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2009年7月

2009年7月31日 (金)

「氷菓」 米澤穂信

氷菓 (角川スニーカー文庫) 氷菓 (角川スニーカー文庫)

著者:米澤 穂信
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する


前回の感想『いちごタルト事件』を読んでいただければ分かるんですが、
私は米澤さんと相当相性悪いです……ですが、友人にお薦めされ、
というか友人はとても好きな作家らしく、そうだなもう一冊くらい読んで
みてもバチは当たるまい、と読んでみました。で、惨敗しました。

姉から命令の手紙を受け取った奉太郎は、有無なく古典部
とやらに入部する事になった。廃部の危機だった古典部であったが、
4人メンバーが揃い、一応部活らしくはなった。しかし先輩もおらず、
何についての活動をすべきかよく分からない。仕方がないので、
毎年発行していたという学校祭発行学芸文集『氷菓』を作成する事になった。
同時に部員・千反田の入部理由である、伯父との思い出を探る活動を開始。
伯父・関谷は一体この学校で何を起こしたのか。

今回もあらすじが微妙ですみません。まぁいいや。
結局は好き嫌い、と纏めさせていただけるなら、後者です。
理由は前回と同じく、事件に対するヒントが少なすぎて、
読者の事をよく考えていないようであるから。
特に、3話目とか、え?って目を疑いました。
ヒントを出さずに、もやもやしたまま、主人公が「わかった」発言。
ちょっと待ってください、私はまだ仮説も立てられてません!!と、
主人公に言いたかった。その上事件の真相を聞いて納得できたら万歳だが、
やはり納得できず「美術の授業は金曜日にある」と突然「解」が出現。
そんなの知らないよ!!って感じである。時間割がどうなってるとか、
どんな授業が行われているかなどの説明は皆無。
突然主人公が部屋を出て行ったかと思うと、勝手に調べて、
勝手に確認してきて、きっそうそうだよ、と物語りは終了。
どこが楽しいのだ?!と私は結構真剣に悩んでいる。
米澤さんの文章は嫌いじゃないし、人物も好きな方だ。
雰囲気だって学生(まぁ高校というより大学って感じだが)は上手い。
私の感性が間違ってるんだろうか……うーむ。
しかし、中でも最後の『氷菓』については面白かったな、謎解き部分。
長編になっていたから、ヒントの出し方などを頑張った感じが出ていた。
まぁ、『氷菓』の由来を聞いて泣けるか?というと難しい気もするけど。
33年前はどれくらい横文字が流行っていたんだろう。
幼い千反田はどれだけ学生運動を理解したんだろう。
謎は多しです。で、よくわかったのが、やはり私はあまり好きではない、
という事実でした。うーん……。難しいね。
普通に読み終えられるんだから、詰まらなくはないんですよ。

★★☆☆☆*78

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2009年7月30日 (木)

「にわか大根」 近藤史恵

にわか大根 猿若町捕物帳 (猿若町捕物帳) にわか大根 猿若町捕物帳 (猿若町捕物帳)

著者:近藤 史恵
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


久しぶりに時代物。面白かったけど、実はこれ2巻だった。笑
残念。近藤さん初めてでした。出来たら1巻から読みたかったんだけど、
間違えた模様です。果たして1巻はどれなんでしょ。
あと一つ考えてしまうのは、描写の軽さ。ちょっと足らないよね、と。

市村座の舞台に、村山達之助が戻ってきたらしい。
達之助は、巴之丞と並ぶ、美しい女形で大変評判がいい。
千蔭は、父上、母上、おふく、八十吉を連れて舞台を観に行く事になった。
しかし、いざ席に着き、幕を観始めると評判の良い女形は見当たらなかった。
八十吉は、妙に思ったが、さきほど酷い演技をしていた一人の女形が、
達之助だと知り、驚いた。客席は失笑し、野次を飛ばすものもいる。
「にわか大根」と叫んだ誰かさえいた。がっかりして家路に着いた一行だったが、
後に達之助の息子が殺されたと聞き、市村座の事情を調べ始めた。

