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2008年10月25日 (土)

「モダンタイムス」 伊坂幸太郎

モダンタイムス (Morning NOVELS) モダンタイムス (Morning NOVELS)

著者:伊坂 幸太郎
販売元:講談社
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作者すら疑問を持つ「伊坂人気」の追求…と言ったところでしょうか。
いくらなんでも遊びすぎですよ、伊坂さん。
私は伊坂さんの小説が好きですが、この本は嫌いです。理由は、
あからさまに読者を試しているからです。

勇気は実家に忘れてきました。
システムエンジニアである渡辺は、先輩社員の逃亡により、
不可解なプロジェクトを命じられた。仕事を頼まれているのに、
クライアントの顔さえ分からない。連絡を取るのもメールで
しか行えず、作業は難航していた。そんな時、頼まれていた
「検索システム」に、特殊な仕掛けが施されていることを知る。
「安藤商会」や「カウンセリング」何の変哲もないある単語を
組み合わせて検索すると、怪しげなサイトが表示されるのだ。
そして、そのサイトを見たものは、次々に事件に巻き込まれてゆく。
果たして渡辺はこの事件の真相に辿り着けるのか。

あとがきで言い訳するくらいなら書かないで下さい。
物語の中に作者が出てくるほど、読者が嫌うものはありません。
もしも、作者が出てきて、それでも尚面白いと評価されたのなら、
それなりの作家とでも言えるのでしょうか。
あきらかにこの小説は読者を試しています。
例えば、ここで私が「よくぞ言った伊坂さん、その通り」とでも
書いて、賞賛したとしたら、それを読んで笑うのでしょう。
そして今書いているように「ありえない」と批判するなら、
さもありなんと笑うのでしょう。どちらにしろ、読者を試して
いるに変わりがありません。たとえその目論見に気づかない
伊坂ファンへの戒めなのだとしても、もっと他にやり方は
あったと思います。自分への正当な評価がなされていないのは、
なにもマスコミだけの問題ではないのです。
売れすぎることに苦しむ伊坂さんの心境を垣間見るのも心苦しいですが、
こんな方法でなく、もっと読者に気づかせる物語を書いて欲しいです。
試される位なら、恐ろしくつまらない小説を読んだ方がましです。
と、酷評しましたが、「ゴールデンスランバー」も合わせ、
私は最近伊坂さんの小説を好きになれません。物語のどこかに
「有名になりたいけど、なりたくない」という伊坂さんの心が
見えるようでならないのです。勿論、ご本人が直にそう思っている
のかどうかは分かりませんが、直木賞候補を拒否されたことからも、
その傾向は分かると思います。個人的な思いですが、伊坂さんは
売れない方がいい作家なのだと思います。悪い意味ではなく、
売れすぎて有頂天になる自分を極度に恐れている方だからで、
その様子を見ているのが辛いからです。きっと「重力ピエロ」の
頃の方が、ご本人的にもやる気に満ちていたんじゃないですかね。
分かりませんが。しかし、「新しい小説」という枠で、
読書離れの続く若者や非読者層も、読書の世界へと導いてくれた
「新しい作家」として、もっと胸を張って欲しいと思います。
死んでから評されるのも一里ですが、「時の人」として輝き、
死んでからも評されるという功績を残していただきたい。
だから、こんな遊びすぎた小説書いてないで、今思う時を
書いて欲しいと思います。と偉そうなこと言ってますがお許しを…。
心から応援しています。でも、この本は許せません。
内容の感想書いてませんが…勇気は実家に忘れてきました、と言う事で。

★★★☆☆*75

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コメント

るいさん、こんばんは。
さすが、るいさん師匠。
う~ん、私にはそこまで読み取れませんでした。
ただ、私も彼の作品は好きだし、この作品の爆走ぶりも私には心地よかったのだけど…
あとがきをよんで、そういえば「読みきり感」があって、
空き時間に一章って感じで、なかなか読み進みませんでした。
個性的な登場人物ばかりで、伏線の回収も楽しみにしていたのだけど、
それを出来なかったのが心残りでした。

投稿: fumika | 2008年12月26日 (金) 20:52

>fumikaさん

すみません、すっかり見落として、
コメントが年越しておりませんでした(涙)
今年は、「コメントを定期的に確認する」を目標にします…!

いえ…師匠でないですよ(笑)
うーんでもこの小説は、楽しむ以前に怒りのが先でした。
小説ってこういうもの?って思ったし、
伊坂さんが言いたいのって、こんなことだったの?って思いました。

確かに、週刊誌の読みきり感はありましたね。
ある意味マンガは全部そうなんだよなーとか思うと、
ちょっと凄いな、とか思ったりもして。

個人的には落ち着いて完結してから書いて欲しいです。
次回に期待します。
最近だんだん伊坂さんが好きだった時の気持ちを忘れ始めて
しまったので、「重力ピエロ」でも読み返そうと思います。

投稿: るい | 2009年1月21日 (水) 09:56

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