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2009年7月26日 (日)

「1Q84 BOOK2」 村上春樹

1Q84 BOOK 2 1Q84 BOOK 2

著者:村上 春樹
販売元:新潮社
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だいぶ時間掛かったなぁ、ハードカバーは持ち歩くのが面倒。
いや、持ち歩くんですけど、実際。おまけに文庫よりも、
ハードカバーの本の方が、私は好きだったりしますけどね。全般的に。
というわけで、春樹さん2巻目、あぁそうきましたか、とね。

『空気さなぎ』の著者・深田絵里子、通称「ふかえり」の承諾を得て、
作品を書き直した天吾だったが、完成したそばから問題は山積みだった。
ふかえりは言語障害を抱えている。そんな少女が、天吾の書いたような
作品を書けるとは世間は信じないに決まっていた。だから全てを
隠さなくてはならなかった。嘘は嘘を呼び、嘘で塗り固められる。
また、ふかえりの両親が宗教団体のトップであることも、
大きな問題であった。『空気さなぎ』は事実を含んだ物語である。
次第に宗教団体から、天吾に脅迫めいた事態が起こり始めた。
後戻りできない天吾とふかえりは、2人で身を隠すことになった。
これからどうすればいいのだろう? ふと天吾が空を見上げると、
そこには月が2つ浮かんでいた。月が2つ……? 
それはまるで『空気さなぎ』に出てくるその風景と同じなのだった。

あらすじは「天吾」のものしか書いていませんが、
視点はもう一つあって、「青豆」という女が主になっているものが
あります。そう言えば主人公2人ともが、変わった名前で、
春樹さんにしてはめずらしいですね。いつも渡辺くんとか、直子なのに。笑
話は次第に『空気さなぎ』の中にもぐりこんでいきます。一番いいと思う点は、
やはり小説の中に小説が出てきているのに、うさんくさくない?、
馬鹿馬鹿しい感じにはなっていない、というところでしょうか。
それはくどくどしい説明文の賜物かと思いますけど、
見事に読者を物語の中の物語に引きずり込んでくれます。
いつの間にか浮かんでいる2つの月は、象徴するようにはっきりと、
そこに浮かんでいます。はっきりと、それが狙いですね。
他の場面がどんなにぼかされたとしても、月が2つ浮かんでいる限り、
それはフィクションなのだと、示しているのだから。
でも一体どこからが、フィクションだったのか?
天吾が月を見つけるまでには、結構な時間が掛かっている。
それに、残されているはずの自分の実体は、どこへ行ったのか?
踏み込んでしまったら、そこが現実になるのだというように、
変貌を遂げてゆく周りの世界は、「そうではなかったかもしれない」
の裏返しなのだろう。それが小説の中でいいのだろうか、と、
小さな世界に若干の疑問も浮かぶような気がしますが。
『世界の終わりと~』でピアジェの構造主義を模しているように、
心理学か何かの踏襲でもしてるんだろうか?
知らないので、思い当たらないなぁ、哲学書でも読もうかな、なんて。
あ、そうそうこの本「BOOK4」まで出るらしいですよ。
あはは、どおりで『ねじまき鳥』と同じ匂いがするわけですね。
なんというか、テンポがね。

★★★★☆*87

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