江戸の情緒とやらを上手く描けているんじゃないかと思う。
けれども、上にも書いたけど、描写が少なすぎて、ちょっと物足りない、
というのが私の感想。個人的には宮部さんの時代物がなかなかいい分量。
現代だけど、村上春樹の文章のくどさを10とするなら、近藤さんは1未満だ。
そんな感じで、もう少し説明してくれた方が、物語が膨らむのにな、とか。
例えば、今日は暑かったので打ち水をした、とか。
江戸の人って、そう言う風習などをとても大切にして生きてたと思うんですよね。
そういうとことで、少し残念に思いました。まったく書かれていないんで。
裏を返せば、気軽に読める簡単な物語が多いです。
主人公にも好感をもてますし、付き人の八十吉もいい組み合わせです。
出来るなら、その人の良さなんかももっと説明して欲しかったりしますがね。
表題の「にわか大根」について書いておくと、「にわか大根」って、
ちょっとおかしい気もします。にわかって、突然とか、言う意味
だと思うのですが……うーん。それも江戸の粋なのか?よくわかりません。
説明がないからね。感想少ないけど、まぁいいか。
短編集なので、短い時間つぶしに最適です。

★★★☆☆*84

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■雑談:吉田修一の

9月上旬に『横道世之助』という吉田修一の新刊が出るそうです。
タイトルからして「どうした吉田さん!」って感じですが(笑)、
紹介文では「平成の三四郎」なんて書かれていました。
一体どんなになるやら……『長崎乱楽坂』みたいじゃないのを期待。

吉田さん読むの久しぶりだなぁ~楽しみで仕方がない。

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2009年7月29日 (水)

「盆栽マイフェアレディ」 山崎マキコ

盆栽マイフェアレディ 盆栽マイフェアレディ

著者:山崎 マキコ
販売元:幻冬舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する


初めて読んだ作家さんだったけど読みやすかったな。
文章の雰囲気としては、津村記久子や中島たい子系。
30代女性が書きそうな物語。好きなんですけどねぇ、
こういう乙女チックな感じ。まるでマンガのようでね。

わたし、長瀬繭子は、無愛想な兄弟子・松本と盆栽師を目指している。
なぜそんなことになったのか、話せば長くなるので、
自分も何か一つの事を目指してみたいと、そういうことにしておく。
盆栽師は丁稚という期間があり、6年間は実入りがない。
至極貧乏且つ、その上6年経っても盆栽で繁盛するなど厳しい世の中なので、
ゆく先々も不安なんである。本当になぜこの道を選んだのか甚だなぞだ。
ある日盆栽村に一人のお客さんが来た。ちょっとインテリヤクザみたいな
金持ちそうな男。その人は結400万の盆栽を買って涼しい顔で去っていた。
去り際に、わたしに届けろと指名して。盆栽を手に向かったお台場で
見たのは、わたしの知らない世界だった。VIPな豪邸に上がるように促され、
コーヒーを飲んだわたしは、くどかれ、ついデートの約束をしてしまった……。

