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2008年11月21日 (金)

「ちいさな幸福」 角田光代

ちいさな幸福<All Small Things> (講談社文庫) ちいさな幸福 <All Small Things> (講談社文庫)

著者:角田 光代
販売元:講談社
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角田さん20冊目です。凄い、いつの間にそんなに読んだんだろう。
SSに近い短編集でしたが、20冊目にふさわしい本でした。
角田さんはたまに読むと心に沁みます。たまにじゃなくても
沁みますけれども、より楽しめるように思います。

「7」
長い長い討論の末、香が九歳の時両親は離婚をした。
香は母方につき生活するようになったが、
「年に一日だけ父は香と過ごす」という取り決めがあった。
日にちは七月の第一日曜日。香の誕生日が六月三十日であったから、
その誕生日の祝いも兼ねていたのだろう。香はこの日を毎年
楽しみにしていた。この日だけはどれだけ贅沢な事も叶えてもらえる。
欲しい物だって何だって買ってもらえる。けれども、父親との
会話が減り始めると、香の中では違う感情が動くようになっていた。
こうして全ての望みが叶うのは、どこか父親を恐喝しているように思う。
そもそも、年に一日だけ会いたいなどと、一体誰が思い決めたのだろうか。
香は今、会わなくなった父親を思い出す。

本当に大切なものなんて、その時は感じることも出来ずに、
そして理解することも出来ないのだと、私は思う。
この本自体は「記憶に残るデート」というテーマで、
短編が寄せ集められているのだが、一言で「デート」と言っても、
人それぞれ、色々なものがあるのだと、角田さんは言う。
ページの中盤に、投稿した方の文章も載っていて、
へーなるほど。あーあったなそんな感じのこと。
と、様々な形で昔の自分を見つけることが出来た。
小説の中で特に好きだったのが「7」番目に書かれている話だった。
離婚し、年に一度しか会えなくなった父と娘の話なのだが、
あまりに距離を置きすぎた二人はお互いにどう接したらいいのか
分からなくなり、次第に会話は減ってつっけんどんになってしまう。
最後には反発して会わなくなり、けれども今思い返し、
一番心に残っている「デート」は父親との無言のあの時間なのだ。
誰が会いたがったのか? 父親か?それとも子どもだった自分のためか?
知らずに褪せてしまったように思った愛情は、
ただその方向を見誤っていただけだと気づくのだ。
香は父親に会いたいと思う。そう思うなら、
きっと父親もまたそう思っているに違いないのである。
その他、デートの話の数々でしたが、恋愛小説嫌いな私でも、
すんなり読め、とても共感する内容の小説になっていました。
角田さん、いつしか制覇できるかなぁ…道のりは遠そうですが。
森さんよりはマシかな。笑

★★★★☆*88

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