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2009年4月23日 (木)

「聖女の救済」 東野圭吾

聖女の救済 聖女の救済

著者:東野 圭吾
販売元:文藝春秋
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会社のお姉さんに借りました。「どうってことないトリックね」と
言って渡されたのだが、まさに「どうってことないトリック」だった。
そもそもこの謎は読者は解くことが出来ないのではないか。
「容疑者X」を考えてしまうと、手を抜きすぎであることが明快。

一人の男が自宅で毒を飲み死亡した。
自殺かと考えられたが、彼の日常的な行動から考えると
毒殺されたと考える方が妥当だった。容疑者は妻と愛人の二人。
しかし男が死んだ時、離婚を切り出されていた妻は北海道におり、
殺害することは不可能。そして離婚の原因となった愛人もまた、
これから新生活を送ろうと言うのに殺す動機がなかった。
他殺であることは分かっているのに、毒を仕込んだ方法が分からない。
究極のトリックが、湯川の前に立ちはだかる。

問題なのは、これでは読者は謎を解くことが出来ない、と言うことと、
映像化された後に書かれたものなので、描写が少ないこと。
始めに描写が少ない、と言う点はと言うと、
この巻から、内海薫(柴咲コウの役)という女刑事が現れるのだが、
彼女の描写が非常に乏しい。湯川や草薙は、今までの巻で散々
紹介されてきているが、このキャラはもうすでにそこにいて当たり前、
ドラマ観たでしょ?みたいな扱いになっていて、ちょっと残念。
やっぱり説明は入れるべきだろうな。そもそも想定外な
登場なのだとしても。一人増やすのは大変なのかもしれないけどね。
あともう一つは読者は謎を解くことが出来ない、というとこ。
これはヒントがなさすぎることがまず原因。それとヒントがなさすぎる
ことによって最後のオチが大きすぎて、読者は想像できない落胆。
話の核、というかタイトルにもなっている重要な「聖女の救済」
という意味、これはとても面白いものだと思う。こうした
トリックを思いつくのは、やはり凄いと思うし、さすが東野さんと思う。
けれども東野さんの傾向として、最初に殺害シーンを書くから、
犯人はもうばればれ。その事件をいかに面白く推理し解決していくか、
が軸になっているわけで、でも今回はそのお披露目方法が、
ちょっとよくなかったような気がする。「まさかそんなことあるわけが!」
みたいな感じで湯川はひっぱりっぱなしだし、水に含まれた毒素の
濃度が微妙すぎて、犯人に白を切られたら終わりでは?と思うし、
解決前に、トリックに気づけた読者は本当に凄いよ、と私は思う。
しかし、この本はなかなか東野さんにとって新しい本であると思う。
それは物語に三角関係があるから。勿論今までもあったけれど、
1対2だったり、平等な存在価値ではなかった。今回は三人とも主人公。
何だか今後の物語が広がる気もするな、とちょっと期待。

★★★☆☆*86

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