最近あらすじを考える能力が低下していると思う。
でもまぁ、そのうち回復するだろう、とそういうことにしておく。
大変面白かったんだけど、読後「で、結局盆栽は?」って感じで。
盆栽の雰囲気とか出てたけど、盆栽の魅力がイマイチ分からなかった。
そもそも盆栽にそれほど興味を持っていないので(お花は好きですが)、
この本を読んだら興味をそそられるかしら、と思っていたのに、
途中から話はビップな生活の話になってしまったので、
もう少し前半で惹きつけておいてくれたらなぁ、と思った。
後半、繭子は「やっぱり盆栽村に戻ろう」と思い始めるけど、
盆栽の魅力の押しが弱いので、高野よりも松本の方がいいのか、
と男模様ばかり浮かんで少し残念である。
まぁ、そのビップな生活ぶりや、高野の言葉に酔ってしまう、
少女漫画チックな描写も、嫌いではないし、いやむしろ好きだけどな。
私も高野さん的な人欲しいけどな!
でも、その2つのマッチ具合が、「別に盆栽じゃなくても」
のような気がしたので、やっぱり盆栽要素がもう少しあったらよかった。
「わたし」の話し口調は、上にも書いたけど津村記久子や、
中島たい子系の自分やさぐれ口調で面白い。中島さんよりは
思考に癖がなくて読みやすいかも。中島さんは物の魅力を語るのが
上手いけどね。津村さんよりはパラレルかな、「ぎりぎりありえそう」
な感じで。津村さんは現実派だから、結構かっちりしてるし。
そんなこんなで、次も読みたいな、と思える作家発見。
次何読もうかなぁ。

★★★★☆*85

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2009年7月28日 (火)

■雑談:蚊取り

蚊を始末しました……。
今年になって10匹はやっている気がします。
そろそろ蚊取り線香買うべしです。

今日は『幻夜』東野圭吾著を読み終えました。
村上春樹で詰まっていたからか、だいぶすらすら気持ちよく読めました。
いや、なにも春樹さんがずるずる気が重いなんて言ってませんよ。笑

コメント下さった方々、ありがとうございます。
返信遅れていてすみません。
ぼちぼち時間が出来次第返信しますね。
毎度手際が悪くてすみません……。

それと、先ほど見直ししていたら、
メールアドレスが死んでました……。
もしもご連絡いただいた方がいましたら申し訳ないです。
再設定しなおしましたので、御用の方は、
お手数ですがもう一度ご連絡くださいませ。よろしくお願いします。

やれやれ、ようやく読書な自分に戻りました。
明日は『盆栽マイフェアレディ』を読みます。
友人が面白いといっていたので。いや、盆栽に興味はないのですが、なんて。

では、また。

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「幻夜」 東野圭吾

幻夜 (集英社文庫 (ひ15-7)) 幻夜 (集英社文庫 (ひ15-7))

著者:東野 圭吾
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


700ページあったのですが、5時間半位で読み終わりました。
速いのか遅いのか分かりませんが、とても面白かった。
長編では近年稀に見ぬ充実感。さすが700ページを、
涼しげな顔で書くわけです。東野さんやっぱり好きだなぁ。

不況に頭が回らなくなった親父は、天井から首を吊って死んでいた。
葬儀の日、人が帰り片付けをする雅也に、叔父がそっと近づいて言った。
お前の親父に400万円を貸した。自殺によって出た生命保険で、
それをまかなってはくれはしないかと言う。下手に出ているものの、
顔にはひげた笑みが張り付いていた。よろしく頼むよ、と肩を叩かれ、
雅也は俯いた。一人酒を飲みちらしていると、突然揺れを感じた――地震……?
見る見る間に家と工場は崩壊し、雅也もすんでのところで逃げ出した。
家を振り返ると、屋根の下敷きになり瀕死になった叔父の姿があった。
近づくと、叔父は少し体を動かした。生きている――そう思った瞬間、
雅也は手元の石で叔父の頭を叩き割っていた。自分のした行動に動揺し、
後ろを振り返ると、そこには一人の女が立っていた――。

