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2008年10月19日 (日)

「雪虫」 堂場舜一

雪虫 (中公文庫) 雪虫 (中公文庫)

著者:堂場 瞬一
販売元:中央公論新社
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久しぶりに主人公の性格を許せずに、あまり楽しめませんでした。
うーん、新しい作家さんを掘り出すのは大変ですね。
たぶんこれはデビュー作ですが、他の本なら楽しいのかもしれないし、
とか思うと、もう一冊くらい……と思わなくもないのだが。

新潟県の片田舎で、老婆が何者かに刺し殺される事件が起きた。
目撃者はほぼ皆無。情報も限りなく少なく、
事件は暗礁に乗り上げるかと思われたが、
ある情報から被害者の老婆が宗教団体の教祖だったことが分かった。
祈祷と言いながら治らない治療をし、数十万円を受け取っていたらしい。
それらを調べを進めるうち、五十年前にその宗教団体で起きたと言う、
殺人事件が浮かび上がった。今回の事件は、その事件に関連している
に違いない。了は重点的に捜査を始めるのだが……。

そもそもの話、警察に資料がないって言うのが破綻しているように思う。
そして、もしないのだとしたら、当時の刑事を尋ねるのが先決だろう。
間違っても新聞記者に頼ったりしない。そこでも本当にヒントが
なかったら今度こそ外部の人間を頼ると思うのだが。
それは警察が、と言うよりも会社的な組織内の常識だろう。
ましてや警察の秘密が漏れたら、捕まる殺人犯も捕まらないじゃないか。
そしてこの本で私が一番気になったのは、主人公の傲慢な性格だった。
まだ二十代後半の癖して、上司にタメ口、部下に鷹揚な態度。
物語以前に、なんだこの性格設定は、と疑問に思った。
例えば三十台後半だったら、分からなくもないし、性格の曲がった
人間が重大事件で性格を更正…というなら納得だが、その要素は皆無。
若造のくせして威張り散らす主人公の利点は何なのか謎だった。
それと話の筋として、事件、と言うよりは、主人公の心理重視なので、
父親との関係に悩んだり、昔の恋人に靡いてみたりと、
余分な文章が多くて、相当な分量が増えている。
捜査に至っては、予想していたことが、そのまままんまになる、
と言うことが多くて、ちょっと面白みに欠けるし、
この程度の物語なら、こんなに分量いらないんじゃないですか、と思った。
うーん、すっきりした文章は好きなんですが、
いまいち「?」と思うところが多くて楽しめませんでした。

★★☆☆☆*75

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コメント

堂場さんは、野球を題材にした本が多いっぽいね。

高校野球がテーマの「大延長」は、自分が高校野球好きだからかもしれないけどすいすい読めたな。
でも、そのほかは分厚い本が多くてそれ以降は手を出していない作家さんだわ。。

今読んでいる「武士道シックスティーン」が面白いですわ。
あと、スポーツ関連だと「ひゃくはち」とか割と良かったよ。

・・って話が逸れた。
先日伊藤たかみさんのデビュー作を読んで、やっぱり私は伊藤さんの作品が苦手らしいことがようやくわかった。
「ミカ×ミカ」とか「ぎぶそん」は悪くないのにねえ。

投稿: すきま風 | 2008年10月22日 (水) 22:41

>すーちゃん

そうなんだー。野球かぁ、私はとりわけ興味なしかなぁ。苦笑
まぁサッカーか野球かと聞かれたら、野球かもしれないって感じ。
甲子園は別だけどね、あれは格別だよ。プロとは違う。
小説はバッテリーみたいにきちんと「スポーツ」を描いてくれるなら
いいけど、個人的な趣味の延長だと、ちょっと困るね。

あぁ、確かに分厚いかも。この本も二段だったよ。
最近二段でもへっちゃらになってきたんだけどさ。笑

「武士道シックスティーン」面白いんだ。誉田さんだっけ?
そう言えば新宿の紀伊国屋でサイン本売ってたよ。
結構前だけど、「あぁ字汚い」と思って目を引いた。(大変失礼・笑)
「ひゃくはち」は表紙だけ見たことあったかな。
スポーツ・青春もの読んでなかったから、読んでみるよー。
お薦めありがとう。

伊藤さんね、角田さんと上手くいってるのかな?
とか、変なことばっか最近考えてるよ。
だって角田さん離婚とかそんなんばっかり書くからさ。
うーんまぁ、小説としてはいいものだけどね。
そうなんだよね、あの「グルグルダンス」ね。
うーん、唸るばかりだよ。伊藤さんも好きな作家だから。
きっと「大人」としての伊藤さんは好きでも、
「男」としての伊藤さんは嫌いなんだと、私は思うよ。
「指輪をはめたい」とか、卓袱台投げそうだったし。
でも「ミカ」は大好きだし。父親にはもってこいだけど、
夫にはやめておきましょう、と言う感じでどうでしょうか。
何か変な話になったな。笑

では、土曜日に~。
今日は一色さんの弾き語りでやんす♪

投稿: るい | 2008年10月23日 (木) 10:38

>若造のくせして威張り散らす主人公の利点は何なのか謎だった。

あはは!おんなじこと書いてる人がいる♪
まぁ,お互い,タイプじゃなかったっていうことで(^_-)-☆

投稿: そら | 2008年10月30日 (木) 13:14

>そらさん

本当、そらさんの記事を読んで「おぉ!」と思いましたもん。笑
お互いタイプじゃなかったんですねぇ、きっと。
でも好きな人もいるんだなぁ、と思うと、感慨深いです。

もう一冊、万が一読んだらご報告します~☆

投稿: るい | 2008年10月30日 (木) 15:14

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