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2009年8月 9日 (日)

「蛇行する川のほとり 1」 恩田陸

蛇行する川のほとり (中公文庫) 蛇行する川のほとり (中公文庫)

著者:恩田 陸
販売元:中央公論新社
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恩田さん、お久しぶり。いつもいつもお久しぶりとか言って
読んでいる気がして毎度申し訳ない。読むたびに、あぁいい、
って思うんだけどね何となく次に手が伸びなかったりして。
嫌いじゃないんだけどなぁ、嫌いじゃ。

野外音楽堂で行われる演劇の舞台背景を描くため、鞠子は
夏合宿に参加することになった。それも憧れである美術部の
先輩の家にお呼ばれされるのである。鞠子は何度とないその機会に
はしゃいでいた。素敵な先輩を独り占めできるチャンスである。
しかし、合宿を前にし、鞠子の周りでは不可解なことが起こった。
先輩である香澄に近づくな、と見ず知らずの少年・暁臣に脅されたり、
自宅の庭で仮面を被った不審な人物を見かけた。
結局合宿は香澄、芳野に暁臣、月彦という男子生徒も加わり、始まった。
絵を描き始め、清々しい気分の鞠子だったが、またも暁臣は今すぐにでも
家に帰るべきだ、と言い始める。彼が警告する理由とは……。

これ確か3巻が1冊になって文庫になっているはずなんだけど、
図書館になかったので仕方なく1冊ずつ読んでいる。けれども、
1冊目を読み終わった今、1冊ずつで良かったと思っている。
何と言ってもこの1巻目のラストのぞくぞくする感じを、
きっと文庫だと感じることが出来なかったろうから。
キャラクターは恩田さんお決まりの、長髪で美人な透明感ある少女と、
ふわふわしてちょっと抜け気味の少女がとてもいい空気を作っている。
読んでいるとまるで少女漫画のようで、ほんわかした気分になれる。
だけど、その下に隠れているミステリーは、相変わらず、
これでもかと不穏な空気を含んでいた。何だろうね、うーん、そうだな、
グリム童話みたいな、そんな底の方に真っ黒なものがゆらゆらしている
んだよね。表面では可愛い女の子たちがきゃはきゃは言って、
笑っているのに。その描き方が凄く恩田さんは上手いのだ。
この本も最初は「なんだ、いつもの通りの学園ものか」と、
落胆していたんだけど、最後の数ページで鳥肌が立った。
さすが、恩田さん。このラストを読んで次を読まない人いないと思う。
それくらいぞわぞわと、蠢いて、引き寄せる何かを感じた。
そう、これを「怖いもの見たさ」という。だからやめられないのよね、
と思い、今日2巻目を借りた。たまに読みたくなるだよな、
このほの暗い底から、足を引っ張られるようなこのおぞましい感覚をさ。

★★★★☆*86

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