例えばラストがどんなに詰まらないものであったとしても。笑
いや、本当に楽しくて、ほとんどノンストップだった。
『白夜行』を読んだときもそうだったのかもしれないが、
もう3年くらい前なので記憶が乏しい。それでも美冬の正体が分かった時、
駆け抜けた鳥肌は、『白夜行』あってのものだった。
すっかり忘れていたんですけどね、話が微妙に繋がってるなんて。
しかし「一体お前は誰なんだ?」となったとき、思い浮かんだのは
紛れもない彼女だった。東野さんは、心理描写がとても上手い。
人間模様とでも言うのだろうか。会話一つとっても、
どこにでもありそうな、どこででも交わされていそうな会話で、
すらすら読むことが出来るし、口調や相手の態度で、
お互いの仲が今どうなっているのか、とても上手く伝わってくる。
一番それを感じたのは、隆治の「夫」と「弟」の書き分けだった。
隆治は美冬の前では「夫」であり、頼江の前では「弟」であるが、
「夫」としての威厳を匂わせることや、「弟」の少し姉に媚びる感じが、
とても上手く表現されていて、凄いわと思った。
『白夜行』ではどろどろした感じではあったが、
こちらの方は美冬の働きによってかなりスマートな話になっている気がする。
まぁそれにしても美冬が超人的すぎて、非現実的ではあるけど。
事件がこれの半分だったとしたら、おおいに納得できたかもしれない。
で、それにしても、なラストなんですが。
これはこれで仕方がないんだろうかと思いつつ、
最後ハッピーエンドで終わられても困るからなぁ。
でも最後に美冬に制裁が下される事を願っていた身としては、
自滅する雅也にがっかりした、といっても過言ではない。
だって美冬の目的がよく分からないから。彼女は何を目指したかったのか?
宝石店の社長婦人としてキラキラしていれば問題ないのか?
はたまた、また新たな犠牲者と共に新境地があるのか?
よく分からない状況で振り回される男たちが憐れで仕方ない話だと。
しかし、この吸引力は、他の著者では味わえないと思う。
あぁ、こういう本読んでしまうから、ぶつぶつ文句言いながら、
結局東野さん読んじゃうのでしょうね、とかなんとか。面白かった。

★★★★☆*90

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2009年7月27日 (月)

「アンボス・ムンドス」 桐野夏生

アンボス・ムンドス アンボス・ムンドス

著者:桐野 夏生
販売元:文藝春秋
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突然ですが、さっきニュースを見たら今年の日本は、
1日平均94人以上が自殺しているらしいです。
1日約100人がいなくなっているのか……そう考えると
なんとも言えない後味の悪いグミでも飲み込んだ気分になりますね。

「アンボス・ムンドス」
私は数年前まで国語の教師をしておりました。
田舎の小さな学校では、一学年に一クラスしかなく人間関係が過密な上、
また小学五年生という微妙な年代の子どもを扱うには、
新任の教師にとってはとても重いことでもありました。
クラスの女の子の間では、陰口が常に交わされ合っていました。
その時、私は教頭の池辺と不倫の関係にありました。
夏休みの少ない私たちは、僅かな休暇を不倫旅行にあて、海外へ飛びました。
夢のような日々でした。けれど、一方で小学校では、
重大な事件が起きていたのです――。

短編集。表題作が一番良かった。一番重いし、好きだった。
この一遍でも読んだ価値があると思う。
「表裏」がテーマになったこの話、それ以外の部分でもとても楽しめる。
いじめの蔓延した学校……けれどそれらは裏に隠れていて、
周りの人間は気づくことが出来ない。本当はいじめが原因で死んだ
サユリのことも、みな気づかず、明るい表面ばかりを求めようとする。
きっとみんな知っているのだろうけどね。
でも気づかないふりをして、「本当」の裏側の事を知ろうとしないのだ。
それは大人に限らずに。本当に怖いのは、それを悪びれることなく
実行する子どもたちなのだ。いじめは恐ろしい。
いじめを起こすその行動よりも、キラキラと笑っている可愛い子が、
顔を歪めて醜く笑い発する、他人を蹴落とそうとするその言葉が怖い。
その瞬間を考えるだけで、ぞっとしてしまう、そう思いませんか。
この話には不倫も絡んでいて、それは桐野さんらしいというか、
いい絡め具合だった。で、その付き合っていた教頭が自殺したので、
上に書いたように、自殺者の数に目がいってしまったのだった。
「よく現実は小説より奇なり」って言うじゃない。
それのように、きっと自殺している人の原因を調べたら、
小説じゃ描けないどろどろがあるんだろうな、とか思った。不謹慎かな。
あと、久しぶりに桐野さんを読んだけど、さすがだなぁ、と思う。
『ルビー』なんかを読んでいる時は、山本文緒のような印象を
受けなら読んで、そうだ桐野さんだった、と読み終わってから思った。
文体を変えず、色々な要素を引き出して違った味わいを出せるのは凄い。
『OUT 下』も読もう、放置しすぎだなぁ。

