思う。
『名もなき毒』の方が、数段面白かった。あっちは描写が軽すぎて、
気になったけど、こっちはちょっとくどいぐらいだな。
まぁ、それが宮部さんだけど。私は宮部さんが書く30~40代女性が好き。
男性は、そうでもないんだけど、とか言って、この主人公は男性です。

★★★☆☆*80

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