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2008年10月15日 (水)

「殺人の門」 東野圭吾

殺人の門 殺人の門

著者:東野 圭吾
販売元:角川書店
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なんともまぁ、暗い話でした。人が「殺人の門」を超えるまでの話。
東野さんの小説は、ドロドロ、ベタベタしたのが好きなので、
「ガリレオ」などよりは好きでしたが、イマイチ乗り切れない感じで、
これなら「白夜行」や「手紙」など、テーマがはっきりしている方が○。

祖母の葬式が済む頃、祖母は母に毒殺されたのだという噂が町に流れた。
喧嘩が絶えない両親は離婚をし、私は父方に付くことを望んだ。
様々な騒動が済んだ私に待ち受けていたのは、劣悪な町の風評と、
ひつようないじめであった。毎日繰り返される暴力や嫌がらせに、
次第に怒りを覚え始めた。だから私は殺人計画を立てることにした。
人を殺すためには、それなりの動機と憎悪が必要である。
いじめの中心人物をその標的に考えたが、
殺すと言うことは自分が捕まるかも知れないということでもあるから、
私はそいつらを確実に殺すために、より憎悪を増やす必要があった。

そもそも、この主人公は忍耐力がある。
私だったら、この本の中間地点で倉持を殺しているだろう。
そう思って読んでいたからか、まだ殺さないのか、まだなのか、
と恐ろしい感情で読み終えることになった。
まぁ、そう思わせるほどの巧みなイライラ感や、
殺したいけど、まだいいか、みたいな様子はとても上手いと思う。
けれども、残念なのは途中から、ねずみ講に嵌ったり、
倉持にまんまと騙されることばかりが続き、
「いい加減気づけよ」と主人公をしかってやりたくなった。
それに、殺人計画と言うのは、そんなに甘いものではないと思う。
例えばもっと尾行を入念に行ったり、ターゲットの一週間の予定を、
事細かにカレンダーに書き込んでみたり、盗聴してみたり、
という、ちょっと狂った一面を見せてもらえないと、
計画を練っているその様子が、全然恐ろしい心境に思えない。
まず、タイトルのように「殺人の門」という門を越えるのが、
人を殺す直前だと言う設定が、ちょっと間違っているような気もするし。
計画するような殺人をする人間は、その門を越えたら「殺す」ではなく、
「殺してやる、殺してやる」と憎悪を自ら煮詰めてゆき、
最後の一歩を怨念を込めて自ら越えるのだと思う。
だから最後の「越えたのだろうか」という主人公の心境なら、
それは今まで呪ってきた倉持への気持ちがもったいないだろう。
私は、主人公を殺そうと襲ってきた藤田のような人間こそが、
計画殺人としてよく描くことが出来そうだなぁ、と思うのだが、
どうでしょう。人を殺すことは、一瞬の過ちであるか、
生涯の達成あるか、どちらかであるように思う。
最後まで暗い話なので、十分にご注意を。

★★★☆☆*84

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