★★★★☆*89

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2009年7月26日 (日)

「1Q84 BOOK2」 村上春樹

1Q84 BOOK 2 1Q84 BOOK 2

著者:村上 春樹
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


だいぶ時間掛かったなぁ、ハードカバーは持ち歩くのが面倒。
いや、持ち歩くんですけど、実際。おまけに文庫よりも、
ハードカバーの本の方が、私は好きだったりしますけどね。全般的に。
というわけで、春樹さん2巻目、あぁそうきましたか、とね。

『空気さなぎ』の著者・深田絵里子、通称「ふかえり」の承諾を得て、
作品を書き直した天吾だったが、完成したそばから問題は山積みだった。
ふかえりは言語障害を抱えている。そんな少女が、天吾の書いたような
作品を書けるとは世間は信じないに決まっていた。だから全てを
隠さなくてはならなかった。嘘は嘘を呼び、嘘で塗り固められる。
また、ふかえりの両親が宗教団体のトップであることも、
大きな問題であった。『空気さなぎ』は事実を含んだ物語である。
次第に宗教団体から、天吾に脅迫めいた事態が起こり始めた。
後戻りできない天吾とふかえりは、2人で身を隠すことになった。
これからどうすればいいのだろう? ふと天吾が空を見上げると、
そこには月が2つ浮かんでいた。月が2つ……? 
それはまるで『空気さなぎ』に出てくるその風景と同じなのだった。

あらすじは「天吾」のものしか書いていませんが、
視点はもう一つあって、「青豆」という女が主になっているものが
あります。そう言えば主人公2人ともが、変わった名前で、
春樹さんにしてはめずらしいですね。いつも渡辺くんとか、直子なのに。笑
話は次第に『空気さなぎ』の中にもぐりこんでいきます。一番いいと思う点は、
やはり小説の中に小説が出てきているのに、うさんくさくない?、
馬鹿馬鹿しい感じにはなっていない、というところでしょうか。
それはくどくどしい説明文の賜物かと思いますけど、
見事に読者を物語の中の物語に引きずり込んでくれます。
いつの間にか浮かんでいる2つの月は、象徴するようにはっきりと、
そこに浮かんでいます。はっきりと、それが狙いですね。
他の場面がどんなにぼかされたとしても、月が2つ浮かんでいる限り、
それはフィクションなのだと、示しているのだから。
でも一体どこからが、フィクションだったのか?
天吾が月を見つけるまでには、結構な時間が掛かっている。
それに、残されているはずの自分の実体は、どこへ行ったのか?
踏み込んでしまったら、そこが現実になるのだというように、
変貌を遂げてゆく周りの世界は、「そうではなかったかもしれない」
の裏返しなのだろう。それが小説の中でいいのだろうか、と、
小さな世界に若干の疑問も浮かぶような気がしますが。
『世界の終わりと~』でピアジェの構造主義を模しているように、
心理学か何かの踏襲でもしてるんだろうか?
知らないので、思い当たらないなぁ、哲学書でも読もうかな、なんて。
あ、そうそうこの本「BOOK4」まで出るらしいですよ。
あはは、どおりで『ねじまき鳥』と同じ匂いがするわけですね。
なんというか、テンポがね。

★★★★☆*87

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2009年7月25日 (土)

「1Q84 BOOK1」 村上春樹

1Q84 BOOK 1 1Q84 BOOK 1

著者:村上 春樹
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


長らく放置していてすみません。…というか誰も期待はしていない
気もするんですけど、まぁ気を取り直して。密かに読んではいました。
記憶が新しい順に書きます。春樹さんは近所の書店に並んでから
買いました。いやもう、すごいね。版数が半端じゃない。笑

