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2008年10月11日 (土)

「ナイチンゲールの沈黙 上」 海堂尊

ナイチンゲールの沈黙(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ) ナイチンゲールの沈黙(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)

著者:海堂尊
販売元:宝島社
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何ともいやぁな予感を持ちつつ、上巻を読み終えました。
「チームバチスタ」のときも思ったのですが、
作者が描写で描く主人公と、主人公の心の呟きが、
かなり性格不一致に思います。うーん、下巻も辛そうですわ。

看護士・小夜の担当している少年・瑞人は、網膜芽種……眼球のガン
であり、放っておくと眼球を摘出しなければならなくなる。
それを避けるためにも、どうしても手術を行わなければならなかった。
けれども、瑞人の父親は無職であり、酒に明け暮れているような、
最低な父親だった。金がないから、死なないのであれば手術はしない。
断固として譲らない父親だったが、突然契約書にサインをすると
小夜は呼び出しを受けたのだった。はやる心を抑えきれず、
喜び勇んで父親の元に向かったが、小夜はそこで乱暴を受けることに
なった。このままでは……小夜は懸命に赤い手袋に手を伸ばした。

問題として、この本は読者のことを考えていない。
「チームバチスタ」の時も思ったが、あちらの方がまだマシであった。
今回は前作が人気だったため、「勿論前作は読んでくれたでしょ?」
みたいな感じで、あまり注意せずに書いた、という嫌な印象を受ける。
その原因は医療関係のことに説明が少なすぎる、というところ。
多分、医療関係者や看護士さんは、とても楽しめるのではないだろうか
と思うのだが、医療をさっぱり分からない人間には確実に説明不足。
おまけに人物の行動描写が少なすぎるので、
そこに一体何人の人間がいて、誰がしゃべっているのか不明。
登場人物だけが勝手に盛り上がっているという感じもする。
そう言った意味で、とても残念な本だった。
せっかく医療という専門的な分野を武器にストーリーが書けるのに、
そのいい所が生かせていないのは、非常にもったいない。
それと今回のストーリーは、あまりチーム的な躍動感がないから、
「チームバチスタ」で好きになった人は肩透かしを
食らうかもしれないなぁ、とも思う。キャラクターの
個性が、あるようで、ないような、「チームバチスタ」のように、
主要人物が上手いこと確立していないので、
一体どこら辺までが主要人物で、どこからが脇役なのか曖昧。
と、ボロボロに書いてしまったのは、折角いいものを書けるのに、
奢りが見えるような気がするためであって、文章は好きです。
下巻も楽しめるといいのですが。いよいよミステリ、ですから。

★★★☆☆*80

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