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2009年8月19日 (水)

「キノの旅 Ⅰ」 時雨沢恵一

キノの旅―The beautiful world (電撃文庫 (0461)) キノの旅―The beautiful world (電撃文庫 (0461))

著者:時雨沢 恵一,黒星 紅白
販売元:メディアワークス
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キノの旅、封印してあったけど、封印を解いてみた。笑
昔よく読んだんですよ。楽しくてねぇ中毒性が高いもんだから。
あと黒星さんの絵も大好きで。昔よくサモンナイトで遊びましたよ。
中学生だったな、恐ろしいほどゲームはまってました。オタクだな。

「多数決の国」
森の中に、一本の道があった。
そこを一台のモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)
が走っていた。運転手はシャツの上に黒いベストを着て、
襟を大きく開けている。黒髪の上に鍔つきの帽子をかぶり、
ゴーグルをはめていた。その下の表情は若い。右腿の位置で、
ハンド・パースエイダー(注・パースエイダーが銃器。
この場合は拳銃)がホルスターに収まっている。
キノ、と呼ばれたその運転手は、城壁で囲まれた国に到着すると、
入国手続きをしようと人影を探した。しかし見つからず、
仕方なく無断で入国することにした。3日間と決めている
滞在期限が迫り、国を出ようと言うとき、一人の男を見つけた。
この国のたった一人の住人だった。彼はこの国の経緯を語り始め……。

サモンナイトの話をしたら、ゲームをしたくなってしまった。笑
しかし、今はゲームをやる時間などない。と理由をつけ、
やらないことにする。この本の面白さは、やはりキャラクター。
旅人・キノと、モトラド・エルメスのやり取りが面白い。
何せモトラドが当然のごとくしゃべるのだが、みんな黙認。
そんなパラレル性がありながらも、語られている物語は、
最高にグロテスクで、尚且つ現実的である。とりわけ、
この「多数決の国」なんかは、まさに今の世界を語っているようで、
その皮肉さと滑稽さに、エルメスと一緒に笑うのが心地いい。
王様の絶対王政から逃れ、これからは市民平等、多数決で決めよう
と決めた国民だったが、何かの政策につけ、必ず生まれる
反対意見を消滅させるため、少数派はどんどん殺されてゆく。
国民が半分になり、さらに半分になり、最後の3人になり、
最後は男一人になった。男はこの国の多数決が、人間が
生きてゆく上で最大の要素だと信じて疑わない。けれど、
よそから来たキノに、「それは間違っている」と一言
言われるだけで、一瞬にしてその世界が絶望に変わることを
知るのだ。滑稽、そして、それが現在の世である。
人が残酷にどんどん死に、けれど、それが現実である。
残酷だから、美しく、その殺ぎ落とされた文章は、
やっぱりいいなと思う。そして中毒性があるのだ。
気づけば結構な巻数出てるみたい。時代は流れるね。

★★★★★*95

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