塾の数学講師を勤める天吾は、小説家になることを目指していた。
数学を教えることは何より面白かったが、文字を書き起こすその作業は
彼により深い意欲を湧かせるのだった。しかし作品は今一歩のところで
賞を受賞することが出来ない。声を掛けてくれた編集者・小松の力により、
小さな文章の仕事を貰うことができたが、これと言って前進はしなかった。
そんなある日、小松からある仕事を提案された。それは他人の作品を
改稿し、新人賞を狙うと言うものだ。明らかに詐欺行為である。
一度は断った天吾であったが、その作品・深田絵里子の『空気さなぎ』
を読むうち、どうしてもその作品を自分の手で書き直してみたくなった。
17歳の少女が書いた、謎めいた小説。構造は完璧だが文章が酷い。
俺ならこの作品をより生きた作品に書きなおすことができる……。
天吾は一抹の不安を抱えながらも、作品を書き直し始めた。

あぁ長い。第一感想がそれかよ、な本ですが、楽しいは楽しいです。
何と言っても春樹さんがだいぶ妥協して書いています。
何に妥協って?現実と、自分のポリシーの相関妥協です。
なんと、この作品にはテレビや携帯電話が出てくるんですよ。
びっくりびっくり。読んだ瞬間から、春樹さんの気合の入れようを
見受けたような感じがしました。あとは、読者への配慮がある。
読者が初めて見るものに対しては、説明を詳しくしなくてはならない
という説明が出てくるが、この本に関してそれは完璧でした。
でも、まぁその他の部分でも説明、説明、説明、の連続なので、
「あぁ吉田修一が書いたら、半分の枚数で終わるわー」とか、
ちょっとばかり頭をかすめました。まぁそれがなかったら、
もはや村上春樹ではなくなるわけですが。
あとは、一人称が「俺」「おれ」「僕」といろいろ出てきて、
何だか違和感です。そもそも春樹さんの本で「俺」が出てくるのは、
大変珍しいことで(というかそんな本あったかな…)、
それだけでも春樹ファンとしては読んでいて多大な違和感でしたし。
たぶんどこが「現実」で、どこが「小説の中」なのかを、
分けるために書かれているんだろう?とか思ったのですが、
もしも考えなしに書かれたなら、話が面倒になる原因なので
文句を言いたい部分ではありますね。
ところでヤナーチェクのシンフォニエッタを聴いた事がないのですが、
買うのもなんかなーとか思いながら、やはり聴いてみたいですね。
で、一番小説で重要なのは、そう思わせることだと思うのです。
小説は文字でしかないけれど、そこに音楽が加わったら、
どんなに良かろうと、読者に思わせる、という大変さ。
そう言えば、天吾はいつもの春樹キャラと違って気取っていません。
ビールもあまり飲みません。やっぱり春樹さん頑張ってるんだと思います。

★★★★☆*87

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2009年7月24日 (金)

「眠りの森」 東野圭吾

眠りの森 (講談社文庫) 眠りの森 (講談社文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


何か読もうかなーと思うと、つい東野さんを手に取っている気がする。
今回の話は、バレエの話。東野圭吾とバレエとは、かなりかけ離れて
いる気がしたけど、自然な感じでその点においては違和感がなかった。
それってある意味すごいよねーきっとバレエやったことないだろうに。

ある小さなバレエ団の事務所で殺人事件が起きた。
窓から入ってきたと思しき男が鈍器のようなもので殴られていた。
そしてその傍らには、一人のプリマが気を失って倒れていた。
彼女の同僚・浅岡未緒らは、それらは正当防衛だと主張した。
突然侵入してしてきた男に驚いただけだ、きっとすぐに釈放されるだろう。
しかし、プリマが一人かけたバレエ団は、次第に調和を崩していった。
みんなで舞台を何とかしなくてはならない。躍起になって
リハーサルを進める中、新たな被害者が出てしまった。
先ほどまで舞台を指導していたはずのコーチが、死んでいた。

犯人と恋に落ちちゃうシリーズ、と題してもいいでしょうか。
事件や謎解きはとても面白いのだが、東野さんは、そんなパターンの
小説が多いので(最近だと「聖女の救済」もそうだった)、
何となくどっかで見たことのある心理描写、と思わなくもなかった。
舞台はバレエ劇団。実は私は昔バレエをやっていたのだが、
そんな雰囲気を上手く描けていて、凄いなぁと単純に感心した。
自分の知らないものを知っている人に説明するのは恥ずかしいものだ。
きちんと理解してから書かないと、笑われることになる。
けれども、この本はそんな疑念すら抱かないほどスムーズに読めた。
一つ残念だったのは、事件の内容がいきなり海外に飛ぶことだ。
どうして海外に飛ぶとこんなに物語はつまらなくなるんでしょうね。
いや、何も東野さんに限ったことじゃないんだけど。
きっと海外で起きた事件は、日本では裁けないからじゃないかな。
よくわからないけど、海外で……と出てくるだけで、
私はとてもつまらない気分になるのだった。
うーん自分がグローバルじゃないからだけかもしれないが。
ラストは犯人が中盤から分かりきっているので、
思っていた通りに進んでいくのだが、恋に落ちる心理描写の上手さと、
人間味が上手く描けていて、楽しむことが出来た。
システマチックに処理できない心、みたいな。
本当はこうしなきゃいけないのに、理性が働かない、見たいな衝動が。
だから、例えば、他に類がない恋ある事件だったら、よかったのにと。
東野さんは本がたくさんあるので、似ているのが残念だと、
そういうこと。それ以外は楽しかった。アマゾンのこの本評価高いですしね。

★★★☆☆*85

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2009年7月19日 (日)

7/19つばき@名古屋CLUB UPSET『RADIO CLASH』

7/19つばき@名古屋CLUB UPSET『RADIO CLASH』

■セットリスト

 青
 めまい
 夢のあとさき
 曖昧な夜
 光~hikari~
 脱ぎ捨てて
 銀河列車
 亡霊ダンス
 覚めた生活
 君がいなければ
 
END

 花

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2009年7月18日 (土)

7/18つばき@京都MUSE『巡る旅』

7/18つばき@京都MUSE『巡る旅』

■セットリスト

 亡霊ダンス
 春の嵐
 脱ぎ捨てて
 花火
 ブラウンシュガーヘア
 瞬き
 光~hiakari~
 花

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2009年7月15日 (水)

7/15つばき@下北沢CLUB Que『CLUB Que 夏の陣』

7/15つばき@下北沢CLUB Que『CLUB Que 夏の陣』

■セットリスト

 亡霊ダンス
 ブラウンシュガーヘア
 銀河列車
 光~hikari~
 曖昧な夜
 カーテン
 夢のあとさき
 春の嵐
 バタフライ
 めまい
 君がいなければ
 
END

 妄想列車(セッション)

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2009年7月14日 (火)

7/14一色徳保@高円寺CLUB LINER『僕は覚めない夢の中』

7/14一色徳保@高円寺CLUB LINER『僕は覚めない夢の中』

■セットリスト

 雨音
 花火
 カーテン
 そして僕は途方に暮れる(大澤誉志幸)
 会いたい(沢田知可子)
 coffee
 アセロラ
 曖昧な夜
 土曜の午後
 夢
 冬の話
 
END

 新曲(『花』ではない)

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■雑談:そのうち戻ります

長らく放置していてすみません……。 
そのうち戻ってきます。 

・「眠れぬ森」東野圭吾 
・「アンボス・ムンドス」桐野夏生 
・「犬神博士」夢野久作 
・「1Q84 BOOK1」村上春樹 
・映画「ガマの油」

そのうち書きます。

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